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「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展」

三菱一号館美術館で開催中の
「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展」に行って来ました。


https://mimt.jp/fortuny/

展覧会は知識ゼロで行ってもそれなりに楽しめるものですが、できれば少しだけでも事前に調べたりしておくともっともっと深い感動を得られます。

ましてや、絵画だけでなく写真や服飾を展示する「マリアノ・フォルチュニ展」となると猶更です。「素敵だったわ〜」で終わってしまうにも勿体ない内容なのです。

では、何を予習しておけばよいでしょう。なるべく少ない方がよいですよね。大丈夫です。「マリアノ・フォルチュニ展」を10倍楽しむために知っておくべき単語はただ一つ。

デルフォス」のみです。


マリアノ・フォルチュニ「デルフォス」1910年代 絹サテン、トンボ玉 
島根県立石見美術館 展示期間8/20〜10/6

「デルフォス」について解説されているサイトのリンクを張っておきます。どれでもよいので一読しておけばOKです。

ユニークなガウンの誕生: デルフォス — Google Arts & Culture
デルフォス - 杉野学園衣裳博物館
ドレス「デルフォス」 - 京都服飾文化研究財団



解説読んで「デルフォス」について、もっともっと知りたくなってしまった方は、こちらのPDFを。

「デルフォス」にみるフォルチュニイの美意識について
「デルフォス」は,ヴェネチアで活躍したマリアノ ・ フォルチュニイ(FORTUNY, Mariano 1871-1949)が古代ギリシア彫刻「デルフォイの御者」に想を得て制作したドレスで,全体に施された波打つプリーツが特徴とされる.
 筒状のワンピース型という単純な構造でありながら,このプリーツの効果によって,着用者の身体に沿って官能的なフォルムを描き,微妙な陰影を生み出す.デルフォスが世に出た当時,コルセットを用いた女性のドレスが一般的であり,自然な身体の線を表すデルフォスは極めて斬新であった.また,従来の服の概念にとらわれない造形美や複雑な色彩と陰影をたたえた優美さは,ファッションのみならず舞踊や文学等の分野でも熱烈な支持者を得た.その後の 20 世紀モードを予見したかのようなシンプルなデザインは,後世のファッションに多大な影響を与えている.

※「フォルチュニ展」こちらの展示スペースは写真撮影可能です。

イッセイ・ミヤケもビックリの「デルフォス」が作られたのは今から約100年前のこと。

ガチガチのコルセットから女性たちを解放し、自身の身体のラインを生かせる自由な服を考案した人物こそ、今回の主役マリアノ・フォルチュニィ(Mariano Fortuny 1871-1949)です。


作者不詳「マリアノ・フォルチュニ」制作年不詳 
フォルチュニ美術館 © Fondazione Musei Civici di Venezia - Museo Fortuny

ヴェネツィアを生活と制作の拠点としていたので、てっきりイタリア人かと思いきや、スペインのグラナダ生まれ。父親は著名な画家であり、母親は高貴な家(祖父と父がプラド美術館館長)の出という申し分のない環境で育ちました。

ポートレート写真からは自身の実力以上の自信と矜持が垣間見られます。絶対自分をカッコイイと思い込んでいたタイプですよね。でないと、この展覧会で観られるマルチな活躍は到底不可能です。



父親、マリアノ・フォルトゥニ・イ・マルサルの作品と息子マリアノ・フォルチュニの絵画が同じ展示空間に展示されています。

2015年に一号館美術館で開催された「プラド美術館展」にもマリアノ・フォルトゥニ・イ・マルサルは出ていました。スペインでは名前を知らない人はいないほどメジャーな画家です。

そんな偉大な父の影響を受け早くからフォルチュニ自身も絵筆を握り作品を描いています。10歳に満たない時に描いた作品も今回出ています。



父親の作品だけでなく、ティントレットやルーベンスなどの模写も積極的に行い古画から多くのことを吸収したようです。

展覧会後半にフォルチュニのドレスを着せ、写真を撮ったものが数点展示されていましたが、さり気なくポーズを取らせるのにも古画から得たエッセンスが出ているように思えました。



ドレスの展覧会だと思われている方も多いようですが、実際は絵画や版画、写真といった平面作品の方が多く展示されています。

万能の天才は言い過ぎとしても、建築や舞台装置、照明など実に幅広い活躍をみせたのが、マリアノ・フォルチュニィ(Mariano Fortuny 1871-1949)という人物です。

展示会場の天井に吊り下げられているオリエンタルな要素を含んだ照明器具も彼がデザインしたものです。お見逃しなきように!



「マリアノ・フォルチュニ展」展覧会の構成は以下の通りです。

序章:マリアノ・フォルチュニ ヴェネチアの魔術師
第1章:絵画からの出発
第2章:総合芸術、オペラ ワーグナーへの心酔
第3章:最新の染織と服飾 輝く絹地と異国の文様
第4章:写真の探究
第5章:異国、そして日本への関心と染織作品への応用
終章:時代を超えるデザイン




作品点数がかなり多いのでここまで見てくると疲れてしまうのですが、「第5章:異国、そして日本への関心と染織作品への応用」はやはり見逃せません。

日本の型紙も多くフォルチュニは持っており、それを実際に服飾のデザインとして用いているのです。影響を受けたというレベルではなく、まんま用いているのですぐに関連性は見て取れます。



そして「終章:時代を超えるデザイン」では、現在もまだフォルチュニが世に送り出した「デルフォス」は、ファッション界における金字塔のような存在として輝き続けていることを紹介しています。

こちらの記事や画像も事前に要チェックです。

裸足の女神が纏う究極のリアリティクチュール Valentino (ヴァレンティノ)2016年春夏オートクチュールコレクション
https://fashionpost.jp/news/53919

他にも映画「鳩の翼」やテレビドラマ「情熱のシーラ」、「ダウントン・アビー」でもデルフォスがその存在感を示しています。



5年前どころか、去年の服ですら時代遅れ感を覚えてしまうほど目まぐるしく変わる流行を尻目に、100年の間ひたすらトップランナーとして君臨するデルフォス。

2009年に東京都庭園美術館で開催された「ポワレとフォルチュニィ 20世紀モードを変えた男たち」展以来、実に10年ぶりにフォルチュニの「デルフォス」に東京で出会えます。

マリアノ・フォルチュニのマルチナ才能や興味関心が、デルフォスを生み出したことが、自然と分かる今回の「フォルチュニ展」。ドレスの展覧会だと思いこみパスしたら、それこそ一生後悔しますよ。


The Birth of a Unique Gown: The Delphos

ヴェネチアにあるフォルチュニ美術館から多くの作品が今回来ています。

個人的には版画が一番才能があるように見えました。それと写真も。フォルチュニの才能を探りながら観るのも面白く、この展覧会を楽しめる秘訣かと思います。

「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展」は10月6日までです。是非是非!


「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展」

会期:2019年7月6日(土)〜10月6日(日)
開館時間:10:00〜18:00(祝日を除く金曜、第2水曜、8月12日〜15日、会期最終週平日は21:00まで)
※入館は閉館の30分前まで。
休館日:月曜休館(但し、祝日・振替休日の場合、9月30日とトークフリーデーの7月29日、8月26日は開館)
会場:三菱一号館美術館
https://mimt.jp/
主催:三菱一号館美術館、毎日新聞社、フォルチュニ美術館、ヴェネツィア市立博物館群財団
後援:イタリア大使館
協賛:大日本印刷
協力:アリタリア-イタリア航空

【参考】
神戸芸術工科大学「20世紀のファッション環境デザイン年表」


Mariano Fortuny: His Life and Work

Twitterやってます。
@taktwi

Facebookもチェック!

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5547

JUGEMテーマ:アート・デザイン



軽くてしなやかな「デルフォス」(繊細なプリーツを施した絹のドレス)で一躍20世紀初頭の服飾界の寵児となったマリアノ・フォルチュニ(1871-1949)。彼の邸宅兼アトリエを美術館として公開しているフォルチュニ美術館(ヴェネツィア)の全面的な協力のもと、本展では、フォルチュニ芸術の真骨頂である絹地のドレスやコートなどの服飾作品を軸に、絵画、版画、写真、舞台関連作品、彼が蒐集した日本の染め型紙を含むデザイン関連資料等を総合的に展覧します。グラナダで生まれ、ローマとパリで育ち、ヴェネツィアで制作して成功をおさめた彼の生い立ちから多彩な創作活動まで、近年世界的に注目されている総合芸術家・デザイナーの全貌に迫ります。
展覧会 | permalink | comments(1) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

マルセル・プルーストの文学にも登場するマリアノ・フォルチュニのドレス,閲覧コーナーで少し読み興味深く観賞しました!
pinewood | 2019/09/30 9:08 PM
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