青い日記帳 

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アーティスト・トーク「町田久美×三瀬夏之介」

東京都現代美術館で開催中の
「MOTアニュアル2006 No Border ー「日本画」から/「日本画」へ」

関連イベントとして出品作家によるトークセッションが
3回に分けて開催されました。



1月22日 天明屋尚×松井冬子 →行って来ました!詳しくはこちら
2月26日 篠塚聖哉×長沢明×吉田有紀 →熱出して参加できず…
3月05日 町田久美×三瀬夏之介 ←今回参加したのがこれ。

1970年生まれ
1994年多摩美術大学絵画学科日本画専攻卒業の
町田久美さん。


1973年生まれ
1999年京都市立芸術大学大学院絵画専攻美術研究科修了の
三瀬夏之介さん。


ボーダーのセーター姿の三瀬さんと
全身黒づくめの町田さん(ベレー帽から靴まで黒黒黒)
レセプションの時も全身黒でした。。。

まず三瀬さんが話しの導入としてお勤めになっている高校で生徒さんに
町田さんの作品を見せて素直に意見感想を書いてもらったものを紹介。

高校生女子「怖い。でも何か温度を感じた。」
高校生男子「全部がコワイ作品。」などなど。
予想通りでもある反面、鋭い視点の感想もあって高校生の感性にビックリ。

その「感想文」を町田さんに三瀬さんからプレゼント。

こんな感じのスタート。その後も三瀬さんがトークをリードしていました。

三瀬さんが突然こんな話をふりました。
「不登校などの子供が半分ほどいる学校に勤務していると、生徒の中にはリストカットの跡がある子が何人かいる。その手首を切った痕跡を見ると、リストカットしている瞬間と墨で和紙に線を引いている瞬間の心理っは似かよったものがあるように思うんだけど、どうかな?」
(↑これを関西弁、奈良弁なのかな?で話す三瀬さん)

話をふられた町田さんは「えっ!」ってな感じの表情。
町田さんの作品「線」が命ですからね。

更に三瀬さん「雲和紙に線を引くってどんな感じ?」
(「リストカットも手首=に線を引くけど」)

町田さん「ギリギリと線を引いています。」

淫蕩学校
淫蕩学校
マルキ・ド・サド, 町田 久美, 澁澤 龍彦

【アトリエについて】

三瀬さん「あの部屋で?」
「皆さん見ました??『日経ウーマン』町田さんの部屋載ってますよ〜イメージとは全然違う部屋。もうファンシーでウッディーで・・・」

突然の部屋の話題に焦り困り顔の町田さん。
「殺伐とした部屋で殺伐とした絵を描くと救われないので部屋兼アトリエを改装しました。6畳の部屋二つ繋げて。でも狭くて作品をひきで見られません。」

(この部屋は確かに『日経ウーマン』3月号に載っていました。町田さんも勿論一緒に写ってました。「スタイルのある暮らしを選んだ女性たち」という特集記事です。)

三瀬さん「自分は学校で描くことがほとんど。それと近所の森の中で描くことも。自宅では描きません。」

【作品について】

町田さん「画面に線を引き形を作ったときに自分の主張はそこで終り。あとは受けての方次第。自分の作品については言葉では説明できません。」

三瀬さん「一言で表すとペラペラ。富士山の絵を描いた時も『富士山登るで〜って』端っこから描き始めてその日の分描いたらそこへ宿屋を描く。『今夜はここへ寝るって。』でまた次の日そこから描き始めて富士山を描く。でも一つ富士山を描いてしまうと、もっと大きな富士山描きたく(登りたくなる)から一枚の作品の中に富士山がいっぱい出来てしまう。からっぽな作品。」

更に機関銃のように言葉は続き・・・(以下省略)メモしきれないって!
こんな調子で三瀬さんが9割、町田さんが残り1の割合のトークは進み…


また、いきなり三瀬さんが
「和紙を汚しているっていう感覚ある?」

町田さんそれに応えて「汚しているという感覚はない。線で境界を引いている感じ。結界を作っている感覚。」

そして三瀬さん哲学を語る。
「和紙を汚してながらも生きなければならない、描かねばならないってのは、生き物を食べながらも生きる感覚のよう。また環境を汚染してでも便利さを求めて生活しているような気持ちがある。自分はあんな綺麗な和紙を汚しながらも生きなきゃあかんねん。」
↑熱く熱く語る三瀬さん。

それに対して町田さんのカウンター
「私ねり消しの使い方最近まで知らなかったんです」
とマイクを口にぶつけながら突然話す。

その後も三瀬さんの熱いトークは繰り広げられ
「現代アートでは出来ない対話が日本画ならできると思って自分は日本画を今描いている。例えば富士山が描かれていればそれを足がかりに観た人と自分で話しがしやすくなる。そこから新たなものが生まれる可能性がある。」

「富士山はもう飽きたので今は大仏を描いている。ところが何度描いても似ない。結構手ごわいよ〜大仏。」
三瀬さんのblogにも大仏の作品upしてありますが確かに似てない)

【出身地について】

町田さんは群馬県、三瀬さんは奈良県の出身。
三瀬さんは出身地奈良について某雑誌の対談で「嫌い」と言っていたので
「出たか〜」と思いました。

町田さんもあまり良い印象は持っていないような発言をしていました。

三瀬さんが「新興住宅地育ち」だということを強調していましたが
いわゆる「郊外論」に関連するようなことを言いたいのかな〜と
勝手に想像してしまいました。

私の好きな作家さんの古橋信孝氏はこんなことを述べていらっしゃいます。
平安京の都市生活と郊外
平安京の都市生活と郊外
古橋 信孝

このように、郊外は神々の世界との境界、外国との境界であった。もちろん、田舎との境界でもある。しかし、田圃もあり農家もあり、都市的なものと村落的なものが入り交じる空間であり、神々の空間であると同時に人々の空間でもある。平安時代には、神社、寺院、別荘、菜園なども営まれ、また郊外から都市の職場に通う者たちもいた。それゆえ、都市民もさほどの畏れを抱かずに逍遥することもできた。神も人も、内も外も混在する具体的な場所が郊外であり、都市はそういう空間をもつことで成り立っていたのである。
ということは、都市は郊外をもつことで外の世界との対立を緩和していたともいえる。外のものはこの混在する空間によって異質性を弱められ、受容を容易にされた。これは逆からも成り立つはずだ。つまり、こちら側も向こう側も対等の世界であった。たがいに受け容れやすいように変容する空間だったのである。


【質問コーナー】

あっという間の1時間が過ぎてしまい何名かの方から質問がありました。

Q.「どうやって作品を描かれていますか?」

町田さん
「イメージまずありき。でも最終的には2,3割しか残りません。」
(↑『美術手帖』2005年5月号にインタビューとして載ってます)

Q.「ポップアートと自分の作品を思いますか?」

三瀬さん
「ポップアートとは思わない。泥臭いものと思っている。」

町田さん
「描いている本人は重いモノを描いているつもり。でも受け手によってそれをポップと思われ捉えられるのは面白いことです。」

Q.「今一番気になるもの、原動力は何ですか?」

三瀬さん
「ピコピコした感じのテクノ。気の遠くなるような薄っぺらさがいい。」
「それと日本画も。」

町田さん
「一番はないです。」
「でも、部屋に飾っておきたいものは叙情的なものがいいです。」

以上がトークショーの大雑把な内容です。
天明屋尚さんと松井冬子さんののんびりした(あまり会話のない)
トークショーとは打って変わってまさにトーク全快でした(三瀬さんの)

このトークを聞いた後、三瀬さんの作品をあらためて観ると
それまで抱いていた印象と全く違った捉え方感じ方ができました。

三瀬さんご自身のblog「シナプスの小人」でもこのトークショーの感想を書かれています。あわせて読まれると楽しめるかと思います。
講演会 | permalink | comments(5) | trackbacks(2)

この記事に対するコメント

TBありがとうございました。
いやあ、よくメモりましたね、すごいです。読んだ限り、内容に誤りないと思います。
今回はほんと、町田さんの作品に関心ありきで行ったので、三瀬さんの作品にはそこまで興味なかったのですがこのトークショーですごく気になり出してます。
ああいう話を聞くと、その想いと作品の関係を紐解きたくなるんですよね。
もう一回、行ってよーく見て、買わなかった図録も購入したいなと思うのでした。
このトークショーはTakさんのTBのおかげで行こうと思ったのでほんと感謝です。
あのタイミングでなかったら、たぶんあとでこの記事みてくやしがってたんでしょうね。
あおひー | 2006/03/08 10:41 PM
こんばんは、TBありがとうございます。
三瀬さんにはこの前日に銀座での個展でお目にかかっていろいろとお話ししてきました(「芸力」に近日インタビューを掲載予定です)。
描く「行為」も興味深いアーティストだと思います。

町田さんのお話も機会があれば聞いてみたいですね。
DADA. | 2006/03/09 1:26 AM
@あおひーさん
こんばんは。

三瀬さんのトークについていくことできませんでした。
途中で挫折しかけました。。。
町田さんのインタビュー記事は美術手帖でも読んでいたので
三瀬さんが自分としてはとても楽しみでした。
ブログもこの展覧会が始まってからずっとチェックしてました。
図録は綴じられていない面白いつくりです。

トークショーは一度でてみると病み付きになりますね。
3回とも全て行きたかったのですが・・・

これからもどうぞ宜しくお願いします。

@DADA.さん
こんばんは。

三瀬さんとどんなお話されたか
興味津々です。インタビュー掲載楽しみにしてます!!

町田さんは実はもっともっと話す方だと思います。
黒い服を纏って無口なイメージありますが。
DADA.さん、お話なさる機会きっとあるでしょうから
うまく聞き出してくださいね。
Tak管理人 | 2006/03/09 10:41 PM
三瀬さんの作品からわっと色んなイメージが押し寄せてくる
感じを受けたのですが、ご本人のトークもそういう感じ
だったのでしょうか。
レポートからかなり雰囲気が伝わってきました(笑)!
code_null | 2006/03/18 10:54 PM
@code_nullさん
こんばんは。

その通りです!
とめどなく言葉が溢れるように
出てきていました。楽しかったです。
記事にするのは大変でしたけどね。。。
Tak管理人 | 2006/03/18 11:38 PM
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町田久美 | Trikoの美的通信 | 2006/06/21 6:09 PM