青い日記帳 

TB&リンク大歓迎です!
<< February 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 >>
<< 「磁州窯と宋のやきもの展」 | main | 「ETERNAL〜千秒の清寂」 >>

「ルネ・ラリック展」

東京都庭園美術館で開催中の
「北澤美術館所蔵 ルネ・ラリック アール・デコのガラス モダン・エレガンスの美」展に行って来ました。


https://www.teien-art-museum.ne.jp/

展覧会前半でふと、人は一体どれくい前からガラスいうこの魅惑的な物質と付き合ってきたのか疑問に駆られました。

日常的に身近な存在でありながら、例えば正倉院宝物展や古代エジプト展でも目にするガラス。古代ローマの博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥス(Gaius Plinius Secundus)が記した『博物誌』にもガラスは登場します。


プリニウス 1巻 (バンチコミックス)

しかし、ガラスの起源はもっともっと以前となるそうで、紀元前23世紀頃の古代メソポタミアの遺跡からも人工ガラスの遺品が見つかっています。

Wikiには「紀元前4000年より前の古代メソポタミアで作られたガラスビーズが起源とされている。」とあります。いずれにせよ、随分と長いこと人とガラスは共に歴史を歩んできたことになります。

ヨーロッパでのガラス工芸に目を転じると、やはり最もメジャーな存在としてイタリア、ムラーノ島で発達・発展したヴェネツィアガラスが真っ先に頭に浮かびます。



他にも、ボヘミア、ドイツ、オランダでも16世紀以降、その土地に根ざしたガラスが制作され、次第に装飾性も高められていきました。

さてさて、前置きが長くなりましたが、ルネ・ラリックの活躍したフランスでも18世紀から19世紀にかけヴェネチアを凌駕する勢いでガラス産業が発達しました。当時誕生したバカラなどは今でも健在です。


「ルネ・ラリック展」展示風景

そしていよいよフランスのガラス工芸が世界の頂点を極める時がやってきます。エミール・ガレの登場です。ガレについては説明は不要でしょう。

アール・ヌーヴォーの旗手として、ガラス工芸を芸術の域にまで高めた功績は今なお、彼が高い人気を誇っている証でもあります。

ここでガレと今回の主役ラリックの生没年を確認しておきましょう。

エミール・ガレ(1846年5月4日 – 1904年9月23日)
ルネ・ラリック(1860年4月6日 - 1945年5月1日)


ひと回り以上年齢的にはラリックの方が若く、40年以上も長く生きたことが分かります。ここが意外と大事なポイントとなります。


ルネ・ラリック テーブル・センターピース《三羽の孔雀》(部分)1920年 
北澤美術館蔵 撮影:清水哲郎

展覧会の構成は以下の通りです。

本館 第1章:ラリックの生み出した「アール・デコ」のガラス
1:アール・デコのダイナミスム
2:エレクトリック・エイジ
3:テーブルウェア
4:コティとのコラボレーションと初期香水瓶
5:オパルセントとカラー
6:知られざる1点制作品、シール・ペルディ
7:書斎の名脇役
8:デザイン画
9:アクセサリーと化粧道具
10:カーマスコット

新館 第2章 パリの香りを運んだラリック
11:1925年パリ「アール・デコ博覧会」
12:アール・デコの館 朝香宮邸
13:皇太子裕仁親王(昭和天皇)のパリ土産、1921(大正10)年
14:クルマへの情熱
15:デルスニス展



・アール・ヌーヴォーを代表するガラス工芸家ガレ
・アール・デコを代表するガラス工芸家ラリック

時折、頭の中でごっちゃになってしまいます。ただ今回の展覧会(本館の展示)を一通り観ると、ラリックが当初からアール・デコ様式のガラス器を制作していたのではなく、段階的にその道へ進んだことがよく分かります。

アール・ヌーヴォーとアール・デコの時代を股にかけて活躍したことが作品を通して見えてきます。


ルネ・ラリック 香水瓶《牧神のくちづけ》 モリナール社 1928年(左から3番目)ほか香水瓶各種 
北澤美術館蔵 撮影:清水哲郎

ガラス工芸品から家具や陶器のデザインへ手を広げていったガレとは違い、ラリックは初めは宝飾デザインやグラフィックデザインを手がけていました。

先日終了した渋谷区立松濤美術館での「サラ・ベルナールの世界展」では、彼女の庇護を受けていた頃のラリックの事も紹介されていました。



本格的にガラス器に手を出すのは50歳頃からです。そうガレとは逆の道順でガラス工芸へ辿り着いているのです。そこがラリック作品を観る時の一番のポイントではないでしょうか。

今回、ラリック作品の優品を数多く所蔵する北澤美術館の所蔵品で構成された「ルネ・ラリック展」。アール・デコの館、庭園美術館にまさにうってつけの展覧会です。

旧皇族朝香宮邸(現・東京都庭園美術館)のガラスの扉やシャンデリアなどの製作をラリックが受注したのが1932年のことです。



ラリックを所蔵する美術館や「ラリック展」は数多く開催されていますが、ラリック作品が現存している旧朝香宮邸(東京都庭園美術館)で拝見するのは格別です。

世界中広しといえどもこんな至福の時を味わえる空間は他にありません。フランス人もきっと羨ましがることでしょう。



今回は北澤美術館と庭園美術館の格段の配慮により、館内写真撮影が全て可能となっています。

2017年に北澤美術館をはじめとする諏訪湖周辺の美術館を巡った時の記事も合わせてどうぞ。

諏訪湖の美術館・博物館5選!シルク、名画、オルゴール…アート散歩

4000年以上も昔の人から愛されてきたガラス。20世紀初頭のパリで開花した、優美且つシャープなラリックのガラス作品をアール・デコの館で!

東京都庭園美術館での「ルネ・ラリック展」は4月7日までです。是非〜


「北澤美術館所蔵 ルネ・ラリック
アール・デコのガラス モダン・エレガンスの美」


会期:2020年2月1日(土)〜4月7日(火)
休館日:第2・第4水曜日(2/12、2/26、3/11、3/25)
開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
ただし、3/27、3/28、4/3、4/4は、夜間開館のため20:00まで(入館は19:30まで)
会場:東京都庭園美術館(本館+新館ギャラリー1)
東京都港区白金台5-21-9
https://www.teien-art-museum.ne.jp/
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都庭園美術館、NHK、NHKプロモーション
特別協力:公益財団法人北澤美術館
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
年間協賛:戸田建設株式会社、ブルームバーグ・エル・ピー

図録は一般書籍として販売されています。


『北澤美術館所蔵 ルネ・ラリック』


Twitter:https://twitter.com/taktwi
Facebook:https://www.facebook.com/bluediary2/
Instagram:https://www.instagram.com/taktwi/
mail:taktwi(アットマーク)gmail.com

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5757

JUGEMテーマ:アート・デザイン



ガラスを素材としたエレガントな作品の数々で、アール・デコの時代を切り開いたルネ・ラリック(1860-1945)。

ガラスは加工が容易で量産にも適していることから、時代の変化とともに、19世紀末頃より日常生活のなかに急速に普及していきました。アール・ヌーヴォーの時代にジュエリーを手がけていた頃から、貴石に代わる新素材としてガラスを用いていたラリックは、20世紀に入ると、芸術性と実用性を兼ね備えた独自のガラス作品によって、新時代を創出したのです。

透き通る光の清らかさや貴金属を思わせる重厚な輝きなど、ラリックのガラス作品にはフランス装飾美術の精神「ラール・ド・ヴィーヴル(生活の芸術)」が豊かに受け継がれています。

本展は、世界屈指のガラス・コレクションを有する北澤美術館所蔵のルネ・ラリック作品より、アール・デコの時代を代表する名品約220点を厳選し、正面玄関ガラスレリーフ扉など、ラリックの作品が内部を飾る「アール・デコの館」旧朝香宮邸を舞台にご紹介するものです。

さらに、朝香宮家が旧蔵していたラリック作品や、昭和天皇が皇太子時代に外遊の記念にパリから持ち帰った花瓶なども併せて特別展示いたします。
展覧会 | permalink | comments(0) | -

この記事に対するコメント

コメントする