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手紙で読み解く「ゴッホ展」

上野の森美術館で好評開催中の「ゴッホ展」(会期は2020年1月13日まで)。これから先の休館日は12月31日(火)、1月1日(水)のみ!月曜日も開館しています。


https://go-go-gogh.jp/

これまでの「ゴッホ展」とは一味違い、ゴッホがゴッホとなる「道程」を影響を受けたハーグ派や印象派の作品と共に紹介されています。

あらためてゴッホの画家としての活動期間の短さ(約10年間)と、それに反して残された作品数の多さ(約2100点)に驚かされます。


フィンセント・ファン・ゴッホの手紙

ゴッホは作品だけでなく、膨大なテキストも手紙を介して残している稀有な作家とも言えます。弟のテオへ宛てた手紙や画家仲間に送ったスケッチ入りの手紙など約1750通も現存しています。

今回の「ゴッホ展」に出ている作品とそれに該当する手紙を幾つか紹介して行きます。絵だけでなく手紙に書かれたテキストを平行して読み解くことで一層理解が深まります。


フィンセント・ファン・ゴッホ《農婦の頭部》1885年 油彩、カンヴァス 46.4×35.3cm 
スコットランド・ナショナル・ギャラリー
© National Galleries of Scotland, photography by A Reeve
(前略)上達するために
僕は50の頭部を描かなければならない。ちょうど調子が出てきたところだからね。できればすぐに、次々と描きたい。
1884年11月2日頃 テオへの手紙より

フィンセント・ファン・ゴッホ《ジャガイモを食べる人々》1885年4-5月 リトグラフ(インク・紙) 26.4×32.1cm 
ハーグ美術館
© Kunstmuseum Den Haag 
僕はただ、自分の道を進んでいるんだ。(中略)人物をアカデミックに、きっちりと厳選された筆遣いで正確に描くことは、今日の絵画に差し迫って求められているものとはまったく何の関係もない。
1885年7月13日頃 ラッパルトへの手紙より。

リトグラフについては説明しておきたい。僕はあれを記憶だけで、しかも1日で仕上げたんだ。(中略)それに実験的なものでしかないし、後から石に腐食剤をかけたりもした。油彩画の方では、たしかに君をかっとさせた腕や鼻の部分の失敗はしたけれど、コントラストはもっと成功してたんだ。
1885年7月15日頃 ラッパルトへの手紙より。
友人であったラッパルトへの返信は随分と言い訳がましく感じます。それそのはず、自信を持って制作し友人に送った作品に対し、痛烈な批判が返ってきてしまったのです。以下はその一部です。
あのような作品が真剣に描かれたわけでないという僕の意見にきみも賛成するだろう。幸い、きみはもっとうまく描ける(中略)僕にとっては、芸術はこのように横柄に扱われるものではない、神聖なものなんだよ。
1885年5月24日 ラッパルトからの手紙より。

アントン・マウフェ《4頭の曳き馬》 制作年不詳 油彩、板 19.5×32cm 
ハーグ美術館
© Kunstmuseum Den Haag

この頃、ハーグに移り住んだゴッホは唯一の理解者とも言えるハーグ派のアントン・マウフェに師事します。マウフェの指導に従い、デッサンの腕を磨きました。
僕が特に好きな画家たちの名前を挙げておくよ。(中略)そして忘れちゃいけないのがマリスとマウフェだ。
1874年1月初旬 テオへの手紙より

マウフェに伝えてほしい。彼が描いた鋤を使う人物の素描の複製が僕の小さな部屋に掛かっていて、いつもそれを見ては彼のことを思い出しているってね。
1877年7月15日 テオへの手紙より
しかし、人付き合いが上手くないというか、基本的に他人と共に何かをすることが難しい性格のゴッホ。マウフェとの仲も決裂してしまいその地をあとにします。

「ゴッホ展」のセクション分けは潔く2部構成。ゴッホが次に大きな影響を受けたのが印象派でした。

第1部 ハーグ派に導かれて
第2部 印象派に学ぶ



カミーユ・ピサロ《ライ麦畑、グラット=コックの丘、ポントワーズ》1877年 油彩、カンヴァス 60.3×73.7cm 
静岡県立美術館

印象派の画家の中では長老にあたるピサロに1886年にゴッホは出会います。ピサロは色々と世話を焼いてくれたようです。
ここの、より強烈な太陽の下にいると、ピサロが言っていたこと、さらには、同じことだがゴーギャンが手紙に書いてよこしたことが本当だということが分かった。つまり、太陽光の偉大な効果というのは、事物を単純にし、それらの色を白く見せ、そして荘厳にすることだ。北にいればそれがどのようなものであるかさえ想像できないだろう。
1888年10月17日 テオへの手紙より

フィンセント・ファン・ゴッホ《麦畑》1888年6月 油彩、カンヴァス 50×61cm 
P. & N. デ・ブール財団
© P. & N. de Boer Foundation
(前略)周囲を見わたすと自然の中にたくさんの発見があって、それ以外のことを考える時間がほとんど無いことだ。なぜかというと、今はちょうど収穫の時期にあたるからね。(中略)この1週間はずっと小麦畑の中にいて、太陽にさらされながらとにかく仕事をしたよ。
1888年6月21日 テオへの手紙より
1888年にアルルへ移り住んだゴッホですが、その後の展開は皆さんもよくご存知の通り。耳切り事件、ゴーギャンとの破局、入院…1890年7月にこの世を去るまでの短い間に遺した作品が、最もゴッホらしくのは皮肉なものです。


フィンセント・ファン・ゴッホ《糸杉》1889年6月 油彩、カンヴァス 93.4×74cm 
メトロポリタン美術館
Image copyright © The Metropolitan Museum of Art.
Image source: Art Resource, NY
もうずっと糸杉のことで頭がいっぱいだ。向日葵の絵のようになんとかものにしてみたいと思う。これまで誰も糸杉を僕のように描いたことがないというのが驚きで仕方ない。その輪郭や比率などはエジプトのオベリスクのように美しい。それに緑色の素晴らしさは格別だ。
1990年6月25日 テオへの手紙より
「ゴッホ展」の最後の展示室は誰しもが気持ちが最も昂る空間となっています。「サン=レミの療養院の庭」1889年5月 が特に素晴らしかったです。


フィンセント・ファン・ゴッホ《薔薇》1890年5月 油彩、カンヴァス 71×90cm 
ワシントン・ナショナル・ギャラリー
© National Gallery of Art, Washington
Gift of Pamela Harriman in memory of W. Averell Harriman 
サン=レミにいた最後の数日間、狂ったように描いたよ…大きな花束、紫色のアイリス、そして薔薇の大きな花束だ。
1890年5月21日頃 妹ウィルへの手紙より
サン=レミの精神療養院を退院する直前に描かれた2枚の薔薇のうちの1点。この2か月後に37歳という短い生涯を閉じることになります。

自分自身への「挽花」のようにも見えますし、輝かしい未来を示す「祝花」のようにも感じます。

上野の森美術館での「ゴッホ展lは、これから先の休館日は12月31日(火)、1月1日(水)のみ!月曜日も開館しています。

年末年始の美術館ってどこもお休みのところ多いのですが「ゴッホ展」なら大丈夫です。

「ゴッホ展」は2020年1月13日までです。是非是非!!


「ゴッホ展」

会期:10月11日 (金) 〜 2020年1月13日 (月・祝)
開館時間:9:30〜17:00(金曜、土曜は20:00まで開館)
*最終入場はそれぞれ閉館30分前まで
休館日:12月31日(火)、1月1日(水)
会場:上野の森美術館
http://www.ueno-mori.org/
主催:産経新聞社、BS日テレ、WOWOW、ソニー・ミュージックエンタテインメント、上野の森美術館
後援:オランダ王国大使館
協賛:第一生命グループ、大和証券グループ、眈招設、NISSHA、アトレ、関電工、JR東日本
協力:KLMオランダ航空、日本航空、ヤマトグローバルロジスティクスジャパン
総合監修:ベンノ・テンペル(ハーグ美術館館長)
「ゴッホ展」特設サイト:https://go-go-gogh.jp/


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『ファン・ゴッホの手紙』【新装版】

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豊かな表現力と鮮やかな色彩で人々を魅了し続ける画家、フィンセント・ファン・ゴッホ。彼が画家として独自の画風を確立するまでには「ハーグ派」と「印象派」の画家たちとの出会いがありました。本展では、彼に影響を与えた画家たちの作品を交えながらゴッホの画業の変遷をたどり、ゴッホが後期印象派を代表する画家の一人になるまでを紹介します。
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