青い日記帳 

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「発見 日本美術」辻惟雄+山下裕二対談

去る2月5日に青山ブックセンター本店で行われた
『日本美術の歴史』発刊記念
「発見 日本美術」辻惟雄+山下裕二対談に行って来ました。



辻先生はこの対談に先立ち、この日は東京都美術館で「ニューヨーク・バーク・コレクション展」記念講演をなさいました。詳しくはこちら

辻先生の「追っかけ」の如く私もその講演会を聴き、その後こちらの会場へ。
店を間違えたりして大変でした・・・

夕方6時から始まったこの対談。
対談と銘打ってはありますが、
山下先生が用意したスライドを見ながら
二人であれこれ好きなこと言い放題。
居酒屋で焼酎飲みながら好き勝手言いあっている様子?!

打ち合わせもなしで、73歳の辻先生と48歳の山下先生との
息の合った?絶妙のトークは飽きさせることありませんでした。

辻先生が先日上梓されたこちらの本に使われている図版を元に
山下先生が「これ、どうして選らんだのですか?」とか
「私なら、これを選びますけどね〜」なんてペースで展開しました。
日本美術の歴史
日本美術の歴史

そうそう、このトークショーのポスターには
「日本美術史研究の第一人者・辻惟雄氏と山下裕二氏の師弟対談」
“私ならこれを選びます”
とありました。

話はほとんど山下先生がなさっていたのですが
辻先生のたまに入れる狙っているとしか思えないリアクションが面白く
時間が経つのがとても早く感じました(2時間!!)

例えば・・・
山下先生が一時大学院を辞めて「社会人」として伊勢丹で
働いたことなどを辻先生が暴露したり、、、など等。

それにお二人の考えの奇抜さや大胆さについては
著書を通してそれなりに理解していたはずですが
実際に直接目の前で話をされると「えっ?」と
耳を一瞬疑いたくなるようなこと沢山ありました。

例えば・・・
雪村と光琳との関係
尾形光琳はかなり雪村の影響を受けている。
現在、雪村の作品といわれているものでも
もしかして光琳が真似て描いたものもあるかもしれない。
光琳は「雪村」の印を作って持っていたらしい。。。

会田誠と琳派
会田誠は自分では口にだして言わないが
かなり俵屋宗達や尾形光琳の名作を意識して
描いている作品が多い。
(例)
韓国と日本の女子高生が国旗を持って対峙する「美しい旗」は
俵屋宗達の「風神雷神図屏風」とそっくり。


では、ここで応用問題です。
スライドで山下先生が示した会田誠の「群娘図'97」というこの作品は
琳派のある超有名な作品とそっくりとのことですが、さてそれは何でしょう?

(正解は一番下の「続きを読む >>」をクリック!)

パクリ
会田が宗達をパクって使っているのが
宗達だって室町以前の作品をパクっている。
パクリの連続である。

※山下先生が「日本美術の歴史」を書くなら
最後には会田誠を持ってくるそうです。
三十路―会田誠第二作品集
三十路―会田誠第二作品集
会田 誠

『伝』を付けるか付けないかなんてどうでもいい

(伝)俵屋宗達「蔦の細道図屏風
(今はなき萬野美術館所蔵)重要文化財

この作品なんて、伝・俵屋宗達になっているけど
あまりに斬新で抽象的でミニマルアートも顔負け
だから研究者は宗達?と疑ってしまうけど、
僕に言わせれば宗達そのもの。こんな構図を
描けるのは宗達以外に考えられません!

伊藤若冲ファンには嬉しいニュース
伊藤若冲の「動植彩絵」30幅が今年一般公開されるそうです。
所蔵しているのは宮内庁。三の丸尚蔵館で公開するそうです。(無料!)
一度には展示できないので5回に分けての展示とか。。。

また、元々所蔵していた相国寺でも公開するそうです。
伊藤若冲展を2007年春の開館記念に──相国寺の承天閣美術館、新館着工

更に「プライス・コレクション 若冲と江戸絵画展」が開催されます!
於・東京国立博物館、京都国立近代美術館、九州国立博物館、愛知県美術館

草間彌生と伊藤若冲の関連性についても二人で愉快に話していました。
辻先生お得意の「アミニズムだね〜」連発。
横尾忠則さんの名前もあがっていました。

『奇想の系譜』に続くこれから来そうな画家
・狩野一信(末の狩野派の絵師。東京・芝の増上寺に所蔵されている百幅の五百羅漢図がある)

・小村雪岱(lapisさんのblog「カイエ」で取り上げられています。流石先見の明あり!!)

・白隠(永青文庫美術館が多数書画を所蔵しているそうです。)

また、日本民藝館所蔵の「築嶋物語絵巻」のヘタウマ絵もスライドで紹介。
会場は爆笑の渦でした。

以上、ほとんど山下先生主導で話は進められましたが
辻先生も「工芸は大事だよ」とか「神社建築は面白い」など
鋭い視点で新たな境地を示されていました。

以上大雑把にですが、二人の師弟対談をまとめてみました。

以下は毎日新聞に掲載された辻先生の「日本美術の歴史」の書評です。

一人の著者による通史は、もしうまくゆけば読者にとって本当に有難いものだ。歴史を統合的に鮮明にとらえることができる。しかし著者にとっては極めてむずかしい。専門の分化が学問の宿命だからである。そこで、数人ないし十数人による共著形式が次善の策として選ばれ、読者は複数の視点、多様な史観、さまざまの文体の組合せによる澤沌たる歴史像とつきあうことになる。
『日本美術の歴史』はは近世絵画史を専攻する辻惟雄が書いた通史だが、例外的と言っていいくらいよく出来ている。時間的には縄文から富崎駿(!)まで一万二千年をたどり、分野としては絵画、彫刻にはじまり、工藝や建築を経て、写真、デザイン、マンガ、劇画、アニメに至るまで、吐息が出るほど幅広く扱いながら、しかもすっきりと手際がよい。辻は岩佐又兵衛、伊藤若沖、曾我講臼など、無視あるいは軽視されていた異端奇想の画家の系列を宣揚して名声を馳せた学者だが、その脳裡には多年、フェノロサ=岡倉天心以来の標準型日本美術史への疑惑や対抗意識がわだかまっていて、それがこの、かざり(生活に密着している装飾性)、あそび(遊戯性あるいは遊び心)、アニミズム(自然崇拝的呪術性)の三つを軸とする眺望の書を構想させたのであろう。
もちろん最初は縄文と弥生。荒々しい縄文は原日本人の土着の美意識。和やかな弥生は日本が東アジア文化圏に組込まれてからの混血の美意識となるのだが、岡本太郎が断絶と対立を強調するのに対して、著者はむしろ二種の文化の連続性に注目する。そう言われて見ると、縄文のヴィーナスが最近すこぶる人気が高いのも、原始日本文化の両面を兼ね備えているせいか。縄文的なものへの関心は全巻を赤い糸のように貫いていて、たとえば法隆寺「救世観音」(「人間の生首が抽象的な北魏様式の衣服の上にのっている」と梅原猛は評した)の顔面と似ているのは縄文中期の土偶の人面しかないと断言する。神護寺「薬師如来立像」(九世紀初め)の背後には山林修行者の霊木崇拝があって、これは還く縄文文化に端を発すると主張する。さらに織部好みの茶陶(十七世紀)における気まぐれな意匠の即興性に、佗び茶の精神性を「かぶぐ」心が変貌させたものを見て、縄文性を感じ取る。このような着眼と論じ方は、普通の美術史教科書とまるで違うことをよく示すだろう。
一体に辻の蕃作のおもしろさは、博識で平衡感覚に富む学究が、対象の美に心奪われて夢中になり、危険(?)なことを口走る所にある。この本にもその種の発言が多い。引いてみよう。
渡辺華山の、洋風の陰影法を取入れた肖像では、整っている完成画より、下絵のほうが鋭い人間観察を示す。
高橋由一の静物画がわれわれの心をとらえるのは、卑近な日常のモチーフをひたむきに追求した迫力による。仕上げの見事さのせいではない。
佐伯祐三のパリ風景における壁の文字は、文人画の絵と書との出会いを受けついだもの。
藤田嗣治、宮本三郎、小磯良平などの戦争画は、戦争賛任論を離れて造型だけを論ずるならば、彼らの代表作と言える。
記念碑的とも形容すべき大著を、こんなに短い紙数で論評しなければならないめぐりあわせを嘆く。おしまいにぜひ言い添えて置かなければならないのは、色刷りの図版がよくて、ささやかな名画選になっていること、索引をまめに使えば日本美術事典にもなる調法な本だということである。
正解は尾形光琳の「燕子花図屏風」でした〜
講演会 | permalink | comments(15) | trackbacks(2)

この記事に対するコメント

ほんとうにこちらを知ってよかったです。

小村雪岱の記事のことや相国寺の状況なども、こちらを知らなかったらそのままなのですから。

ありがとうございました。
遊行七恵 | 2006/02/12 1:08 AM
行けなかった者にとっては、大変嬉しい記事でした。
ありがとうございます。

パクリ・・・芸は真似事からですね。

伊藤若冲、これは観にいかなければなりません!
こちらも嬉しい情報!
tsukinoha | 2006/02/12 5:30 AM
Takさん

またまた、とても貴重で面白い対談を教えて頂いて
ありがとうございます〜♪

西洋の美術でもパクリっていうか様式を真似たり
影響しあったりというのは知っていましたが、
日本の美術でもこんなにはっきりとした形で
残っているなんてw(゜o゜)w
辻先生の「日本美術の歴史」は、日本美術のバイブルに
なりそうですね!特に、こちら辺り↓
 「対象の美に心奪われて夢中になり、危険(?)なことを口走る所にある。(書評)」

東京国立博物館の若冲の展覧会もすごく楽しみです!
若冲の白梅を見ているだけでも、宇宙と交信しているような感覚がするので、それを一堂に観れたらすごいでしょうね!!

Julia | 2006/02/12 8:41 AM
Takさん
若冲展ほんとに楽しみです!
いっとき、プライスコレクションの話題が途切れていたので
あれ、なしになっちゃったのかな・・・と
不安に思ってたんですが。
けい | 2006/02/12 10:00 AM
興味深い対談をご紹介いただき、ありがとうございます。これは、是非とも聞いてみたい対談でした。
小村雪岱が「『奇想の系譜』に続くこれから来そうな画家」の一人にあげられていたのは嬉しかったです。また拙ブログを記事中で紹介していただき、感謝しております。
『日本美術の歴史』は、未読なので、今度読んでみたいと思います。
lapis | 2006/02/12 4:30 PM
Takさ〜〜ん
ほんと☆研究熱心☆なTakさん☆尊敬です。

構図に関しては、どこかで?みたような・・・って(笑)
ほんと、ありますね。
でも、偶然?かもしれないし、作為?かもしれないし。。。
むずかしいところですね。

真似される。ってとても困ったことですが、
同時に、それほどまでに(盗まれるほどに。。。)<魅力的>である。ということでもあって。難しい★ですね。
美術史は、途切れ★途切れ?★にしか知らない(笑)勉強不足のrossaは、Takさんのところで、お勉強させていただいています☆
ありがとう〜☆
rossa | 2006/02/12 9:25 PM
Takさま、我が手元にも届きました。
「日本美術の歴史」!!すばらしい〜〜です★

横尾忠則全開の表紙のコラージュも嬉しかったし、
中身がものっすごく、ゴウジャスでした。
芸新のコメントから、山下先生のファンになってます。
この辻先生とのタッグは、垂涎もの。
さぞさぞ、楽しい対談であったことでしょう。
もう少し、自由時間があればと思いますが、今しばらく
お母さん業優先致します。

濃い、濃い情報にひたすら、感謝、厚く御礼(おんれい)申し上げまっす!!ウレピ〜〜〜★です!!
あべまつ | 2006/02/12 10:20 PM
@遊行七恵さん
こんばんは。

少しでもお役に立てたのなら嬉しいです。
小村雪岱結構お好きなかたいらっしゃるようで
会終了後、山下先生に直接お話されていた方も
見受けられました。

@tsukinohaさん
こんばんは。

まとめるのが遅くなってしまいすみませんでした。

私などが「パクリ」なんていうと怒られてしまいますが
辻&山下コンビなら問題なし!恐いものなし!!って
雰囲気でどんどんトーク進めていらっしゃいまいた。

若冲に明け暮れる一年になりそうです。

@Juliaさん
こんばんは。

「日本美術の歴史」は2800円という価格の割には
大変お買い得な一冊だと思います。
山下先生が、テレビショッピングの真似をして
「こんなに安くていいのですか〜」と
会場で叫んでいました。(大うけ)

本文にも書きましたが、これ図版の色がとても
良く出ています。それだけでも価値ありです。
「どうして若冲はこの絵を選んだのですか?」
「あれ??これだっけ載せたの?!」
ってな具合の二人の漫才のようなトークでした。

若冲についてはもっと過激なこと山下先生は
他の著書でおっしゃっていますが、流石に
この対談ではそこまで出てきませんでした。

@けいさん
こんばんは。

楽しみですね〜
静岡は行きましたが、
京都は行けませんでしたから
今年は何度でも行きます!
勢いのある作家さんを追いかけるのは
とても楽しいことです。話題にのって。
ご一緒できればいいですね!

@lapisさん
こんばんは。

以前、lapisさんの記事で拝見した作品が
スライドで使われていてびっくりしました。
流石です。先見の明あり!!
のちほどTBさせていただきます。

山下先生にも教えてあげたい!
こんなに早く取り上げていた方いらっしゃることを。

@rossaさん
こんばんは。

研究熱心というより、ミーハーなだけです。
流行にとりあえずのっかるタイプなもので。
でも面白いですね。

rossaさんからご覧になると
会田さんなんて・・・と思ってしまいますよね。
私もちょと苦手なんですが、、、

「真似」はどこまで許されるのか
難しいところですよね。
音楽。絵画。小説。ネタ。そしてインターネット。

途切れ途切れなんて・・・rossaさんの方が
何百倍もお詳しいのに!!
鋭く語ってください。(またお伺いした時にでも)

@あべまつさん
こんばんは。

横尾忠則さんに表紙を頼んだら
大変なことになっちゃったよーーって
仰ってました。帯の下に海坊主?いますよね。
こんな奇想天外な?美術史の表紙は今までないです。
流石、辻先生!!こうでなくちゃ。

山下先生の突拍子もない意見も「楽しむ」
余裕があれば日本画ももっともっと
面白く見ることできると思います。

MOTにもう一度行ってきたいと思います。
Tak管理人 | 2006/02/12 11:53 PM
パで、縄文へ所蔵したいなぁ。
BlogPetのうーちゃん | 2006/02/13 10:31 AM
 いやー、面白い対談ですね。どこかの雑誌に収録されないものか。Takさんもナイスアシストです。バークコレクションからこのエントリーまでを読むと「日本美術の歴史」の面白さ10倍増しって感じです。さっそく買ってこないと。

 蛇足ですが。。。富でなく宮では?ガンダムとジブリが混ざってますよ(笑)。
mizdesign | 2006/02/14 9:39 AM
@mizdesignさん
こんばんは。

会場が真っ暗でメモを取るのが
大変困難だったので、これしか
記事にまとめられていませんが
他にももっともっと色々あったんですよ!
Tak管理人 | 2006/02/14 10:35 PM
Takさん、はじめまして。
とはいえ、こちらのブログは日本美術関係の事などを検索しては時々伺っておりました。じつは前からこっそりいろいろ教えて頂いております。
早速こちらもトラックバックを貼らせていただきました。
単純な感想日記でおはずかしいのですが。

私は3年程前まで、ほとんど日本美術には興味が無かったのですが、山下裕二先生の本を読んで、目から鱗が落ちて、日本美術好きになりました。
小村雪岱はイラストレーションとして前から好きでした。しかし気がついたら画集も本も絶版ばかりで…。
サインしていただきながら、「山下先生、小村雪岱の本書いてください」と、私もついお願いしてしまいました。

狩野一信の五百羅漢は今日から東博で公開されますね。
増上寺のものとほぼ同じ図柄だけどかなり小ぶりということですが。
バークコレクションも未見なので、今週末あたりは上野へ行かなくちゃ。

大の | 2006/02/15 12:12 AM
@大のさん
こんばんは。

TBありがとうございました。
こっそりなんて仰らず
どーんとご覧になって下さい。
ただしネタ的にはチンケなものですが。。。

シンプルに記事をまとめようとして
ついついだらだら書いてしまいます。

山下先生の本は私も好きでよく読んでいます。
「日本美術応援団」とか面白いですよね。
赤瀬川さんとの絶妙のコンビが良いです。

>「山下先生、小村雪岱の本書いてください」
もしかして、サインもらうとき
私の何人か前に並ばれていた方かもしれませんね。
このセリフ耳にしましたよ!

狩野一信楽しみです。
バークコレクションももう一度行きたいです。
Tak管理人 | 2006/02/15 9:27 PM
こんばんは。
さっそく狩野一信を見てきました。
いやー実は、増上寺の「五百羅漢図」が出るものと
信じて疑ってなかったんですけど...
でも楽しかったです。皆様、ぜひお出かけください。
全図版を収録した図録もお値打ちだと思います。
jchz | 2006/02/18 8:31 PM
@jchzさん
こんばんは。

早速記事拝読しました。
行きます!!
「書の至宝展」もリターンマッチを
かけるつもりでしたので
その「ついで」に。
「ついで」ではもったいないですけどね。
Tak管理人 | 2006/02/19 12:50 AM
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青山ブックセンター本店へ、「日本美術の歴史/辻惟雄」刊行記念、辻惟雄×山下裕二 
日本美術の歴史 | 日々道草 | 2006/02/14 11:47 PM
 こちらのレビューを読んで、とても面白そうなので買ってきました。「日本美術の歴史...
日本美術の歴史 (購入編) | 柏をたのしむ@水上デザインオフィス | 2006/02/21 8:35 PM