青い日記帳 

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特別展「桃山―天下人の100年」

東京国立博物館で開催中の
特別展「桃山―天下人の100年」に行って来ました。

「障壁画の豪華さと茶器の繊細さ―桃山文化の二面性を味わい尽くす」(上)
「障壁画の豪華さと茶器の繊細さ―桃山文化の二面性を味わい尽くす」(下)


https://tsumugu.yomiuri.co.jp/momoyama2020/

織田信長と豊臣秀吉が天下統一を進めた「安土桃山時代(織豊時代)」は政治的な区切りでは僅か30年と、平成と同じ長さしか有していませんが、その期間に生まれた芸術文化は現在に至るまで大きな影響を与えています。

我々が一般的にイメージする天守閣を要する「お城」もこの時代の産物です。壮麗な天守をもつ本丸を中心に二の丸、三の丸の郭や櫓を配した城郭。国宝指定を受けている犬山城や姫路城は今の世に残る貴重な文化遺産です。



信長の安土城、秀吉の大阪城、聚楽第の障壁画を狩野派の棟梁として一手に引き受けたのが、狩野永徳です。スーパースターは時代の要請も欠かせない成立条件であることを教えてくれます。

天下人に重用され彼らが求める宗教色の薄い、現世的な絵画を獅子奮迅の活躍で数多く描いた狩野永徳。まさに時代の寵児と言っても過言ではありません。

しかし、47歳で亡くなったことに加え、天守閣を彩った荘厳な障壁画は戦禍に巻き込まれそのほとんどが現存していません。永徳作品は10点ほどと極端に少ないのです。


狩野永徳 国宝「檜図屏風」安土桃山時代・天正18年(1590) 
東京国立博物館蔵

作品自体があまりにもパワフルなので、そこに描かれているものについてあまり思考を巡らせることができず、ただただ茫然としてしまいます。しかし、タイトルをもう一度確認してみると「檜(ひのき)」とあります。

檜は蒼天を目指すかのように真っ直ぐ生える木ですが、この永徳の「檜図屏風」は、太い幹がもがき苦しむようにうねり、見方を変えると女性の妖艶な肢体のようにも見えてきます。

一方で、奇怪な幹枝とは対照的に、葉が妙にリアルに描かれているのもこの作品の面白さ、見どころのひとつとなっています。いつ何時観ても作品の持つ力に惹き込まれてしまいます。

果たして、安土城や大阪城の天守閣はどんな障壁画で埋めつくされていたのでしょう。


長谷川等伯 国宝「楓図壁貼付」土桃山時代・文禄元年(1592)頃 
京都・智積院蔵

狩野派が独占していた障壁画の市場に単身果敢に乗り込んできた、永徳のよきライバルが長谷川等伯です。派手な作品から、国宝「松林図屏風」のようなモノクロームの作品まで乱世を渡り歩いた絵師ならではの作品が揃います。

墨の濃淡だけで表現した水墨で描かれた襖絵もこの展覧会の見どころのひとつです。中でも曾我直庵、海北友松の2人には特に注目です。そうだ!式部輝忠の作品もお忘れなきように。



桃山文化を成り立たせているのは信長や秀吉だけではありません。応仁の乱以降京都に誕生した町衆(武士を除いた商工業者)たちが築いた文化も見逃せません。

また、装飾を配した侘茶を大成した千利休もこの時代の重要人物のひとりです。また彼の弟子である古田織部も。

町衆文化や侘茶の世界も「桃山展」ではこれでもか〜と紹介されています。特に茶道具は「名品展」と呼べるほどの優品揃い。これだけでも観に行く価値あります。



展覧会の構成は以下の通りです。

桃山の精髄―天下人の造形
変革期の100年―室町から江戸へ
桃山前夜―戦国の美
茶の湯の大成―利休から織部へ
桃山の成熟―豪壮から瀟洒へ
武将の装い―刀剣と甲冑
泰平の世へ―再編される権力の美




南蛮文化が日本にもたらされたのもこの時代です。それまで中国、朝鮮からの影響を主に受けていた日本に、全く新しい文化が遠く離れたヨーロッパからやって来ました。

生活文化から宗教(キリスト教)、言語まで実に多くのものは、現在でも我々の生活の中に継承されています。


重要文化財「花鳥蒔絵螺鈿聖龕」安土桃山時代・16世紀 
九州国立博物館蔵

日本人は昔から受容力が強く海綿が水を吸い込むが如く海の向こうからやってきた文化を吸収し、自らの価値観や美意識と合わせたものを作り出します。

重要文化財「花鳥蒔絵螺鈿聖龕」などはその最たる例といえるでしょう。日本国内で作られたキリスト教の祭儀具は、ヨーロッパに輸出され現地でも非常に珍重されたことでしょう。



「桃山展」永徳や等伯などの絵画、千利休や織部の茶道具は文句なしに素晴らしく欠点無しですが、それに南蛮文化が加わることで、厚みが更に増し他に類を見ないまさに一期一会の展覧会に仕立てられています。

これまで数多くの展覧会を企画してきた田沢裕賀氏(学芸企画部 部長)の集大成が「桃山展」です。

「障壁画の豪華さと茶器の繊細さ―桃山文化の二面性を味わい尽くす」(上)
「障壁画の豪華さと茶器の繊細さ―桃山文化の二面性を味わい尽くす」(下)


狩野山雪 重要文化財「籬に草花図襖」江戸時代(1631)
京都・天球院蔵

狩野山楽・山雪の作品が最後の方に待っているのですが、そこまで体力が残っているかどうか不安です。私は這う這うの体でこの絵の前にたどり着きました。

上手く言語化できませんが、この作品って桃山文化と琳派を含む江戸文化の両面を備えたとても大事な作品なのではないでしょうか。

あまりにも優品が多すぎ消化不良気味なので、来週にでももう一度観に行くつもりです。単眼鏡ではなく次は双眼鏡を持参します。

今年のベスト3入り誰に聞いても間違いないであろう「桃山展」。観に行かない理由がどこにも見当たりません。11月29日までです。是非是非!


特別展「桃山―天下人の100年」

会期:2020年10月6日(火)〜11月29日(日)
前期展示:10月6日(火)〜11月1日(日)
後期展示:11月3日(火・祝)〜11月29日(日)
開館時間:9:30〜18:00(会期中の金曜・土曜は21:00まで)
休館日:月曜日(※ただし、11月23日(月・祝)は開館。11月24日(火)は休館)
会場:東京国立博物館 平成館(上野公園)
https://www.tnm.jp/
主催:東京国立博物館、読売新聞社、文化庁
特別協賛:キヤノン、JR東日本、日本たばこ産業、 三井不動産、三菱地所、明治ホールディングス
協賛:清水建設、眦膕亜竹中工務店、三井住友銀行、 三菱商事
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/momoyama2020/


日本文化ポータル「紡ぐ: Japan Art & Culture」


「紡ぐ: Japan Art & Culture」には、英語版のページもあります。(学生さん必読ですよ。日本の文化を学びながら英語の勉強が出来ちゃうのですから!!)

【比べてみました】
狩野永徳 1543年〜1590年

パルミジャニーノ 1503ー1540
ピーテル(父)ブリューゲル 1525ー1569
ティントレット 1518ー1594
ジュゼッペ・アンチンボルド 1527ー1593
パオロ・ヴェロネーゼ 1528ー1588
エル・グレコ 1541ー1614
アニーバレ・カラッチ 1560ー1609
ミケランジェロ・カラヴァッジオ 1573ー1610 
グイード・レーニ 1575ー1642
ピーテル・パウル・リュベンス 1577ー1640
フランス・ハルス 1581ー1666
グェルチーノ 1591ー1666


時空旅人 別冊 桃山美術 ─天下人が愛でた美の世界─


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政治史における安土桃山時代は、1573年の室町幕府の滅亡から1603年の江戸幕府開府までの30年間をさします。この30年間に花開いた、日本美術史上もっとも豪壮で華麗な「桃山美術」を中心に、室町時代末期から江戸時代初期にかけて移り変わる日本人の美意識を数々の名品によってご紹介します。
戦国の幕開けを象徴する鉄砲伝来が1543年、島原の乱鎮圧の翌年、ポルトガル船の入国を禁止し、鎖国が行われたのが1639年。豊臣秀吉が北条氏を滅ぼし天下統一を果たした1590年が、その100年間のほぼ中間地点といえます。安土桃山時代を中心として、日本は中世から近世へ、戦国武将が争う下剋上の時代から、江戸幕府による平和な治世へと移り変わります。本展は、室町時代末期から江戸時代初期にかけての激動の時代に生まれた美術を概観し、美術史上「桃山時代」として語られるその美術の特質を、約230件の優品によってご覧いただこうというものです。
激動の時代に、「日本人」がどう生き、どのように文化が形作られていったのか、約100年間の美術作品を一堂に集め概観することで、日本美術史のなかでも特筆される変革の時代の「心と形」を考える展覧会です。
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