青い日記帳 

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「若冲誕生 〜葛藤の向こうがわ〜」

福田美術館で開催中の
「若冲誕生 〜葛藤の向こうがわ〜」展に行って来ました。


https://fukuda-art-museum.jp/

伊藤若冲の没後200年を記念して行われた「没後200年 若冲展」が京都国立博物館で開催されたのが2000年。もう20年も前のことになります。

今ではすっかり若冲の名前も世に知れ渡り、誰も「若沖」なんて言ったりしなくなりました。「若冲展」もあちこちで開催され、もう十分に若冲作品を観たつもりでいました。



ところが、ところが、若冲さんの地元京都にはまだまだ世に知られていない(展覧会に出ていない)作品が沢山あるのです。

「若冲誕生 〜葛藤の向こうがわ〜」では25作品もの初お披露目となる若冲作品が出ます。半数以上が初見となるのです。

中でも筆頭にあげられるのが「蕪に双鶏図」です。


伊藤若冲「蕪に双鶏図
福田美術館蔵

蕪畑に番の鶏が描かれています。かなり初期(30歳代)の作品らしく、必要以上にくどいほど病葉や枯葉の描写に徹しています。

アクロバティックな鶏よりも、蕪に目が行ってしまうあたり、青物問屋「枡屋」の長男だった若冲らしさが伺えます。



大振りの彩色画が令和の今になっても発見されてしまうのですから驚きです。とある個人からもしかしたら若冲では…と持ち込まれたそうです。

今回の展覧会ポスターや図録の表紙にもこの絵に描かれた鶏冠を真下に向けた雄鶏が用いられており、クローズアップ、トリミングされ精緻な描き込みもはっきりと分かります。

中国絵画には蕪と鶏という題材は無いそうなので、若き日の若冲オリジナル作品と言えます。ただし画面左下の「若冲」の署名は後入れかと。


「蕪に双鶏図」対談

「辻惟雄先生と初公開の若冲みてみた」YouTubeで特別公開!若冲研究の第一人者、辻惟雄先生のご自宅に実物の「蕪に双鶏図」を持ち込み、福田美術館学芸員の岡田秀之氏と絵を見ながら対談しています。

蔵の深い美術館と表現したりしますが、若冲、応挙、芦雪といった江戸絵画に関しては京都の蔵の深さ計り知れないものがあります。


伊藤若冲「蟹・牡丹図
個人蔵

衝立の表裏に蟹と牡丹を描いた作品。画像の画面中央には大きくタラバガニが、脚には子蟹がつかまっています。もう一種はモクズガニだそうです。

展覧会の構成は以下の通りです。

1:伊藤若冲
2:若冲と関係のある人々と絵画
3:若冲と同時代の画家たち

Masaya Kushino×伊藤若冲

若冲とレディー・ガガとの意外な共通点とは?!

こんなレアなものも公開されています。


伊藤若冲「六月四日付藤幸之助宛て書簡
個人蔵

現在確認されている唯一の若冲の手紙です。

作品の代金について記されているそうです。達筆な文字と共に絵も添えられているのが良いですね。


伊藤若冲「群鶏図押絵貼屏風
福田美術館蔵

そういえば、図録に華園力氏(はなぞのクリニック院長)が、図録に若冲という才能を誕生させた背景要因として、1)生まれ持った自閉スペクトラム(AS者)という発達特性。2)18世紀上方文化環境の2点をあげています。

特に自閉スペクトラム(AS者)について多くの紙面を費やし論考を展開されています。若冲作品を解釈するひとつの手立てとして読んでおくのは良いかもしれません。



円山応挙、長沢芦雪、曽我蕭白、池大雅といった同時代に京都で活躍した絵師たちの作品も同時に紹介されています。

そしてこれもまた若冲と同じく、初めて展示される作品が半数以上を占めているのです。



福田美術館の副館長さんや岡田学芸員自ら「頑張りました」と胸を張るだけあるとても充実した内容の展覧会です。

本来ですと3月20日から開催予定でしたが、新型コロナの影響を鑑み3月28日から開催することになりました。

渡月橋を一望できる好立地にある福田美術館。若冲をはじめとする江戸時代に京都で腕を振るった絵師たちに会いに出かけましょう。

「若冲誕生 〜葛藤の向こうがわ〜」は6月21日までです。是非是非〜
(一部作品を除き写真撮影可能です)


「若冲誕生 〜葛藤の向こうがわ〜」

会期:2020年3月28日(土)〜6月21日(日)
開館時間:10:00〜17:00(最終入館 16:30)
休館日:火曜(祝日の場合は翌日)5月5日・6日開館、5月7日休館
会場:福田美術館
https://fukuda-art-museum.jp/
主催:福田美術館、京都新聞


『若冲伝』
佐藤康宏(著)

【次回展】

「大観と春草 ー東京画壇上洛ー」
会期:2020年7月11日(土)〜9月28日(月)

福田美術館から徒歩数分の嵯峨嵐山文華館では応挙と芦雪の展覧会も開催されます。


「いちからわかる 円山応挙と長沢芦雪」
会期:2020年4月25日(土)〜6月21日(日)
嵯峨嵐山文華館
https://www.samac.jp/

18世紀京都を中心に活躍した絵師、円山応挙とその弟子、長沢芦雪の作品を中心に展示いたします


『かわいい こわい おもしろい 長沢芦雪』 (とんぼの本)
岡田 秀之 (著)


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伊藤若冲(1716-1800)は、京都錦小路にある青物問屋「枡屋」の長男として生まれました。
23歳のとき、亡くなった父に代わり家業を継ぎます。30代で家業のかたわら描いた絵には、独自の感性による表現が感じられます。
家業を続けるのか、絵に専念するのかという葛藤に苦しんでいた若冲を解放したのは、彼の絵の才能を見いだし、精神的に支えた大典禅師をはじめとする禅僧や支援者たちでした。
彼らが若冲やその家族を援助し励ましたことで、40歳で家業を弟に譲り、絵を描くことに専念します。

本展では、初公開となる若冲30代の初期作品《蕪に双鶏図》をはじめ、初期から晩年までの作品と若冲に影響を与えた禅僧や画家たちを取り上げ、若冲作品の魅力とその背景に迫ります。
また、曾我蕭白、円山応挙など個性あふれる同時代の画家たちの作品も展示し、若冲の生きた18世紀京都画壇の秀作をお楽しみいただきます。
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