青い日記帳 

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「リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展」

Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の
「建国300年 ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展」に行って来ました。


https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/19_liechtenstein/

2012年に国立新美術館他で華々しく開かれた「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」展の座組を変えた第2弾が、渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催中です。

スイスとオーストリアに囲まれた、小さな永世中立国リヒテンシュタイン公国には実に、3万点にも及び美術工芸品を有しています。


ウィーンの都市宮殿内部
© LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz−Vienna

家訓が「美しい美術品を集めることにこそお金を使うべき」(カール・オイゼビウス侯 1611-1684)だけあり、3万点のコレクションはとても全てを把握できません。

前回の「リヒテンシュタイン展」では比較的大ぶりの作品が多く出ていました。今回は逆にコンパクトなものが中心となっています。

とはいえ、レベルはまさに侯爵系の至宝の名に違わぬ充実したものとなっています。


ルーカス・クラーナハ(父)《聖バルバラ》1520年以降、油彩・板 
所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン
© LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz−Vienna

16世紀の板絵(キャンバスが普及する前のパネル絵)が驚くべきことに10点以上も展示されています。

気圧の変化、温湿度の変化を受ける飛行機での長時間の移動は板絵にとっては大きなダメージを被りかねない為、中々日本での展覧会で観ることは叶いません。

所蔵する海外の美術館ももしものことを考え、貸し渋るのは当然のことです。クラーナハやルーベンス、ケーニヒ、グイド・レーニなど名だたる画家の板絵を観られるだけでもこの展覧会に足を運ぶ価値があります。


フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー《イシュル近くのヒュッテンエック高原からのハルシュタット湖の眺望》1840年、油彩・板
所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン
© LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz−Vienna

ウィーンを中心に活動し、ベートーヴェンの肖像画として有名なヴァルトミュラーの描いた風景画も小振りながらも実に見どころの多い作品です。

展覧会の中心は宗教画や歴史画ですが、後半にある風景画のセクションもかなり充実しています。17世紀のヤン・ブリューゲル(父)によるそれよりも、今回はヴァルトミュラーに強く惹かれました。

ひと言でその魅力を表現するなら「モダンな風景画」となるでしょうか。


ビンビ(本名バルトロメオ・デル・ビンボ)《花と果物の静物とカケス》制作年不詳、油彩・キャンヴァス

展覧会の構成は以下の通りです。

第1章:リヒテンシュタイン侯爵家の歴史と貴族の生活
第2章:宗教画
第3章:神話画・歴史画
第4章:磁器ー西洋と東洋の出会い
第5章:ウィーンの磁器製作所
第6章:風景画
第7章:花の静物画



マルコ・バザイーティ《聖母子》1500年頃、油彩・板
所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン
© LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz−Vienna

「第2章:宗教画」「第3章:神話画・歴史画」の両セクションは長い歳月と「美しい美術品を集めることにこそお金を使うべき」との家訓を護るべくコレクションされた優品が並びます。

地理的に北方芸術が多いように思えますが、しっかりとイタリア・ルネサンスやバロックの作品も揃えておりバランスのよい教科書のような展示です。

西洋絵画のエッセンスが集約されていると言っても過言ではありません。とても勉強になるとともに贅沢な気分を味わえます。


有田窯《青磁色絵鳳凰文金具付蓋物
金属装飾:イグナーツ・ヨーゼフ・ヴュルト 
磁器:上絵付1690-1710年、金属装飾:鍍金されたブロンズ
1775/1785年、人物像:後補
所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン
© LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz−Vienna

さて今回の「リヒテンシュタイン展」には、景徳鎮や有田焼などの東洋の陶磁器コレクションも出ています。が、しかしどうも様子が変です。

これは、日本や中国からはるばる海を渡りヨーロッパにたどり着いた焼物に、現地で金具を取り付けるなど、ヨーロッパ人の趣味に合わせて作り替えられた、珍しい作品です。


景徳鎮窯《染付花鳥文金具付壺
金属装飾:イグナーツ・ヨーゼフ・ヴュルト
磁器:青の下絵付、順治〜康煕年間(1644−1723)、金具:鍍金されたブロンズ 1775/1785年
所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン
© LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz−Vienna

魔改造された景徳鎮や有田焼の陶磁器をとくとお楽しみあれ!

鍍金したブロンズの装飾金具を取り付けてしまう感性は、ナカムラクニオ氏の「金継ぎ」とはまるで発想が異なりますね。


フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー《磁器の花瓶の花、燭台、銀器》 1839年、油彩・板 
所蔵:リヒテンシュタイン 侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン

最終章に「第7章:花の静物画」をまとめて展示してあるのは中々のアイディア。展覧会の最後に難しいことは考えずに美しい花々に囲まれ多幸感を存分に味わえるのですから。

この展示空間は写真撮影が可能です。

接写するとその緻密さもよく分かります。


磁器の花瓶の花、燭台、銀器》(部分)

幾多の苦難を乗り越えてきたリヒテンシュタイン侯爵家の美術コレクションについてはこちらのコラムで。

ヨーロッパの宝石箱が渋谷にやってきた!!

「リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展」は12月26日までです。今日から師走でますます慌ただしくなりますが、渋谷へ小さな国の宝石箱を開けに行きましょう〜


「建国300年 ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展」

会期:2019年10月12日(土)〜2019年12月26日(木) ※ 好評につき、会期延長が決定いたしました!
休館日:10/15(火)、11/12(火)、12/3(火)
時間:10:00〜18:00(最終入館時間 17:30)
毎週金・土曜日は21:00まで (最終入館時間 20:30)
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura B1F
https://www.bunkamura.co.jp/museum/
主催:Bunkamura、日本経済新聞社、テレビ東京
後援:オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム、在日スイス大使館
協賛:ライブアートブックス
協力:YKK AP、日本ヒルティ、日本通運、全日本空輸
企画協力:TNCプロジェクト
作品画像提供:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン

【巡回先】
宇都宮美術館  2020年1月12日(日)〜2月24日(月・振休)
大分県立美術館 2020年3月6日(金)〜4月19日(日)
東京富士美術館 2020年5月2日(土)〜7月5日(日)
宮城県美術館  2020年7月14日(火)〜9月6日(日)
広島県立美術館 2020年9月18日(火)〜11月29日(日)


『日経おとなのOFF 2020年 絶対に見逃せない美術展』(日経トレンディ2020年1月号増刊)

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世界で唯一、侯爵家(君主)の家名が国名となっているリヒテンシュタイン。スイスとオーストリアにはさまれた小国ながら、世界でも屈指の規模を誇る個人コレクションを有し、その華麗さが宝石箱にもたとえられ世界の注目を集めています。

本展は、侯爵家秘蔵のルーベンス、ヤン・ブリューゲル(父)、クラーナハ(父)を含む、北方ルネサンス、バロック、ロココを中心とする油彩画と、ヨーロッパでも有数の貴族の趣向が色濃く反映された、ウィーン窯を中心とする優美な陶磁器、合わせて約130点で構成されます。絵画と陶磁器の共演は、優雅さとくつろぎが調和する貴族の宮廷空間へ誘ってくれることでしょう。
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