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「ブダペストーヨーロッパとハンガリーの美術400年」

国立新美術館で開催中の
日本・ハンガリー外交関係開設150周年記念 ブダペスト国立西洋美術館 & ハンガリー・ナショナル・ギャラリー所蔵「ブダペストーヨーロッパとハンガリーの美術400年」展に行って来ました。


https://budapest.exhn.jp/

展覧会タイトルと肩書がやたらと長いのでここでは「ブダペスト展」として書くことにします。実は長いのはタイトルだけではありません。

展示経路もとても長く、いつまでたっても出口に辿り着けません。それもそのはず、ブダペスト国立西洋美術館とハンガリー・ナショナル・ギャラリー所蔵の絵画・彫刻・素描、全130点がびっしりと。



ハンガリーの首都にある2大美術館からこれだけの数がまとめて来日するのは初めてのことです。

今は無き東武美術館にてハンガリー国立ブダペスト美術館所蔵のルネサンス絵画を紹介した展覧会以来、実に四半世紀ぶりにハンガリーの至宝を六本木で観られる好機です。


ルカス・クラーナハ(父)「不釣り合いなカップル 老人と若い女」1522年
油彩/ブナ材 ブダペスト国立西洋美術館
© Museum of Fine Arts, Budapest − Hungarian National Gallery, 2019

レアな板絵にしては珍しくかなり大きな作品です。中心からやや左側に縦にクラックが入っているのが実物だと見て取れます。

それにしても、「不釣り合いなカップル 老人と若い女」に描かれた男女共に「悪い顔」をしています。企んでいる顔です。

実際に老人は女性の胸に手を、女性は気が緩んでいる隙に男性の懐へ手を…

クラーナハの「不釣り合いのカップル」はもう1点、「老女と若い男」ヴァージョンも隣に展示されています。二人で手にしているコインの精密な描写に驚きます。


ティツィアーノ「聖母子と聖パウロ」1540年頃
油彩/カンヴァス ブダペスト国立西洋美術館
© Museum of Fine Arts, Budapest − Hungarian National Gallery, 2019

ピンと張り詰めた「冷たい眼差し」や細密な描写の北方絵画から、イタリア絵画へ移るとまず画面全体が明るいことに少し驚かされます。

イタリア絵画単体で観ると決してそうは感じませんが、この並びだとアルプス山脈を隔てると同じ時代でもこれだけ作風が違うものかとあらためて実感させられます。

書物や知識では得られない感覚が味わえるのが展覧会の最大の魅力であるとすれば、はじめの2部屋でそれは十分に達成されるでしょう。



そしてその変化は、オランダ絵画、スペイン絵画と続く各展示室でも同様に味わうことが出来ます。そう、この展覧会「ブダペスト展」は西洋絵画400年の歴史を一級の作品を通して観られるのです。

それは展覧会の構成を見ても明らかです。

先日紹介した木村泰司著『時代を語る名画たち 絵画を変えた22人の天才』を読んでから、また鑑賞後に読むと、「ブタペスト展」の素晴らしさが実感できるはずです。


クロード・モネ「トゥルーヴィルの防波堤、干潮」1870年
油彩/カンヴァス ブダペスト国立西洋美術館
© Museum of Fine Arts, Budapest − Hungarian National Gallery, 2019

展覧会の構成は以下の通りです。

機Д襯優汽鵐垢ら18世紀まで
1.ドイツとネーデルランドの絵画
2.イタリア絵画
聖母子
聖書の主題
ヴェネツィア共和国の絵画
3.黄金時代のオランダ絵画
4.スペイン絵画ー黄金時代からゴヤまで
5.ネーデルラントとイタリアの静物画
6.17-18世紀のヨーロッパの都市と風景
7.17-18世紀のハンガリー王国の絵画芸術
8.彫刻
供19世紀・20世紀初頭
1.ビーダーマイヤー
2.レアリスム―風俗画と肖像画
3.戸外制作の絵画
4.自然主義
5.世紀末―神話、寓意、象徴主義
6.ポスト印象派
7.20世紀初頭の美術―表現主義、構成主義、アール・デコ




16世紀ルネサンスから印象派そして20世紀初頭まで、約400年にわたる西洋美術の名品を観られるだけでも壮観で観に行く価値十分にあります。

それに加えて「ブダペスト展」のもう一つの大きな魅力としてシニェイ・メルシェ・パールなど初めて目にするであろうハンガリー出身の画家たちの作品に出会えることがあげられます。

パリから微妙な距離感を保っている場所に位置する国であるため、他では見られない鮮やかな色彩の独自の絵画表現が生まれました。初見の作品と出会える喜びって展覧会のひとつの大きな醍醐味ですよね。


シニェイ・メルシェ・パール「紫のドレスの婦人」1874年
油彩/カンヴァス ブダペスト、ハンガリー・ ナショナル・ギャラリー
© Museum of Fine Arts, Budapest − Hungarian National Gallery, 2019

19世紀ハンガリー近代美術の先駆者であるシニェイ・メルシェ・パールの作品。戸外で描かれた鮮やかな色彩は照度をここだけ落としても良いほどです。

印象派に直接影響を受けていないからこそ、これだけ少々派手な色合いの作品を残せたのでしょう。ただこの画像だとその魅力は十分の一以下しか伝わりません。実物は目の冴えるような照々たる色をしています。


シニェイ・メルシェ・パール「ヒバリ」1882年
ブダペスト、ハンガリー・ ナショナル・ギャラリー

個人的には「紫のドレスの婦人」以上に頭をガツンとやられたのがこのヴィヴィッドな「ヒバリ」でした。

歴史画を描かず、戸外で目にするものをそのままに描くことを追求した彼の作品を当時のハンガリー国内で受け入れられませんでした。

「やがて印象派に帰結することになる戸外制作の絵画の、中央ヨーロッパにおける最初の重要作例である。」(図録より)

マネの「草上の昼食」が1863年、モネの「印象・日の出」が1872年にそれぞれ描かれたことを考えながら、シニェイ・メルシェ・パール「紫のドレスの婦人」1874年を再見すると確かに言わんとすることも納得できます。


ヴァサリ・ヤーノシュ「黄金時代」1898年
油彩/カンヴァス ブダペスト、ハンガリー・ ナショナル・ギャラリー
© Museum of Fine Arts, Budapest − Hungarian National Gallery, 2019

他にも名前は知らずとも、こんな魅惑的な作品を残した画家がいたのです。

先述した通り、とにかくこの展覧会は作品数が多い!「もう終わりかな〜」と思っているとまだ半分も残っていたりと、いつまでたっても会場から出られません。嬉しいことに。


チョントヴァーリ・コストカ・ ティヴァダル「アテネの新月の夜、馬車での散策」1904年
油彩/カンヴァス ブダペスト、ハンガリー・ ナショナル・ギャラリー
© Museum of Fine Arts, Budapest − Hungarian National Gallery, 2019

そして初見の作品と出会える嬉しさも。とにかく観るのに時間がかかります。体力と時間に余裕を持ってお出かけ下さい。

今年も数多くのコレクション展が開催されましたが、その最後を締めくくるに相応しい見ごたえのある展覧会です。

「ブダペストーヨーロッパとハンガリーの美術400年」は2020年3月16日(月)までです。口コミで良さがジワジワと伝わり年明けには混雑しそうです。お早めに是非!!


「ブダペストーヨーロッパとハンガリーの美術400年」

会期:2019年12月4日(水)〜2020年3月16日(月)
休館日:毎週火曜日 (ただし2019 年12月24日(火)〜2020年1月7日(火)は休館、2月11日(火・祝)は開館、2月12日(水)は休館)
開館時間:10:00〜18:00 (毎週金・土曜日は20:00まで。入場は閉館の30分前まで)
会場:国立新美術館 企画展示室1E(東京・六本木)

主催:国立新美術館、駐日ハンガリー大使館、ブダペスト国立西洋美術館 & ハンガリー・ナショナル・ギャラリー、日本経済新聞社、テレビ東京、BSテレビ東京、TBS、BS-TBS
特別協賛:スズキ
協賛:伊藤忠商事、学校法人城西大学、住友電気工業、ダイキン工業、竹中工務店、デンソー、東レ、豊田通商、ファナック、メタルワン、ヤマトホールディングス、ライブアートブックス
協力:三桜工業、スタンレー電気、住友商事、大気社、ユーシン、菱和、ルフトハンザカーゴ AG
展覧会公式サイト:https://budapest.exhn.jp


『可愛いハンガリー刺しゅう:はじめてでも楽しめる伝統ある手仕事』

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日本とハンガリーの外交関係開設150周年を記念し、ハンガリー最大の美術館であるブダペスト国立西洋美術館とハンガリー・ナショナル・ギャラリーのコレクション展を開催します。両館の所蔵品がまとまった形で来日するのは、じつに25年ぶりとなります。
本展では、ルネサンスから20世紀初頭まで、約400年にわたるヨーロッパとハンガリーの絵画、素描、彫刻の名品130点が一堂に会します。クラーナハ、ティツィアーノ、エル・グレコ、ルノワール、モネなど巨匠たちの作品に加えて、日本では目にする機会の少ない19・20世紀ハンガリーの作家たちの名作も、多数出品されます。「ドナウの真珠」と称えられるハンガリーの首都、ブダペストから一挙来日する珠玉の作品群を、ぜひご堪能ください。
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