青い日記帳 

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2019年 展覧会ベスト10

ブログ「青い日記帳」を書き始めてから今日で15年と172日が経過したそうです。敢えて伝聞表現を用いたのは自分自身にあまり実感がないからに他なりません。

毎日、食事や歯磨きをするのと同じ感覚で書いている拙ブログですが、15年も続けられたのはひとえに応援して下さる人のおかげとあらためて感謝の念に堪えません。

昨年の『いちばんやさしい美術鑑賞』に続き、今年も『失われたアートの謎を解く』(ちくま新書)を上梓出来たのも、はろるどさんかるびさんという信頼のおける心強い仲間の支えがあってこそ。

これまでに以上に多くの人に支えられた一年でした。


歌川国芳

年齢を重ねると前置きがながくなるものです。早速、私が選ぶベスト展覧会2019を僭越ながら発表させて頂きます。「プロが選ぶ展覧会」「かみさんが選ぶ展覧会」と合わせてお楽しみ下さい。

個人的に関わりを大きく持った展覧会が画廊・ギャラリーでの個展は除いてあります。今年一年を振り返り、ツッコミを入れつつご覧頂ければ幸いです。

王冠22019年 私が観た展覧会ベスト10王冠2

1位:「遊びの流儀 遊楽図の系譜」

会期:2019年6月26日(水)〜8月18日(日)
サントリー美術館
https://www.suntory.co.jp/sma/

これだけの(地味ではあるけど)貴重な作品をまとめて観られただけでも眼福。しかもテーマである「遊び」を一元的でなく多角的なアプローチにより構成し飽きさせることなく、またしっかりと学ばせてくれる展覧会でした。自然発生的な遊びから、中国から伝わった琴棋書画をモチーフに数多くの作品が制作されていたことなど、実に見応えがありました。二度と出来ない展覧会の好例。因みにリニューアルのため、現在サントリー美術館は休館中です。(2019年11月11日〜2020年5月12日)。
サントリー美術館リニューアル・オープン

2位:「ジョゼフ・コーネル展」

会期:2019年3月23日(土) 〜 6月16日(日)
DIC川村記念美術館
http://kawamura-museum.dic.co.jp/

コーネルの展覧会では、同じく川村記念美術館でで2010年に開催された「ジョゼフ・コーネル×高橋睦郎」が印象に強く残っていますが、今回のコーネル展は、コーネルという作家というか人物に焦点をあて深く掘り下げた素晴らしい内容でした。一歩間違えばストーカーのような文面の手紙や彼が蒐集した映画のフィルムなども紹介されていました。小さな箱の中に独自の世界を作り出したコーネル。彼にとって世間は広すぎ生きずらかったからこそ箱の中へ気持ちを傾けて行ったのでしょう。

3位:「コートールド美術館展」

会期:2019年9月10日(火)〜12月15日(日)
東京都美術館
https://www.tobikan.jp/

とにかく驚くほど質の高い印象派を中心としてコレクションが国内に居ながらにして拝見できるのですから、こんな有難いことはありません。ポール・セザンヌの作品の充実ぶりだけでもそれは分かります。実業家サミュエル・コートールドが収集したコレクションが核となっていますが、その他にも個人蔵で寄託されているものまで観られるのですから、単なるコレクション展では決してないのです。会期中3回ほど行きましたがまだ観たいので巡回先への遠征も考えています。愛知、神戸に巡回→2020年1月3日(金)〜3月15日(日)愛知県美術館、2020年3月28日(土)〜6月21日(日)神戸市立博物館
https://courtauld.jp/

4位:「シンコペーション」

会期:2019年8月10日(土)〜12月1日(日)
ポーラ美術館
https://www.polamuseum.or.jp/

箱根のポーラ美術館がはじめて取り組んだ現代アートをメインとした展覧会。国内外で活躍するアーティストをバランスよくセレクションし、自館で所蔵する作品とのコラボを試みさせるという企画。これが成功したわけは、ポーラ美術振興財団がこれまでも幅広い現代アーティスの展覧会や支援してきたことが一番の理由として挙げられます。当たり前のことですが、現代アートなら何でも良いのではないのです。また目で観るだけの展示ではなく、耳で聴く要素を一貫したテーマとして据えており、ともすればバラバラになりがちな現代アーティスト12組の作品が、見事に調和のあるひとつの全体としてまとまっていたのも印象に残りました。

5位:「ラスト・ウキヨエ」

会期:2019年11月2日(土)〜12月22日(日)
太田記念美術館
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/

江戸時代に開花した浮世絵という大輪が時代の変化と共にどのように変遷を遂げそして終焉を迎えたのか、今までほとんど意識して来なかった明治以降(日本の近代化以後)の浮世絵を紹介した画期的な試みでした。江戸幕府のアンチテーゼ的な存在であり庶民文化の華だった浮世絵も、明治以降は次第に政治色を強め次第に政府のプロパガンダ的役割を担うようなものまで登場してきます。絵柄の変化よりも本質的なこちらの変化に驚かされ、ハッとさせられるものがありました。「喜多川歌麿」のような浮世絵師は近代に入ると絶滅してしまったのです。

6位:「アジアのイメージ」

会期:2019年10月12日(土)〜2020年1月13日(月・祝)
東京都庭園美術館
https://www.teien-art-museum.ne.jp/

これまでに無い不思議な感覚を味わえた展覧会でした。観ている時はさほど感動は無かったのですが、数日、一週間そして今になってジワジワとこの展覧会のことが頭の中に浮遊してくるのです。日本画、洋画から陶磁器、竹籠まで一見取り留めのない展示内容ですが、「日本美術の『東洋憧憬』」という軸を持って観ると面白いほど興味深く新たな知見があり好奇心が突き動かされます。図録は後日Amazonで購入し今あらためて読み返しているところですが、近現代の日本美術を見る上で欠くことの出来ない視座がそこには数多あります。

7位:「バスキア展」

会期:2019年9月21日(土)〜 11月17日(日)
会場:森アーツセンターギャラリー
https://macg.roppongihills.com/jp/

名前先行で作品をまとめて観る機会がなかったバスキアの待望の展覧会。映画なども公開されテンション上がっていましたが、作品は驚くほど派手な画像や「何億円で落札」といった謳い文句とは対照的にとても落ち着きが感じられるものばかりでした。にも関わらずバスキアの作品からは圧倒的なパワーが感じ取れます。描き殴ったような作品も実は一枚を完成させるのに何度も何度も修正を加えていることを初めて知りました。関連書籍も多く出され一通り読むことが出来たのもとても幸せなことでした。

8位:「塩田千春展:魂がふるえる」

会期:2019年6月20日(木)〜10月27日(日)
森美術館
https://www.mori.art.museum/jp/

入館者数666,271人、森美術館歴代入館者数第2位を記録した塩田展を抜きに今年の展覧会を語るわけにはいきません。現代アート作品というと、難解なテーマが潜みそれを考えに考え抜くことが時に求められがちですが、塩田さんの作品はいずれも、観たり体感しただけでその意味が伝わってくるのも多くの人に指示された理由でしょう。個人的には極初期の作品からクロニクル的に観られたことが一番の収穫でした。糸はかなり早い段階から用いていたのですね。命を賭して開催した展覧会に相応しい展示でした。

9位:「伊庭靖子展」

会期:2019年7月20日(土)〜10月9日(水)
会場:東京都美術館
https://www.tobikan.jp/

塩田展の次に伊庭さんの展覧会を置くのはどうかな〜とも思ったのですが、敢えて並べてみました。ここは同順とみなしてもらってもよろしいかと。実は今年になって眼圧が高いことが判明し眼科に通っていた時期とこの展覧会が重なったので、特に思い入れが深くなったことは事実です。あらためて「見る」ことについて考えさせられた病でもあり展示でもありました。伊庭さんの作品は夏の蜃気楼「逃げ水」のようです。手をのばしてても決して届かない。展示空間との相性も抜群でした。

柔らかに輝く"あわい”の世界に魅せられて 『伊庭靖子展 まなざしのあわい』

10位:「竹工芸名品展」

会期:2019年9月13日(金)〜12月8日(日)
会場:東京国立近代美術館工芸館
https://www.momat.go.jp/cg/

ニューヨーク在住の美術コレクター、ダイアン&アーサー・アビー夫妻が1990年代から日本の竹工芸の魅力に惹かれ蒐集したコレクションと工芸館の優品とを上手くコラボさせた展示。展覧会的にはポーラの「シンコペーション」と相通じるものがあります。決して古いものではありませんが、職人が手作業で作り上げた竹工芸品は今流行りの超絶技巧に比肩するものがあります。しかし彼らはそんな称賛が欲しくて作っているのではありません。芸術は作ろと思って出来るものではないのです。さてさて、工芸館の今の建物で観られる期間も残り僅かとなりましたね。

東京国立近代美術館工芸館は2020年、石川県金沢市へ移転します。



以上、独断と偏った嗜好により選んだベスト10です。観に行ったのにブログに書けていない展覧会も毎年のことながら沢山あります。どうしても言語化できない展覧会ってあるものです。良くも悪くも。

来年(2020年)も健康第一で、美術館・博物館へせっせと足を運べるよう努めます。身体あっての展覧会巡りですからね。

引き続きご声援宜しくお願い致します!新たなプロジェクトも実現に向け検討しています。ご期待下さい。



《お時間ありましたら下記のトークイベントにお越しくださいませ》

池上英洋×原基晶×takトークイベント
2020年01月14日(火) 19時〜
代官山 蔦屋書店 1号館 2階 イベントスペース

静嘉堂文庫美術館『―「鉅鹿」発見100年― 磁州窯と宋のやきもの』展 トークショー及び内覧会への特別ご招待
2020年1月18日(土) 15:30〜18:00(15:15受付)


Instagramベスト9
https://www.instagram.com/taktwi/

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