青い日記帳 

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「茂木本家美術館の北斎名品展」

すみだ北斎美術館で開催中の
北斎没後170年記念「茂木本家美術館の北斎名品展」に行って来ました。


https://hokusai-museum.jp/

海外の方からも高い人気を誇る、「赤富士」の名で知られる葛飾北斎の代表作「冨嶽三十六景 凱風快晴」


葛飾北斎「冨嶽三十六景 凱風快晴」(前期展示)
茂木本家美術館蔵

丁度今頃の時季でしょうか。夏から秋にかけての早朝、富士山が朝日を浴びて山肌が赤く染まることがあります。実際に見たことはなくても、北斎のこの作品で何度もその瞬間を目にしています。

京都の山を「春はあけぼの やうやう白くなりゆく山際 少し明かりて 紫だちたる雲の細くたなびきたる」と抒情的に綴った清少納言に対し、北斎は非常にダイナミックにそして力みなぎる堂々たる富士の山を描いています。


葛飾北斎「冨嶽三十六景 凱風快晴」(前期展示)
茂木本家美術館蔵

そんな超メジャーな「冨嶽三十六景 凱風快晴」(赤富士)に、「青富士」(藍摺版)と呼ばれる別バージョンがあったことご存知でしたでしょうか?

百聞は一見に如かず。「青富士」も存在したのです。それがこちら。


葛飾北斎「冨嶽三十六景 凱風快晴」(藍摺版
(前期)
茂木本家美術館蔵

山体の赤色(朱色)が象徴的な「冨嶽三十六景 凱風快晴」(赤富士)に対し、この「青富士」こと「冨嶽三十六景 凱風快晴」(藍摺版)では、山の稜線に添って濃いめの藍色で表現しています。

絵画は「色」と「線」でそもそも構成されているものですから、二大要素のうちのひとつである「色」が変われば、当然ながら作品もがらりと印象が違ってきます。



力強さと迫力を備える「赤富士」に対し、「青富士」からは形而上的なものすら感じられます。

しかし、よくよく考えてみれば富士山を青色で表現するのは至極普通のことで北斎の他のほとんどの作品(およそ7割)でも青(藍)で描かれています。

「赤富士」という超個性的な存在が脳内にある故、この「青富士」が奇異なものに見えてしまうのです。


葛飾北斎「冨嶽三十六景 凱風快晴」(藍摺版
(前期)
茂木本家美術館蔵

それでは、どんな理由からこの凱風快晴別バージョンである「青富士」が摺られたのでしょう。

資料が残っているわけでなはいのであくまでも憶測の域を出ませんが、「赤富士」で始め売り出され、趣向を変え「青富士」を出したものの売行きがパッとせず、また「赤富士」に戻ったのではないかと解説にありました。

詳しくは図録もしくは会場の解説パネルで。摺り物なので摩耗の進み具合によりだいたいどの順序で出されたかがわかるのです。



展覧会会場では「赤富士」「青富士」が仲良く並んで展示されています。行ったり来たりしながらじっくりと観比べてみて下さい。「青富士」の残雪が虫食いのように見えてしまったりと、「赤富士」だけでは感じ得られないものが出てきます。

(注)「青富士」の展示は前期:10月6日(日)までです。世界的にもレアな「青富士」をお見逃しなきように!

展覧会の構成は以下の通りです。

1章 富士を旅する―冨嶽三十六景―
2章 瀧をめぐる―諸国瀧廻り―
3章 奇しき橋をのぞむ―諸国名橋奇覧―
4章 北斎さまざま
5章 門人へのまなざし



「諸国瀧廻り」

今回の展示作品は全て、千葉県野田市にある茂木本家美術館所蔵のものです。野田といえば醤油とホワイト餃子の街として有名です。

キッコーマンの創業家一つである茂木本家十二代当主茂木七左衞門氏(1907-2012)が蒐集した北斎コレクションを予約制で公開しているのが茂木本家美術館です。


葛飾北斎「冨嶽三十六景 甲州石班沢
(後期)
茂木本家美術館蔵

野田まで観に行くにはホワイト餃子とセットでないと中々重い腰があがりません。それが両国のすみだ北斎美術館でまとめて観られるのですから、今すぐにでも行かねばなりません。

ザ・北斎というメジャー作品一挙公開的な展示構成となっている中にあり、「5章 門人へのまなざし」が良い意味で異彩を放っています。


魚屋北溪「諸国名所 駿州大宮口登山
(後期)
茂木本家美術館蔵

前期の目玉は何といってもこれでしょう〜


柳々居辰斎「六郷渡」(前期)
茂木本家美術館蔵

生没年不詳の北斎の初期の門人。洋風かぶれで東インド会社VOCマークなどを描き込んでいます。

この作品に表現されたどこか不思議な違和感のある風景も元ネタとなるオランダ版画があるのかもしれません。

北斎の作品散々展覧会や本で目にしたはずなのに、まだまだ初見のものがあるとは…画狂老人オソルベシです。そして質の高い茂木本家美術館コレクションも!

「茂木本家美術館の北斎名品展」は11月4日までです。浮世絵の展示期間はとても短いのでもうすぐにでも観に行きましょう。おススメです!


北斎没後170年記念 茂木本家美術館の北斎名品展

会期:9月10日(火)〜11月4日(月・振替休日)
※前後期で一部展示替えあり。
前期:9月10日(火)〜10月6日(日)
後期:10月8日(火)〜11月4日(月・振替休日)
開館時間:9:30〜17:30(入館は17:00まで)
休館日:9月17日(火)、24日(火)、30日(月)、10月7日(月)、15日(火)、21日(月)、28日(月)
会場:すみだ北斎美術館
https://hokusai-museum.jp/
主催:墨田区・すみだ北斎美術館
企画協力:茂木本家美術館

【次回展】

「北斎 視覚のマジック」
小布施北斎館名品展

会期:2019年11月19日〜2020年1月19日


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茂木本家美術館は、キッコーマン創業家の一つである茂木本家十二代当主茂木七左衞門氏(1907-2012)が収集した美術品を展示する館として、2006年に千葉県野田市に開館しました。本展では、浮世絵や近現代作家の作品など多岐にわたる所蔵品の中から、北斎の代表的なシリーズとして知られる「冨嶽三十六景」「諸国名橋奇覧」「諸国瀧廻り」のほか、「詩歌写真鏡」シリーズや、「木曽路名所一覧」、『北斎漫画』全冊、『富嶽百景』など、さまざまな錦絵・摺物・版本に加え、門人たちの稀少な作品、籔内佐斗司氏による1点ものの北斎の彫刻など、前後期あわせて116点の北斎関連作品を展覧します。同館の北斎関連作品を一挙に公開する展示は、今回が初の機会となります。この機会にぜひお越しください。
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