青い日記帳 

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「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密展」

練馬区立美術館で開催中の
「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密展」に行って来ました。


https://www.neribun.or.jp/museum.html

2016年4月から伊丹市立美術館を皮切りに日本全国8か所を巡回している「エドワード・ゴーリー展」がいよいよ23区内の美術館へやってきました。

アメリカの絵本作家として世界中に多くのファンを抱えるエドワード・ゴーリー(Edward Gorey, 1925年〜 2000年)。

その独特の画風やストーリーから奇才と呼ぶに最もふさわしい作家のひとりと言えます。


エドワード・ゴーリー「ギャシュリークラムのちびっ子たち」1963年

お気に入りのペンで描かれた細い線で表現された原画が数多く出ています。一般的な絵本の原画展だと思っていたより作品数が少なかったりするものです。

いちばん問題となるのは原画のサイズです。宗教画ほど巨大でなないにせよ、まぁそれなりの大きさがあるため、美術館に展示出来る枚数もおのずとその数が決まってしまいます。

翻ってゴーリーはどうでしょう?彼は実際に本に掲載される際のサイズで描くことを心掛けました。つまりとても小さいのです。本の1ページ分あればまだ大きい方です。

イメージ的にはポストカードサイズだと思って下さい。それゆえ、原画だけでも約160点も展示されているのです。因みに生涯に上梓した自著は100冊以上!


エドワード・ゴーリー「うろんな客」1957年


うろんな客

うろん【胡乱】
1 正体の怪しく疑わしいこと。また、そのさま。「胡乱な者がうろついている」
2 確かでないこと。真実かどうか疑わしいこと。また、そのさま。
3 乱雑であること。また、そのさま。


多くのゴーリーの原画を一度にたくさん見られるのはファンのみならず、とても喜ばしいことなのですが、小さいので最前列でないと細かな線まで見えません。

それと描き込まれている情報量が一見シンプルなようで、実は含みや遊びが散りばめられているので、滞留時間が長くなり「渋滞」が発生します。

単眼鏡無くしてこの展覧会は乗り切れません!


エドワード・ゴーリー「不幸な子供」1960年


不幸な子供

この『不幸な子供』など、少女が登場する絵には全てどこかに「怪物」がこっそりと描き込まれていたりします。ベットの下や階段の途中はたまた…

「いつかは幸せになれるはず」という読者の願いをその「怪物」たちことごとく食い散らかし、そして運命の結末へ誘います。。。

マックス・エルンストや、ムーミンの作者トーベ・ヤンソンが彼の愛読者だったのも納得です。

展覧会の構成は以下の通りです。

第1章 主著:ゴーリーによるゴーリーの世界
第2章 イギリスのナンセンス詩や文学とゴーリーの挿絵 
第3章 ゴーリーの多様な創作と舞台美術 


ゴーリーは、幼い頃から芸術に親しみ、ハーバード大学ではフランス文学を専攻。アメリカ、ヨーロッパの舞台芸術にとどまらず、日本の歌舞伎にも興味関心を寄せた、芸術に対して貪欲な人物でした。

だからこそ、オノマトペだけで台詞のない絵本や不気味でありながらユーモアも兼ね備えた、彼独特の世界観を作り出すことに成功したのでしょう。


エドワード・ゴーリー「輝ける鼻のどんぐり」1969年

イギリスの児童文学作家、エドワード・リア(1812-1888)をリスペクトし描いた作品など、イギリス文学との関わりを示したセクションもあります。

挿絵や装丁の仕事に加え、ゴーリーは舞台のセットや衣装デザインも数多く手掛けています。25年間ほぼ全ての作品を観たとニューヨーク・シティ・バレエも様々な形で貢献しました。


エドワード・ゴーリー「キャッツ ポッサムおじさんの実用猫百科」1982年


キャッツ ポッサムおじさんの実用猫百科

トマス・スターンズ・エリオット(1888-1965)による「キャッツ ポッサムおじさんの実用猫百科」は、ミュージカル『キャッツ』の原作となったお話です。

この表紙や挿絵もゴーリーが手掛けています。暗くシニカルな作品が多い印象のゴーリーですが、表の顔は無類の猫好きオジサンでした。これは喜んで引き受けた仕事に間違いありません。


エドワード・ゴーリー「空飛ぶ猫のいる自画像


エドワード・ゴーリーの優雅な秘密: 展覧会公式図録

。とても見応えのある展覧会でした。最後に絵本が読めるコーナーも設けられています。まずは絵画作品として一枚一枚じっくりと目を凝らして観て下さい。

不気味さナンセンスと優雅さユーモアを兼ね備えた唯一無二の世界観。中毒性高し。

そうそう、作品解説の文中に黒字で強調されている文字が数か所あります。それを第一展示室から拾い上げていくと…ある言葉になります。中々心憎い仕掛けです。

「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密」展は11月24日までです。なるべく空いている曜日や時間帯を狙って行きましょう。


「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密」 

会期:2019年9月29日(日)〜11月24日(日)
休館日:月曜日
※ただし、10月14日(月・祝)・11月4日(月・休)は開館、10月15日(火)・11月5日(火)は休館
開館時間:午前10時〜午後6時 
※入館は午後5時30分まで
会場:練馬区立美術館
https://www.neribun.or.jp/museum.html
主催:練馬区立美術館(公益財団法人練馬区文化振興協会)
協力:Edward Gorey Charitable Trust、Brandywine River Museum、株式会社 河出書房新社
後援:一般社団法人日本国際児童図書評議会(JBBY)
企画協力:株式会社イデッフ


エドワード・ゴーリー(Edward Gorey, 1925年〜 2000年)


『MOE特別編集 エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』 (白泉社ムック)

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http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5629

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アメリカの絵本作家エドワード・ゴーリー(Edward Gorey/1925−2000)の展覧会を開催します。アイロニカルで少し不気味な独特の世界観と、繊細なモノクロームの線描は、世界中の人々を魅了しています。近年、『うろんな客(The Doubtful Guest)』『不幸な子供(The Hapless Child)』などの絵本の翻訳が次々と発表されたことにより、日本でもその人気が高まっています。ゴーリーは、新聞記者の父エドワード・リード・ゴーリーと母ヘレン・デュマのもとに、シカゴで生まれました。少年時代より読書好きで、イギリス古典文学にも親しみました。美術を学ぶために、シカゴ・アート・インスティチュートに進学したゴーリーは、第2次世界大戦での従軍により学業が一時中断されたものの、終戦後にはハーバード大学へ進み、フランス文学を専攻します。この学生時代に、美術と文学のみならず、歌舞伎やバレエなどの舞台芸術や様々な分野、地域の芸術に対する造詣を深めました。学生時代に養われた芸術への見識は、彼の創作の根幹を築いています。ゴーリーは、1950年から本の制作活動をスタートします。彼の絵本世界は、幻惑的な物語と繊細で優雅なイラストで構成されています。文学に傾倒したゴーリーらしく、古語や造語、押韻などが散りばめられたテキストによって、複雑で謎解きのようなストーリーが組み立てられ、細いペンで描かれた個性的で不思議な登場人物たちが物語の世界を演じて見せます。また、ゴーリーが生み出したのは絵本の世界だけではありません。舞台芸術を愛した彼は、それらの衣装や舞台デザインやポスターなども手掛けています。このようなゴーリーの世界観に、シュールレアリストのマックス・エルンストや映画監督のティム・バートンなど多くの芸術家や文化人が魅了されています。ゴーリー自身が、ファイン・アートからポピュラー・カルチャーまで、ジャンルに囚われず幅広く愛好したように、彼の芸術はあらゆる新しい創作の源泉となっています。本展は、ゴーリーの没後に、エドワード・ゴーリー公益信託とブランディーワイン・リバー美術館によって準備された世界巡回の原画展を、日本ではじめて公開するもので、2016年より日本全国各地で巡回しています。原画に資料や書籍などを加えた約350点から、ゴーリーの世界観を紹介します。
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- | - | 2019/10/08 6:06 PM