青い日記帳 

TB&リンク大歓迎です!
<< December 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 「北斎 視覚のマジック」 | main | 『ルネサンス庭園の精神史』『〈雅楽〉の誕生』 サントリー学芸賞受賞 >>

「大浮世絵展」

江戸東京博物館で開催中の
特別展「大浮世絵展―歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演」に行って来ました。


https://dai-ukiyoe.jp/

2014年(平成26年)に同じく江戸博で開催された「大浮世絵展」は、浮世絵のイロハから歴史まで数多くの作品で学ぶ教科書的な展覧会でした。
「大浮世絵展」(2014年)

その「第二弾」が開催されると知り、正直なところ「またか〜」と思ったことを白状します。年末年始忙しいし観に行かなくてもいいかな…なんて考えてたりもしました。


歌川広重「東海道五拾三次之内 蒲原 夜之雪」 江戸時代/天保5-7年(1834-36)、横大判錦絵
ミネアポリス美術館蔵 Photo:Minneapolis Institute of Art
展示期間:2019年11月19日〜12月15日(東京会場)

嗚呼、何と浅はかだったことでしょう。

やはり展覧会というのは実際に行って観ないとその良し悪しは分かりません。思い込みだけで不味い決めつけてしまっていた店の料理が食べてみたらめちゃくちゃ美味しかった時のように。そのギャップがあればあるほど感動を得られるものです。


喜多川歌麿「難波屋おきた」江戸時代/寛政5年(1793)頃、大判錦絵
ミネアポリス美術館蔵
Photo:Minneapolis Institute of Art
展示期間:2019年11月19日〜12月15日(東京会場)

では、今回の「大浮世絵展」(2019〜2020年)の何がどう凄いのでしょう。理由は大きく分けて3つあります。

【理由その1】展示されている作品の状態(質)がどれも素晴らしい点です。

浮世絵は、油彩画と違い退色しやすく保存状況によって作品状態に大きな差が出るものです。今回出ているものはどれもみな優品揃い、中には刷り上がったばかりのような美しい作品まであります。

それもそのはず、国際浮世絵学会が監修し、国内だけでなく海外の名だたる美術館からコンディションの良い作品を集めているからです。


東洲斎写楽「市川鰕蔵の竹村定之進」 江戸時代/寛政6年(1794)、大判錦絵
ボストン美術館蔵 Photograph © 2019 Museum of Fine Arts, Boston
展示期間:2019年12月17日〜2020年1月19日(東京会場)

大英博物館、シカゴ美術館、メトロポリタン美術館、ギメ東洋美術館、ベルギー王立美術歴史博物館、ミネアポリス美術館、レスコヴィッチ・コレクション等々、恐るべき光景が両国で展開されています。

【理由その2】喜多川歌麿と東洲斎写楽がまとめて観られる点です。

歌麿と写楽の質の高い浮世絵は中々普段目にすることが出来ないものです。ましてや組で刷られた(シリーズ物)作品をまとめて観られるのは、滅多にありません。

それが、次から次へと目に飛び込んで来るのです。情報処理能力が追い付かなくなります。

とりわけ凄いのは、写楽が描いた、寛政6年5月 江戸三座の役者が勢揃いしていることです。何と写楽がこの月に描いた28枚の役者絵が全て出るのです。しかも雲母摺りもはっきりと確認できる超状態の良い作品によって。


東洲斎写楽「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」江戸時代/寛政6年(1794)、大判錦絵
ベルギー王立美術歴史博物館蔵 Royal Museums of Art and History,Brussels
展示期間:2019年11月19日〜12月8日(東京会場)

2011年に東京国立博物館で開催された「写楽展」を彷彿とさせる素晴らしい展示です。

歌麿と写楽の展示だけでも十分お腹いっぱいになります。しかし、まさか江戸博でこんな衝撃を受けるとは…


喜多川歌麿「婦女人相十品 ポペンを吹く娘」江戸時代/寛政4-5年(1792-3)頃、大判錦絵
メトロポリタン美術館蔵
Image Copyright ⒸThe Metropolitan Museum of Art / Image source: Art Resource, NY
展示期間:2019年12月3日〜12月22日(東京会場)

【理由その3】浮世絵師を5人に絞っている点です。

前回の「大浮世絵展」は浮世絵の通史を紹介するために、数多くの浮世絵師を取り上げていましたが、今回は絞りに絞りたったの5名で構成されています。

「歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演」看板に偽りなしというか、実に潔い手段に出たな〜と感心しました。

そして、5大浮世絵師に国芳が名を連ねているのも実に新鮮。辻惟雄先生の『奇想の系譜』で注目されてからうん十年。ビックな存在になりました。


歌川国芳「宮本武蔵の鯨退治」 江戸時代/弘化4年(1847)、大判錦絵3枚続
展示期間:2019年11月19日〜12月15日(東京会場)

展覧会の構成は以下の通りです。(分かりやすい!)

第1章 喜多川歌麿
第2章 東洲斎写楽
第3章 葛飾北斎
第4章 歌川広重
第5章 歌川国芳


そうそう、北斎の展示でこんな指摘がなされていました。

風に吹かれて大きくたわむ「芥子」の花の湾曲する様子が、「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の構図と似ているというのです。


葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」江戸時代/天保2-4年(1831-33)頃、横大判錦絵
ミネアポリス美術館蔵 Photo:Minneapolis Institute of Art
展示期間:2019年11月19日〜12月15日(東京会場)


葛飾北斎「芥子」江戸時代/天保(1830-44)初期、横大判錦絵
ミネアポリス美術館蔵 Photo:Minneapolis Institute of Art
展示期間:2019年12月17日〜2020年1月19日(東京会場)

さて、どう思われますか。意図して描いたものなのか、偶然にも似てしまったのか。まぁ、北斎がやることです、「たまたま」なんてありませんよね、きっと。

江戸東京博物館の展示室がこれだけ「広く」感じたのは今回が初めてです。全く息をつく暇もない超満足度の高い浮世絵展です。


歌川国芳「其まヽ地口猫飼好五十三疋」江戸時代/嘉永元年(1848)頃、大判錦絵3枚続
展示期間:2019年11月19日〜12月15日(東京会場)

最後なのでもう一度謝っておきます。侮っていて御免なさい。

浮世絵本来の鮮やかさに目を奪われる素晴らしい展覧会でした。

「大浮世絵展」は2020年1月19日までです。展示替えありますが、とにかく混む前に観に行きましょう。


特別展「大浮世絵展―歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演」

会期:2019年11月19日(火)〜2020年1月19日(日)
開館時間:午前9時30分〜午後5時30分(土曜日は午後7時30分まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし2020年1月13日は開館)、2019年12月28日(土)〜2020年1月1日(水・祝)
会場:東京都江戸東京博物館 1階特別展示室
https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都江戸東京博物館、国際浮世絵学会、読売新聞社
「大浮世絵展」公式サイト:https://dai-ukiyoe.jp

【巡回】
2020年1月28日(火)〜3月22日(日)福岡市美術館
2020年4月3日(金)〜5月31日(日)愛知県美術館


写楽心中 少女の春画は江戸に咲く(ボニータ・コミックス)

Twitterやってます。
@taktwi

Facebookもチェック!

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5677

JUGEMテーマ:アート・デザイン



1964年10月、 先の東京オリンピックに合わせて「オリンピック東京大会組織委員会協賛芸術展示 浮世絵・風俗画名作展」が、国際浮世絵学会(当時、日本浮世絵協会)の主催で開催されました。そして2020年、ふたたび、東京にオリンピックがやってくる時期に、浮世絵の素晴らしさを紹介する展覧会を開催します。
本展は、 2014年に開催し、全国3会場で約38万人を集め、浮世絵ブームを作り出した「大浮世絵展」に続く展覧会です。 今回は浮世絵/Ukiyo-eの歴史の中でも、キラ星のごとく輝いた人気絵師である喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳の5人にフォーカスし、国内のほか欧米の美術館、博物館、個人コレクション等から傑作だけを集めました。
歌麿は美人画、写楽は役者絵、北斎と広重は風景画、国芳は勇壮な武者絵と機知に富んだ戯画─と、絵師のエッセンスを凝縮した内容は、「誰もが知っており、そして誰もが見たい」ものになっています。ぜひ、本展覧会にご期待ください。
展覧会 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

コメントする









この記事のトラックバックURL
http://bluediary2.jugem.jp/trackback/5677
この記事に対するトラックバック