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「日本絵画の隠し玉」

大倉集古館で開催中の
「日本絵画の隠し玉〜大倉コレクションの意外な一面〜」展に行って来ました。


https://www.shukokan.org/

歴史ある大倉集古館の展覧会にこれまでほとんど出なかった(中には最近全く出品されなかった)稀品をまとめて紹介する展覧会です。

狩野派や近世近代絵画の優品を多く所蔵する大倉集古館では極めて珍しい企画展。大倉集古館館長代行として安村敏信先生が着任したからこそ実現しました。


二代葛飾戴斗「鐘馗図」1830年

安村敏信先生といえば先日まで江戸東京博物館で開催されていた「奇才―江戸絵画の冒険者たち―」も担当されていました。

7月7日から山口県立美術館で、9月12日からはあべのハルカス美術館で開催されます。
https://kisai2020.jp/


「日本絵画の隠し玉展」展示風景

現在、大倉集古館で拝見できる「日本絵画の隠し玉〜大倉コレクションの意外な一面〜」にも、ユニークな作品が数多く出ています。

何故、今まで「お蔵入り」し陽の目を見なかったのか、考えれば考えるほど実に勿体ない作品ばかり。


虫太平記絵巻」江戸時代 18世紀

画像は小さくて分かりにくいのですが、太平記の登場人物が虫として描かれている絵巻です。非常にお金がかけられた美しい作品で、それ相応の身分の方が手元で広げ楽しんだものでしょう。

楠木正成は立派な?カマキリの姿をしています。現在の「昆虫」という枠には入らない蛇なども虫として登場。人物を具に特定していくと当時の人々のイメージも分かるかもしれません。

擬人化された虫ばかりに目が行きがちですが、風雨の様子など風景もとても丁寧に描かれています。これ本にしたら売れるんじゃないですかね。


「日本絵画の隠し玉展」展示風景

個人的に惹かれたのは、山口雪渓「十六羅漢図」。16幅すべて展示されいたのも迫力ありますし、1点1点それぞれ筆が走っていて見応え十分。

羅漢の顔もエグイし、一緒に描かれている動物たちも長谷川派から学んだとは思えない特有の表現をみせます。


山口雪渓「十六羅漢図」江戸時代 17〜18世紀

隠し玉展で本当に隠し玉に出会えると嬉しくなります。尤も、このエグミが際立ち過ぎているがゆえに、これまでの大倉集古館での展示にはまずだされなかったのでしょう。16幅全て展示したのも今回が初めてなのかしら。

この他にも、左右で大きさや絵が違う「扇面散らし屏風」や、絶対周文ではない伝周文の「寒山拾得図」(おかしなポーズ取っています)などなど。

大倉集古館の蔵の奥の奥から引っ張り出してきたような、珍品=名品がずらり。


扇面散らし屏風」江戸時代 17世紀

ただし、面白い作品が多いだけではないのがこの展覧会の魅力でもあります。

幕末から明治にかけ活躍し当時は大変名の知れた絵師だった塩川文麟など、現在ではすっかり忘れ去られてしまった絵師たちの作品を観ることが出来ます。

フリーア美術館やボストン美術館には沢山所蔵されている塩川文麟ですが、日本国内の展覧会ではあまりお目にかかる機会がありません。

そうした意味での稀品、珍品、名品を一挙公開している蔵出し展。安村先生自ら記したキャプションも読みごたえあります。

「日本絵画の隠し玉展」は7月26日までです。コロナの影響でこれまた会期が短くなってしまっています。すぐにでも観に出かけましょう。


「日本絵画の隠し玉〜大倉コレクションの意外な一面〜」

会期:2020年6月2日(火)〜7月26日(日)
2020年6月27日(土)〜7月26日(日)
開館時間:10:30〜16:30(入館は16:00まで)
休館日:毎週月曜日:6/29(月)、7/6(月)、7/13(月)、7/20(月)
会場:大倉集古館
https://www.shukokan.org/
主催:公益財団法人 大倉文化財団・大倉集古館

※写真提供大倉集古館(外観を除く)

次回は大倉集古館の王道を行く展覧会です。こちらはこちらで楽しみですね。

企画展「近代日本画の華〜ローマ開催日本美術展覧会を中心に〜」
会期:2020年8月1日(土)〜9月27日(日)



『江戸絵画の非常識―近世絵画の定説をくつがえす』 (日本文化 私の最新講義)
安村敏信(著)

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5909

JUGEMテーマ:アート・デザイン



大倉コレクションには数々の名品に埋もれて興味深い作品が静かに再評価を待っています。本展では日本絵画について、その発掘をしてみました。一見珍品や稀少な作品に見えるものを、改めて現代の価値観で見直すとなかなか面白い作品が浮上します。

「扇面散らし屏風」の片隻の絵師は、今はやりのゆるキャラを得意とし、その表現は魅力的です。「寒山拾得図」の怪異な表現は、劇画を好む人々に愛されるでしょう。「遊楽人物図屏風」では彦根屏風の新たな展開がみられます。「虫太平記絵巻」には素直に擬人化された虫たちの好演がみられます。

その他、宗教的な背景を持つ素朴な表現の作品や、古典に典拠した気品に満ちた作品など、従来の当館のイメージを覆す作品に出合えることでしょう。
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