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「ウィーン・モダン展」

国立新美術館で開催中の
日本・オーストリア外交樹立150周年記念「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」展に行って来ました。


https://artexhibition.jp/wienmodern2019/

ヨーロッパのどこか好きな街に一週間滞在させてもらえるとしたらどこを選びますか?パリ、フィレンツェ、アムステルダム、ロンドン、ヘルシンキ…自分なら迷わずオーストリアの首都ウィーンを選びます。

実際に、クリムト生誕150周年メモリアルイヤーの2012年に一週間この街に滞在し、美術館、歴史的建造物、音楽、ワインにウィーン美術史美術館ディナービュッフェとやりたいことはひとしきり滞在中に味わいました。

【旅行記】ウィーン2012


ウィーン・ミュージアム、クリムト作品展示風景(現地は写真撮影OK)

ウィーン・ミュージアムは、歴史も古く1887年に「ウィーン市立歴史博物館」としてウィーン市の文化の中心地カールスプラッツに設立され、2003年に通称「ウィーン・ミュージアム」と改められました。

日本で喩えるなら東京国立博物館のような存在です。一体どれだけの作品を所蔵しているのか誰も正確には把握していないのではないでしょうか。


ウィーン・ミュージアム
https://www.wienmuseum.at/

このウィーン。ミュージアムからクリムトやシーレといった世紀末美術から建築、デザイン、歴史、音楽といったウィーンを形作って来た「街のピース」たちが大挙押し寄せている展覧会が「ウィーン・モダン展」です・

とにかく展示作品数が半端なく多いので通常の展覧会の2倍は時間に余裕を持って出かけないと観きれません。正直一回では無理なのではと思わせる圧倒的な物量です。しかも質も高いのです。


マルティン・ファン・メイテンス《マリア・テレジア(額の装飾画:幼いヨーゼフ2世)》1744年 油彩/カンヴァス 216.2 x 162.5 cm ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz

ウィーンと聞くと、クリムトやシーレ、ココシュカといった世紀末美術や、ウィーン分離派などがしばしば展覧会でも紹介されているので頭に浮かぶはずです。

2009年に高島屋で開催された「ウィーン・ミュージアム所蔵 クリムト、シーレ ウィーン世紀末展」とは、同じようでまるで違う展覧会です。

クリムトたちが登場するのは展覧会の後半第4章になってからです。

展覧会の構成は以下の通りです。

第1章:啓蒙主義時代のウィーン
第2章:ビーダーマイアー時代のウィーン
第3章:リング通りとウィーン
第4章:1900年―世紀末のウィーン


それまでの第1章から第3章は現在のウィーンが形成されていく過程を踏まえつつ、絵画、建築などを丁寧に紹介して行きます。


フランツ・ルス(父)《皇后エリーザベト》1855年 油彩/カンヴァス 81.5 x 58 cm ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz

これからウィーンに行ってみたいと思っている方には「第3章:リング通りとウィーン」はとても良い予習になるはずです。

街をぐるりと路面電車が周回しているウィーンですが、その路線は元々は城壁があった場所なのです。CG映像が流されています。こちらも必見です。


モーリツ・ネーア《郵便貯金局メインホール》1906年 写真 65.5 x 85 cm ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum


オットー・ヴァーグナー《カール・ルエーガー市長の椅子》1904年 ローズウッド、真珠母貝の象嵌、アルミニウム、革 高さ:99 cm、幅:63 cm ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz

オットー・ヴァーグナーの建築@ウィーン

ウィーン市内に今でも点在する建築家オットー・ヴァーグナー(オットー・ワーグナー、Otto Wagner: 1841-1918)は展覧会の中では多くの作品に埋もれてしまっていますが、ウィーンを語る上で欠かすことのできない人物です。

多分、会場内で自分のアンテナに幾つも引っ掛かる作品がそこかしこにあるはずです。今まで展覧会飽きもせずに観てきましたが、これだけの数を暴力的なまでに展示している展覧会は記憶にありません。


グスタフ・クリムト《》(『アレゴリー:新連作』のための原画 No.46)1895年 油彩/カンヴァス 62.5 x 46.5 cm ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz

お金の話は基本しないように心がけていますが、これで1600円はあり得ません。「ウィーン・モダン展」あまりにもコスパの良すぎる展覧会です。

しかもメインビジュアルのクリムト作品、写真撮影OKです。足元に描かれた印章のようなクリムトのサインも要チェックです。


グスタフ・クリムト《エミーリエ・フレーゲの肖像》1902年
※この作品は撮影可能です。

2009年の「クリムト、シーレ ウィーン世紀末展」でもそうでしたが、ココシュカやシーレの作品を素描も含めて大量に浴びるように観られるのも満足度の高い理由です。

シーレのどこか破滅的な作品だけでなく、こんなヒマワリを描いた染み入るような作品もあります。毎回何度観てもこのヒマワリに感動します。良いものは良いです。


エゴン・シーレ《ひまわり》1909-10年 油彩/カンヴァス 149.5 x 30 cm ウィーン・ミュージアム蔵 
©Wien Museum / Foto Peter Kainz

東京都美術館で7月10日まで開催している「クリムト展」とセットでと言いたいところですが、体力的に自身のある方だけにしましょう。目黒でもウィーン関連の展覧会やっています。

都内でウィーン満喫♪おしゃれカフェと素敵なアートと過ごす午後

始まってすぐに観にいったのに、全くまとめられず…その理由も「ウィーン・モダン展」行けば分かります。もう一度言いますが暴力的な物量が新美の1階で待ちかまえています。体調万全で!



最後に『オーストリア』(新潮社)という本にオーストリア絵画の面白い特徴が端的に記されていましたので参考までに引用しておきますね。

オーストリア芸術は奇妙な特徴を持つと言われている。
以下の二つの言葉に、中世以降のオーストリア芸術は集約される。

その1『早すぎる予告者』(現れるのが早過ぎた)
その2『遅すぎる前衛』(現れるのが遅過ぎた)

『早すぎる予告者』
・ ハイリゲンクロイツ、ツヴェットルなどのゴシックを先取りした修道院は、ゴシック様式がヨーロッパを風靡するより早く建てられた。
・ドナウ派の画家たちは「風景画」というジャンルを作り出した。
・ヴァルトミラーは画面に光をふんだんに取り入れ、後の印象派の試みを実現した。
・シーレなどの人体の描き方は表現主義の予告と言える。

『遅すぎる前衛』
・アントン・ピルグラムは並外れて遅い時期にゴシックの建物を建てた。
・ウィーンのバロック美術はイタリアより何と2世紀も遅い。
・クリムトの風景画は皆が印象派を通り過ぎた後、突然光の画家となり描かれたもの。



マクシミリアン・クルツヴァイル《黄色いドレスの女性(画家の妻)》1899年 油彩/合板 171.5 x 171.5 cm 
ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz

「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」は、8月5日までです。是非是非!ウィーン世紀末絵画が決して突然変異ではないことこの展覧会を通して見るとよく分かります。


日本・オーストリア外交樹立150周年記念
「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」


会期:2019年4月24日(水)〜8月5日(月)
休館日:毎週火曜日
※ただし4/30(火)は開館
開館時間:10:00〜18:00
※毎週金・土曜日は、4・5・6月は20:00まで、7・8月は21:00まで
※4月28日(日)〜5月2日(木)、5月5日(日)は20:00まで
※5月25日(土)は「六本木アートナイト2019」開催にともない、22:00まで開館。
※入場は閉館の30分前まで
会場:国立新美術館 企画展示室1E
http://www.nact.jp/
主催:国立新美術館、ウィーン・ミュージアム、読売新聞社
後援:外務省、オーストリア大使館、オーストリア文化フォーラム、ウィーン市、ウィーン市観光局
特別協賛:キヤノン
協賛:花王、大日本印刷
協力:ANA、DNPアートコミュニケーションズ、ヤマトグローバルロジスティクスジャパン、ルフトハンザ カーゴ AG
展覧会公式サイト:
https://artexhibition.jp/wienmodern2019/


もっと知りたい世紀末ウィーンの美術―クリムト、シーレらが活躍した黄金と退廃の帝都 (アート・ビギナーズ・コレクション)

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19世紀末から20世紀初頭にかけて、ウィーンでは、絵画や建築、工芸、デザイン、ファッションなど、それぞれの領域を超えて、新しい芸術を求める動きが盛んになり、ウィーン独自の装飾的で煌びやかな文化が開花しました。今日では「世紀末芸術」と呼ばれるこの時代に、画家グスタフ・クリムト(1862-1918)やエゴン・シーレ(1890-1918)、建築家オットー・ヴァーグナー(1841-1918)、ヨーゼフ・ホフマン(1876-1958)、アドルフ・ロース(1870-1933)など各界を代表する芸術家たちが登場し、ウィーンの文化は黄金期を迎えます。それは美術の分野のみならず、音楽や精神医学など多岐にわたるものでした。
本展は、ウィーンの世紀末文化を「近代化への過程」という視点から紐解く新しい試みの展覧会です。18世紀の女帝マリア・テレジアの時代の啓蒙思想がビーダーマイアー時代に発展し、ウィーンのモダニズム文化の萌芽となって19世紀末の豪華絢爛な芸術運動へとつながっていった軌跡をたどる本展は、ウィーンの豊穣な文化を知る展覧会の決定版と言えます。
展覧会 | permalink | comments(1) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

確かに超ボリュームの展覧会ですが目黒区美術館の世紀末ウイーンのデザイン展,東京都美術館のクリムト展と見終えて来ると集大成と言う気がしました。
pinewood | 2019/07/08 5:24 PM
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