青い日記帳 

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「塩田千春展」

森美術館で開催中の
「塩田千春展:魂がふるえる」に行って来ました。


https://www.mori.art.museum/jp/

1972年大阪生まれ、ベルリンに在住し世界的な活躍をみせる塩田千春さんの大規模個展が、森美術館ではじまりました。

数々の国際大会に引っ張りだこで、2015年には第56回べネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館代表にも選出された塩田さん。

実に今回が308回目の展覧会となるそうです。



塩田千春「不確かな旅」2016年
鉄枠、赤毛糸

「塩田千春展:魂がふるえる」←このサブタイトルは随分とベタ過ぎて塩田さん、森美術館らしくないな〜と長年、塩田さんの作品を観てきたKADOKAWAの玉置さんと会場で話していました。

しかし、決して虚勢を張ったり、空威張りして付けたタイトルでなかったのです。

玉置さんに前日の6月19日に行われた記者会見の映像を見せてもらいました。そこでは塩田さん自身がこの展覧会にかける思いを時に涙を浮かべながら語っていました。



塩田千春「静けさの中で」2008年

今から丁度2年前に森美術館の片岡真実(森美術館副館長兼チーフ・キュレーター)さんから展覧会開催の依頼があった時は「生きていて良かった」と素直に喜んだそうです。

ところが翌日、病院で12年前のガンが再発したことを知らされ、手術や抗がん剤治療がこれから必要になると宣告され、展覧会どころではなく、これから一体どう生きていけば良いかと頭が真っ白に。

まさに、死と寄り添いながら構想をたてた展覧会なのです。時に生きていること自体を考えさせられることもあったそうです。


塩田千春「外在化された身体」2019年

今回の展覧会では初期作品から今年完成したばかりの作品までが一堂に会しています。作家曰く「死と寄り添って制作した作品」はこれまでの塩田さんの作品とは明らかに一線を画するものがあります。

「外在化された身体」で吊り下げられているのは牛皮です。そして床にはバラバラになったブロンズ製の手足が散乱しています。これは彼女自身の手足だそうです。

「心と身体がバラバラになっていく、どうにもならない感情を止められなくて、自分の身体をバラバラに並べて、心の中で会話をする。
赤い糸と身体を繋いで、やっぱりこういうことだったのか…と、何かが分かる。
この感情を表現すること、形にすることは、
いつもこういふふうに同時に魂が壊れることなんだ。」



塩田千春「赤と黒」2019年

《作家メッセージ》

撮影:Sunhi Mang

「今まで、展覧会が好きでそれだけが生きがいで、作品を作ってきました。どうにもならない心の葛藤や言葉では伝えることができない感情、説明のつかない私の存在、そのような心が形になったのが私の作品です。一昨年、12年前の癌が再発しましたが、死と寄り沿いながらの辛い治療も、良い作品を作るための試練なのかもしれないと考えました。この展覧会では、過去25年分の作品を発表します。裸になった私の魂との対話を観てください。」塩田千春


塩田千春「小さな記憶をつなげて」2019年

塩田千春さん過去最大規模の個展の見どころや良さは、やはり会場へ行ってみないと分かりません。没入感でいえば国立新美術館で開催している「ボルタンスキー展」以上のものがあります。

現代アート作品というと、難解なテーマが潜みそれを考えに考え抜くことが時に求められがちですが、塩田さんの作品はいずれも、観たり体感しただけでその意味が伝わってきます。


塩田千春「時空の反射」2018年

目の前に白いドレスは何着ありますか?そう2着ですよね。でも実は1着しか存在していません。複数あるように見えるのは鏡を使った簡単なトリックによるものです。

でも、人は仕掛けを分かった後でも初めに2着と捉えてしまった視覚情報を中々正すことが出来ません。それと似たようなことがらは日常生活の中でも幾らでも見出せます。


塩田千春
オペラ公演「松風」の舞台美術
モネ王立歌劇場(ブリュッセル)、2011年
撮影:Sunhi Mang

また塩田さんは世界の舞台美術を2003年より数多く手掛けてきました。日本の新国立劇場での「タトゥー」やオペラ「松風」はもしかしてご覧になられた方もいらっしゃるかもしれません。

糸という様々なものを象徴するアイテムを自由自在に使いこなす塩田作品は、舞台美術との相性は抜群なのです。展覧会では「舞台美術の仕事」としてまとめて紹介されています。


塩田千春「蝶のとまっているひまわり」1977年
塩田千春「無題」1992年

もう一点、この展覧会の見せ方の巧みな点に、序盤で塩田千春のこれまでの作品を振り返るアーカイブ的な展示(クロノロジー)があることです。

1992年から京都精華大学美術学部に在籍し洋画を専攻していた塩田さんですが、「無題」1992年を最後に油絵とは決別。パフォーマンスアートやインスタレーション作品にシフトしていきます。

因みに「蝶のとまっているひまわり」1977年は、5歳の時に描いたもの。左上にサイン(名前)が鏡文字で書かれています。


塩田千春「DNAからDNAへ」1994年

京都精華大学内で行われたパフォーマンス/インスタレーションで早くも塩田さんの十八番である赤い糸が使われています。

このクロノロジーには映像も含まれています。それらを丹念に観ることで、今の塩田作品の理解度もぐんと高まります。一見ド派手なインスタレーション作品だけが注目を浴びがちですが、この展覧会の肝は序盤のアーカイブ展示であることは間違いありません。

そうした「流れ」の中で、作品を観られることはありそうでほとんどないことです。冒頭に紹介した病魔との闘いもそれだけ切り取って見てしまっては、彼女の思いを感じることは出来ないでしょう。



塩田千春「集積―目的地を求めて」2016年

塩田千春展:魂がふるえる」は10月27日までです。今年のベスト10入り確実の素晴らしい展覧会そして展示です。絶対にお見逃しなく!


「塩田千春展:魂がふるえる」

会期:2019年6月20日(木)〜10月27日(日)
開館時間:10:00-22:00(火曜日のみ17:00まで)
*入館は閉館時間の30分前まで *会期中無休
*ただし、10/22(火)は22:00まで
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
https://www.mori.art.museum/jp/
主催:森美術館
協賛:株式会社大林組、株式会社 資生堂、thyssenkrupp Elevator、
トヨタ自動車株式会社、サムソナイト・ジャパン株式会社、
株式会社 トゥミ ジャパン、TRUNK(HOTEL)
協力:シャンパーニュ ポメリー
制作協力:Alcantara S.p.A.
個人協賛:James Hsu、Sophia and Leon Tan、八城千鶴子
企画:片岡真実(森美術館副館長兼チーフ・キュレーター)



塩田千春「どこへ向かって」2019年
白毛糸、ワイヤー、ロープ
展示風景:「塩田千春展:魂がふるえる」森美術館(東京)2019年
Courtesy: Galerie Templon, Paris/Brussels
撮影:木奥恵三

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ベルリンを拠点にグローバルな活躍をする塩田千春は、記憶、不安、夢、沈黙など、かたちの無いものを表現したパフォーマンスやインスタレーションで知られています。個人的な体験を出発点にしながらも、その作品はアイデンティティ、境界、存在といった普遍的な概念を問うことで世界の幅広い人々を惹きつけてきました。なかでも黒や赤の糸を空間全体に張り巡らせたダイナミックなインスタレーションは、彼女の代表的なシリーズとなっています。

本展は、塩田千春の過去最大規模の個展です。副題の「魂がふるえる」には、言葉にならない感情によって震えている心の動きを伝えたいという作家の思いが込められています。大型インスタレーションを中心に、立体作品、パフォーマンス映像、写真、ドローイング、舞台美術の関連資料などを加え、25年にわたる活動を網羅的に体験できる初めての機会になります。「不在のなかの存在」を一貫して追究してきた塩田の集大成となる本展を通して、生きることの意味や人生の旅路、魂の機微を実感していただけることでしょう。
展覧会 | permalink | comments(1) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

身体に拘わる赤い糸のインスタレーション等どこか傷ついた体や心臓を描いたメキシコの女性画家フリーダ・カーロの絵画を彷彿とさせます!
pinewood | 2019/10/25 7:43 PM
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