青い日記帳 

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内藤コレクション展供崔羸いらルネサンスの写本 祈りと絵」

国立西洋美術館で開催中の
内藤コレクション展供崔羸いらルネサンスの写本 祈りと絵」に行って来ました。


https://www.nmwa.go.jp/

目の寄る所へ玉も寄るではないですが、良い作品を所蔵する美術館には自然と優れたモノが集まってくるものです。

内藤裕史氏(筑波大学・茨城県立医療大学名誉教授)が長年にわたって蒐集された、写本リーフのコレクション約150点を、2016年にまとめて国立西洋美術館に寄贈されました。

内藤コレクションとして、初お披露目となったされたのが昨年秋。今回はそれに続く第二弾となります。


内藤コレクション展「ゴシック写本の小宇宙――文字に棲まう絵、言葉を超えてゆく絵」
会期:2019年10月19日(土)〜2020年1月26日(日)

webやファクシミリ版では目にしたことがあっても、こうして本物を観る機会は日本ではまずありません。


一点モノの美しい写本がずらり。目の保養に、中世の美!眼福也。

それが、上野で観られるのですから、こんな福運はありません。現在国立西洋美術館では「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」を開催しています。

「ロンドン展」は混雑緩和の観点から事前予約制(日時指定チケット)を導入していますが、常設展示室で開催されている「内藤コレクション展」は予約無しで僅か500円で観られます。


時祷書より:精霊降臨」1460-70年頃
南ネーデルラント

日本でまとめて観ることが出来ない中世ヨーロッパで書かれた(描かれた)時祷書や聖書。

人々は神のことばや偉業を手で書き写していました。グーテンベルクにより活版印刷技術が発明される(諸説あり)まで、本は人の手で書き写すものでした。

容易に大量印刷できる今、紙の本は特段貴重なものでも何でもありませんが、中世においては神の言葉を伝える貴重な存在であったのと同時にそれ自体が「神」だったのです。


時禱書より:イニシアルOの内部に『祈る聖母マリア』」1470年頃
フランス、パリ

英語で「the book」「Book」が『聖書』の意味を持つのもそうしたことが所以なのでしょう。

日本でも写経という文化があります。同じ祈りの対象ではありますが、西洋の時祷書には多彩な装飾性が観られるのが大きな特徴です。


ゲッティ美術館10番写本の画家に帰属「時祷書より:パトモス島の福音書記者 聖ヨハネ」1475-80年頃
フランス、リヨン

ポール・ゲッティ美術館コレクション

参考→「ベリー公のいとも豪華なる時祷書

またテキストの頭文字や余白にアクセントを加え独自の美意識をそこに表現しています。


詩篇集より:シャンピ・イニシアルD」1400-25年
イングランド

86(はちろく)もびっくりのDへの固執。もっともっと近寄って是非会場でご覧になって下さい。

そうそう、これらの時祷書類は獣皮紙(羊皮紙)にインクや金などで書かれています。獣皮紙特有の「肌感」も直に見られる機会でもあるのです。


時祷書より:鳥と猿のいるパネル枠装飾」1500-10年頃
フランス、ブルージュまたはパリ(?)

印象派の絵画は日本国内どこでも観られますが、中世の時祷書はそうはいきません。大英博物館やゲッティ美術館に所蔵され日本にやって来ることはまずありません。

パリで羊皮紙に手書きされた14世紀の時祷書と偶然出会い、一目惚れし手に入れてから約半世紀。内藤氏が私財をはたいて購入した一大コレクション。

海外のオークションに出し換金することも考えたそうですが、最終的には日本人の多くの方に観てもらえるよう西洋美術館に一括して寄贈することに決めたとのこと。

松方コレクションを前身とする西洋美術館は現在も内藤氏のような篤志家により、所蔵品を増やして行っているのです。


時祷書より:花と小動物によるトロンプ・ルイユ風の枠装飾」15世紀末
南ネーデルラント、おそらくブリュッヘ

「写本ページの小さな平面は、より大きな画面を備えた壁画や板絵になんら劣ることのない、中世の絵画芸術のまぎれもなく最重要な舞台でした。」

美術的な側面もさることながら、今のこの状況下で観にいくと何百年も前の人々の祈りが直に伝わってくるように感じます。

21世紀をむかえ暮らし向きは大きき変わりましたが、人の心は中世も今も同じであることにあらためて気付かされるはずです。

心にじわりとくるものがあります。内藤コレクション展供崔羸いらルネサンスの写本 祈りと絵」は会期変更となり8月23日までです。是非是非〜


内藤コレクション展供崔羸いらルネサンスの写本 祈りと絵」

会期:2020年6月18日(木)〜8月23日(日)
2020年3月3日(火)〜 6月14日(日)
※会期変更
開館時間:9:30〜17:30
毎週金・土曜日:9:30〜21:00
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし7月13日(月)、7月27日(月)、8月10日(月・祝)は開館)
会場:国立西洋美術館 版画素描展示室
https://www.nmwa.go.jp/
主催:国立西洋美術館
協力:西洋美術振興財団

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」も開催中です。


世界で最も美しい12の写本 ―『ケルズの書』から『カルミナ・ブラーナ」まで』
クリストファー・デ・ハーメル (著), 加藤磨珠枝 (翻訳), 松田和也 (翻訳)

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5901

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本展は、内藤コレクション展「ゴシック写本の小宇宙――文字に棲まう絵、言葉を超えてゆく絵」(2019年10月19日〜2020年1月26日)に引き続き、内藤裕史氏(筑波大学・茨城県立医療大学名誉教授)が長年にわたって蒐集され、当館に寄贈してくださった写本リーフのコレクションを紹介する企画です。

今回の展示では、15-16世紀の西ヨーロッパ(イギリス、フランス、ネーデルラント[現在のベルギーとオランダ])で制作された作品が中心となります。特に多くを占めるのは、時祷書に由来するリーフです。時祷書とは、一般の信者が日々の定められた時間に朗読する、聖書の抜粋や祈祷文などを収めた書物です。主な注文主は王侯貴族や裕福な市民であり、彼らの嗜好を反映した華麗な装飾が目を惹きます。また、15-16世紀のヨーロッパではルネサンス美術が花開きましたが、影響は写本挿絵の世界にも及びました。出品作の中にも、その様式的特徴である、より自然で現実感のある人物描写や広がりのある空間表現をもつものが見出されます。

なお、本展の展示作品の中には、長沼昭夫氏より頂戴した西洋美術振興財団への寄付金で購入したリーフも含まれます。長沼氏は、日本のミュージアムに手薄な西洋中世美術のコレクションを拡充すべきであるという内藤氏の思いに賛同され、支援を寄せてくださいました。内藤氏、長沼氏のご厚意に感謝するとともに、本展の開催にご協力くださいました各位にも心より御礼申し上げます。
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