青い日記帳 

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「上村松園と美人画の世界」

山種美術館で開催中の
山種美術館 広尾開館10周年記念特別展「上村松園と美人画の世界」に行って来ました。


http://www.yamatane-museum.jp/

山種美術館が所蔵する上村松園作品全てが会期中展示替えなく公開されています。松園の作品はいつ誰が観ても嫌味が全くなく、素直に美しいと感じるものばかり。

これほど普遍的な女性の美を描くことが何故出来たのかいつも不思議に思います。


上村松園「」1942年
山種美術館蔵

松園67歳の時の作品です。女性の日常生活の中の何気ないひとコマを、余計なものをそぎ落とし「美」そのものを絹本に表現しています。

特別な「ハレ」の場面ではなく、無銘性の日常「ケ」における女性を描かせたら右に出るものはいません。

それに加え、画面全体に漂う柔らかな緊張感も松園作品の魅力といえます。それは描かれている女性の目線に集約され画面全体に緩やかに広がっています。


上村松園「春風」1940年
山種美術館蔵

この作品も視線の先には春の訪れを告げるモンキチョウが小さく描かれています。

全体像を捉えた後、美しい着物や松園がこだわった髪型に目が行きます。一周すると視線が気になり、蝶の存在が明らかに。そしてタイトルへ誘われます。

このように、松園作品は単に美しい女性を描いただけではない、プラスアルファの魅力を常に湛えているのです。


上村松園「」1913年
山種美術館蔵

喜多川歌麿の浮世絵から着想を得て描いていた頃(30代)でも、やはり目線の先に一匹の蛍を登場させることにより、画面全体に一本筋がピンと通ります。

もうひとつ松園作品で注目したいのが着物や帯の取り合わせ、つまりファッションです。花鳥風月春夏秋冬を重んじる日本美術、松園は着物や帯の種類、模様などで季節感などを表現しています。

自身が着物のコレクターで普段から和服を着て生活していたこともあり、実に豊かな表現世界を展開しています。それは現代の着物人たちも松園のコーディネートを参考にするほどです。


上村松園「牡丹雪」1944年
山種美術館蔵

髪形(鬢)ひとつ取ってみても女性ならではの視点が松園の美人画には生かされています。

江戸時代に流行した髪形の研究も積極的に行っており、好みの髪形もあったようです。髪形だけを見比べてみるのも、「上村松園展」の楽しみの一つです。



今回の展覧会会場内にはこのようなパネル解説も用意されています。

展覧会の構成は以下の通りです。

第1章:上村松園―珠玉の美
第2章:美人画の精華
第3章:物語と歴史を彩った女性たち
特集展示(第二展示室)
資料


松園以外の画家が描いた美人画を比べながら鑑賞できるのも「上村松園と美人画の世界」展の大きなポイントの一つです。

松園に一番近いのはやはり、鏑木清方でしょうか。反対に伊東深水の美人画はある意味対極にある存在です。前者がとてもスッキリとしたものであるのに対し、後者はオジサマの脂っこさが出てしまっています。

どちらがお好みかご自身で是非見比べてみて下さい。


渡辺省亭「御殿山観花図」19世紀(明治時代)
個人蔵

人気急上昇中の省亭も前者に分類されるでしょう。また松岡映丘もとてもスッキリとした美人画を残しています。

池田輝方「夕立」辺りが丁度、中庸といったとこでしょうか。森田曠平や片岡球子となると、かなり違ったテイストになります。


森田曠平「投扇興」1968年
山種美術館蔵

これぱっと見は可笑しな絵に見えるのですが、繰り返し繰り返し観ているととても味があり「好き」になってしまいまう中毒性の高い美人画です。

守屋多々志「葛の葉」や月岡栄貴「鉢かつき姫」もまた同様に。中盤以降に足を止めて見入ってしまう作品多く控えています。


京都絵美「ゆめうつつ」2016年
橋本雅邦「一葉観音」1899年
山種美術館蔵

第二会場には「Seed 山種美術館 日本画アワード 2016」で大賞を受賞した京都絵美「ゆめうつつ」が久々にお披露目となっています。雅邦の隣に展示されるとは!

さらに正面の展示ケースの中には重要文化財である村上華岳「裸婦図」が一点単独で展示されています。この一点展示シビレます!

村上華岳「裸婦図」これまで観た中で一番輝いて見えました。


上村松園「つれづれ」1941年
山種美術館蔵

先ほど、松園作品の髪形だけを見比べても興味深いと述べましたが、松園通になってくると、眉だけを見比べるようになってくるものです。

女性の命である眉を観るだけで描かれた女性の年齢(既婚、未婚)や職業などの情報を読み取ることが出来ます。

女性らしい女性を描くべく、松園が最もこだわったポイントは何を隠そう眉の表現でした。と、同時に最も神経を使った場所でもあります。

「女性の命は眉である」とし、ひとつの作品を描き上げるにあたり、最後に筆を入れたのが眉だったそうです。

「上村松園と美人画の世界」展は3月1日までです。見応え十分な内容です。今年初の展覧会へ出かけるなら、真っ先にお勧めするのがこの展覧会です。是非是非〜


「上村松園と美人画の世界」

会期:2020年1月3日(金)〜3月1日(日)
*会期中、一部展示替えあり
開館時間:午前10時〜午後5時 (入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日[但し、1/13(月)、2/24(月)は開館、1/14(火)、2/25(火)は休館]
会場:山種美術館
http://www.yamatane-museum.jp/
主催:山種美術館、日本経済新聞社


『「美人画」の系譜: 心で感じる「日本絵画」の見方』


『美人画づくし 弐』


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生涯にわたり美人画を描き続けた日本画家・上村松園(1875-1949)。このたび、山種美術館が広尾に移転し開館してから10周年を迎えたことを記念して、当館が所蔵する松園の作品を一挙公開する特別展を開催いたします。当館創立者で初代館長の山種二(1893-1983)は、松園と親しく交流しながら作品を蒐集しました。《蛍》、《砧》、《牡丹雪》などの代表作を含む当館所蔵の作品計18点は、屈指の松園コレクションとして知られます。

京都で生まれ育った松園は、京都府画学校に通い鈴木松年に学んだのち、幸野楳嶺、竹内栖鳳に師事し、技法の習得に励みました。早くから頭角を現し、江戸や明治の風俗、和漢の古典に取材した女性像を描いて、文展や帝展など数々の展覧会に出品を重ねて活躍します。美人画の名手として高く評価され、1948(昭和23)年には女性として初めて文化勲章を受章しました。「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである」と語った松園が描き続けた気品ある美人画は、今なお多くの人々に愛されています。

本展では、松園と同時代に活躍し「西の松園、東の清方」と並び称された鏑木清方や、その弟子の伊東深水の美人画、さらに村上華岳、小倉遊亀、橋本明治などの日本画家による、多彩な女性像をご紹介します。松園の美人画とともに、近代・現代のさまざまな画家たちが女性の姿を描き出した作品をご覧いただきながら、日本画における美人画の世界の豊かな広がりや、その表現の展開をお楽しみいただければ幸いです。
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