青い日記帳 

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「見えてくる光景 コレクションの現在地」

アーティゾン美術館で開催中の
開館記念展「見えてくる光景 コレクションの現在地」に行って来ました。


https://www.artizon.museum/

2015年5月から新築工事のため休館していたブリヂストン美術館が、名称を慣れ親しまれた「ブリヂストン美術館」から「アーティゾン美術館」に改め、2020年1月18日に開館しました。

アーティゾン美術館内外装完成施設内見会レポ(作品が一枚もない展示室やLEDピクトグラム等)

5年かけ23階建ての「ミュージアムタワー京橋」を新たに建て、その低層階(1階〜6階)をアーティゾン美術館が占めています。展示スペースは旧美術館の倍の広さとなりました。



休館している間にも積極的に作品収集に取り組み、コレクションの幅を広げた中から、今回は、モリゾ、カサット、ボッチョーニ、カンディンスキー、ジャコメッティ、松本竣介など31点が初公開されています。

旧ブリヂストン美術館時代は暇さえあれば、良質なコレクションを観に行き、ここの美術館で西洋絵画や洋画のイロハを学んだと言っても過言ではありません。

今では当たり前となっている美術館での講座も、ここの「土曜講座」はパイオニア的な存在でした。アーティゾン美術館と生まれ変わってからも引き続き「土曜講座」を開催する初心を忘れていない点も素晴らしい点です。


メアリー・カサット「日光浴(浴後)」 1901年
石橋財団アーティゾン美術館蔵(新収蔵品)

5年も休館し、歴史ある美術館の名称まで大胆に変更となると、慣れ親しんだ美術館ではなくなってしまうような寂しい気持ちになったことは事実です。それだけ愛着があったのです。

開館記念展に出向く足取りも少し複雑な思いがありました。

しかし、そんなメランコリックな感情を一瞬で吹き飛ばすかのように、これまでにも増して素晴らしい美術館に生まれ変わっていました。

それは、「見えてくる光景 コレクションの現在地」展へ一歩足を踏み入れればすぐに実感できるはずです。同様な不安をお持ちの方でも。


ポール・セザンヌ「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」1904〜06年頃
青木繁「海の幸」1904年
石橋財団アーティゾン美術館蔵

この神展示は美術館スタッフもいつかはやりたいと虎視眈々と狙っていたのでしょう。同時期の世界に誇る優品同士の今しか観られない絶品コラボです。

この年になると流石に泣くことなどなくなるものですが、この展示を前に涙腺崩壊しました。やっぱり名前は変わっても美術に対する想いはこれまで通り、否それ以上です。ここの美術館。

展覧会の構成は以下の通りです。

第1部「アートをひろげる」
第2部「アートをさぐる」
01 装飾
02 古典
03 原始
04 異界
05 聖俗
06 記録
07 幸福


開館記念展「見えてくる光景 コレクションの現在地」では、西洋絵画と日本絵画(洋画)それに彫刻作品などを混在させて見せています。しかも稼働展示壁を少々凝った配置にしていることで「ひろがり」が増しています。



第2部「アートをさぐる」では、7つのテーマを設定しよりごちゃ混ぜ感を出しています。素直にコレクションを並べるだけでは芸がありません。よく練られています。

そうそう、アーティゾン美術館では、館内のWi―Fi化を実現し情報をリアルタイムで鑑賞者のiPhone、スマホに送るというサービスを無料で行っています。

アーティゾン美術館のアプリ(無料)をダウンロードすれば、鑑賞者のスマートフォンで音声ガイドや作品解説を楽しめるのです。

アーティゾン美術館公式アプリ


松本竣介「運河風景」1943年
石橋財団アーティゾン美術館蔵(新収蔵品)

こちらの新収蔵品も無料アプリで解説が聴けます。その場で聴けるだけでなく、いつでもどこでも繰り返し聴けるのがミソです。例えば帰りの電車内でも自宅でも。テキスト表示もされるので、美術書としても有用です。

館内のスマホ利用は当然ながらOK!そして写真撮影も原則可能となりました。より一層開かれた美術館へと成長した感があります。

国内の公立館もアーティゾン美術館をお手本として、そろそろ重い腰をあげないといつまでたっても…です。(12年前に「美連協ニュース」に寄稿した時から大きな変化がないように感じます。)


洛中洛外図屏風」17世紀 江戸時代
石橋財団アーティゾン美術館蔵

新たにコレクションに加わった六曲一双の「洛中洛外図屏風」は、存在は薄っすら知っていましたが、まさかアーティゾン美術館が手に入れていたとは!

非常に状態の良い金地の屏風です。ドイツのGlasbau Hahn(グラスバウハーン)社による特注品15mの巨大な一枚ガラスに護られ新たに設けられた日本美術展示コーナーに鎮座しています。



6階から4階まで3フロアに渡り、新収蔵品を含めたコレクションが贅沢に展開されています。一度で観るのは不可能です。携帯の充電も出来る休憩スペースも設けられているので休み休み味わいましょう。

各展示室内に設置されている椅子もそれぞれデザイン性に富んだものが採用されています。何種類もあるので全部座りたくなります。


4階展示室

最後の展示室は、旧ブリヂストン美術館時代の展示室を模して作られています。この天井高の低さが懐かしいですね!古くからのファンへの心使いが感じ取れます。

新しい取り組みと、これまで培ってきた良さを非常にいい塩梅に調合し、非の打ち所がない極上の美術館となっています。


ピエール=オーギュスト・ルノワール「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」1876年
油彩・カンヴァス 97.8×70.8cm
石橋財団アーティゾン美術館蔵

これから先何十年もまたここで学び、美術の世界に羽ばたいていく人材や、多くの美術ファンを育てあげていくことでしょう。自館の責任をこれほど理解し、実現している(具現化可能な)美術館は日本でここだけです。

アーティゾン美術館。これからも良い作品を沢山私たちに見せて下さい。開館おめでとうございます。

「見えてくる光景 コレクションの現在地」展は3月31日までです。大学生を含む学生は無料です。何度でも足を運んでその目で本物を味わいましょう。


開館記念展
「見えてくる光景 コレクションの現在地」


会期:2020年1月18日(土) 〜 3月31日(火)
開館時間:10:00〜18:00
(毎週金曜日は20:00まで / 但し3月20日を除く)
*入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日 (2月24日は開館)、2月25日(火)
会場:アーティゾン美術館
https://www.artizon.museum/
主催:公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館


『芸術新潮 2020年 01月号 東京のミュージアム100』


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美術館とは、「人間とはなにか」を、造形をとおして分かりやすく伝える装置です。人間は過去、数万年にわたって形をつくってきました。その途切れることのない連鎖が、現在や未来の私たちを生かしています。人は文学や音楽、演劇などでもすぐれた成果を残してきましたが、美術ほど、私たちがもつ能力と可能性を一望の下に直ちに感じることができる分野はないでしょう。創造という人間がもつ輝かしい力を、美術は私たちに教えてくれます。

休館中も収集活動を続けてきた石橋財団コレクションは、65年以上で約2,800点となりました。古代から21世紀までにわたる創造の軌跡は、みなさまに、美術家たちが造形を生み出す瞬間と立ち会う場をご提供できるものです。このたびの選りすぐりの約200点によって、今という時間が過去と未来をつなげ、人間の歴史を編んでいく営みにみなさまをお誘いします。
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この記事に対するコメント

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- | 2020/01/29 4:46 PM
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