青い日記帳 

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『牟田陽日作品集 美の器』

芸術新聞社から刊行となった『牟田陽日作品集 美の器』を読んでみました。


牟田陽日作品集 美の器
牟田陽日 (著)

色絵陶器作家、牟田陽日(むた・ようか)初の作品集。

牟田は、都内の美大を中退し単身ロンドンへ渡り、立体作品やインスタレーション、ビデオアートなど所謂コンテンポラリーアートの制作にあたり、2008年にロンドン大学ゴールドスミスカレッジファインアート科を卒業し、東京でなく石川県へ。

石川県へ移り住んだ理由はただ一つ。九谷焼を学ぶためです。



ロンドン大学ゴールドスミスカレッジファインアート科に在籍中、知人からもらった九谷焼の急須をきっかけに、九谷焼の世界への道が開けたそうです。

石川県立九谷焼技術研修所で腕を磨き、めきめきと頭角を現し、専門家が「時代を代表する陶芸家」を選出するパラミタ陶芸大賞展では大賞を獲得しました。

九谷焼は元々カラフルな焼き物ではありますが、牟田の作り出す作品はカラフルなんて生易しいものではありません。色彩の洪水と言っても過言ではないかと。



昨年(2019年)日本橋三越美術サロンで個展を開催された際も、遠くからもはっきりと牟田作品であることが、その色彩から判別できたほどです。

牟田陽日作品集 美の器』に掲載されている「色と絵の庭」という文章を読み、その鮮やかな色彩の誕生の秘密を知ることが出来ました。

そして何故キャンバスではなく焼物を支持体として選んでいるのかも。
「色に関する知識をつければある程度の色彩感覚を研鑽することは出来るが、無限の色数とその分量や形状を含めた組み合わせ方の中にその人が独自に見出す閃きのような輝かしい色合いがある。そして私には少なくとも油画ではそういった才を感じず、大学合格とともにキャンバスに絵は描かなくなった。」


現在仕事でそれぞれ大成している人に「今の職についたきっかけは何ですか?」と尋ねると、意外なほどスタート地点は別ものであることが多かったりします。

皆さんはいかがですか?

牟田作品が並ぶと当時に飛ぶように売れて無くなってしまう絶大な人気を誇っているのも、もしかして元々彼女が九谷焼を目指していたわけでない点が大きく作用しているように思えてなりません。



キャンバスに色彩豊かな絵画を描くことを辞めた代わりに、凹凸のある土と格闘し今のポジションを築き上げたのです。

葛飾北斎、伊藤若冲、曽我蕭白、サンドロ・ボッティチェリ、オデュロン・ルドン、ピーター・ドイグらに影響を受けているとこの作品集の「牟田陽子を巡る22問22答」で語っています。

龍、獅子、麒麟、鳳凰などの神獣から自然界の動植物まで、古今吏西の図像を奔放に再構築したユニークなモチーフが焼物にひしめいている姿は壮観です。



手びねりのゴツゴツした器に、髪の毛ほどの細密な描線と宝石のようにきらびやかな色彩を駆使した幻想的な世界観が小さな作品に凝縮されています。

江戸時代初期の1655年に開窯した九谷焼(古九谷)ですが、1700年には一度廃窯になってしまいます。それから約120年後に再び窯に火が入り九谷焼は焼かれるようになりました。

ざっくり360年以上の歴史がある九谷焼の中で、今が最も広く注目されている時期なのです。それには機械による大量生産を嫌い昔ながらの手仕事にこだわり作り続けてきたベテランと、若手作家の活躍があるからです。



ド派手な作品だけでなく、こうした小品においても抜群の色彩感覚を発揮できる点が、牟田の力の現れといえるでしょう。

工芸の世界で今もっとも注目を集める、異色の経歴を持つ若手作家の初作品集『牟田陽日作品集 美の器』。驚きと溜息の連続です。

【プロフィール】
牟田陽日(むた・ようか)
陶磁器に彩色を施す色絵の技法を主軸に、日常的な食器、茶器などの美術工芸品からアートワークまで多岐に渡って制作する。現代の自然に対する意識の在りようをアイディアの軸として、動植物、神獣、古典図案等を再構成し色絵磁器に起こしている。近年では、私的体験や感情の動きを色絵にしたシリーズや、愛玩動物をモチーフにした不穏さを含んだ調度品的作品シリーズ等がある。本の美感、工芸、アートの間を相互に交信するような作家活動を目標としている。石川県能美市に工房兼住居を構える。
牟田陽日 official website
Twitter:@yoca_muta

手のひらに楽園を。牟田陽日が生み出す「美の器」


牟田陽日作品集 美の器
牟田陽日 (著)

現代美術から九谷焼の世界へ
異色の色絵磁器作家がベールを脱ぐ!

龍、獅子、麒麟、鳳凰などの神獣から自然界の動植物まで、古今東西の図像を奔放に再構築する色絵磁器作家・牟田陽日。その融通無碍な創作活動の全貌に迫る初作品集。本人による作品解説とコラムも収録。



牟田陽日作品集 「美の器」(芸術新聞社刊)出版記念展
会期:2020年9月9日(水)〜9月15日(火)  
時間:9:30〜20:30 (※最終日は15時閉場)
会場:丸善日本橋店 3階ギャラリー
入場無料

九谷焼に魅せられた牟田陽日氏が、個の絵付けを目指して作ってきた色絵磁器を、一冊の本にまとめました。作品集に掲載された瑞獣や、海、花鳥風月、幻想風景等の代表的シリーズを中心に新作を発表いたします。酒器、茶碗、花器等、約40点を展示販売いたします。


九谷モダン

『九谷モダン』レビュー


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