青い日記帳 

TB&リンク大歓迎です!
<< October 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< アートアクアリウム美術館 | main | トリップアドバイザー「旅好きが選ぶ!日本人に人気の美術館ランキング2020」 >>

「大正イマジュリィの世界」

佐倉市立美術館で開催中の
「儚く、妖しく、美しく―大正イマジュリィの世界」展に行って来ました。


https://www.city.sakura.lg.jp/sakura/museum/

実際に自分が体験したり、親の世代から直接話を聞いている時代に対して、人は決して憧れを抱くことはありません。

翻って、それりも少し前、伝聞でしか知らない時代には憧憬の念が胸に自然と沸き上がるものです。


橋口五葉《楽神》(明治39(1906)年)
個人蔵

元号が「令和」に変わった瞬間に立ち会った私たちは、時代の変わり目とは取り立てて実感が沸かないものと思ったかもしれません。

人が年齢を重ねることにそれは似ています。気が付けば40代、50代と、「あんな大人になりたくない」と子どものころ感じたままの大人になってしまっています。

嫌な大人、取り返しのつかない大人になってしまうと、夢を見ます。現実逃避とまではいかずとも。


浅井忠《花神を祭る》『さをしか』(明治40(1907)年)
佐倉市立美術館蔵

では100年前、人々はどんな夢を見たのでしょうか?

「儚く抒情あふれる乙女や子どもの世界」
「アール・ヌーヴォーやアール・デコの優美な様式」
「妖しいきらめきに満ちた意匠」

大正という短命の時代をはさみ、明治、昭和と花開いた独特な世界観に、不思議なことに定期的に熱い注目が注がれます。

2011年には、渋谷区立松濤美術館で開催された「大正イマジュリィの世界 デザインとイラストレーションのモダーンズ」が開催されました。


武井武雄「これは、わたしのおうち…」『子供之友』挿画 大正13(1924)年
個人蔵

イマジュリィ(imagerie)」 とは、イメージ図像を意味するフランス語で、装幀や挿絵、ポスター、絵はがき、広告、マンガ、写真など大衆的な複製図像の総称だそうです。

つまり、強い憧れを抱く「100年前のわたしたち」の身近にあったものの展覧会ということになります。琴線に触れないはずがありません。

浮世絵文化から、新たな印刷文化へと転換しより大衆的となった「大正イマジュリィの世界」は、一括りにできない多彩な魅力で溢れています。


岸田劉生 長与善郎『或る人々』[装幀]
大正9年9月18日[初版]/大正9年9月20日[再版]

今回の展覧会は2フロア展開となっており、まずはじめに作家ごとの展示を見せた後、別の展示室ではそれらを綯い交ぜにしテーマごとに展示しています。とてもメリハリの効いた展示となっています。

第一会場(2階展示室)
杉浦非水
藤島武二
橋口五葉
高畠華宵
岸田劉生
広川松五郎
小林かいち
坂本繁二郎
富本憲吉
橘小夢
蕗谷虹児
竹久夢二
古賀春江




第二会場(3階展示室)
01 大正イマジュリィのおこりと白馬会
02 イメージの源泉―アール・ヌーヴォー
03 もう一つの流れ―浅井忠のアール・ヌーヴォー体験
04 『ホトトギス』の周辺―『吾輩ハ猫デアル』
05 太平洋画会
06 京都高等工芸学校の周辺
07 『小美術』の周辺
08 小村雪岱の江戸と粋
09 水島爾保布の江戸と東京
10 エラン・ヴィタルと森谷延雄
11 子どもの発見
12 抒情と堀柳女




浅井忠や森谷延雄など佐倉とゆかりの深い作家も取り上げているのも今回の展覧会の特徴です。それにしてもこの展示構成見ただけで、居ても立っても居られなくなるのではないでしょうか。

小林かいち「君待つ宵」や小村雪岱の舞台美術など久々に見ましたが、何度観てもいいものですね。また古賀春江や岸田劉生などが手掛けたレア作品も見ものです。


森谷延雄《ねむり姫の寝室》『婦人グラフ』挿図 大正14(1925)年
佐倉市立美術館蔵

憧れ続け願いが叶いカイチや夢二の活躍したこの時代にタイムスリップしても「儚く、妖しく、美しい」ことは何一つありません。

それらは、時が経過して初めて憧れの対象となるのです。

石原千秋先生の『百年前の私たち 雑書から見る男と女』はだからこそ名著なのです。

「大正イマジュリィの世界展」は9月22日までです。夢の世界、現実逃避するには佐倉くらいの距離が丁度よいです。


「儚く、妖しく、美しく―大正イマジュリィの世界」

会期:2020年8月1日(土)〜9月22日(火・祝)
休館日:月曜日 ただし、8/10(月・祝)、9/21(月・祝)は開館し、8/11(火)は休館
開館時間:開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
会場:佐倉市立美術館 2・3階展示室
https://www.city.sakura.lg.jp/sakura/museum/
主催:佐倉市立美術館
企画協力:キュレイターズ


大正イマジュリィの世界―デザインとイラストレーションのモダーンズ


Twitter:https://twitter.com/taktwi
Facebook:https://www.facebook.com/bluediary2/
Instagram:https://www.instagram.com/taktwi/
mail:taktwi(アットマーク)gmail.com

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5969

JUGEMテーマ:アート・デザイン



100年前、人々はどんな夢を見たのか?
イマジュリィ(imagerie)」 とは、イメージ図像を意味するフランス語で、装幀や挿絵、ポスター、絵はがき、広告、マンガ、写真など大衆的な複製図像の総称でもあります。
明治維新以来、近代化、西欧化の道を歩んできた日本では、大正から昭和初期にかけて、新しい大衆文化が花開きました。マスメディアが発達し、印刷技術の革新により出版界が隆盛したのもこの頃で、多様な印刷図像が登場します。竹久夢二や高畠華宵(たかばたけかしょう)、武井武雄が描く儚く抒情あふれる乙女や子どもの世界、アール・ヌーヴォーやアール・デコの優美な様式を取り入れた藤島武二や杉浦非水(すぎうらひすい)、水島爾保布(みずしまにおう)や橘小夢(たちばなさゆめ)らによる妖しいきらめきに満ちた意匠は、当時の人々の目にどれほど新鮮に、魅力的に映ったことでしょう。
本展では、ポピュラー・カルチャーの旗手として人々の心をつかみ、大正とその前後の時代を彩ったイマジュリィに注目します。いまなお清新な輝きを放つ作品の数々をお楽しみいただける展覧会です。
また、明治図案から大正イマジュリィへの橋渡しをした浅井忠や、浅井忠(あさいちゅう)の図案をもとにした工芸作品、大正イマジュリィを立体化したような家具をデザインした森谷延雄(もりやのぶを)など、佐倉ゆかりの作家もあわせて紹介し、ここでしか見られない展示となっています。
展覧会 | permalink | comments(0) | -

この記事に対するコメント

コメントする