青い日記帳 

TB&リンク大歓迎です!
<< July 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 「平安から現代まで」 | main | 重機が書いた「令和」も登場!企画展「工事中!」 >>

「円覚寺の至宝」

三井記念美術館で開催中の
遠諱記念特別展 鎌倉禅林の美「円覚寺の至宝」展に行って来ました。


http://www.engakuji.or.jp/

本当の鎌倉を満喫したいならJR鎌倉駅ではなくひとつ手前の北鎌倉駅で下車しましょう。

鎌倉小町商店会の食べ歩きを迷惑行為と認定するかどうかといった下世話な話題とは無縁の、信仰の場としての鎌倉の姿が北鎌倉駅周辺にはまだ残されています。



北鎌倉駅のすぐ裏手(裏山)に円覚寺の総門があります。これだけの大きな歴史あるお寺が駅近にあることにまず驚くはずです。

円覚寺から同じく禅寺の建長寺を拝観し鶴岡八幡宮方面へ抜けるコースは、新緑の季節にピッタリですので是非。

さてさて、円覚寺の寺宝が北鎌倉から日本橋にまとめてやって来ています。


重文「青磁袴腰香炉
南宋時代 円覚寺

三井記念美術館館長の清水眞澄氏は日本の仏像研究者の第一人者でもあります。毎年質の高い仏教美術の展覧会が三井記念美術館で開催されるのも納得です。

今回の展覧会図録にも清水館長の「円覚寺の開創をめぐって」と題した長文を寄せています。運良く展覧会を拝見する前に拝読することが出来たので、さらりと流してしまいそうな展示品も意味を押さえながらじっくり拝見出来ました。


「円覚寺の至宝」展示風景

展覧会の構成は以下の通りです。

無学祖元の「開山箪笥」
円覚寺の名品
大用国師・釈宗演老師大遠諱関係 特別展示
円覚寺の華厳禅と舎利信仰
鎌倉宋朝禅の蘭渓道隆と無学祖元
大陸文化との交流 …刻・絵画
大陸文化との交流 ⊇饑廖青磁器・漆器
草創期絵図 パネル展示
円覚寺派の展開


お寺の展覧会というと、近年特に目玉の仏像を前面に押し出してくるものが多い中、円覚寺の至宝展は仏像、絵画、書籍、磁器など非常にバランスよく構成されているという印象を強く受けました。

重要文化財の「滝見観音菩薩遊戯坐像」「伽藍神像」などの仏像は、宋風と呼ばれる南宋時代の優品だそうです。こうした仏像が鎌倉仏に与えた影響などが分かるようになれるまで極めたいものです。


「円覚寺の至宝」展示風景

今回の展覧会でこれは!という作品も出ています。それは「開山箪笥」(重文)です。

「開山箪笥」(かいさんたんす)
鎌倉の瑞鹿山円覚寺の什宝として開山箪笥に納められ大事に伝えられて来たものである。この中には開山無学祖元(一二八六年没)の所用具をはじめ、その後開山信仰として寄進されたもの、例えば永和三年に中山法頴、また応永二十九年に関東管領足利持氏の銀襴九条袈裟を寄進したものなどがある。これらは開山信仰を物語る資料であるばかりでなく、中世の文化史・工芸史上にあっても重要な遺品である。
文化遺産データベースより。


「開山箪笥」展示風景

普段は絶対に目にすることが困難な「開山箪笥」に収められた無学祖元ゆかりの品々が、三井記念美術館の最初の展示室で待ち構えているとは!眼福です。

ただし一点一点小さく細かなものが多いので単眼鏡があると便利かと。また自分の姿が展示ケースに映り込むので無地の黒い服を推奨します。今回は特に映り込みが気になりました。


重文「酔翁亭堆黒盆」南宋時代
円覚寺

なかでも漆工類は実に見事でした。あまりこうしたものに興味がなくても今回展示されている「椿梅竹堆朱盆」などは一目見ただけで惹かれること間違いなしです。

円覚寺に南宗時代のこうしたお宝が伝来したことが祖となり、鎌倉彫などが生まれたのです。無学祖元の遺品を収めた「開山箪笥」鎌倉好きなら観ておかねばなりません。



絵画や書も充実していて、全体としてとても満足度の高い展覧会となっています。「円覚寺派の展開」では、雪村周継の作品が何点か出ています。

また絵画では、如水宗淵の作品を見どころとしておススメします。如水宗淵「山水図」室町時代 個人蔵には明らかに雪舟の影響が見て取れます。というか、雪舟作と言われても分からないかもしれません。

因みに東京国立博物館所蔵の雪舟「破墨山水図」(国宝)は、如水宗淵が、雪舟から直接与えられたものです。


一番大きな展示室4の突き当りのケースに収められている2体の坐像

建長寺を開山した蘭渓道隆と円覚寺を創した無学祖元の像がこうして並んで展示されることは、今年の美術界最大の事件でもあります。もう業界騒然です。

お坊さんの姿が展示会場、特に展示室4に多いな〜と思ったらこの奇蹟の展示のせいです。

そうそう、円覚寺には早くから舎利(釈迦の遺骨)信仰があります。(現在の舎利殿は代表的な禅宗建築として国宝指定)。特別展では安置されている「観音菩薩立像」と「地蔵菩薩立像」が寺外初公開となっています。


重文「染付合子」(開山箪笥収納品)
明時代 円覚寺

北鎌倉に行っても観られない寺宝をまとめて日本橋で拝める絶好の機会です。鎌倉禅林の美「円覚寺の至宝」展は6月23日までです。良い展覧会でした〜


遠諱記念特別展 
鎌倉禅林の美「円覚寺の至宝」


会期:2019年4月20日(土)〜6月23日(日)
開館時間:10:00〜17:00
※入館は16:30まで
休館日:月曜日
会場:三井記念美術館
http://www.mitsui-museum.jp/
主催:三井記念美術館、臨済宗大本山円覚寺、読売新聞社
特別協力:鎌倉市教育委員会〔鎌倉国宝館〕

円覚寺は、弘安5年(1282)鎌倉幕府第8代執権北条時宗により、中国から招聘した無学祖元を開山として現在の鎌倉市山ノ内に創建されました。そして、鎌倉宋朝禅興隆の基盤を築くとともに、中国との国際的な交流を通して鎌倉独自の宗教、文化、芸術を創造する中心的存在となりました。円覚寺とその一門寺院に伝わる、彫刻、絵画、書跡、工芸品などの優れた作品を多数展示いたします。


仏像の顔――形と表情をよむ (岩波新書)
清水 眞澄 (著)

Twitterやってます。
@taktwi

Facebookもチェック!

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5457

JUGEMテーマ:アート・デザイン



本展覧会は、大用(だいゆう)国師200年・釈宗演(しゃくそうえん)老師100年大遠諱(おんき)を記念して開催する、鎌倉円覚寺の歴史と文化の総合的な特別展である。瑞鹿山円覚寺は、弘安5年(1282)鎌倉幕府第8代執権北条時宗により、中国から招聘した無学祖元(むがくそげん)を開山として創建された。そして鎌倉に「禅」の興隆基盤を築くとともに、中国との国際的な交流を通して鎌倉独自の宗教、文化、芸術を創造する中心的存在となった。
円覚寺とその一門寺院には、今日まで多くの優れた彫刻、絵画、書跡、工芸品などの作品が遺されている。今回は初出品の作品を多数加えた新たな切り口で、円覚寺と円覚寺派寺院の至宝、総点数110点(国宝、重要文化財が約半数、県市指定文化財を含めると約7割を占める)が一堂に会する質の高い特別展である。
展覧会 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

コメントする









この記事のトラックバックURL
http://bluediary2.jugem.jp/trackback/5457
この記事に対するトラックバック