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渡辺晋輔研究員が語る「ルーベンス展」の見どころ
上野、国立西洋美術館で好評開催中の「ルーベンス展」もいよいよ1月20日までとなりました。昨年(2018年)の展覧会ベストの中に入れた方も多かった必見の展覧会です。

もし、まだ行かれていないようでしたら、何が何でも1月20日までに西美に観に行きましょう。見逃すと後悔する展覧会です。


http://www.tbs.co.jp/rubens2018/

とはいえ、フェルメールやムンクと比べるとルーベンスの作品とどのように接したら良いのか、戸惑ってしまう方も多いと思います。

そこで「ルーベンス展」を担当された国立西洋美術館主任研究員の渡辺晋輔氏が『美術の杜 VOL.47―BM ルーベンス展ーバロックの誕生』に掲載された記事を元に紹介したいと思います。


ペーテル・パウル・ルーベンス《ローマの慈愛(キモンとペロ)》1612年頃
油彩/カンヴァス(板から移し替え)
サンクトペテルブルク、エルミタージュ美術館
Photograph © The State Hermitage Museum, 2018

「ルーベンス展」を開催中の国立西洋美術館のサイトでは「本展覧会はこのルーベンスを、イタリアとのかかわりに焦点を当てて紹介します。」とあります。

現在のベルギー出身のペーテル・パウル・ルーベンス(1577−1640)が、イタリア絵画とどのような関係があるのでしょう。それについては公式サイトに詳しく書かれているので、是非そちらを読んでください。


同じ空間に展示してある古代彫刻やイタリアの芸術家の作品を自然に比較していただければ、おのずからわれわれ監修者の意図は満たされることであろう。

因みにルーベンスがイタリア絵画から学んだものだけでなく、ルーベンスがイタリアの芸術家たちに与えたものについても展覧している点が大きな見どころとなっています。

実はイタリア美術がルーベンスの芸術形成において土台となっていることは美術史の常識なのだが、彼が次世代のイタリアの芸術家たちに与えた影響については、斯界でも意見が分かれている。しかし、程度はともかくとして、ルーベンスの影響が明らかな作品のあることは間違いのないことである。本展ではピエトロ・ダ・コルトーナ、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ、ルカ・ジョルダーノら、次世代にイタリアで活躍した芸術家の作品をルーベンス作品と同じ空間に並べ、ルーベンスがイタリアにおける盛期バロック美術の成立に果たした役割についても探ってみたいと思う。
渡辺晋輔(国立西洋美術館主任研究員)


ペーテル・パウル・ルーベンス《聖アンデレの殉教》1638-39年
油彩/カンヴァス
マドリード、カルロス・デ・アンベレス財団
Fundación Carlos de Amberes, Madrid

1章では説明的な展示をして、他の章ではイタリアの作品を近くに展示する程度にとどめています。ルーベンスが手掛けた膨大な数の作品を分類整理し、ルーベンスの芸術を様々な側面から見られるようにしています。

肖像画や宗教画、神話画(男性像・女性像・寓意と説話の三つに分ける)というジャンルごとの展示、残るひとつは彼の絵画を特徴づける速筆とそれがもたらす活力について特集する。


ペーテル・パウル・ルーベンス《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》1615-16年
油彩/板で裏打ちしたカンヴァス
ファドゥーツ/ウィーン、リヒテンシュタイン侯爵家コレクション
©LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

ルーベンスの名品を様々なコンテクストの中で鑑賞して、彼の芸術をいわば立体的に把握していただければと考えている。たとえば肖像画の章について言えば、ここにはルーベンスの自画像(工房による模写)とともに娘や兄の子供たち、それにルーベンスと親交のあった人文学者などを展示するが、ここからは家族想いだった姿や、教養や気品あふれる物腰で知られた彼の人物像を想像することができるのではないだろうか。

あらためて「ルーベンス展」の7つの章を見ると、大変上手いことテーマを定めそしてひとつの展覧会としてまとめあげていることが分かります。

ルーベンスの世界| Rubens’s Personal World
過去の伝統| The Traditions of the Past
英雄としての聖人たち―宗教画とバロック| Saints as Heroes: Sacred Painting and the Baroque
神話の力 1 ―ヘラクレスと男性ヌード| The Power of Myth 1: Hercules and the Male Nude
神話の力 2 ―ヴィーナスと女性ヌード| The Power of Myth 2: Venus and the Female Nude
絵筆の熱狂| A Furious Brush
寓意と寓意的説話| Allegory and Allegorical Narration



ペーテル・パウル・ルーベンス《エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち》1615-16年
油彩/カンヴァス
ファドゥーツ/ウィーン、リヒテンシュタイン侯爵家コレクション
©LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

ルーベンスの教養は古代の神話画を描くとき、とりわけ発揮された。物語の内容を原典に当たって確かめ、モティーフのひとつひとつについても相応しいものを描き込んでいる。実際彼は考古学者としての側面も持ち、知的な手紙を当時のインテリたちと交わしている。

ルーベンスが画家としてだけでなく、マルチな才能を発揮した美術史上でもたいへん稀有な存在です。逆にそれにより捉えにくくなってしまっている面も否めません。

そんな大画家ルーベンスの作品をこれまでで最も多く世界中から集めその実像に迫ろうとするのが今回の「ルーベンス展」なのです。

本展には彼の活動の割合初期から晩年に至るまで、厳選された作品が数多く展示され、この画家の芸術を理解するうえでこのうえない機会を提供することになるだろう。



最後にやはりこの一言に尽きるのではないでしょうか。

ぜひ展覧会に足を運び、作品を通じて彼の魅力に触れていただきたい。本展には大画面の作品が多数出品されるので、その前に立てば迫力に圧倒されるはずだ。


美術の杜 VOL.47―BM ルーベンス展ーバロックの誕生

美術展ナビのこちらの記事を読めばどれだけこの展覧会を開催するのが難しいことかよ〜く分かります。→巨匠の真価に迫る 〜ルーベンス展〜
日本でもルーベンス展は何回か開かれていますが、なかなか決定的な展覧会にはお目にかかれませんでした。私自身、かつてルーベンスをテーマにした企画に取り組んだことがあるのですが、挫折しました。

今回の展覧会を見て「一本とられた」と思いました。イタリアを切り口にした新鮮な企画です。作品を所有する美術館、個人も、自分が見てみたい、と思うような企画ならば作品を貸す気持ちが膨らみそうです。こういう方法があったか、と反省することしきりでした。
(読売新聞東京本社事業局専門委員 陶山伊知郎)


「ルーベンス展―バロックの誕生」

会期:2018年10月16日(火)〜2019年1月20日(日)
開館時間:9:30〜17:30
毎週金・土曜日:9:30〜20:00
(ただし11月17日は9:30〜17:30まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし12月24日、1月14日は開館)、2018年12月28日(金)〜2019年1月1日(火)、1月15日(火)
会場:国立西洋美術館
http://www.nmwa.go.jp/
主催:国立西洋美術館、TBS、朝日新聞社
後援:ベルギー大使館。イタリア大使館、ベルギー・フランダース政府観光局、BS−TBS、TBSラジオ
特別協賛:大和証券グループ
協賛:NISSHA株式会社、あいおいニッセイ同和損保、三井物産、東日本旅客鉄道株式会社、シュガーレディグループ
協力:アリタリア、日本貨物航空、日本航空、日本通運、ルフトハンザカーゴ AG、ルフトハンザ ドイツ航空、西洋美術振興財団
展覧会公式サイト:http://www.tbs.co.jp/rubens2018/


ヴィタメール マカダミア・ショコラ 〈 ルーベンス展限定パッケージ 〉


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