青い日記帳 

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『もっと知りたい浮世絵』

東京美術より刊行となった『もっと知りたい浮世絵』を読んでみました。


もっと知りたい浮世絵
田辺昌子 (著)

これまで、浮世絵について書かれた本を一冊だけオススメするとしたら?と問われると、大久保先生の『カラー版 浮世絵』 (岩波新書)とお応えしてきました。


『カラー版 浮世絵』 (岩波新書)
大久保純一(著)

『カラー版 浮世絵』を紹介したブログ記事で「内容、価格等あらゆる面でこれ以上優れた浮世絵関連の本、もうこれから先出ることないはずです。」と断言までしています。

しかし、岩波新書の浮世絵本が出たのが2008年のこと。10年以上が経過し元号も令和となりました。その間、浮世絵の研究も進み新たな知見も得られています。


浮世絵の技法と版元

そんなタイミングで発売となった『もっと知りたい浮世絵』は浮世絵についてのイロハからちょっと踏み込んだ知識まで得られる新しいテキストと言えます。

小説などでもそうですが、作家論や作品論どちらか一方に偏り過ぎるとテキストとして通用しません。

その辺りの匙加減が非常によいバランスで編集されているのが『もっと知りたい浮世絵』です。


日常を描く

【目次】
はじめにー浮世絵という江戸の幸福
まずは知っておきたい!江戸時代の主な浮世絵史関連年表

第1部 浮世絵のはじまりと流れ
1 浮世絵の誕生
歌舞伎絵・役者絵/美人画/江戸名所の誕生/見立絵・やつし絵/筆彩色/版彩色のはじまり/肉筆画
2 錦絵の誕生
3 スター絵師対決
歌麿 vs. 栄之/写楽 vs. 豊国/北斎 vs. 広重/国貞 vs. 英泉 vs. 国芳

第2部 浮世絵を彩る絵師たち
菱川師宣/鳥居派/奥村政信/鈴木春信/磯田湖龍斎と北尾派/鳥居清長/喜多川歌麿/鳥文斎栄之/勝川春章/東洲斎写楽/歌川豊国/葛飾北斎/歌川広重/歌川国貞と渓斎英泉/歌川国芳

【特集】芸者の時代/吉原の粋/歌麿と寛政の改革/團十郎贔屓/死絵─スターを偲ぶ/上方浮世絵/日常を描く/ジャポニスムと浮世絵/江戸から明治へ
〈コラム〉浮世絵の技法と版元/錦絵の大衆化と紙/ベロ藍/摺物─粋人たちの遊び/幕末の超絶技巧

索引/浮世絵をもっと知るためのブックガイド



江戸東京博物館「大浮世絵展―歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演」では、今人気の5人の浮世絵師にポイントを絞っての展覧会となっていましたが、『もっと知りたい浮世絵』では菱川師宣や鈴木春信らもしっかりとフォロー。

当然といえば当然なのですが、菱川師宣と歌川広重、国芳では100年以上も活躍した時代に開きがあり「浮世絵」と十把一絡げに捉えられないものが本来あるはずなのです。

江戸時代という泰平の世に生まれ人気を博した浮世絵の真実を、丁寧に絵師と共に紹介してくれます。


鈴木春信

因みに、東京美術の人気シリーズ「もっと知りたい」は、今回の浮世絵で83作目となります。累計で100万部を超えているとのことです。

北斎、広重、国芳など単刊は既に出ていますが、「浮世絵」という大きな括りでは初めての一冊となります。ありそうでなかったのですね〜(まぁ、それだけまとめるのに苦労する証でもありますが)


ジャポニスムと浮世絵

本編はもとよりコラム、特集も充実しています。「團十郎贔屓」や「浮世絵の技法と版元」「錦絵の大衆化と紙」などはとても興味深く勉強になります。

そうそう、太田記念美術館の「ラスト・ウキヨエ展」ではないですが、明治期に入る何故急速に浮世絵が衰退してしまったのかも「江戸から明治へ」で納得のいく解説がなされています。

浮世絵について海外の方に説明をする機会もこれから増えることでしょう。最低限知っておきたい知識と、ちょっと誰かに話したくなる「なるほど〜」と唸らせる見聞までこの一冊で事足ります!


もっと知りたい浮世絵
田辺昌子 (著)

人気の「もっと知りたいシリーズ」の1冊として、浮世絵についてのベーシックな知識と主要作品を網羅した入門書の決定版。浮世絵が成立した頃の初期の作例から絢爛豪華な錦絵の誕生を経て、世界中から注目される北斎や国芳の超絶技巧にいたるまでの流れを多くの作品と共にわかりやすく解説します。

田辺昌子(たなべ・まさこ)
東京都生まれ。学習院大学人文科学研究科博士前期課程修了。永青文庫学芸員を経て千葉市美術館の開設に準備室段階から関わり、現在千葉市美術館学芸課長、副館長兼務。鈴木春信を中心に浮世絵の研究に携わる。2008年『鳥居清長』展図録で第一回國華賞展覧会図録賞(共同受賞)、2018年第三十回國華賞受賞。主な著書に『週刊アーティストジャパン43 鈴木春信』(同朋舎、1992年)、『浮世絵の歴史』(共著、美術出版社、1998年)、『浮世絵のことば案内』(小学館、2005年)、『すぐわかる楽しい江戸の浮世絵(『こんなに楽しい江戸の浮世絵』1999年版改訂)』(共著、2008年)『鈴木春信』(2017年、共に東京美術)など。


『川瀬巴水作品集 増補改訂版』
清水 久男 (著)

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