青い日記帳 

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「クリムト展」

東京都美術館で開催中の
「クリムト展 ウィーンと日本 1900」に行って来ました。


https://klimt2019.jp

一目観たら決して忘れない強烈なインパクトを放つ絵画を数多く描いた世紀末ウィーンを代表する画家グスタフ・クリムト(1862-1918)。

抜群の知名度を誇るクリムトですが、日本での展覧会は決して多くありません。これまで3回しか開催されていません。

1981年「ウィーンの夢 クリムト展」(伊勢丹美術館他)、2003年「クリムト 1900年ウィーンの美神展」(兵庫県立美術館他)、2012年「生誕150年記念 クリムト 黄金の騎士をめぐる物語」(愛知県美術館他)。


グスタフ・クリムト《ベートーヴェン・フリーズ》(部分)
1984年(原寸大複製/オリジナルは1901-1902年)
ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館

しかも、1981年「ウィーンの夢 クリムト展」以外は東京を避けるように都内への巡回はありませんでした。つまり今回のクリムト展は約40年ぶりに東京で開催される「クリムト展」なのです。

これだけ人気のある画家であれば5年に一度は展覧会やっても良さそうですが、そうは事は運ばないようです。そもそもクリムト作品を借りることが困難を極めます。

ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館所蔵であった「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I」(黄金のアデーレ)が、個人蔵へと至る一連の顛末を描いたこちらの映画を観ればその理由もお分かりになるはずです。


黄金のアデーレ 名画の帰還

はじめ、「クリムト展」が東京都美術館で開催されると耳にした時、10点展示されればいいな〜と願ったのもそんな理由からです。

それがふたを開けてみるとなんとクリムト作品25点以上!しかも油彩画で!!これまでこれだけの規模の「クリムト展」は日本国内では開催されていませんし、これからもしばらく望めません。


グスタフ・クリムト《ヘレーネ・クリムトの肖像
1898年 油彩、厚紙 59.7×49.9cm
個人蔵(ベルン美術館寄託) Kunstmuseum Bern, loan from private collection

オーストリア国内からだけでなく、ドイツ、イタリア、イスラエル、そして台湾の中環美術館からも作品を借りての正真正銘の「クリムト展」なのです。勿論日本国内からも。

何を観るか、どう観るかよりも、まずは「クリムト展」開催に漕ぎ付けてくれたことに感謝し会場を一周。するとこれまた構成が神がかり的に素晴らしいのでした。やはり展覧会の良し悪しは主催者の熱い想いで左右されるものですね。

展覧会の構成は以下の通りです。

1. クリムトとその家族
2. 修業時代と劇場装飾
3. 私生活
4. ウィーンと日本 1900
5. ウィーン分離派
6. 風景画
7. 肖像画
8. 生命の円環



グスタフ・クリムト《女の三世代
1905年 油彩、カンヴァス 171×171cm
ローマ国立近代美術館 Galleria Nazionale d’Arte Moderna e Contemporanea, Roma

子供、成人、老婆とまさに「女の三世代」を一枚の正方形の構図に収めた作品。背景が黒っぽいのはクリムトが銀箔を用いたことによるものです。(銀は金と違い経年劣化してしまいます)

老婆の表現は一見すると恐ろしさを感じるかもしれませんが、しばらく見ているうちにそれが美しさに変わってきます。銀箔とは逆現象が目の前で起こります。

そしてこの作品が展示されているのが最後のセクション「8. 生命の円環」です。ここイチオシです。初めに時間をかけ体力使ってしまわぬように。何なら最初に「8. 生命の円環」からご覧になるのが良いかも。


グスタフ・クリムト《家族》 
1909-1910年 油彩、カンヴァス 90×90cm
ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館 © Belvedere, Vienna, Photo: Johannes Stoll

「クリムト展」展示室最後の作品がこれなのも効いています。黄金期やデザイン的で女好きなクリムトだけでなく、常に死と向かい合っていたことを示す重要な作品です。

実はそのことは「1. クリムトとその家族」の解説に既に記されているのです。この首尾一貫性の取れた展示構成は本当に見事としか言いようがありません。



その他に2点ほど見逃せないポイントをご紹介して終わりにしますね。1点目は日本美術(主に浮世絵や琳派)との関連性です。

太田記念美術館で開催され好評を博した「小原古邨展」を観に行った際に、クリムトとの関連についてあれこれ立ち話をしました。クリムトが古邨作品を持っていたのです。それと同じ作品(金魚)が展示されています。

それともう1点はクリムトが描いた風景画の数々です。


グスタフ・クリムト《アッター湖畔のカンマー城III
1909/1910年 油彩、カンヴァス 110×110cm
ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館 © Belvedere, Vienna, Photo: Johannes Stoll

クリムトの風景画は独特の味があります。黄金期の女性像は実は好きでなく、風景画に惹かれると語っていた知人がいましたがその理由も分かる気がします。

現実の風景を描いているのですが、とても幻想的な雰囲気を醸し出しているのがクリムト風景画の妙味です。


グスタフ・クリムト《雨後(鶏のいるザンクトアガータの庭)》1898年 
ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館
グスタフ・クリムト《家畜小屋の雌牛》1899年
レントス美術館、リンツ

鶏のいる庭や牛小屋を描いたこれらの作品、本当のクリムトを知るにはとても大事なのではと思えて仕方ありませんでした。何気ない日常の中に肝心要なことが潜んでいるものです。

そうそう、ゴッホにめっちゃ影響を受けた「丘の見える庭の風景」1916年頃 ツーク美術館(カム・コレクション財団から寄託)も見逃せない風景画の一枚です。

正真正銘の「クリムト展」は7月10日までです。どれだけ混雑するのか見当も付きません。なるべく早く観に行きましょう!


「クリムト展 ウィーンと日本 1900」

会期:2019年4月23日(火)〜7月10日(水)
休館日:5月7日(火)、20日(月)、27日(月)、6月3日(月)、17日(月)、7月1日(月)
開館時間:9:30〜17:30(入室は閉館の30分前まで)
夜間開館:金曜日は9:30〜20:00(入室は閉室の30分前まで)
会場:東京都美術館企画展示室
https://www.tobikan.jp/
主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、朝日新聞社、TBS、ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館
後援:オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム
協賛:ショップチャンネル、セコム、損保ジャパン日本興亜、大日本印刷、竹中工務店、トヨタ自動車、三菱商事、パナソニック、みずほ銀行
協力:全日本空輸
特設WEBサイトhttps://klimt2019.jp


クリムトへの招待

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@taktwi

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JUGEMテーマ:アート・デザイン



19世紀末ウィーンを代表する画家グスタフ・クリムト(1862-1918)。華やかな装飾性と世紀末的な官能性をあわせもつその作品は、いまなお圧倒的な人気を誇ります。没後100年を記念する本展覧会では、初期の自然主義的な作品から、分離派結成後の黄金様式の時代の代表作、甘美な女性像や数多く手掛けた風景画まで、日本では過去最多となる25点以上の油彩画を紹介します。ウィーンの分離派会館を飾る壁画の精巧な複製による再現展示のほか、同時代のウィーンで活動した画家たちの作品や、クリムトが影響を受けた日本の美術品などもあわせ、ウィーン世紀末美術の精華をご覧ください。
展覧会 | permalink | comments(2) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

展覧会のご紹介ありがとうございました。
本日やっと訪れることができました。

結構な混雑でしたが、前もって構成や観覧の順などアドバイスを拝見していたお陰で大変助かりましずた。とにかく感動でいっぱいです。

稲垣吾郎さんのイヤホンガイドから流れる選曲と絵画のハーモニーも楽しめ、ついCDを購入してしまいました。クリムトに限らず、絵画と音楽の関係性はとても興味のあるテーマです。

なかなかコメントできませんが、いつもブログ楽しみにしています。これからもよろしくお願いします。
mayumicanjuice | 2019/06/20 3:27 PM
クリムト家族の展示を含め珠玉の展覧会。今年、目黒区美術館で世紀末ウイーンのデザイン展を見てたので華麗で繊細な装飾に牽かれました!
pinewoodP | 2019/07/03 6:59 PM
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