青い日記帳 

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「東寺展」

東京国立博物館で開催中の
特別展「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」に行って来ました。


https://toji2019.jp/

鳴くよウグイス平安京。現在の京都へ都が遷されたのが794年のこと。平安時代に創建された寺域を当時のまま今に残しているのは、数多ある寺院の中でも東寺(教王護国寺)だけです。

元々は、平安京鎮護のための官寺として朱雀大路に構える羅城門の東に東寺、西に西寺が建てられました。

意外と知られていないことですが、平安京が作られた時と現在では京の都自体に位置的なズレがあります。(理由について書くと長くなるので割愛)


1200年前の「平安京」の完成予想図がこちら。確かに都の中心に羅城門(羅生門)があり、左右に東寺、西寺が置かれているのが分かります。

こちらは現在の京都の地図。

印が付いているところが羅城門があったとされる場所です。右方向に東寺があるのも確認できます。

平安京があった時代と現代とでは、これだけの位置のズレがあります。どうしても私達は京都駅が中心と思ってしまうので、どうしてあの位置(駅の南手)にあるのが東寺だとすぐには認識できません。

因みに西寺は現在は何も残っていません。同様に羅城門も。ただし羅城門に安置され都を守護していたと伝えられる「国宝 兜跋毘沙門天立像」は、東寺に残されています。そして今回の展覧会でも際立つ場所に展示されています。


国宝 兜跋毘沙門天立像
中国 唐時代・8世紀

さてさて、京都駅や新幹線の車窓から観える東寺(五重塔)から、お宝が大挙して東国までやって来て下さいました。

創建当初は官寺でしたがほどなくして弘法大師空海に嵯峨天皇より下賜され、真言密教の都における聖地となりました。密教は祈りに使われる法具や仏像そして曼荼羅など、まさに仏教美術の宝庫でもあります。

2011年に同じくトーハクで「空海と密教美術展」が開かれ、その展示作品の美しさや神々しさに驚かれた方も多いのではないでしょうか。

あの感動が再び平成館で体感できるのです。そして今回は東寺講堂に安置された立体曼荼羅を形作る21体の仏像のうち実に15体(国宝11体、重文4体)がお出ましになっています。


国宝 降三世明王立像」木造、彩色
平安時代・承和6年(839)

勿論、ガラスケース何てありませんし、360度どこの角度からも国宝、重文の仏像を舐めまわすように堪能できます。

今回の「東寺展」での立体曼荼羅展示では、仏像と仏像の間に余裕をもたせているので、ある程度混雑しても十分鑑賞に堪えられます。


国宝 降三世明王立像」木造、彩色
平安時代・承和6年(839)

五大明王のうちの一体「国宝 降三世明王立像」通常東寺講堂では表のお顔しか拝見出来ませんが、「東寺展」では裏のお顔もしっかりと拝めます。

もう一つ見逃してはいけないのが足元です。降三世明王はシヴァ神夫婦を踏みつけているのです!元々、明王はヒンドゥー教に対する優位を説くために、生み出されたのでこんな恐ろしい姿をしているのです。

恐ろしい形相の仏たちの中でひと際目を引く存在なのが「国宝 帝釈天騎象像」です。


国宝 帝釈天騎象像」 
平安時代・承和6年(839) ※写真撮影可能

メッチャイケメンです。一般的なイメージの帝釈天とは異なります。東寺の講堂で何度も拝見していますが一番端に安置されているので、ここまではっきり間近で接するとドキドキしちゃいます。


国宝 帝釈天騎象像」 
平安時代・承和6年(839) ※写真撮影可能

インド生まれの神だけあって象にまたがっています。多分、世界一格好よく象に乗っているのではないでしょうか。


国宝 帝釈天騎象像」 
平安時代・承和6年(839) ※写真撮影可能

そして、その象もかなりリアルに彫られているのが分かります。手足の皺がたまりませんね!それと細い目!!江戸絵画に描かれている象そのものです。

こうした仏像から絵師たちは多くのイメージを得て、絵画化したことは、俵屋宗達の国宝「風神雷神図屛風」と三十三間堂の「風神雷神図像」の関連性などの事例からも間違いのないことです。

特別展「国宝 東寺」展覧会の構成は以下の通りです。

第1章 空海と後七日御修法(ごしちにちみしほ)
第2章 密教美術の至宝
第3章 東寺の信仰と歴史
第4章 曼荼羅の世界



重文 両界曼荼羅図(甲本)」
平安時代・建久2年(1191)
※胎蔵界:3/26〜4/7、金剛界:4/9〜4/21

インパクトのある仏像を最初に紹介してしまいましたが、それは最後の最後の展示室にあり、それまでの1章から3章までをしっかり見れば見るほど、立体曼荼羅もより有難いものとなります。

仏像展示は確かに展覧会のハイライトではありますが、それ以外の寺宝にしっかりと時間をかけて観るのが得策です。お寺に行っても絶対に観られないものばかりです。


国宝 山水屛風」6曲1隻
平安時代・11世紀 京都国立博物館

何と!11世紀に描かれた現存する最古の山水屏風です。どうして東寺にこのような屏風が残されていたのでしょう。

それは、元々は宮廷貴族が邸宅で使っていた屏風を、東寺で行われる灌頂儀礼の際に持ち込んだからとされているそうです。


後七日御修法の堂内の様子が再現されています。

後七日御修法(ごしちにちみしほ)については、こちらで詳しく。
京都観光Navi:後七日御修法

後七日御修法では、隔年で「金剛界」、「胎蔵界」の法を勤修するそうです。今年(2019年)は「胎蔵界」で行なわれました。会場にはそれぞれが再現展示されています。


国宝 金銅密教法具 金剛盤
国宝 金銅密教法具 五鈷鈴
国宝 金銅密教法具 五鈷杵
中国 唐時代・9世紀

空海が密教の全てを習得した際にその師から授かった法具。仏像に注目がどうしても行きがちですが、展覧会の主役はあくまでも空海です。

「国宝 風信帖」や「国宝 御請来目録」、「重文 弘法大師御遺告」等々見逃せないものが第1章にまとめてどんと展示されています。

実に盛りだくさんの展覧会で一度ではとてもとても消化しきれませんし身体がついていきません。東寺が1200年もの長きに渡り守り抜いてきた密教美術の最高峰に出逢える展覧会です。

特別展「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」は6月2日までです。是非!


特別展「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」

会期:2019年3月26日(火) 〜6月2日(日)
開館時間:9:30〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
(ただし、会期中の金曜・土曜は21:00まで)
休館日:月曜日、5月7日(火)(ただし4月1日(月)[東寺展会場のみ開館]、4月29日(月・祝)、5月6日(月・休)は開館)
会場:東京国立博物館 平成館(上野公園)
https://www.tnm.jp/
主催:東京国立博物館、真言宗総本山教王護国寺(東寺)、読売新聞社、NHK、NHKプロモーション
特別協賛:大和証券グループ
協賛:NISSHA
https://toji2019.jp/


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東寺(教王護国寺)は、平安京遷都に伴って、王城鎮護の官寺として西寺とともに建立されました。唐で新しい仏教である密教を学んで帰国した弘法大師空海は、823年に嵯峨天皇より東寺を賜り、真言密教の根本道場としました。2023年には、真言宗が立教開宗されて1200年の節目を迎えます。
空海のもたらした密教の造形物は、美術品としても極めて高い質を誇り、その多彩さや豊かさはわが国の仏教美術の中で群を抜いています。
本展は、空海にまつわる数々の名宝をはじめ、東寺に伝わる文化財の全貌を紹介するものです。空海が作り上げた曼荼羅の世界を体感できる講堂安置の21体の仏像からなる立体曼荼羅のうち、史上最多となる国宝11体、重文4体、合計15体が出品されるほか、彫刻、絵画、書跡、工芸など密教美術の最高峰が一堂に会します。東寺が1200年にわたり、空海の教えとともに守り伝えてきた至宝をご堪能ください。
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この記事に対するコメント

 嶌2鵑賄貉講堂い安置された〜」→「〜講堂に安置された〜」
◆嶌2鵑痢崚貉展」での立体曼荼羅展示はでは〜」→「〜立体曼荼羅展示では〜」
「明王はヒンドゥー教に対する優位を説くために、生み出されたの為〜」→「〜生み出された為」か「〜生み出されたので、」かと…。

毎回参考になるお話ばかりなので、リズム良く拝読していると、どうしても誤字脱字の場所で躓くので気になってしまいます。細かくて申し訳ありません…。m(_ _)m
お世話になります。 | 2019/03/26 7:00 AM
ありがとうございます。
訂正しました。
Tak | 2019/03/26 4:18 PM
立体曼陀羅は余裕の有る展示空間で素晴らしかったです。でもシャッター音に包まれる帝釈天は一寸落ち着かないかも…。
pinewoodP | 2019/05/31 7:37 PM
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