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『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展 完全ガイドブック』

朝日新聞出版刊行の『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展 完全ガイドブック』を読んでみました。


『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展 完全ガイドブック』
(AERAムック)

朝日新聞出版 (編集)

新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡散防止のため、2020年2月29日(土)から3月16日(月)まで臨時休館となってしまった国立西洋美術館。

本来なら、3月3日から「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」が華々しくスタートするはずでした。
https://artexhibition.jp/london2020/

海外のメジャーな美術館の名を冠した展覧会は毎年どこかで必ず開催されています。「ボストン美術館展」なんてもう何回開いたのか分かりません。


ロンドン・ナショナル・ギャラリー内観
https://www.nationalgallery.org.uk/

ところが、ロンドン・ナショナル・ギャラリーはこれまで約200年の歴史の中で、国内はもとより海外の美術館へ作品の大規模な貸し出しを行ってきませんでした。

そんな頑固な英国を代表する美術館が、はじめて館外へ61点もの作品を貸し出すのですから、注目しないわけにはいきません。

勿論、61作品すべてが日本初公開となります。レンブラント《34歳の自画像》、アングル《アンジェリカを救うルッジェーロ》、スルバラン 《アンティオキアの聖マルガリータ》、セザンヌ《ロザリオを持つ老女》等々。


ロンドン・ナショナル・ギャラリー展 完全ガイドブック』より。

先方から「はい、ではこの61作品ね」とパッケージされた作品群ではなく、日本の学芸員と先方とで協議を重ねて選んだ日本人向けのまさにオリジナルの構成となっているのが、ウリでもあります。

毎年数多くの展覧会を観ていますが、正直こんな経験は初めてです。となるところだったのに、新型コロナの影響で会期延期に…楽しみにし過ぎていたのが災いしたのでしょうか……

ロンドン・ナショナル・ギャラリーへは、都合これまで4回は足を運んでいます。トラファルガー広場に面し多くの人で賑わいをみせており(鳩も多かった記憶があります)、まさに英国の顔たる堂々たる構えで迎えてくれます。


ロンドン・ナショナル・ギャラリー外観
https://www.nationalgallery.org.uk/

毎回、現地(アウェー)では作品に圧倒されてしまい、心落ち着けて観られたためしが一度もありません。今回日本しかも慣れ親しんだ国立西洋美術館(まさにホーム!)で対面出来るとあって本当に本当に楽しみにしているのです。

しかし、地団駄踏んでいても門は開きません。ここはひとまず、予習に徹しましょう。

これだけ大きな展覧会となると各出版社もほおってはおきません。数社から「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」に関する本が出ています。(『芸術新潮』も来月号で特集を組んでいます)



何冊か出ている展覧会ガイドブックの中から一冊選ぶとすると『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展 完全ガイドブック』でしょう。

朝日新聞出版AERAムックのこの類の本は、外れがまずありません。61作品全てカラー図版で紹介し解説されているのは当たり前。

ただ、それだけだと図録と変わり映えしなくなります。そこで、ゴッホとフェルメールにページを割きそれぞれ「総力特集」として、丁寧すぎるほど突っ込んだ解説を展開しています。


ひまわりの履歴書、ファン・ゴッホ家から購入したロンドン版《ひまわり》

ゴッホの描いた7点のひまわりの来歴を一覧表にまとめています。いつ誰の手に渡り、そして現在の美術館に所蔵されるに至った経緯など見開きで紹介しています。

こうしたアプローチって今までありましたでしょうか。「調べれば分かること」かもしれませんが、日本語で丁寧に観やすくこうしてまとめてくれるのは誰にも出来ることではありません。

【目次】
来日する61作品はこれだ!
・ゼッタイに見たい名画セレクション1〜6解説
・ゴッホ総力特集:《ひまわり》が傑作な理由/モネが描いたひまわりと比較研究/《ひまわり》を原寸大に拡大すると!/ゴッホの《ひまわり》は7枚ある/まるかわりゴッホの37年の生涯/ゴッホとゴーガン62日間の真相/ゴッホは本当に自殺したのか/他にあるぞゴッホの名作/日本でもゴッホに会える美術館
・フェルメール総力特集:《ヴァージナル〜》が傑作な理由/楽器を弾く絵との比較研究/《ヴァージナル〜》を原寸大にすると!/ヴァージナルってどんな楽器/まるわかりフェルメール43年の生涯/絵の中にある「小物」に込められた愛/フェルメールが小さい絵を描いた理由/フェルメール作品の来日歴/フェルメールの故郷を歩く
・まだまだあるぞ名画解説(国立西洋美術館•川瀬佑介)
・西洋美術はこのように変化した!
・カリスマ予備校講師の独占授業「イギリスの歴史」
・ロンドン•ナショナル•ギャラリーの歴史
・ロンドン•ナショナル•ギャラリー所蔵の来日しなかった名画たち
・展覧会図録紹介
・展覧会グッズ紹介



ヨハネス・フェルメール《ヴァージナルの前に座る若い女性》1670-72年頃

日本にやって来る24作目のフェルメール作品。ロンドン・ナショナル・ギャラリーには同時期に描かれた「ヴァージナルの前に立つ女性」もあります。今回やって来るのは「座る」方です。

どちらもフェルメールが亡くなる数年前に描き上げた作品とされ、全盛期のそれと比べると光の表現や細部の描写にやや衰えが見えます。

ところが、最近では新しい画風にチャレンジした結果このような作品となったのでは。との説も出てきています。いずれにせよ、国内でフェルメールを間近で観られる好機であることに間違いはありません。


ピアノのようでも全く音色の違うヴァージナル

國學院大學教授の小池寿子先生や国立西洋美術館の主任研究員でありこの展覧会の担当者でもある川瀬佑介氏による充実したテキストは、この手の本にしてはかなり贅沢な読み物です。

また、皆さんよくご存じの人たちも執筆者に名を連ねています。壺屋めり (@cari_meli)、はろるど (@harold_1234) 、かるび(主夫アートライター) (@karub_imalive)そして、江六前一郎:ichiro erokumae: (@icro_erkme)


依頼主の変化が西洋絵画を変えた

本を読むことは心を落ち着ける作用があります。また活字と向き合うことは想像力をかき立てます。

座して落ち着いて本をとり、知識に磨きをかけながら美術館で展覧会を再び観られる日を気長に待ちましょう。ジタバタしても仕方ありません。こんな時こそ読書です。


『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展 完全ガイドブック』
(AERAムック)

朝日新聞出版 (編集)

200年の歴史の中で、館外への大規模な貸し出しをしてこなかったロンドン・ナショナル・ギャラリーが、ついに美術展の開催を決断した。出品される61作品すべてが初来日。フェルメールの《ヴァージナルの前に座る若い女性》もやってくる。そのほか、ルネサンス期の巨匠・ティツィアーノ、オランダが生んだヒーロー・レンブラント、印象派のビッグスター・モネやルノワールなど、まさしく「西洋絵画の教科書」が勢揃い。オリンピックイヤーの今年、東京と大阪で、いまだかつてない感動が湧きあがる。約8カ月におよぶロングラン。これを見逃せば、次はいつ見られるか分からない!



『Oggi (オッジ) 』2020年 4月号

小学館の『Oggi』で「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」について書いています。読んで下さいませ!

【関連書籍】

『ロンドン・ナショナル・ギャラリー: 名画でひもとく西洋美術史』 (別冊太陽)
小池 寿子 (監修), 高橋 明也 (監修)


『カラー版 教養としてのロンドン・ナショナル・ギャラリー』 (宝島社新書)
木村 泰司 (著)

【映画】

『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』(字幕版)

ダ・ヴィンチ、ゴッホ、レンブラントなど巨匠たちの西洋絵画の傑作がずらりと揃う「名画の宝庫」ロンドンの中心、トラファルガー広場にあり、年間500万人以上が訪れる世界トップクラスの美術館ナショナル・ギャラリー。巨匠フレデリック・ワイズマン監督が、30年の構想を経て、英国の〈小さな美術館〉が〈世界最高峰〉と讃えられ、190年もの長い間、人々に愛され続ける―その秘密に迫る!(c)2014


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