青い日記帳 

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「シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート」

ポーラ美術館で開催中の
「シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート」展に行って来ました。


https://www.polamuseum.or.jp/

箱根の自然に囲まれたポーラ美術館で開催される初めての現代アート展「シンコペーション」。

モネの「睡蓮」やガレやピカソのなどの名画・名品を観たいのに、箱根まで行って分けの分からない現代アートはちょっと…と懸念されている方。ご心配は無用です。

セレスト・ブルシエ=ムジュノによる「クリナメン v.7」2019年。写真だけでも外の自然を借景にしとても美しく見えます。これに「音」が加わるのです。


https://twitter.com/taktwi/status/1159984017573216256

こちらに動画を載せてあります。是非耳を澄ませて聴いてみて下さい。

すぐ近くには自宅に睡蓮の浮かぶ池を造成して水面を繰り返し描いたモネの「睡蓮」が「クリナメン v.7」に呼応するかのように展示されています。


クロード・モネ「睡蓮」1907年
ポーラ美術館蔵

そう、この展覧会では第一線で活躍する12組の現代作家たちと、モネやピカソら近代芸術の巨匠とのセッションが組まれているのです。

タイトルに自体にこの展覧会に込めた想いが示されています。
展覧会タイトルである「シンコペーション」(切分法)とは、音楽において、軸となる拍の位置を意図的にずらし、リズムを変化させることで楽曲に表情や緊張感をあたえる手法です。

オリヴァー・ビア「悪魔たち」2017年

目で観るだけの展示ではなく、耳で聴く要素を一貫したテーマとして据えています。だからともすればバラバラになりがちな現代アーティスト12組の作品が、見事に調和のあるひとつの全体としてまとまっているのです。

とにかく、2フロアから成る展示会場のどこにいても何かしらの「音」が耳に入って来ます。聴覚ばかりに気を取られていると、突如としてポーラ美術館所蔵の名画も現れるとても贅沢な展示構成です。


ピエール・オーギュスト・ルノワール「アネモネ」、「水差し
ポーラ美術館所蔵

とは言え、いつもと展示の雰囲気が何やら違いますよね。展示室の壁が真黒です。黒地に絵画を掛けて見せることまずありません。はたしてこのルノワールの作品はどんな環境に置かれているのでしょう。

そして誰のどのような現代アート作品とコラボしているのでしょう。もちろん「音」にも耳を傾けながら。

12組の作家の数名を紹介しただけですが、とても観たくなりましたでしょ。では何故敬遠されがちな現代アート展にも関わらず、こんな魅力的な展覧会が出来たのでしょう。


渡辺豊×ポール・セザンヌ「アルルカン」1888-1890年 ポーラ美術館所蔵

ポーラ美術館所蔵の巨匠たちとのコラボしている点は、理由のひとつとしてあることは間違いありません。

それに加え、ポーラ美術館が長年に渡り、現代作家たちを支援し続けてきたことが、最も大きな理由なのではないでしょうか。つまり、よく彼らを知っていたわけです。銀座にあるポーラ美術館アネックスでの展示も含めて。

公益財団法人ポーラ美術振興財団
(詳しくはこちらを是非)


アブデルカデル・バンシャンマ「ボディ・オブ・ゴースト」2019年
ギュスターヴ・クールベ 「岩のある風景」ポーラ美術館蔵

よくぞ選んでくれました!と声をあげたくなる作家さんたちが、ポーラ美術館の名画と上手くコラボしたり、逆にちょっと距離を置いたりしながら自由に展示空間を楽しみながら展示している感じが随所で伝わってきます。

「これって何なの?」「意味不明…」的な作品が少なく、非常にとっつきやすい現代アート展に仕上げているのは流石です。

遠方の芸術祭に行かずとも箱根で十分事足りると、一緒に観に行った知人が言っていたこと、なるほど尤もです。だって館内だけでなく外にもこれまた極上の作品があるのですから。


スーザン・フィリップス「森を駆け抜けて」2019年

音楽の印象派とも称される作曲家ラヴェルの楽曲から笛(フルート)の音色を抽出、それを音階ごとに解体し、それぞれの音を11のスピーカーから個別に響かせています。

富士箱根伊豆国立公園内に建つポーラ美術館の周囲は自然豊かな森に覆われています。そこに設けられた散策路ポーラ美術館「森の遊歩道の途中にスーザン・フィリップスのインスタレーションがあるのです。

大自然の中に静かにそして心地よく響き渡る音色。「あぁ、箱根に来て、ポーラ美術館の現代アート展に来て良かった〜」と誰しもが思うことでしょう。


アンリ・マティス「リュート」1943年

展覧会の最初と最後の展示がマティスの音楽に関わる作品となっている点もお見逃しなきように。「シンコペーション」をタクトを振っているかのようです。

「シンコペーション展」は12月1日までです。是非是非!季節によっても見え方感じ方が変わるはず。さていつ観にいきます?!


「シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート」展

開催期間:2019年8月10日(土)〜12月1日(日)
会期中無休
開館時間:9:00〜17:00(最終入館は16:30)
会場:ポーラ美術館
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
https://www.polamuseum.or.jp/
主催:公益財団法人ポーラ美術振興財団 ポーラ美術館
協力:レントシーバー
機材協力:キヤノンマーケティングジャパン株式会社

《参加アーティスト》
オリヴァー・ビア、アブデルカデル・バンシャンマ、セレスト・ブルシエ=ムジュノ、カンディダ・ヘーファー、石塚 元太良、磯谷 博史、アリシア・クワデ、スーザン・フィリップス、プリンツ・ゴラム、ヴォルフガング・ティルマンス、渡辺 豊、横溝 静


ポーラ美術館併設レストラン「アレイ」限定コースメニュー「シンコペーション」

ポーラ美術館のレストラン・カフェは拙著『カフェのある美術館 素敵な時間をたのしむ』でたっぷりと紹介してあります。


『カフェのある美術館 素敵な時間をたのしむ』

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@taktwi

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http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5593

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本展覧会は、ポーラ美術館の絵画、彫刻、東洋陶磁など多岐にわたるコレクションを、現代美術の第一線で活躍する作家たちの作品とともにご紹介するものです。2002年の開館以来、現代美術の作家たちに焦点をあてる本格的な企画展は、今回の展覧会が初となります。これまで、モネやピカソといったコレクションの中核をなす作家をはじめ、巨匠たちの作品とともに歩んできたポーラ美術館は、同時代の表現へと展望を拡げ、新たな一歩を踏み出します。

展覧会タイトルである「シンコペーション」(切分法)とは、音楽において、リズムを意図的にずらし、楽曲に表情や緊張感をあたえる手法です。空間全体に広がるインスタレーション、音、映像、野外展示、写真、絵画など、現代の作家たちによる多様な表現は、時代や国境を越えて過去の巨匠たちの作品に今日的な光を当て、現代を生きる私たちの感覚を揺さぶる、さまざまなリズムをもたらします。

大自然の懐に抱かれたポーラ美術館は「自然と美術の共生」を謳(うた)い、本来は密接であった両者の繋がりを取り戻すことを目指してきました。美術における過去と現在の表現もまた、断絶するものではなく、絶えず新たな関係を紡いでゆくべきものでしょう。コレクションの数々が内包する時間とリズムが、現代の表現と出会い、箱根の豊かな自然のなかで新たな響きをうみだします。
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