青い日記帳 

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「STARS展」

森美術館で開催中の
「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」に行って来ました。


https://www.mori.art.museum/jp/

去年(2019年)の今頃、韓国の釜山へ旅行に行っていことが遠い遠い過去の出来事のように感じられる今年の夏。

2015年にオープンした、釜山市立美術館・李禹煥空間で日頃の雑念から解放され、のんびりとした時を過ごしました。


釜山市立美術館・李禹煥空間

あれからたった一年で生活様式は様変わりしてしまい、展覧会すら気軽に行けなくなってしまいました。まさかまさかの事態です。

これだけ劇的にしかも地球規模で大きな意識や行動の変化を強いられることは、有史以来初めてのことではないでしょうか。

声高に叫ばれていた「グローバル化」という言葉が今となるととても虚ろな響きを伴います。


宮島達男《「時の海—東北」プロジェクト(2020 東京)》2020年
防水LED、電線、集積回路、水

本来なら、東京オリンピック・パラリンピックに合わせ、2020年4月23日〜 9月6日に開催されるはずであった「STARS展」。来年に持ち越しか…と思われましたが、会期をずらし無事開幕しました。

同じように会期をずらして開催している展覧会多くありますが、日本を代表する6人の現代アーティストを紹介する「STARS展」は、予定通り行ったのと今の状況下で観るのではだいぶ様相が異なります。

観せるもの(展示)は同じでも。


奈良美智《Voyage of the Moon (Resting Moon) / Voyage of the Moon》2006年
ミクスト・メディア 制作協力:graf
所蔵:金沢21世紀美術館

「STARS展」が取り上げている6人(姓のアルファベット順)。

草間彌生
李禹煥(リ・ウファン)
宮島達男
村上 隆
奈良美智
杉本博司


誰しもが認め、日本のみならず世界中(ともすれば日本よりも海外での知名度の方が遥かに上)で現役で活躍している6名。

草間彌生さんに至っては1957年に単身渡米し現在に至るまで精力的にアート界の第一線で活躍されているまさにレジェンドの称号が相応しい作家。


草間彌生《たくさんの愛のすばらしさ》2019年
アクリル絵具、キャンバス
所蔵:有限会社 ティーパーティー

「STARS展」のサイトや展覧会情報だけをざっと見ると、総花的な内容と誤解を招きかねないところはあります。

実際に会場も6人の作家毎に展示空間が別けられており、互いが交わることは全くありません。


「STARS展」草間彌生展示風景

しかも、一度二度ではなく、これまで何度となく目にしてきた作家たちの展示からは、真新しさやワクワク感を得られないかもしれません。

6名の現代アート界の巨匠たちの初期作品から新作をまとめて観られるだけでも、十分凄いことなのにまったく贅沢な悩みです。

誰しもが認めるものを素直に良いということに抵抗感を感じ、常に「掘り出し物」ばかり探していませんか。


「STARS展」村上隆展示風景

でも、基本を身に付けていない学生が、応用問題に全く歯が立たないのと同じで、まずは現代アートのスタンダードを徹底的に身体に覚え込ませないと、新たな作品や作家など見つかるはずがありません。

山下裕二先生など実に忠実に守られ常に実践なさっています。だから「隠し玉展」が出来るのです。


杉本博司《シロクマ》1976年
ゼラチン・シルバー・プリント
所蔵:大林コレクション

「STARS展」の杉本博司さんの新作など、杉本作品をこれまでどれだけ観て実際に心動かされてきたかで見え方がまるで違ってきますし、初見の方にとっては面白くもなんともないでしょう。

現代美術初心者に「日本の現代美術」入門としては、贅沢過ぎる内容です。6人の名前は知っていたけど実際の作品をまとめて観るのは初めてという方、実にラッキーです。こんな機会あり得ませんからね。


アーカイブ展示:アーティストの活動歴

世界で認められている6人のスター作家たちは、如何にしていまのポジションを勝ち得たのでしょうか。

草間彌生や李禹煥(リ・ウファン)は物心ついた時から既に圧倒的な存在でした。では宮島さんは、杉本さんは、そして奈良さんは??

6人の作家毎に、これまでの活動履歴が主要な展覧会、カタログ、展示風景写真、展覧会評などにより紹介されています。

ここのアーカイブ展示が一番時間をかけて観るべきところです。スターは一夜にして成らず。そして世界が認め、日本でも評価されるという流れはいずれも似たり寄ったりです。


奈良美智《Miss Moonlight》2020年
アクリル絵具、キャンバス

時が止まってしまったかのようなコロナ禍において、鑑賞する「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」の意義を都会の喧騒から隔離された53階でゆっくりと探りましょう。

訪日外国人観光客向けに企画されたのしょうが、彼らが存在しなくなった世界で、我々日本人が時計の針を巻き戻し落ち着いて鑑賞するのにもってこいの展覧会となりました。

1年先は分からないものです。ましてや10年、20年先のことなど。


「STARS展」李禹煥展示風景

釜山市立美術館にまた行ける日は訪れるのでしょうか。不透明な未来を無理に見るよりも、まずが今(ココ!)をしっかりと刮目しましょう。

1950年以降海外で開催された日本の現代作家の展覧会のアーカイブもこの展覧会には用意されています。

過去と今をしっかりと見つめることで、先の道が開けて来るものです。この6名たちがそうしてきたように。

「STARS展」は2021年1月3日までです。写真撮影も一部を除き可能です。


「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」

会期:2020年7月31日(金)〜 2021年1月3日(日)
会期中無休
開館時間:10:00〜22:00(最終入館 21:30)
※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)
※ただし9月22日(火・祝)、11月3日(火・祝)は22:00まで(最終入館 21:30)
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
https://www.mori.art.museum/jp/
主催:森美術館
協賛:モルガン・スタンレー、鹿島建設株式会社、株式会社大林組、日本MGMリゾーツ、楽天株式会社、SENSAI、ソニー株式会社、株式会社竹中工務店、株式会社きんでん
協力:日本航空
制作協力:デルタ電子株式会社、東芝ライテック株式会社
個人協賛:Nelson Leong
企画:片岡真実(森美術館館長)、近藤健一(森美術館キュレーター)、椿 玲子(森美術館キュレーター)、山拓一(森美術館アソシエイト・キュレーター)、熊倉晴子(森美術館アシスタント・キュレーター)、矢作 学(森美術館アシスタント・キュレーター)


Casa BRUTUS(カーサ ブルータス) 2020年 6月号 [日本の現代アートまとめ。]


Pen (ペン) 「特集:現代アートの巨人(レジェンド)たち。」』〈2020年6/1号〉

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5945

JUGEMテーマ:アート・デザイン



戦後の高度成長期、日本ではオリンピック、万国博覧会といった国家規模のイベントが続き、国際化が推進されました。
その間、現代美術の世界でも、脱植民地主義、多文化主義などさまざまな議論が重ねられ、ビエンナーレやアートフェアなど新たな場が拡がりました。

本展では、この間に日本という枠を越えて広く国際的に活躍し、今日、多様な地域や世代から高い評価を得るアーティスト6名を選び、その活動の軌跡を初期作品と最新作をつなぐかたちで紹介します。
彼らの実践は世界からいかに評価されてきたのか。
国境や文化を越えた普遍的な課題の追求、伝統や美学、テクノロジーやサブカルチャーなど、日本固有の社会的、文化的、経済的背景を踏まえて探ります。また、1950年代から今日まで、海外で開催された主要な日本現代美術展に関する資料も展示し、それぞれの時代の評価軸や系譜を検証します。

2020年、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより世界は一変し、経済的、社会的構造の脆弱性が浮き彫りになっています。
そのような状況下、この6人のトップランナーたちの実践は、美術の本質的な役割とは何か、アーティストの成功とは何か、目指す「世界」とはどこなのか、といった根源的な問いを喚起するとともに、コロナ後の世界への示唆に富んだ力強いメッセージとなることでしょう。
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