青い日記帳 

  
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『はじめまして、ルート・ブリュック』
ブルーシープ株式会社より刊行となった『はじめまして、ルート・ブリュック』を読んでみました。


はじめまして、ルート・ブリュック

フィンランドを代表するアーティスト、ルート・ブリュックを日本で初めて本格的に紹介する一冊です。と言ってもルート・ブリュックの名前をご存知の方はそうそういらっしゃらないかと思います。

かく言う自分も、今年の夏に目黒区美術館で開催された「フィンランド陶芸―芸術家たちのユートピア」展ではじめてその名前を知りました。


「フィンランド陶芸―芸術家たちのユートピア」展

こちらの展覧会レビューにも書いてあるように、一番感銘を受けたのが何を隠そうルート・ブリュックだったのです。

ルート・ブリュックの作品はペインターではなくセラミック・アーティストです。愛らしい陶板から公共建築の大型壁画まで多くの作品を世に送り出しました。


ルート・ブリュック Rut Bryk(1916-1999)
アラビア製陶所・美術部門のアーティストとして、セラミックを中心に、テキスタイル、パブリックアートなどを制作。1951年のミラノ・トリエンナーレでグランプリを受賞し、世界的に活躍。ロマンチックで具象的な前期から、抽象的で力強い表現の後期へと移行する作風の変遷が見どころ。夫は世界的デザイナーのタピオ・ヴィルカラ。世界各国を旅し、イタリアやアメリカの都市、夏に滞在したラップランドなど、その場所の風景や自然に着想を得た。

百聞は一見に如かず。彼女の作品を少し見てみましょう。





セラミック・アートとひと言で言ってもその種類や技法は実に様々です。

独特の雰囲気を醸し出すブリュック作品は、絵を彫った石膏をやわらかい土に押し付けて、陶板に輪郭線をつけた表面を削ったり、スタンプで模様をつけ、上から釉薬を流すという技法がとられています。

これによって独特の艶のある、まるで水のなかに模様が浮かび上がるような効果を得ることに成功しています。





はじめまして、ルート・ブリュック』では、ブリュックの魅力を読み解くエッセンスとして9つのキーワードに分けて紹介しています(蝶、鳥、夢、色、形、空間など)。

日本では知名度の低いアーティストですが、一旦彼女の作品の魅力を知ってしまうと後戻りできなくなります。

それは実に作品が多層的で豊かな魅力を湛えているからに他なりません。



とても丁寧に作られた本で製本から印刷まで実に細やかな仕事がなされています。手元にずーと置いておきたいそんな本です。実際に見てもらえればその良さが分かります。



日本を代表するクリエイターたちの言葉から紡ぎ、美しい色と詩情をたたえた作品世界へと誘います。ムーミンやマリメッコのカラフルでかわいらしい世界とは一味違うフィンランドに触れる1冊です。

01「蝶」皆川明(デザイナー)
02「母と子」マーリア・ヴィルカラ(現代アーティスト、ルート・ブリュックの長女)
03「響きあうもの」酒井駒子(絵本作家)
04「模様」鹿児島睦 (陶芸家、アーティスト)
05「色」志村ふくみ、志村洋子(ともに染色家、随筆家)
06「時」葛西薫(アートディレクター)
07「空間」成相肇(東京ステーションギャラリー学芸員、美術評論家)
08「アイス・フロウ」
09「ルートとタピオ」前田景(アートディレクター、フォトグラファー) 、 今村玲子(アート&デザインライター、ブロデューサー)
「たとえるなら、詩を、建築的に、絵画にした人」皆川明

「その色は、たぐいまれなる品格を現している」志村ふくみ
はじめまして、ルート・ブリュック』出版記念展覧会「はじめまして、ルート・ブリュック」展が都内で開催されます。


出版記念展覧会
「はじめまして、ルート・ブリュック」展


2018年12月21日(金)−2019年1月19日(土)12:00−19:00
※日曜・月曜、年末年始(12.28-1.7)はお休み
Books and Modern + Blue Sheep Gallery(東京・乃木坂)
〒107-0052 東京都港区赤坂9−5−26 パレ乃木坂201
Tel: 03-6804-1046
http://booksandmodern.com



アートディレクター・写真家の前田景が、フィンランドで撮り下ろしたブリュックの作品やラップランドの風景写真を展示するほか、ブリュックのセラミック作品も4点特別展示されるそうです。

そして、来年(2019年)には待望の「ルート・ブリュック展 蝶の軌跡」が開催となります。


ルート・ブリュック展 蝶の軌跡

- 2019年4月27日〜6月16日 東京ステーションギャラリー
- 2019年9月7日〜10月20日 伊丹市立美術館・伊丹市立工芸センター
- 2020年4月25日〜7月5日 岐阜県現代陶芸美術館
そのほか、全国計5会場での開催を予定
https://rutbryk.jp/

展覧会が早く観たくてたまらなくなる一冊です。目黒区立美術館で一目惚れした作家さんの初の作品集が出て、しかも来年初の展覧会が開催されるとは、美術の神様っているものですね〜


はじめまして、ルート・ブリュック

知られざるフィンランドを代表するアーティスト、ルート・ブリュックを日本で初めて本格的に紹介する本。ブリュックは、1942年からアラビア製陶所の美術部門に所属。愛らしい陶板から公共建築の大型壁画まで、約50年にわたり多彩な作品を生み出しました。2019年4月、東京ステーションギャラリーで日本初の大規模展の巡回が始まるのに先駆けて刊行される本書は、ブリュックの代表作やフィンランドのラップランド地方を撮りおろした写真をふんだんに収めたビジュアルブックです。

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