青い日記帳 

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「北斎の肉筆画」

岡田美術館で開催中の
特別展「生誕260年記念 北斎の肉筆画―版画・春画の名作とともに―」展に行って来ました。


https://www.okada-museum.com/

今年は葛飾北斎(1760〜1849)生誕260年目に当たる年で、展覧会や映画など様々な北斎関連のイベントが予定されていました。

東京オリンピックと共に北斎イヤーで盛り上がるはずでしたが、新型コロナウイルスにより雲散霧消。


葛飾北斎「堀河夜討図」(部分)
岡田美術館蔵

そのような中で、4月5日より岡田美術館で始まった「北斎の肉筆画展」も一時は休館を余儀なくされていましたが、5月30日に復活を遂げほぼ予定通りに開催されています。

浮世絵版画展は都内でも多く開催されていますが、こと肉筆画(一点物)となるとまず滅多に展覧会としてまとめてお目にかかれません。

しかも、一人の絵師の肉筆画をそれぞれの時代の変遷を辿りながら観られる機会は稀有の事。数多い「北斎展」の中でも特別な意味を持った展覧会です。


葛飾北斎「夏の朝」(部分)
岡田美術館蔵

一点物とか限定品にそれでなくても弱いので、肉筆浮世絵は大の御馳走です。

その大きな魅力は印刷(版画)ではなく、絵師である北斎が実際に筆を握り細部に至るまで描いた点でしょう。この点に尽きると言っても過言ではありません。

例えば、北斎肉筆画の傑作「夏の朝」の足元に置かれたものに注目してみましょう。



今まさに左手に持ち自分の顔を見ている鏡の蓋が置かれています。その上には朝顔を添えた水盤が重ねられ、傍らには房楊枝(現代の歯ブラシ)も確認できます。

手前にあるのは歯磨き粉の入った袋のようです。読解まで出来てしまいそうなほど精緻に描かれています。

たった足元のもの一つとってもこの描写力ですので、主たる女性の描写となれば細部に至るまで、髪の毛一本一本まで神経質なまでに描き込まれているのです。


葛飾北斎「美人夏姿図
個人蔵

同じ「浮世絵」でも版画と肉筆画では一枚にかける鑑賞時間がまるで違います。それは絵師がその一枚にかけた時間に正比例しているかの如く。

今回は特別に北斎美人画の二大傑作「夏の朝」(岡田美術館蔵)と「美人夏姿図」(個人蔵)の競演が成立しています。

さてさてどちらの作品が好みでしょうか。顔では選ぶわけにはいきませんので、着物の描写にそれぞれ注目してみると面白いと思います。絵が描かれたのは夏であることを念頭に置いて。

展覧会の構成は以下の通りです。

第1章:春朗から北斎へ
北斎の系譜
北斎春画の名作
第2章:北斎美人画の二大傑作ー「夏の朝」と「美人夏姿図」−
第3章:戴斗・為一時代
第4章:「冨嶽三十六景」誕生
第5章:画狂老人卍
肉筆美人画の名品



葛飾北斎「四季耕作図屏風」(部分)
岡田美術館蔵

美人画ばかりが北斎の肉筆画展の見どころではありません。こんな激レアな北斎の屏風絵、しかも農村風景を描いた作品も出ています。

北斎40代後半の作品だそうですが、当然誰かに依頼されて描いたものでしょう。嘗てジョサイア・コンドルが所蔵し、コペンハーゲンに秘蔵されていたそうですが、2007年に日本に里帰りし今こうして観ることが出来ます。

ふと、ピーテル・ブリューゲル「穀物の収穫」が思い浮かびました。北斎もブリューゲルも実りの秋(収穫の喜び)をそれぞれ描いている点はとても興味深い点です。

コロナ禍が収まったらメトロポリタン美術館から借りてきて並べて見せて下さい。そうそう海外コレクションとのコラボ展示として、ひとつ下の階で歌麿の3作品が同時展開されています。


喜多川歌麿「深川の雪」(部分)
岡田美術館蔵

「吉原の花」(ワズワース・アセーニアム美術館蔵:複製)「品川の月」(フリーア美術館蔵:複製)との3作揃い踏みは必見です。

因みに、北斎の描く美人画は一時、歌麿美人画を凌ぐほどの人気があったそうです。

「冨嶽三十六景」や「北斎漫画」のイメージが強烈に北斎という人物を印象付けていますが、実はそれは晩年の作品であり、30代から40代の脂ののった時代は肉筆美人画の絶頂期であり、その名声は江戸中に知れ渡っていました。

そんな北斎肉筆画に加え、酒井抱一など他の絵師が描いた肉筆美人画の名品も同時に展示されている実に贅沢な空間です。

特別展「北斎の肉筆画」は9月27日までです。箱根の町が空いている今がチャンスです!是非是非〜


特別展「生誕260年記念 北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに―」

会期:2020年4月5日(日)〜9月27日(日)
開館時間:午前9時〜午後5時(入館は4時30分まで)
休館日:12月31日、1月1日、展示替期間
会場:岡田美術館
https://www.okada-museum.com/

北斎クイズで予習!岡田美術館「北斎の肉筆画」展

ジグソーパズルで知る新たな北斎の魅力


オンラインイベント「北斎の夕べ」

日時:9月12日(土)19:00〜20:00
主催: 国立アジア美術館(フリーア美術館、アーサー・M・サックラー・ギャラリー)
協力: 岡田美術館
参加費:無料
参加方法:オンライン(ZOOMでのライブ配信) 
定員:先着100名(定員に達し次第、応募を締め切らせていただきます)
申込方法:岡田美術館のウェブサイトからお申込みください。

岡田美術館開館以来館長を務める小林忠先生の新著も要チェックです!


教えてコバチュウ先生! 浮世絵超入門
小林忠(著)

今年公開予定だった映画「HOKUSAI」(出演:柳楽優弥、田中泯、阿部寛、永山瑛太、玉木宏)は2021年に延期となっています。
https://www.hokusai2020.com/


映画『HOKUSAI』予告90秒(2021年公開予定)


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2020年は、世界的に有名な江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎(1760〜1849)の生誕260年にあたります。北斎と聞いてまず思い浮かぶのは、風景版画「冨嶽三十六景」シリーズや、ヨーロッパの芸術家たちにも影響を与えた絵手本『北斎漫画』などの印刷物でしょう。一方で、約70年にわたる画業を通じて意欲的に取り組んだ肉筆画(一点ものの絵)における優れた業績は、あまり知られていないように感じられます。
当館には、北斎屈指の名品である「夏の朝」や「堀河夜討図」を中心に、40歳代から最晩年に至る10点の肉筆画が収蔵されています。本展では、それらを初めて一挙公開するとともに、版画、版本(版木に彫って印刷した書物)の代表作である「冨嶽三十六景」と『北斎漫画』、北斎に影響を受けたフランスのガラス作家エミール・ガレの作品なども展示し、様々な角度から奇才・北斎に迫ります。
あわせて、他の浮世絵師による肉筆美人画の名品も特別公開。肉筆浮世絵の世界をぜひご堪能ください。
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