青い日記帳 

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「永遠のソール・ライター」

Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の
「ニューヨークが生んだ伝説の写真家 永遠のソール・ライター」展に行って来ました。


https://www.bunkamura.co.jp/museum/

2017年に同じBunkamura ザ・ミュージアムで開催された「ニューヨークが生んだ伝説 写真家 ソール・ライター展」。これほど心に刺さった写真展も後にも先にもこれだけ。

「ソール・ライター展」についていざ、ブログに書こうとするも、その静かな感動は言葉にするのは難しく、結局記事に出来ませんでした。

てっきり自分だけがぐっときたのかと思いきや、あれよあれよと口コミで話題となり、「ソール・ライター展」は長蛇の列ができ、連日大盛況を博しました。


ソール・ライター 《無題》 1960年代、発色現像方式印画
ⒸSaul Leiter Foundation

実は、日本国内で彼の名前を知った方のほとんどが、2015年に公開されたドキュメンタリー映画「写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと」が契機でした。

日本で初の回顧展「ニューヨークが生んだ伝説 写真家 ソール・ライター展」が開かれたのがそれから2年後。映画ファンから写真愛好家、そして口コミで評判は伝播し、普段写真展に行かないような若い世代の人の心を鷲掴みにしたのです。

では、ほとんどの方が名前も知らなかったソール・ライターとは、どこで、いつ、どんな写真を撮った人物なのでしょう。


ソール・ライター 《セルフ・ポートレート》 1950年代、ゼラチン・シルバー・プリント
ⒸSaul Leiter Foundation

profile:Saul Leiter ソール・ライター(1923-2013)
1950年代からニューヨークで第一線のファッション・カメラマンとして活躍しながら、58歳になった年、自らのスタジオを閉鎖し、世間から姿を消したソール・ライター。写真界でソール・ライターが再び脚光を浴びるきっかけとなったのが、2006年にドイツのシュタイデル社によって出版された作品集でした。時に、ソール・ライター83歳。この新たな発見は大きなセンセーションとなり、その後、展覧会開催や出版が相次ぎました。2012年にはドキュメンタリー映画「写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと」(日本公開は2015年)が公開され、その名前と作品は多くの人に知れわたるようになりました。




NYでファッションフォトグラファーとして評判だったソール・ライターですが、次第に作られた世界を撮影するのを疎ましく思うようになり、自分の好きな写真を撮るために地位も名誉も捨ててしまいます。

その後は、NYイーストヴィレッジにあった(今でも存在しています)住居兼アトリエのアパートの窓から行き交う人を撮影したり、妹デボラや生涯のパートナーであったソームズの親密な写真を撮り続けました。


ソール・ライター 《デボラ》 撮影年不詳、ゼラチン・シルバー・プリント
ⒸSaul Leiter Foundation

2013年にソール・ライターが89歳でこの世を去ってからまださほど年月は経過していません。イーストヴィレッジのアパートには未整理の彼の写真がカラー作品だけでも8万点も残されているそうです。

前回の展覧会が写真家ソール・ライターのアウトラインを紹介していたのに対し、今回第2弾となる「永遠のソール・ライター」展では、未整理資料から新たに発掘された未発表作品群を中心に構成されています。

つまり、まだ世界中で誰も目にしたことのないソール・ライターの写真が渋谷で今、観られるのです!



展覧会の構成は以下の通りです。

Part1:ソール・ライターの世界
1:black&white
2:カラー(1)
3:ファッション
4:カラー(2)
Part2:ソール・ライターを探して
1:セルフ・ポートレート
2:デボラ
3:絵画
4:ソームズ
5:その他




前回よりも絵画やスケッチは数こそ少ないですが、当初画家を志していた彼の遺したスケッチや絵画を観ることで、少しだけ距離感が縮まるように思えます。

西洋美術だと、ボナールの影響を強く受けていることが見て取れます。その視点でパートナーであったソームズを写したものを見ると、なるほど〜と納得できるものがあるはずです。特に室内で撮られた写真に。

それと、浮世絵的な構図の写真も多く見られます。また、川瀬巴水らの新版画かと見まごうような写真も。


ソール・ライター 《赤い傘》 1958年頃、発色現像方式印画
ⒸSaul Leiter Foundation

ただ、ソール・ライターは誰かに認めてもらおうとか、写真展を開催しようといった欲は全く持ち合わせていない人でした。それどころか、人に見てもらおうとも思わずただひたすら自分の為だけに写真を撮り続けたのです。

先日、東急ロイヤルクラブの会報誌『Fino』で今回の展覧会をプロデュースした佐藤正子さんと一緒にインタビューを受けた際に、ソールの魅力についてこんな風に応えました。

今は誰でもスマホで気軽に写真を撮る時代ですが、それらは「誰かに見てもらう」ことを念頭に置いて撮っているものがほとんどです。つまり「映え」を狙っている写真です。



SNS映えする写真こそが写真だと信じてやまない今の我々からすると、ソール・ライターが撮った写真はとても新鮮で真新しい印象を強く与えます。

誰にも見せず、自分の好きなように撮りためた写真たち。それは私たちが考えている写真とはまるで別のものなのです。

「どちらかというと、写真は観る人に対して迫ってくるイメージのものが多いと思います。しかし彼の場合は、アートの中心地・ニューヨークにいながら、一定の距離を置いて人や風景を眺めつつ撮ったことで、いろいろなストーリーが見えてくるのです。」
ソール・ライター展プロデューサー佐藤正子


ソール・ライター 《帽子》 1960年頃、発色現像方式印画
ⒸSaul Leiter Foundation

今回の回顧展では後半の「Part2:ソール・ライターを探して」が特に、彼の写真を知る上で大事なセクションとなっています。

精神を患い若くしてこの世を去った妹のデボラや、彼と長く暮らしたソームズら、身近な女性たちの親密な写真で構成されています。

何十年も暮らしたアパートの空間も一部再現するなど、一歩ソールの内情に踏み込んだものとなっています。



ところで、今回のタイトル「永遠のソール・ライター」展とは、一体何が永遠なのでしょう。答えは意外なほどシンプルなものでした。

まだまだ未整理で陽の目を見ていない写真が山ほどあるそうで、こうした写真展がそれこそ「永遠」に出来てしまうのではないかというほどに。

確かに、写真家ソール・ライターの紹介は2010年以降のこと。これからもっともっと我々の心に突き刺さる(痛みではなく心地よさを伴い)写真が現れてくることでしょう。


「ソール・ライターのスライド・プロジェクション」

プリントアウトされていない写真を会場内でアーカイブとしてスライド上映しています。これ見始めてしまうと立ち去れませんよ。要注意です。

約8万点のカラー写真をはじめ、作品の大半を整理することなく世を去った写真家の「発掘作業」は、ソール・ライター財団により現在進行形で続けられています。

2017年の展覧会では発掘しきれていなかった膨大なアーカイブの中から、世界初公開となる作品を含む多くの未公開作品と豊富な作品資料を通して、ソール・ライターのさらに知られざる 一面を紐解き、その魅力に迫ります。


ソール・ライター 《無題》 撮影年不詳、ゼラチン・シルバー・プリント
ⒸSaul Leiter Foundation

前回見逃してしまった人も安心して下さい。世界中の誰もがまだソール・ライターについてほんの氷山の一角しか目にしていないのですから。

「永遠のソール・ライター」展は3月8日までです。早くも今年の展覧会ベスト10に入る素晴らしい内容です。是非是非!!混雑必至。なるべくお早めに〜


永遠のソール・ライター
ソール・ライター財団 (監修)

東京・Bunkamura ザ・ミュージアム、4月より美術館「えき」KYOTOで開催される作品集の公式図録。一般書籍として販売されています。版型が前回のものと同じなのが嬉しい!


「ニューヨークが生んだ伝説の写真家 永遠のソール・ライター」

開催期間:2020年1月9日(木)〜3月8日(日)
*1/21(火)・2/18(火)のみ休館
開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
https://www.bunkamura.co.jp/museum/
主催:Bunkamura、読売新聞社
協賛・協力等:
[協力]ソール・ライター財団、NTT東日本
[後援]J-WAVE
[企画協力]コンタクト


ソール・ライター 《無題》 撮影年不詳、発色現像方式印画
ⒸSaul Leiter Foundation


All about Saul Leiter ソール・ライターのすべて
ソール・ライター (著)

「人生で大切なことは、何を手に入れるかじゃない。何を捨てるかということだ」

作品と言葉で紡ぐ、ソール・ライターの人生哲学と美意識



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