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「ラファエル前派の軌跡展」

三菱一号館美術館で開催中の
「ラファエル前派の軌跡展」に行って来ました。


https://mimt.jp/ppr/

英国のダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハント、ジョン・エヴァレット・ミレイの学生3人が、ラファエル前派(Pre-Raphaelite Brotherhood)を結成したのが1848年のこと。

浦賀にペリー率いる「黒船」が来航した(1853年)約5年前の出来事です。



今の我々の目からはどこが、当時斬新でアカデミズムに反旗を翻したのか、さっぱり分かりません。そこがラファエル前派の面白い点でもあります。

前衛芸術というと、抽象的な作品と思いがちですが、彼らが目指したのは、中世や初期ルネサンスの芸術でした。(それがラファエル前派の名前の所以です)

ラファエル前派は、かの夏目漱石も英国留学中にその作品を目にしいたく感銘を受け『夢十夜』などの小説にイメージを用いているほどです。


アーサー・ヒューズ《リュートのひび》1861−62年、油彩/カンヴァス、52×92 cm、タリー・ハウス美術館
©Tullie House Museum and Art Gallery,Carlisle,UK

これまで、日本国内で幾度かラファエル前派の作品を中心とした展覧会が開催されてきました。今回の三菱一号館美術館の展覧会はこれまでとはどこが違うのでしょうか。

実際に展覧会に足を運ぶまでは、公式サイトを読んでもいま一つ違いが分かりませんでした。

ところが、第1章でいきなりそれが観取されます。

展覧会の構成は以下の通りです。

1:ターナーとラスキン
2:ラファエル前派
3:ラファエル前派周縁
4:バーン=ジョーンズ
5:ウィリアム・モリスと装飾芸術



ジョン・エヴァレット・ミレイ《ジョン・ラスキンの肖像》1853年、鉛筆、水彩、33.6×26 cm、
ラスキン財団(ランカスター大学ラスキン・ライブラリー)
©Ruskin Foundation (Ruskin Library, Lancaster University)

ここで展覧会タイトルをもう一度確認しましょう。「ラファエル前派展」ではなく、「ラファエル前派の軌跡展」です。つまり成り立ちから発展までを見せる展覧会なのです。

それゆえ、第1章でターナーとラスキンが取り上げられているのです。因みにジョン・ラスキンは画家としてよりも美術評論家、思想家として有名な人物です。そして彼がラファエル前派を認め擁護したのです。


ジョン・ラスキン《モンブランの雪――サン・ジェルヴェ・レ・バンで》1849年、鉛筆、水彩、ボディカラー、
25.1×38.4 cm、ラスキン財団(ランカスター大学ラスキン・ライブラリー)
©Ruskin Foundation (Ruskin Library, Lancaster University)

一方で絵筆も執り水彩画やデッサンも残しており、それらが1章でまとめて展示されています。「ラファエル前派展」だと思って来た方にとっては拍子抜けするでしょう。でもラスキンの作品をこれだけまとめて観られたのは初めてのことです。

まずそれだけでも、観に行って良かったと思えました。水墨画のような作品もあり、今までラスキンに抱いていた強面のイメージがだいぶ変わりました。

そして、第2章以降は、色彩のはっきりしている(時にドギツイ)ラファエル前派作品が怒涛の如く目の前に現れます。ロセッティって1,2枚観れば十分ですよね。


ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ《ウェヌス・ウェルティコルディア(魔性のヴィーナス)》1863-68年頃、
油彩/カンヴァス、83.8×71.2 cm、ラッセル=コーツ美術館

そうそう、この展示空間のみですが写真撮影が可能となっています。カメラやスマホはロッカーに入れず、持って行きましょう!


アーサー・ヒューズ《リュートのひび》1861−62年、油彩/カンヴァス、52×92 cm、タリー・ハウス美術館
©Tullie House Museum and Art Gallery,Carlisle,UK

ヒューズは4点出ています。ロセッティとは対照的に、もっともっと観たくなるのがヒューズです。

次回はアーサー・ヒューズ展など開催してくれると嬉しいな〜と。それと「ウォーターハウス展」ね!

次の章の「3:ラファエル前派周縁」も新たな発見があり存分に愉しめるかと思います。名前の知らない画家の良作に出逢えた時の嬉しさは格別なものがありますよね。


フレデリック・レイトン《母と子(サクランボ)》1864−65年頃、油彩/カンヴァス、48.2×82 cm、ブラックバーン美術館
©Blackburn Museum and Art Gallery

レイトン卿は文句なしに上手いです。上手すぎて手前の女性に見とれ背後に描かれている鶴の屏風を見落としてしまいかねません。

一旦スッキリしたと思いきや、次の章がバーン=ジョーンズですので、安心出来ません。気合入れ直して絵と対峙せねばなりません。

最終章を「ウィリアム・モリスと装飾芸術」で終わらせたのは大正解です。最後がバーン=ジョーンズやロセッティだと美術館出ですぐお口直しの珈琲飲まずにいられません。



あっ!そうそう、バーン=ジョーンズ作品の中に青木繁に影響を与えた、ちょっとした有名なものが出ています。説明がないのでお見逃しなきように。横長の作品です。

「ラファエル前派の軌跡展」は6月9日までです。これはとっても良い展覧会(構成も出ている作品も)です。お見逃しなきように。そして最後の方はいつも混雑するのでなるべくお早めに!


「ラファエル前派の軌跡展」

会期:2019年3月14日(木)〜6月9日(日)
開館時間:10:00〜18:00
※入館は閉館の30分前まで(祝日を除く金曜、第2水曜、6月3日〜7日は21:00まで)
4月6日(土)は、開館9周年のため、21:00まで開館します。
4月27日(土)〜5月6日(月・祝)は、10:00〜18:00まで開館します。
※最終入館は17:30まで
※5月3日(金・祝)の開館時間は18:00までです。
休館日:月曜日(但し、4月29日、5月6日、6月3日と、トークフリーデーの3月25日、5月27日は開館)
会場:三菱一号館美術館
https://mimt.jp/
主催:三菱一号館美術館
共催:産経新聞社
企画協力:インディペンデント、アルティス
後援:ブリティッシュ・カウンシル
協賛:大日本印刷
https://mimt.jp/ppr/


もっと知りたいラファエル前派
荒川裕子 (著)

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この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5422

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1848年、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティらが結成したラファエル前派兄弟団は、英国美術の全面的な刷新をめざして、世の中にすさまじい衝撃をもたらしました。この前衛芸術家たちの作品は、観る者の心に訴えかけ、広く共感を呼びました。人々は、社会の基盤が移りゆくなかで、彼らの芸術に大きな意義を見出したのです。

その精神的な指導者であるジョン・ラスキンは、あらゆる人にかかわる芸術の必要性を説く一方で、彼らとエドワード・バーン=ジョーンズやウィリアム・モリスら、そして偉大な風景画家J.M.Wターナーとを関連づけて考察しました。

本展では、英米の美術館に所蔵される油彩画や水彩画、素描、ステンドグラス、タペストリ、家具など約150点を通じて、彼らの功績をたどり、この時代のゆたかな成果を展覧します。
展覧会 | permalink | comments(3) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

管理者の承認待ちコメントです。
- | 2019/03/21 8:30 PM
管理者の承認待ちコメントです。
- | 2019/03/22 9:09 AM
お世話になります。遅ればせながら展覧会に行ってきました。青木繁に影響を与えたバーン=ジョーンズの作品とは、結局何なのでしょうか?
ミミちゃん | 2019/04/06 7:27 PM
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