青い日記帳 

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『ポーランド・ポスターの光彩』

東京美術より刊行となった『ポーランド・ポスターの光彩』を読んでみました。


ポーランド・ポスターの光彩: 神奈川県立近代美術館所蔵
籾山 昌夫 (著)

東京都庭園美術館で開催中の「キスリング展」。「モンパルナスのプリンス」と呼ばれエコール・ド・パリを代表する画家として活躍したキスリング(1891-1953)ですが、元々はポーランドの古都クラクフが故郷です。

また女性画家タマラ・ド・レンピッカ(1898-1980)も同様にポーランド出身です。Bunkamuraの「レンピッカ展」懐かしいですね。

一見日本と関わりのないように思えてその実文化面でかなり大きな影響を受けている国がポーランドなのです。


ヤン・ムウォドジェニェツ《ピランデルロ すべて前よりよし》1973年

神奈川県立近代美術館では、1975年と1980年にポーランドのポスターをまとめて紹介する展覧会を早い段階から開催しています。

当時の土方定一館長が、ポーランド・ポスターのデザインの美的価値や、内容の文化的価値を見出し高く評価していたことから開催に至ったそうです。

そして現在、日本・ポーランド国交樹立100年記念して神奈川県立近代美術館 葉山館にて以下の展覧会が開かれています。


日本・ポーランド国交樹立100年記念 ポーランド・ポスター展

会期:2019年4月6日(土)〜6月23日(日)
休館日:月曜日(4月29日、5月6日は開館)
開館時間:午前9時30分〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
会場:神奈川県立近代美術館 葉山館 展示室2・3
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/
主催:神奈川県立近代美術館
助成:ヴィラヌフ・ポスター美術館、株式会社ソフケン
後援:ポーランド大使館、ポーランド広報文化センター

展覧会のポスターやチラシのデザインはとても重要であることは、皆さんもご存知の通り。文化的・美的価値の高いポーランド・ポスターを紹介する展覧会のそれをデザインするのはさぞかし大変だったことでしょう。


マチェイ・ウルバ二ェツ《溶接工は目を守れ 視力は何にも代えられない》1968年

さて今日ご紹介する『ポーランド・ポスターの光彩』は、神奈川県立近代美術館での展覧会の図録を兼ねた一般書籍です。

ここ数年図録兼一般書籍というスタイルが増えて来ました。遠方まで展覧会を残念ながら観に行けなくてもお手頃価格でAmazon他で購入出来ることが一番のメリットです。

また展覧会カタログとして制作されているので内容に下ブレがありません。つまり「ハズレ」がないのです。これも大きな利点のひとつと言えるでしょう。



未踏の国であるポーランドのポスターが何故これほどまで高い評価を得ているのか、この本を読むまでは皆目見当もつきませんでした。

北欧のお洒落な雰囲気とは違う、どちらかと言うと思く暗いイメージを漠然と抱いていただけでした。

しかし、著者も述べていますが、抒情的なものから英雄的なもの、哀愁に満ちたものまで十把一絡げに表現するなら「ロマンティック」なのです。


ユゼフ・ムロシュチャク《ボリス・ゴドゥノフ
1959年デザイン、1969年印刷

『第1階ワルシャワ国際ポスター・ビエンナーレ』図録の序文にヨゼフ・ムシャチェックが以下のような文を寄せています。

「ポスターとは、ふたつの心を与えられた作品である。詩的に言わないのであれば、ポスターはふたつの方法で、つまり、厳密に実用的な広告的価値を通して、またはその純粋に美的な価値を通して作用する。もちろん時には、それらのふたつの価値が等しく、同じ強さで現れるポスターがある。それらが最良のものである。」

全員ではないでしょうが、基本的にポスター芸術に携わった当時のアーティストたちがこうした考えのもとに作品を作っていたのです。



映画、音楽、演劇、サーカス、展覧会、標語、旅行案内など創造性あふれるデザインのポスターが176点も掲載されています。

1950年から70年代にかけて、ポーランド国内においてポスターの需要、つまり文化的要素が数多くあったことも見過ごせない点に思えました。

20世紀デザイン界に、このポーランド・ポスターが与えた衝撃が幾何なものだったか想像もつかないほどです。



全く飽きさせず、ページをめくるごとに新たな創造と出会える愉悦を存分に味わえる一冊です。会期中間に合えば是非、葉山の展覧会にも伺いたいものです。

神奈川県立近代美術館が所蔵するポーランド・ポスターは、先の2回の展覧会後にポーランド政府から寄贈されたものだそうです。その数実に290点!

ひとつの美術館にひとつの国のひとつの時代のポスターがこれだけあるというのは羨ましい限りです。今回の展覧会もワルシャワ国立美術館の全面的な学術協力を得て再調査が行われた作品が並び、この本に収録されています。


ポーランド・ポスターの光彩: 神奈川県立近代美術館所蔵
籾山 昌夫 (著)

神奈川県立近代美術館がポーランド政府から寄贈されたポスター290点のうち176点を厳選し、ワルシャワ国立美術館分館のヴィラヌフ・ポスター美術館の学術協力を得て最新のデータとともに掲載する。

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20世紀のデザイン史に揺るぎない位置を占める「ポーランド派ポスター」。それは、ワルシャワ美術アカデミーで教鞭を執ったユゼフ・ムロシュチャク(1910-1975)とヘンリク・トマシェフスキ(1914-2005)というポーランド・ポスターの双璧と彼らの教え子や、その周辺のグラフィックデザイナーたちが、1950年代後半から1970年代にかけて制作した映画、演劇、音楽、サーカスなどのデザイン性に優れたポスターを指します。当時のポーランド人民共和国は、共産主義の統一労働者党の一党独裁と経済的な低迷の時代でしたが、グラフィックデザイナーたちは、逆に商業主義にとらわれない創造性に溢れるポスターを制作し、ポーランドのみならず世界中のグラフィックデザインに大きな影響を与えました。
神奈川県立近代美術館は、日本ではいち早く、1975年と1980年に旧鎌倉館でポーランドのポスターを紹介する展覧会を開催し、その際、ポーランド政府から寄贈された1960年代と1970年代を中心とするポスター290点を所蔵しています。この度、ワルシャワ国立美術館の分館であるヴィラヌフ・ポスター美術館の協力を得てそれらを改めて調査整理し、日本とポーランドの国交樹立から100年となる今年、ポーランド・ポスターを代表する14作家(1デザインチームを含む)176点を展覧します。
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