青い日記帳 

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「Seed 山種美術館 日本画アワード 2019」

山種美術館で開催中の
「Seed 山種美術館 日本画アワード 2019 ―未来をになう日本画新世代―」展に行って来ました。


http://www.yamatane-museum.jp/

牧進、田渕俊夫、平松礼二、中島千波と今では日本画界の大御所たちも、かつて山種美術館が主催した「今日の日本画 山種美術館賞」(1971年〜1997年、計14回実施)で大賞または優秀賞に選ばれ後の活躍に弾みを付けました。

現在でこそ、企業などが若手作家を応援すべく様々な賞を設けていますが、「今日の日本画 山種美術館賞」はその草分け的な存在でした。


寺野葉「鳥夢図」他

場所を広尾に移転し、山妙子館長が就任され新たな一歩を踏み出した山種美術館が、開館50周年の節目に新たに開設したのが「Seed 山種美術館 日本画アワード」です。

第1回目は2016年に開催(「Seed 山種美術館 日本画アワード 2016」)、今回2019年が2度目となります。

「山種美術館賞」から数えると通算16回目となるアワードの入選作品全44点を紹介する展覧会が「Seed 山種美術館 日本画アワード 2019」です。


大賞に輝いた 安原成美 「雨後のほほ

因みに[「seed 山種美術館日本画アワード」には以下のような出品規定が設けられています。

1)資格:満45歳以下(2019 年4月1日時点)、日本国内在住者(国籍不問)
2)部門:日本画(表現や内容は自由とする)
3)点数:1人1点


要は若手の日本画家の渾身の一枚によるガチンコ勝負の場なのです。

全力投球で描かれたそれぞれの作品は、いずれも一点一点大変見応えがあり、3周も4週も展示室を回遊するかのように見入ってしまいました。


小川遥「やすらい花

日本画は何度も書いていますが、実物を観ないとその良さが十分の一も分からないものです。この小川さんの作品も画像だとのっぺりとした感じを受けます。

しかし、会場で近寄ったり単眼鏡を使ったり、はたまた観る角度を少し変えるだけで、目の前の作品がガラリと変貌を遂げます。


小川遥「やすらい花」(部分)

変貌と遂げると言っては語弊があるかもしれません。見えていなかった絵の隠れた良さが強くアピールしてくるのです。饒舌なまでに。

「やすらい花」というのは桜の散るころに流行する疫病を退散させるために行われる鎮花祭の名称だそうです。

「画面の描写は金唐紙を参考にし、構図などは梁塵秘抄に記された今様『古柳』からイメージした。」と作家が述べているのを知ると更に見え方も変わってくるものです。


北島文人「沖融

特別な想いや特別な場面、古画や和歌などに基づいた作品と、自分の身近にある何気ない風景や物を描いた作品に大別されるとするなら、北島さんの作品は後者にあたります。

桂川を明け方散策し見つけた自分のお気に入りの場所を描いた「沖融」。

非常に細やかな筆遣いで描かれているので、より視力が出るコンタクトを装着してくればよかったと少し後悔しつつも、単眼鏡で隅から隅まで。


北島文人「沖融」(部分)

自分が気になって気になって仕方なかったのがこの水面の表現です。草木の景色も抜群に上手いのですが、何故だか水の描写に強く惹かれました。暑かったからでは決してなく。

前回と同じことを敢えて書きます。「現代作家による公募展」と聞いただけで、何かわけのわからない作品に振り回されるだけのイメージが先行するかもしれませんが、山種美術館賞を継承する「Seed展」にはそうした作品は一枚もありません。


福本百恵「うごかざるもの
宮崎優「逆説

44作品全て作家が全力投球で描き、厳しい審査を勝ち抜いた美しく、誇らしげな作品ばかりです。

遠くの芸術祭に行く時間がなくても、山種美術館ならすぐです。暑ければ恵比寿駅や渋谷駅からバスも出ています。

同じ時代を生きる若手日本画作家がどんな作品を描いているのか是非その目でご覧になって下さい。この中から将来、日本画壇の重鎮や美大の教授となる人も出てくるでしょう。中島千波先生のような。


森萌衣「団欒

若干23歳の森さんが初めて描いた大作です。

奥行きを表現するのが未熟だと本人は言っていましたが、驚くほど挑戦的な描き方をこの一枚に多く盛り込んでいます。

「Seed展」は、恐ろしい才能の持ち主を発掘する良い機会でもあるのです。



受賞・入選作品44点の人気投票を美術館と、専用webページでも行っています。あなたの琴線に触れる作品がきっと見つかるはずです。

「Seed 山種美術館 日本画アワード 2019 ―未来をになう日本画新世代―」人気投票開催のお知らせ
(会場でもwebからでも投票できます。最も多くの票を集めた作家さんにはオーディエンス賞が与えられます。)

「Seed 山種美術館 日本画アワード 2019」展は8月23日までです。会期が短いのですぐにでも山種美術館へ行きましょう!!


「Seed 山種美術館 日本画アワード 2019 ―未来をになう日本画新世代―」展

会期:2019年8月10日(土)〜8月23日(金)
開館時間:午前10時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:8月13日(火)、19日(月)
主催・会場:山種美術館
http://www.yamatane-museum.jp/
後援:文化庁、東京都、読売新聞社
協賛:セイコーホールディングス株式会社
協力:谷中得応軒


第二展示室には酒井抱一はじめとする山種美術館所蔵の江戸絵画が特別展示されています。

【次回展】

「大観・春草・玉堂・龍子―日本画のパイオニア」
会期:2019年8月31日(土)〜10月27日(日)


『新装版 日本画画材と技法の秘伝集: 狩野派絵師から現代画家までに学ぶ』

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山種美術館では、日本画の奨励・普及活動の一環として、1971(昭和46)年に「山種美術館賞」を創設し、1997(平成9)年までの隔年14回にわたり、「山種美術館賞展 今日の日本画」を実施しました。2016(平成28)年には、当館の開館50周年を記念し、かつての「山種美術館賞」の趣旨を継承しつつ、装いを新たにした公募展「Seed 山種美術館 日本画アワード」をスタートさせました。本アワードは、日本画の新たな創造に努める優秀な画家の発掘と奨励を目指すもので、この取り組みを通じて、新しい時代に向けた日本画家の育成と日本画の発展に貢献することができればと願っています。

第2回目(「山種美術館賞」から数えて通算16回目)となる今回のアワードでは、7人の審査員による厳正な審査の結果、全189点の応募作品の中から、大賞・安原成美《雨後のほほ》、優秀賞・青木秀明《鴯鶓(エミュー)ノ図 −飛べない鳥−》、特別賞(セイコー賞)・近藤守《nostalgie》、および奨励賞として、江川直也《雪野に佇む》、北川安希子《新天地》、外山諒《Loka-dhaatu》、永岡郁美《青想夜夢》、森萌衣《団欒》の5作品の受賞が決定しました。

本展では、これらの受賞作品をはじめとする入選作品全44点を一堂に公開します。今後の活躍が期待される若手画家たちの作品を通して、日本画の新たな息吹と確かな未来を感じ取っていただければ幸いです。

なお、本展会期中には、当館コレクションの中から、重要文化財を含む江戸絵画の優品を厳選して展示し、近代・現代日本画の礎となった古典絵画の世界もご紹介します。若手画家の入選作品とあわせて是非ご覧ください。
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