青い日記帳 

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「コートールド美術館展」

東京都美術館で開催中の
「コートールド美術館展 魅惑の印象派」に行って来ました。


https://courtauld.jp/

日本橋高島屋で1997年に開催された「コートールド・コレクション展—印象派の至宝」で、そのコレクションの質の高さに度肝を抜かれてから早22年。

あの感動が再び日本で味わえる時が来ようとは。しかも今回は百貨店ではなく東京都美術館での展示。ボリュームもぐーんと増えています。



松方コレクション展」の松方幸次郎とほぼ同時代に、実業家サミュエル・コートールドが収集したコレクションをまとめて観られる好機です。

同じコレクターでも蒐集には自然と違いが出てくるものです。双方の展覧会を観ればそれはすぐに分かります。

コートールド・コレクション最大の売りは何と言ってもセザンヌ。まだ当時認められていなかったセザンヌの先見性・独自性にいち早く目を付けます。


ポール・セザンヌ「アヌシー湖」1896年

世界中広しといえどもこれだけ質の高いセザンヌ作品を数多く揃えているのは、コートールド・コレクションとバーンズ・コレクションだけでしょう。

セザンヌを紹介する本で何度も目にしたことのある名品中の名品がぞろぞろと展覧会序盤から浪のように襲い掛かって来ます。3フロアから成る東京都美術館ですが、最初の階だけで十分チケット代は回収できます。


ポール・セザンヌ「大きな松のあるサント=ヴィクトワール山」1887年、「ノルマンディーの農場、夏(アッタンヴィル)」1882年

セザンヌが得意とした風景画だけでなく、人物画や静物画など幅広いジャンルの作品が次から次へと目の前に登場します。

しかも制作年代もばらけているので、はっきり言って国内で開催されたどの「セザンヌ展」よりも見応えがあるように思えてしまいます。


ポール・セザンヌ「キューピッドの石膏像のある静物」1894年頃

画面中央に描かれたキューピッドの石膏像はあくまでも「おまけ」で、見どころは「キューピッド」以外。たとえば…


ポール・セザンヌ「キューピッドの石膏像のある静物」(部分)

複雑な構成となっています。もはやトリックアート。現実を描いていながらセザンヌは頭の中で再構築しそれをキャンバスに何食わぬ顔で描くのを得意としました。

この拡大部分だけでなく「背景」として描かれている部分で好き勝手やってくれています。もうたまりませんよね。尤も美大の入試なら原点どころか間違いなく落とされますが。



セザンヌの関連資料としてエミール・ベルナールに宛てたセザンヌの手紙も展示されています。彼の芸術論がたっぷりとこの手紙に書かれています。

展覧会の構成は以下の通りです。

1:画家の言葉から読み解く
2:時代背景から読み解く
3:素材・技法から読み解く



ロンドン市内にあるコートールド美術館外観
https://www.somersethouse.org.uk/whats-on/courtauld-gallery

展示作品がどれも本当に素晴らしいものばかりなので、展示構成も極めてシンプル。素材が良いと下手な味付けをしない方が美味しくいただけるのと一緒です。

感心したのは、主要作品にそれぞれ大型パネルで「見どころ」が分かりやすく明示されている点です。


エドゥアール・マネ「フォリー=ベルジェールのバー」1882年

例えばチラシ・ポスターを飾るマネのこの謎めいた作品にもこんな丁寧な解説パネルが鑑賞の邪魔にならない場所に掲出されています。


これと同様の解説が展覧会図録にも載っており、とても鑑賞者ファーストの姿勢が随所で感じ取れます。

それにしても、マネ「フォリー=ベルジェールのバー」は不思議な作品です。何も予備知識なく観ていてもそこかしこにツッコミどころがあり飽きさせません。

中野京子先生もこの絵が大変お好きで近著でも表紙に用いているほどです。→若さと綺麗な顔だけを武器に――マネ『フォリー・ベルジェールのバー』


中野京子と読み解く 運命の絵 もう逃れられない

ひとつの展覧会で1枚でも気に入った作品があれば、満足度はグンと高まるものです。今回はそれが数えきれないほどありました。

ホイッスラー「少女と桜」
フィンセント・ファン・ゴッホ「花咲く桃の木々」
クロード・モネ「花瓶」
アルフレッド・シスレー「雪、ルーヴシエンヌにて」
アンリ・ルソー「税関」
ピエール=オーギュスト・ルノワール「春、シャトゥー」
エドガー・ドガ「舞台上の二人の踊り子」
エドゥアール・マネ「草上の昼食」
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック「ジャヌ・アヴリル、ムーラン・ルージュの入口にて」
ジョルジュ・スーラ「クールブヴォワの橋」
アメデオ・モディリアーニ「裸婦」
シャイム・スーティン「白いブラウスを着た若い女」
ピエール・ボナール「青いバルコニー」

最後の一枚はやはりセザンヌで。


ポール・セザンヌ「曲がり道」1905年頃
油彩、カンヴァス

今年の西洋絵画の展覧会の中で群を抜いています。頭ひとつどころか二つも三つも。個人的にも年間ベスト10入り確定の贅沢過ぎる内容でした。

これだけの作品をイギリスに行かずに観られる幸せ。「コートールド美術館展」は12月15日までです。絶対混雑するのでなるべくお早めに!

なお9、月18日、10月16日、11月20日はシルバーデー。65歳以上の方は無料。めっちゃ混雑します。要注意!


「コートールド美術館展 魅惑の印象派」

会期:2019年9月10日(火)〜12月15日(日)
休館日:月曜日、9月17日(火)、9月24日(火)、10月15日(火)、11月5日(火)
※ただし、9月16日(月・祝)、9月23日(月・祝)、10月14日(月・祝)、11月4日(月・休)は開室
開館時間:9:30〜17:30(入室は閉室の30分前まで)
夜間開館:金曜日、11月2日(土)は9:30〜20:00(入室は閉室の30分前まで)
会場:東京都美術館
https://www.tobikan.jp/
主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、朝日新聞社、NHK、NHKプロモーション
後援:ブリティッシュ・カウンシル
協賛:凸版印刷、三井物産、鹿島建設、ダイキン工業、大和ハウス工業、東レ
協力:日本航空
特設WEBサイト:https://courtauld.jp


展覧会オリジナルグッズも作品力を前面に押し出した良品揃いです。


伊庭靖子展 まなざしのあわい」も東京都美術館で10月9日まで開催しています。こちらも是非是非!!


コートールド美術館名画鑑賞ガイド (AERAムック)

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@taktwi

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ロンドンにあるコートールド美術館のコレクションから、印象派・ポスト印象派の作品を紹介します。実業家サミュエル・コートールドが収集したコレクションを核に1932年に設立された同館は、美術史や保存修復において世界有数の研究機関であるコートールド美術研究所の展示施設です。本展覧会では、その研究機関としての側面にも注目し、画家の語った言葉や同時代の状況、制作の背景、科学調査により明らかになった制作の過程なども紹介し、作品を読み解いていきます。
日本の風景のようだと語られたファン・ゴッホによるアルルの風景《花咲く桃の木々》、19世紀後半の近代都市パリの風俗を映すルノワールの《桟敷席》やマネの《フォリー=ベルジェールのバー》、科学調査が作品の秘密を解き明かしたゴーガンの《ネヴァーモア》やモディリアーニの《裸婦》などをはじめ、選りすぐりの絵画・彫刻約60点を展示します。
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