青い日記帳 

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『原田マハの印象派物語』

新潮社(とんぼの本)から刊行となった『原田マハの印象派物語』を読んでみました。


原田マハの印象派物語
原田 マハ (著)

いまさら印象派?」著者自身のこの言葉から始まる『原田マハの印象派物語』は、星の数ほどある印象派の関連の書籍とは一線を画する内容となっています。

それは、目次を見ただけでは分かりません。

Episode-1 Claude Monet モネの物語
Episode-2 Berthe Morisot et Edouard Manet ベルト・モリゾとマネの物語
Episode-3 Mary Cassatt et Edgar Degas メアリー・カサットとドガの物語
Episode-4 Pierre-Auguste Renoir ルノワールの物語
Episode-5 Gustave Caillebotte カイユボットの物語
Episode-6 Paul Cezanne セザンヌの物語
Episode-7 Vincent van Gogh ゴッホの物語




ところが、数行読むだけで明らかに違いが分かるのです。これまで読んできた印象派の本とは別物だと。

書名や目次にあるようにこれは「物語」です。それぞれの画家の。

だから、小難しい作品解説などはありません。その代わりに極上の「物語」が用意されているのです。原田マハさんが仕立ててくれた。


ポール・セザンヌ「セザンヌ夫人の肖像」1885〜86年
フィラデルフィア美術館

例えば、「Episode-6 Paul Cezanne セザンヌの物語 無言のふたり 絵描きとその妻 愛すべき不美人画」の語りべはセザンヌ自身ではなく、彼の奥さんオルタンス・セザンヌです。

本文より一部引用してみます。
まったくもう―と声には出さずに心の中で文句を言うのはもはや彼女の人生の癖になっていたーあの人ったら。明日はちょっとアトリエまで来てくれ、ずっと昔に買ったあの縦縞のドレスを着て……って、きのう急に電報をよこすんだもの。
このように、ある時は家族、ある時は画家自身と7人の超有名な印象派の画家たちを紹介する手段としてオリジナルの「物語」を綴っているのです。

妄想癖のあるブロガーが書いたものであれば一笑に付されて終わりですが、原田マハさんが織りなした物語となれば話は別です。



フランス、ジヴェルニーに今も残るモネのアトリエや彼が作った庭園を実際に訪れるなど、現地取材やこれまでに蓄積した数多の資料に基づいて書かれた6人の画家の物語。

それらはまるで、タイムトラベルをして彼らの番記者のように張り付いて子細に取材してきたかのようです。

クロード・モネが描いた家に泊まってみませんか


ノルマンディー紀行:クールベ、モネが描いたエトルタ

「愚かものたちのセブン・ストーリーズ」「美しき愚かものたち」と著者自身も記しているように、6人の画家の物語はどれも人間味豊かで、時に自分や誰かと重ね合わせながら流れるように読み進められます。

かつて、歴史小説の雄であった司馬遼太郎さんの作品を読んだ時のように、目の前に小説の登場人物たちがふっとホログラムの如く浮かんでくる感覚を『原田マハの印象派物語』でも味わえます。

勿論、「物語」に合わせて印象派作品もカラー図版で掲載されています。見慣れた作品も原田マハさんの紡ぎ出した「物語」を読むことで新たな発見に出会えるはずです。

とても素敵な一冊に巡り合えました。


原田マハの印象派物語
原田 マハ (著)

光満ちあふれ、幸福な色をたたえる名画誕生の陰には、画家たちの壮絶な闘いのドラマがあった。貧しくても、どん底に落ちても、志高く新しい道を切り拓いていったそのあしあとをたどって、アート小説の名手が紡ぐ、7つの物語。モネの愛したノルマンディーへの旅も。

お次は、松方幸次郎の物語『美しき愚かものたちのタブロー』をば。


国立西洋美術館開館60周年記念
「松方コレクション展」


会期:2019年6月11日(火)〜2019年9月23日(月・祝)
開館時間:9:30〜17:30
毎週金・土曜日:9:30〜21:00
※入館は閉館の30分前まで


美しき愚かものたちのタブロー
原田 マハ (著)
文藝春秋

日本に美術館を創りたい。
ただ、その夢ひとつのために生涯を懸けた不世出の実業家・松方幸次郎。
戦時下のフランスで絵画コレクションを守り抜いた孤独な飛行機乗り・日置三郎。
そして、敗戦国・日本にアートとプライドを取り戻した男たち――。
奇跡が積み重なった、国立西洋美術館の誕生秘話。
原田マハにしか書けない日本と西洋アートの巡りあいの物語!


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