青い日記帳 

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『マンガで教養 はじめての西洋絵画』

朝日新聞出版より刊行となった『マンガで教養 はじめての西洋絵画』を読んでみました。


『マンガで教養 はじめての西洋絵画』
川瀬佑介(監修)、にしうら染 (イラスト)

子供の頃は「漫画なんて読んでないで勉強しなさい!」とよく叱られたものです。その悪者の「マンガ」もひと昔前とくらべると漫画の社会的ポジションは随分と高くなってきました。

大学入試 マンガで日本史が面白いほどわかる本』こうした大学入試の参考書今では書店で沢山めにしますし、東大合格の勉強法まで漫画で読む時代となりました。


マンガでわかる 東大勉強法

気軽に見ているだけの動画コンテンツが彼らの生活の主体となっている昨今、漫画でさえも「読む」という能動的な手段、つまりちょっと面倒なものになっているのです。

要は、今の時代、漫画であってもひと昔前の蔑みの感は微塵もないどころか、逆に若者にとってはそろそろ敷居の高いコンテンツとなりはじめているのです。


『マンガで教養 はじめての西洋絵画』より。

少々前置きが長くなりましたが、今回発刊となった『マンガで教養 はじめての西洋絵画』は、「マンガで教養」と謳っているものの、漫画部分は導入に過ぎず、中身は超骨太な本格的な西洋美術本となっています。

それもそのはず、文章や絵画選定を行ったのは、国立西洋美術館主任研究員絵画・彫刻室長の川瀬佑介氏なのです。

川瀬佑介(かわせ・ゆうすけ)
1977年生まれ。国立西洋美術館主任研究員絵画・彫刻室長。東京藝術大学大学院博士課程修了後、メトロポリタン美術館、長崎県美術館学芸員などで美術史研究を重ねた。専門は17世紀を中心とするスペイン・イタリア美術史。2016年の「カラヴァッジョ展」「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」などを監修。



「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」
2020年3月3日(火)〜2020年6月14日(日)

来年(2020年)に開催される西洋美術の教科書「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」の担当学芸員を務めるのが、この本の監修者である川瀬氏なのです。

『マンガで教養 はじめての西洋絵画』の執筆を川瀬氏に依頼した時から、既に完成度の高い本が出来上がることは明々白々であったわけです。

そして、実際に手にしてみるとまた想像の更に上をいく出来栄えに驚かされました。この分量そしてこの細かい執筆作業をひとりで行うとは!図版に解説を限られた字数で入れることが如何に大変なことか!!

西洋美術史の流れをポンペイの壁画から20世紀絵画まで約70作品を取り上げ、一点一点見開きで(時に3ページ以上!)丁寧に紹介・解説して行きます。



『マンガで教養 はじめての西洋絵画』【目次】
1作目 西洋絵画の変遷をたどる
西洋美術史年表/西洋絵画の誕生

2作目 時代の名画を観る
<絵画の起源>
『ポンペイ壁画 ディオニュソスの秘儀』/『ナイルモザイク』/『テオドラと従者たち』 ほか

<ルネサンス>
マザッチョ『貢の銭』/ピエロ『キリストの笞打ち』/マンテーニャ『美徳の勝利』/ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』/ダ・ヴィンチ『モナ・リザ』 ほか

<北方ルネサンス>
ファン・エイク『アルノルフィーニ夫妻の肖像』/ファン・デル・ウェイデン『十字架降架』 ほか

<マニエリスム>
ブロンズィーノ『愛の寓意』/パルミジャニーノ『首の長い聖母』/ティントレット『最後の晩餐』 ほか



<バロック>
カラッチ『バッカスとアリアドネの凱旋』/カラヴァッジョ『聖マタイの召命』/スルバラン『聖ペドロ・ノラスコの幻視』/ベラスケス『ラス・メニーナス』 ほか

<ロココ>
ヴァトー『シテール島の巡礼』/フラゴナール『ぶらんこ』/シャルダン『パイプと水差し』

<新古典主義・ロマン主義>
ダヴィット『ホラティウスの誓い』/アングル『グランド・オダリスク』/ゴヤ『1808年5月3日』 ほか

<写実主義>
クールベ『画家のアトリエ』/ミレー『落穂拾い』/マネ『草上の昼食』

<印象派>
モネ『睡蓮』/ドガ『バレエのレッスン』/ルノワール『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』

<ポスト印象派>
セザンヌ『リンゴとオレンジのある静物』/ゴーガン『かぐわしき大地』/ゴッホ『ひまわり』/スーラ『グランド・ジャット島 日曜の午後』ほか

<象徴主義・世紀末美術>
モロー『出現』/ロセッティ『プロセルピナ』/クリムト『接吻』/ムンク『叫び』

<現代美術のはじまり>
マティス『ダンス』/ピカソ『アヴィニョンの娘たち』/ミロ『農園』/カンディンスキー『コンポジションVIII』

3作目 西洋絵画をもっと楽しむコツ
絵画の機能と役割/絵画のディスプレイと観客/絵画の裏側/日本の美術館




セザンヌのどこが革新的であったのかも、絵画の部分図やこうしたイラストなども交えて解説しています。これだと混在する様々な視点が一枚の絵の中にあることがとてもよく理解できますね。

各章の冒頭部分に数ぺージ漫画が配置され、ナビゲーションの役割を果たすと共に、いい感じで本文とのメリハリを出すことに成功しています。

西洋美術史の入門書として今出ている書籍の中では最もとっつきやすくもあり、そしてまた本格的な内容のバランスの取れた一冊ではないでしょうか。


『マンガで教養 はじめての西洋絵画』より。

自分は古い人間なので、流行りの動画や画像ではなく文字コンテンツを通してではないと頭の中に入って来ません。逆に若い人たちには簡単そうに見えて実は奥が深いこうした本はある意味で新鮮に感じるのではないでしょうか。

オジサンから学生さんまで幅広い層に読んでもらえる一冊だと思います。

そうそう、『マンガで教養 はじめての西洋絵画』に取り上げている作品の中には国立西洋美術館の常設展で観られるものも含まれています。


クロード・モネ「睡蓮、柳の反映」1916年
旧松方コレクション


『マンガで教養 はじめての西洋絵画』より。

これを読んだら、もうすぐでも西美に実物を観に行きたくなりますよ!

そして知識としての西洋美術史を少しでも身に付けられたら、これから足を運ぶ展覧会や美術館で出会う作品も違って観えてくるはずです。

川瀬学芸員が世界の名画を語り尽くす、『マンガで教養 はじめての西洋絵画』。最後の章「西洋絵画をもっと楽しむコツ(絵画の機能と役割/絵画のディスプレイと観客/絵画の裏側)」も目から鱗情報満載ですよ!


『マンガで教養 はじめての西洋絵画』
川瀬佑介(監修)、にしうら染 (イラスト)

西洋の名画を楽しむための見方や、おおまかな西洋美術史の流れがわかる西洋絵画の入門書。
古代、ルネサンス、バロックから現代美術のはじまりまで、時代別に代表的な画家と作品をマンガ+解説文で丁寧に紹介します。



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