青い日記帳 

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もふもふがいっぱい!「円山応挙から近代京都画壇へ」

東京藝術大学大学美術館にて2019年8月3日から始まる「円山応挙から近代京都画壇へ」展(11月2日から京都国立近代美術館へ巡回)。


https://okyokindai2019.exhibit.jp/

江戸絵画ブームはまだまだ留まることを知りません。「奇想の系譜展」で終わりかと思いきや、夏には京都画壇のボスである円山応挙一派を紹介する「円山応挙から近代京都画壇へ展」が控えていました。
江戸時代、京都では、伝統的な流派である京狩野、土佐派をはじめとして、池大雅や与謝蕪村などの文人画、近年一大ブームを巻き起こした伊藤若冲や曽我蕭白、岸駒を祖とする岸派や原在中の原派、大坂でも活躍した森派など、様々な画家や流派が群雄割拠のごとく特色のある画風を確立していました。
写生画と立体感のある作風で耳目を集めた円山応挙率いる「円山派」と与謝蕪村に学び応挙に師事した呉春が興した「四条派」を合わせて「円山・四条派」と呼びます。


重要文化財「写生図巻」乙巻(部分)
円山応挙、明和7年〜安永元年(1770〜72)、株式会社 千總蔵、東京展:前期展示、京都展:半期展示

応挙がライバルひしめく京都画壇でトップの座に登りつめたのにはわけがあります。それは身近にある自然を徹底的に観察し花鳥や動物たちを生き生きと映し出した写生画をウリにしたからです。

松の葉一本一本、枝や幹の表面のザラザラ感もしっかりと表しています。写真を知っている我々の目には新鮮味はないかもしれませんが、江戸時代の人々たちを応挙の写生画はまさにくぎ付けにしたのです。


重要文化財「牡丹孔雀図」 
円山応挙、明和8年(1771)、京都・相国寺蔵、京都展のみ・半期展示

若冲や蕭白のようにギョッとするインパクトのある作品ではなく、緻密な描写により人々を魅了したのが円山応挙です。

それは前述したように、写真を見慣れた我々には時として凡庸に見えるかもしれません。しかし応挙の魅力は描写力だけでは決してありません。

そうでなければ、時代が明治となってからも竹内栖鳳や上村松園といった近代日本画家に受け継がれるはずがありません。

そんな円山・四条派だけで構成される展覧会「円山応挙から近代京都画壇へ」がようやく都内で開催されるのです。これは幾ら今年の夏が暑くても藝大まで行かねばなりません。


重要文化財「写生図巻」甲巻(部分) 
円山応挙、明和8年〜安永元年(1771〜72)、株式会社 千總蔵、東京展:後期展示、京都展:半期展示

そして「円山応挙から近代京都画壇へ」で密かに楽しみにしているのが、もふもふ系作品です。

NHKの人気番組「もふもふモフモフ」の世界を今から250年ほど前の京都で既に表現していたのが応挙を筆頭とする円山派なのです。


狗子図」円山応挙、安永7年(1778)、敦賀市立博物館蔵
東京展:後期展示、京都展:半期展示

師匠がもふもふ好きなので、当然その影響は弟子たちにも伝播します。とりわけもふもふコロコロとしたワンコの絵をうまく受け継いだのがあの芦雪です。


薔薇蝶狗子図」 
長沢芦雪、寛政後期頃(c.1794〜99)、愛知県美術館蔵(木村定三コレクション)、東京展:前期展示、京都展:半期展示

この円山派もふもふテイストは昭和になってからも受け継がれ、竹内栖鳳もこんな愛らしいワンコの絵を描くに至ります。


春暖
竹内栖鳳、昭和5年(1930)、愛知県美術館蔵(木村定三コレクション)、東京展:前期展示、京都展:半期展示

藝大美術館で円山・四条派とか江戸から近代絵画へ!と何やら難しく取っつきにくそうな印象はこれを観る限り全て杞憂だとお分かりになるはずです。

もういっそのこと、「江戸時代のもふもふ展」にしちゃえばいいのにね。

でも、もふもふだけでなく凄い作品も出るのです。それが大乗寺の障壁画です。兵庫県にある大乗寺は応挙寺と呼ばれるほど応挙一派の作品を多く有する寺院です。


重要文化財「松に孔雀図」(全16面のうち4面)
円山応挙、寛政7年(1795)、兵庫・大乗寺蔵、東京展のみ・通期展示

しかし、保存の観点から今では本物は取り外されお寺では高精細レプリカが客殿の襖を彩っています。

今回の展覧会ではこの重文指定の襖絵群を大乗寺客殿各室の雰囲気そのままに体感できり贅沢な立体的展示を行います。

まぁとにかく円山・四条派は何ぞやとかあまり難しく考えずに観に行くことです。数を観ることで理解が深まるのが絵画の世界です。


「円山応挙から近代京都画壇へ」

会期
前期:2019年8月3日(土) - 9月1日(日)
後期:2019年9月3日(火) - 9月29日(日)
前期後期で大展示替え
※ただし、大乗寺襖絵は通期展示
午前10時 - 午後5時(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日
※ ただし、月曜日が祝日または振替休日の場合は開館、翌日休館
会場:東京藝術大学大学美術館 本館 展示室1、2、3、4
https://www.geidai.ac.jp/museum/
主催:東京藝術大学、朝日新聞社
後援:台東区
協賛:岡村印刷工業
展覧会公式サイト:https://okyokindai2019.exhibit.jp/

明治に活躍した、岸竹堂もしっかりともふもふさせて虎を描いています。


猛虎図」(右隻) 
岸竹堂、明治23年(1890)、株式会社 千總蔵、東京展:前期展示、京都展:半期展示

そうそう、6月9日まで超お得な早割チケットを販売しています。


早割ペア券


二人で行くのもよし。一人で2回行くのもよし。他にも「応挙てぬぐいセット券」なる前売りチケットもあります。


『若冲VS応挙』 (くらべてわかる)
安村 敏信 (著)

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江戸時代、京都では、伝統的な流派である京狩野、土佐派をはじめとして、池大雅や与謝蕪村などの文人画、近年一大ブームを巻き起こした伊藤若冲や曽我蕭白、岸駒を祖とする岸派や原在中の原派、大坂でも活躍した森派など、様々な画家や流派が群雄割拠のごとく特色のある画風を確立していました。しかし、明治維新以降、京都画壇の主流派となったのは円山・四条派でした。円山・四条派とは、文字通り円山派と四条派を融合した流派です。
円山派の祖である円山応挙が現れたことで京都画壇の様相は一変しました。応挙が得意とした写生画は画題の解釈を必要とせず、見るだけで楽しめる精密な筆致が多くの人に受け入れられ、爆発的な人気を博しました。京都の画家たちはこぞって写生画を描くようになり、応挙のもとには多くの門下生が集まって、円山派という一流派を形成しました。
四条派の祖である呉春は、初め与謝蕪村に学び、蕪村没後は応挙の画風を学んだことで、応挙の写生画に蕪村の瀟洒な情趣を加味した画風を確立しました。呉春の住まいが四条にあったため四条派と呼ばれたこの画風は、弟の松村景文や岡本豊彦などの弟子たちに受け継がれ、京都の主流派となりました。呉春が応挙の画風を学んでいる上、幸野楳嶺のように円山派の中島来章と四条派の塩川文麟の両者に師事した画家も現れたこともあり、いつの頃からか円山派と四条派を合わせて円山・四条派と呼ぶようになりました。
応挙・呉春を源泉とする円山・四条派の流れは、鈴木百年、岸竹堂、森寛斎、幸野楳嶺等へと受け継がれ、それぞれの門下から、近代京都画壇を牽引した竹内栖鳳、菊池芳文、山元春挙、今尾景年、上村松園等を輩出しました。彼らは博覧会や、日本で初めての公設美術展覧会である文部省美術展覧会で活躍し、全国に円山・四条派の名を広めました。一方で、栖鳳たちは、自身の塾や、教鞭を執った京都府画学校や京都市立美術工芸学校、京都市立絵画専門学校で多くの近代京画壇の発展に資する後進たちを育てています。
本展では、応挙、呉春から戦前までの系譜を丁寧に追うことで、円山・四条派の全貌に迫るとともに、日本美術史のなかで重要な位置を占める京都画壇の様相の一端を明らかにするものです。
展覧会告知 | permalink | comments(1) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

冒頭の「基礎の系譜」は「奇想の系譜」、終盤の「〜大感できり贅沢な立体的展示〜」は「〜体感できる〜」かと…。
いつもお世話になります。 | 2019/06/06 12:23 PM
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