青い日記帳 

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「松方コレクション展」

国立西洋美術館で開催中の
国立西洋美術館開館60周年記念「松方コレクション展」に行って来ました。


https://artexhibition.jp/matsukata2019/

神戸の川崎造船所(現・川崎重工業株式会社)の社長だった松方幸次郎(1866−1950)がアメリカを経由し当時の経済の中心地ロンドンに渡ったのが1916年のこと。この時、松方幸次郎50歳。

初めての海外出張ではなく、これが4度目。それまで美術作品に興味を示さなかった松方が、1916年を境に一大アートコレクターの道を驀進することになります。一体何がきっかけだったのでしょうか。


フランク・ブラングィン「松方幸次郎の肖像」1916年 油彩、カンヴァス 
国立西洋美術館(旧松方コレクション)

ブラングィンの助言を受けつつ作品購入を進めた松方の名が、ロンドンだけでなく広くヨーロッパに知れ渡るのにさほど時間を要しませんでした。

とにかく、資金と時間があるのですからアートコレクターとして「無敵」の存在です。

国立西洋美術館の前庭や展示室に数多くあるロダンの彫刻も、松方が直接当時のロダン美術館館長レオンス・ベネディッドに会いに行き彫刻38点をまとめて購入しています。


オーギュスト・ロダン展示風景

しかも、ベネフィットに会いにいったのが1919年3月のこと。ロダンが亡くなって2年も経たぬ間に現在の金額で7億円もの大金をはたいて一括購入しているのです。

現在我々が上野で「考える人」「カレーの市民」「地獄の門」などを気軽に目に出来るのも松方のおかげです。松方は日本人に本物を見せたいとの一心で作品蒐集に奔走しました。

そんな松方が50歳から蒐集した1万点を超えると云われている作品群「松方コレクション」の全貌を明らかにするのがこの展覧会です。


クロード・モネ「舟遊び」1887年 油彩、カンヴァス 
国立西洋美術館(松方コレクション)

2016年に神戸市立博物館で「松方コレクション展 ―松方幸次郎 夢の軌跡―」が開催されましたが、今回は場所が特別です。

第二次世界大戦が勃発しコレクションをヨーロッパから日本に移送できなくなってしまいます。それらの一部がようやく日本に渡って来たのが1959年。

フランスから「寄贈返還」という形式で、一部を除き日本にようやく渡ってきたのです。美術館を作ることが返還の条件のひとつでもありました。

上野に国立西洋美術館ができたのはそんな理由からなのです。


国立西洋美術館

展覧会の構成は以下の通りです。

プロローグ
1:ロンドン
2:第一次世界大戦と松方コレクション
3:海と船
4:ベネディッドとロダン
5:パリ1921-1922
6:ハンセンコレクションの獲得
7:北方への旅
8:第二次世界大戦と松方コレクション
エピローグ



ピエール=オーギュスト・ルノワール「帽子の女」1891年 油彩、カンヴァス 
国立西洋美術館(松方コレクション)

思い違いをされている方が周りにもいたのですが、今回の「松方コレクション展」は国立西洋美術館に収まっている松方コレクションを見せる展覧会ではありません。

勿論いつも常設展で拝見しているそれらも含まれていますが、川崎造船所が破綻し作品を売り立て日本各地の美術館所蔵となった旧松方コレクションなどが、同窓会のように西美に集っているのです。

例えばこの有名な作品も元々は松方コレクションだったとご存知でしたか。


エドゥアール・マネ「自画像」1878-79年 
油彩、カンヴァス 石橋財団ブリヂストン美術館/石橋財団アーティゾン美術館
https://www.artizon.museum/

今回の展覧会では西洋絵画がメインとなっていますが、松方コレクションにはこの他にも浮世絵の膨大なコレクションも含まれていたのです。それらは現在、東京国立博物館所蔵となっています。

いつもトーハクで目にしている浮世絵もまた松方がヨーロッパで買い戻し、日本に持ってきてくれたものなのです。


フィンセント・ファン・ゴッホ「アルルの寝室」1889年 油彩、カンヴァス 
オルセー美術館
Paris, musée d'Orsay, cédé aux musées nationaux en application du traité de paix avec le Japon, 1959
Photo © RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

今回、オルセー美術館からこのゴッホやゴーギャン、セザンヌなど計4点の作品が来ています。これらも元々松方が買い求めた作品たちです。

1959年の「寄贈返還」の際に価値の高い19点はフランス国内留め置きとされ現在に至っています。すこし複雑な心境いならざるを得ません。絵に罪はありませんが。


ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル「男の頭部(《ホメロス礼讃》のための習作)」1827頃 ポーラ美術館、箱根
ハイム・スーティン「ページ・ボーイ」1925 パリ国立近代美術館・ポンピドゥーセンター

西美の常設展で見慣れた作品ばかりだと思ったら大間違いです。こんな取り合わせが随所で展開されていて目がクラクラしちゃいます。

松方幸次郎は本物の作品を日本人に見せたいとの一心から、時にジヴェルニーのモネ邸へブランデーを手土産にして直接作品購入に出かけて行くなど精力的な活動があってこそこれほどまでのコレクションを50歳から築けたのです。



そんな松方の思いが展示会場のあちこちに溢れています。

彼が夢見た共楽美術館は残念ながら日の目を見ませんでしたが、2019年「松方コレクション展」として現れました。

「松方コレクション展」は9月23日までです。是非是非!


国立西洋美術館開館60周年記念
「松方コレクション展」


会期:2019年6月11日(火)〜2019年9月23日(月・祝)
開館時間:9:30〜17:30
毎週金・土曜日:9:30〜21:00
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日、(ただし、7月15日(月・祝)、8月12日(月・休)、9月16日(月・祝)、9月23日(月・祝)は開館)、7月16日(火)
会場:国立西洋美術館
http://www.nmwa.go.jp/
主催:国立西洋美術館、読売新聞社、NHK、NHKプロモーション
協賛:清水建設、損保ジャパン日本興亜、NISSHA、三井住友銀行
協力:日本航空、西洋美術振興財団
https://artexhibition.jp/matsukata2019/


『美しき愚かものたちのタブロー』
原田マハ(著)

日本に初めて「美術館」という概念をもたらした破天荒な実業家、松方幸次郎。戦火のフランスで絵画コレクションを守り抜いた孤独な飛行機乗り、日置三郎。そして、敗戦国・日本にアートとプライドを取り戻した男たち――。奇跡が積み重なった、国立西洋美術館の誕生秘話。

こちらも開催中です。

日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念
モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち

2019年6月18日(火)〜2019年9月23日(月・祝)


『松方コレクションのすべて』 (時空旅人別冊)

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神戸の川崎造船所(現・川崎重工業株式会社)を率いた松方幸次郎(1866(慶応元年12月1日)−1950)は、第一次世界大戦による船舶需要を背景に事業を拡大しつつ、1916-1927年頃のロンドンやパリで大量の美術品を買い集めます。当時の松方のコレクションは、モネやゴーガン、ゴッホからロダンの彫刻、近代イギリス絵画、中世の板絵、タペストリーまで多様な時代・地域・ジャンルからなり、日本のために買い戻した浮世絵約8000点も加えれば1万点に及ぶ規模でした。

しかし1927年、昭和金融恐慌のあおりで造船所は経営破綻に陥り、コレクションは流転の運命をたどります。日本に到着していた作品群は売り立てられ、ヨーロッパに残されていた作品も一部はロンドンの倉庫火災で焼失、さらに他の一部は第二次世界大戦末期のパリでフランス政府に接収されました。戦後、フランスから日本へ寄贈返還された375点とともに、1959年、国立西洋美術館が誕生したとき、ようやく松方コレクションは安住の地を見出したのです。

開館60周年を記念した本展では、名高いゴッホ《アルルの寝室》や、2016年に発見されたモネの《睡蓮、柳の反映》など国内外に散逸した名品も含めた作品約160点や歴史資料とともに、時代の荒波に翻弄され続けた松方コレクションの百年に及ぶ航海の軌跡をたどります。
展覧会 | permalink | comments(1) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

常設展の中の企画展示〈フィンランドのモダン・ウーマン〉展と併せて見学,松方コレクションのコレクションの歴史と推移が判る珠玉の記念展覧会ですね。特に絵画を何段掛けにもした第二室は西洋流の昔の美術館の姿を連想させます!
pinewood | 2019/09/21 7:19 PM
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