青い日記帳 

  
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「国宝 雪松図と動物アート」
三井記念美術館で開催中の
「国宝 雪松図と動物アート」展に行って来ました。

キャッチーな動物たち勢ぞろい!国宝、超絶技巧、屏風、能面、切手なんでもありのすごい展覧会。


http://www.mitsui-museum.jp/

全てに動物をモチーフとした100点近い作品で構成された展覧会。その99%が館所蔵の作品というのですから驚きです。

それにしても、動物が描かれたり、形取られたりする作品が実際にそんな多くあるのでしょうか?観に行くまでは少し疑心暗鬼でした。

江戸時代以来300年に渡る三井家の歴史の中で蒐集された膨大な作品をもってすれば、そんなことは朝飯前のことだったようです。


円山応挙「梅花双鶴図小襖」江戸時代・18世紀
円山応挙下絵「朱塗鶴亀蒔絵三重盃」江戸時代・19世紀
共に北三井家旧蔵

三井家と円山応挙の深いつながりについては、あらためて説明する必要もありません。良い応挙作品沢山持っています。

北家は京都画壇とのつながりも深く、特に円山応挙の作家活動を援助していたことから、応挙をはじめとする円山四条派の作品も多く見受けられる。
三井にまつわる施設:三井記念美術館より。

しかも、今回が初めて公開される作品もあるとのことで、蔵の深い三井家に対し要らぬ憂慮をしたものです。


円山応挙「雲龍図」江戸時代・1784年
北三井家旧蔵

北三井家の江戸時代の蔵帳に、応挙から直接入手した作品との記載があるそうです。輪郭線を用いず墨の濃淡と地紙の余白を活かした応挙お得意の技法。

同じ展示室にある「国宝 雪松図屏風」と見比べてみると、共通点も多く「雪松図屏風」が何も際立って特殊な作品でないことがよく分かります。

その「雪松図屏風」ですが、何度も観ても毎回新たな発見があります。一見シンプルなのに深い味わいを湛えています。こういう「味」を出せる日本食のお店に行きたいものですね。

思い切って観る角度を極端に変えてみるのもよろしいかと思います。


円山応挙「国宝 雪松図屏風」6曲1双
江戸時代・18世紀 北三井家旧蔵

正面から見ると6扇(面)ありますが、横から3扇(面)しか見えない角度で観るとこんな別の表情になります。と同時にこれでも作品として成立するのが凄くありませんか。


円山応挙「国宝 雪松図屏風」6曲1双
江戸時代・18世紀 北三井家旧蔵

反対側に移動して同じような角度で3扇だけ見るとこんな感じとなります。

応挙は今でいうVR的な飛び出す絵画をで描くことの出来た先駆者です。これくらいのことはお茶の子さいさいだったはずです。と言うか、完全に遊んでいますよね。この絵で。

元々「国宝 雪松図屏風」がどんな作品であったか、リンク先で確かめてみて下さい。見方を少しだけ変えるだけでもこんなに違った表情となるのです。是非試してみてください。



展示構成は以下の通りです。

1:茶道具
2:絵画
3:茶道具と工芸品
4:切手
5:絵巻・仮面・能装束・漆絵額

この他、茶室「如庵」展示ケースには、「国宝 志野茶碗 銘 卯花墻(うのはながき)」が鎮座し場を寿いでいます。


国宝 志野茶碗 銘卯花墻
桃山時代・16〜17世紀 室町三井家旧蔵

国宝中の国宝2点とこんなにゆったりと対峙できるなんて幸せです。「国宝展」の賑やかで華やかな空間でも輝きを放っていましたが、やはりホームで静かに鑑賞するに尽きます。自宅に帰るとほっとするのと同じで。

さてさて、動物アートです。絵画だけでなく茶道具や工芸品にもさりげなく多くの動物が描かれています。

山口素絢「雪中松に鹿図屏風」のように画面の中心に動物を描いた作品から、一見しただけではどこに動物モチーフがあるのか分からないようなものまで、実に多種多様な作品が会場いっぱいに展開されています。

可愛らしいものもあれば、おやっ?と首を傾げたくなるものまで。これだけ多彩だと必ず幾つか自分のお気に入りの作品が見つかるはずです。


樂旦入「黒樂兎絵茶碗」江戸時代・19世紀
北三井家旧蔵


酒井抱一「秋草に兎図襖」江戸時代・19世紀
森狙仙「岩上群猿図屏風」江戸時代・18〜19世紀
共に北三井家旧蔵


高瀬好山「昆虫自在置物」明治〜昭和時代
北三井家旧蔵


新南蘋「花鳥動物図」清時代・1750年
北三井家旧蔵

如何です。そのほとんどが和み系のほっこりするような作品ですよね。中にはどこに動物モチーフがあるのか分からないなぞなぞのようなこんな作品もあります。


惺斎「竹置筒花入 銘 白象」大正時代
北三井家旧蔵

「白象」と銘のある花入。その名前の由来はこの花入れの重量感ある下部が、象の足を想起させることから付けられたものだそうです。

所謂、見立ての一種なのですが、面白いことに一度「象の足」と刷り込まれてしまうと、もう竹には見えなくなってしまいます。象の足以外の何物でもありません!近寄ってみると「肌感」もそっくりです。夜中に展示ケースの中闊歩していたりして…

さてさて、象が出てきまたので、やはりこの作品についても触れておきましょう。


長沢芦雪「白象黒牛図屏風」6曲1双
江戸時代・18世紀
個人蔵

特別出品で新出・初公開となります。エツコ&ジョー・プライスコレクションと島根県立美術館にこれと瓜二つの屏風絵があります。今回の初進出となるこちらの作品を含めると同じものが3点存在することになります。

当時人気がありリクエストに応えて芦雪が複数同じ作品を描いたのでしょうか。


長沢芦雪「白象黒牛図屏風」6曲1双
江戸時代・18世紀
個人蔵

巨大な白象と小さな鳥、黒い牛と白い仔犬といったこの絵の一番の魅力である大小の動物たちの競演もそのままです。

来年(2019年)に東京都美術館で開催される「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」にプライスさんの「白象黒牛図屏風」が出るので、まずはこちらの新たに出てきた3枚目の屏風絵をじっくりと観察しておきましょう。

年末年始の慌ただしさを一時忘れ、のんびりと美術鑑賞に浸るには最適な展覧会です。「国宝 雪松図と動物アート」は2019年1月31日までです。休館日の確認お忘れなく。


「国宝 雪松図と動物アート」

開催期間:2018年12月13日(木)〜2019年1月31日(木)
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(12月24日、1月14日、1月28日は開館)、12月26日〜1月3日、1月27日
会場:三井記念美術館
http://www.mitsui-museum.jp/
主催:三井記念美術館

眼鏡お忘れなく!


今橋先生の名著も。

兎とかたちの日本文化
今橋 理子 (著)

「かわいい」だけじゃ、ダメなんです。
日本美術から、和歌や俳諧、染織や工芸、グッズや和菓子、現代アートまで、親しき動物の表象から見えてくる日本文化の特質とは? これまでの美術史や民俗学の枠に収まらない、広汎な分野を渉猟した方法によって、文化の伝承あるいは創造という現代の問題にまで迫る。写真105点を収録。見ていて楽しくなる一冊。


Twitterやってます。
@taktwi

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この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5333

JUGEMテーマ:アート・デザイン



注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
毎年恒例となりましたこの時期の円山応挙筆「国宝 雪松図(ゆきまつず) 屏風」の公開にあわせ、今回は昨年の花鳥展に引き続き、動物に焦点をあわせた展覧会です。館蔵品の中から、動物が描かれた絵画や、動物をかたどった茶道具や工芸品をセレクトして展示いたします。

動物というと哺乳類をイメージしますが、ここでは動物を広くとらえて、想像上の動物である龍や獅子、鳳凰なども含め、哺乳類のほか、鳥類、魚貝類、昆虫なども含めます。鳥類は、正月にふさわしい鶴や鶏などに限定していますが、昨年の花鳥展で取り上げた鳥の特集の続編でもあり、花鳥展をご覧いただいた方々には、この展覧会で当館の動物アートの全貌がご理解いただけます。

日本と東洋の古美術のなかで、身近な動物たちが様々に描かれた絵画、また、機知に富んで愛らしく造形化された茶道具や、超絶技巧の各種工芸品に、伝統的な「動物アート」の一端を、楽しみながらご鑑賞いただきます。

なお、例年通り「国宝 志野茶碗 銘 卯花墻(うのはながき)」も、茶室「如庵」ケースにて展示いたします。

さらに、今回は外部からの特別出品として長沢芦雪筆「白象黒牛図屏風」(新出・初公開)を展示いたします。
| 展覧会 | 23:16 | comments(0) | trackbacks(0) |









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