青い日記帳 

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「イギリスの美しい本展」

足利市立美術館で開催中の
「イギリスの美しい本」展に行って来ました。





本の展覧会です

はて?と首を傾げてしまいます。本??
本は文字を読むもので、鑑賞する対象ではないはずです。

でも、それは現代社会で生活する人の感覚でしかありません。
ヨハネス・グーテンベルクの発明により活版印刷が実用化されたのは
15世紀の中ごろのことです。

それまでは活字ではなく、手写しのものしか当然存在しませんでした。
「写本」や「写経」はよく展覧会で見かけますが、活字印刷された本を
展覧会で見かけることはごく稀なことです。

それでは、本の展覧会とは一体どのようなものなのでしょうか?

グーテンベルグによって発明された印刷技術により、それまでごく一部の限られた階層のみが手にしていた書物は広く行きわたるようになりました。当初、書物は紙面を折りたたんだ状態で売られていたため購入者は製本しなければならず、その結果、所有者の好みを反映したさまざまな装丁が生まれました。

現在と違い本の製本は各々で行っていたのですね!
であれば、当然同じ内容の本でも様々な装丁の本が生まれます。

帯のデザイン レイアウトスタイルシリーズ 別冊
帯のデザイン レイアウトスタイルシリーズ 別冊
ピエ・ブックス

また一方で、

イギリスにおける印刷技術の黎明は、ウィリアム・カクストンによりもたらされました。以後数百年にわたり、ヨーロッパ各地同様、書物が印刷されましたが、とりわけ19世紀に入ってからの隆盛は目をみはるものがあります。ブレイクやターナーにより挿絵が手がけられ、子どものための絵本も次々に登場しました。さらにウィリアム・モリス率いるケルムスコット・プレスをはじめとするプライベート・プレスは、手仕事を尊重するアーツ・アンド・クラフツ運動を牽引し、ついには「世界三大美書」と謳われる美麗な書物を生み出しました。

「本=活字だけ」という認識が間違っていたようです。
もうこうなると立派な「本=作品」と見て取ることができますね。


アルノルフィニ夫婦像」や「ロランの聖母」を描いたヤン・ファン・エイク(1390-1441)も本格的に作品を描き始める前は写本装飾画家であったとされています。

小林頼子先生のこちらの本に詳しく書かれています。
ヤン・ファン・エイク 光と空気の絵画
「ヤン・ファン・エイク 光と空気の絵画」 小林 典子
光と空気の絵画誕生―写本彩飾挿絵画家ヤン・ファン・エイク
(「トリノ=ミラノ時祷書」と「ニューヨーク二連板」)



と、ここまでは、先月の記事で紹介がてら書いたまま。(手抜きです)

本を読むことは大好きですが渋滞は大嫌いな私なので、
行こうかどうか決めかねていました。直前まで。

この「イギリスの美しい本展」巡回先として
千葉市美術館も含まれているので、そっちで観たほうが楽

・4月22日〜6月4日  足利市立美術館
・6月10日〜7月9日  郡山市立美術館
・7月22日〜8月27日 千葉市美術館


なのですが、足利市立美術館ではこの展覧会と同時に
「THE LIBRARY」という展覧会も開催されます。
この展覧会には岡田真宏氏の作品も出展されていると
これまた先月お伝えした通りです。

その岡田氏から足利市立美術館のチケットを
「これ、ご夫婦でどうぞ。」と笑顔と共に頂いちゃいました。
いつもすみません。感謝感謝です。

岡田氏は初日に既に足利へ行かれたらしく
足利の街の良さを私に熱く語って下さいました。
「とにかく、空気が違うんだ。」
「ああいう街で展覧会が出来て嬉しく思う。」など等。

これで行くこと決意。
同時に渋滞も覚悟。

いざ!足利へ!!車

↓こちらは数年前に足利へ行って撮影したものです。

あしかがフラワーパークの「大藤」

車車  車車  車車  車車  車車  車車  車車  車車

5月4日の午前中東北自動車道の下り線。
見事渋ってました。案の定滞ってました。

それでも今回はイライラすることなく運転し
予定よりはるかに時間はかかりましたが無事足利到着。

あしかがフラワーパークの案内板があちこちにありました。
今回は藤の花はお預けです。応挙観たし。

さてさて、展覧会は大きく二つのセクションに分かれていました。
1.イギリスの本の歴史
 .伝統—印刷された本の始まり カクストンから18世紀まで
 .繁栄—19世紀イギリスの挿絵絵本
 .展開—ウィリアム・モリスとプライベート・プレス

2.創造の場としての書物—現代ブック・デザインの挑戦

メインは1.「イギリスの本の歴史」かな。
好みにもよるでしょうが、私は圧倒的に「イギリスの本の歴史」の
展示に費やす時間が長かったです。

だって、、、
ミレイ、ターナー、レイトン、ロセッティ、ドイル、ピアズリー、ウィリアム・ブレイク、バーン=ジョーンズ、ウィリアム・モリス他

18,19世紀の名だたるイギリスの画家さんたちが手がけているんです。
本の原画を!!

いくつかピックアップすると。。。
『救世主イエス・キリストの物語』原画・ミレイ
『ディエルの聖書ギャラリー』原画・レイトン&ミレイ
『妖精の国にて』原画・リチャード・ドイル
『アーサー王の死』(全2巻)原画・オーブリー・ピアズリー

まさか足利行ってフレデリック・レイトンが観られるとは
夢にも思っていませんでした。幸せだ〜

思い返してみるとレイトン卿との出会いも突然でした。
ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ(王立美術院)に今から10年前の1996年にぶらりと出かけるとそこでは特別展「フレデリック・レイトン」が開催されていました。こちらはその時のパンフレットです。→
燃え立つ6月」Flaming Juneはこちらの本の表紙にも使われています↓
アラビアの夜の種族
『アラビアの夜の種族』 古川 日出男
(古川日出男好きじゃないのでちょっと複雑)

ただし「イギリスの美しい本展」の作品はあくまでも
本が主役ですのでレイトンはじめ他の画家さんの挿画も
みな基本的には白黒です。こんな綺麗なオレンジ色の絵はありません。
(それでも満足しちゃいましたけどね)

.展開—ウィリアム・モリスとプライベート・プレス
ここの展示に至ってはラファエル前派に心惹かれる私には天国のような空間。地に足着かず状態。東京新聞や美術館の「イギリスの美しい本展」に関するサイトでは全然紹介されていないじゃん!もったいないです。


世界三大美書F.S.エリス編『チョーサー著作集』
周りの装飾はモリスのデザイン。挿絵はバ−ン=ジョ−ンズ。
詳しくはこちらで(別の綺麗な画像もあります)

他にもちょこちょこと発見は随所にあります。例えば…
シャルル・ペローの『ふたつのお伽噺(眠れる森の美女・赤ずきん)』の
原画はL.ピサロが手がけているのですが、解説読むとあのピサロの
息子さんだということ判明。(あまり上手くないけど)

活字大好き人間の方。
ラファエル前派お好きな方。
静かな環境でご覧になりたい方。

お勧めです。

尚、この展覧会の詳しい紹介は「akejirushi」さんにたっぷりあります。



足利市立美術館さんへ。
作品解説の中にこんな文章入れたりして。。。
なんてイケナイ美術館なのでしょう。
予定変更して行っちゃったではありませんか。。。
足利市立美術館からほど近い群馬県立館林美術館では、4月15日(土)から6月18日(日)まで、企画展示「ウイリアム・モリス展―ステンドグラス・テキスタイル・壁紙・家具・書籍のデザイン―」、特集展示「ロセッティとバーン=ジョーンズ―モリスをめぐる作家たち」を開催しています。足利市立美術館で4月22日(土)から6月4日(日)に開催中の「イギリスの美しい本」展とも大変関連が深い展示となっており、これらの展覧会を合わせてご覧頂きますと、作品への理解もより深まることと思われます。

岡田さんへ。
作品しかっり観て参りました。
学芸員の方、とても親切な人ですね。
作品について沢山お話してくださいました。
 グーテンベルグによって発明された印刷技術により、それまでごく一部の限られた階層のみが手にしていた書物は広く行きわたるようになりました。当初、書物は紙面を折りたたんだ状態で売られていたため購入者は製本しなければならず、その結果、所有者の好みを反映したさまざまな装丁が生まれました。
 イギリスにおける印刷技術の黎明は、ウィリアム・カクストン(1422?−91)によりもたらされました。以後数百年にわたり、ヨーロッパ各地同様、書物が印刷されましたが、とりわけ19世紀に入ってからの隆盛は目をみはるものがあります。ブレイクやターナーにより挿絵が手がけられ、子どものための絵本も次々に登場しました。さらにウィリアム・モリス率いるケルムスコット・プレスをはじめとするプライベート・プレスは、手仕事を尊重するアーツ・アンド・クラフツ運動を牽引し、ついには「世界三大美書」と謳われる美麗な書物を生み出しました。
 本展は、カクストンに始まるイギリスの美しい本の歴史をケルムスコット・プレスを経て現代まで辿るものです。第1部では揺籃期から20世紀初めに至る書物の流れを、第2部ではイギリス国内で最も権威のある製本装幀家協会「デザイナー・ブックバインダーズ」の作品を紹介いたします。絶えることなく現代にまで受け継がれてきた技術と新たな創意、そして何よりも書物を後の世に伝えた装丁家をはじめとする技術者の本に対する思いを感じ取っていただければ幸いです。
展覧会 | permalink | comments(7) | trackbacks(3)

この記事に対するコメント

まさかTakさんのblogで足利という文字を目にするとは・・・!
実はわたし、足利出身なんです(笑)
この展覧会には今回の帰省の際に行こうかとも思ったですが、時間の都合で果たせずに東京に帰ってきてしまいました。
街も美術館も、お褒めいただきとても嬉しく思います。何もないところですが、楽しんでいただけたなら足利出身者として光栄です。

それにしてもよさそうな展示ですね。わたしもチャンスがあれば近々また帰省して見に行こうと思います。
route347 | 2006/05/07 12:20 AM
ああ、やっぱり館林美術館とこれを併せたのですね
と言うよりは、これに館林をくっ付けけたのね(笑)

私、まだ観てなんですよ、早く行かなくちゃ・・・
私のマイミクの「にょさん」は
足利市立美術館にお勤めなので、行く前にお教え出来たらよかったな
Takさんにいい情報あったかも知れないね・・
えみ丸 | 2006/05/07 7:29 AM
TBありがとうございます。
「イギリスの美しい本」展、僕も行きたかったのですが
日本帰国中には日程が調整できず涙を呑んで見送りました…
Takさんの記事を見るとやっぱり行っておくべきだったようですね。
唐沢 | 2006/05/07 9:01 AM
TBありがとうございました。館林もいかれたのですね。私はチラシを見た時に、汐留でやったモリス展と同じものだと思ってパスしてしまいました。不覚にも「ロセッテイ&バーン=ジョーンズ」の所を見落としていたのです。館林はいかがでしたか?
朱権 | 2006/05/07 9:57 AM
こんにちは

飯田橋から少し外れた凸版の印刷博物館で『ドイツの美しい本』展などはよく見ましたが、通常の美術館でこうした展覧会があるのは素敵ですよね。
日本の本の美麗装丁とかはうらわ辺りが開催してくれてますが、イギリスは見てませんので、千葉に来る頃にはなんとか行きたいものだと思います。楽しい予定一つあがり♪
遊行七恵 | 2006/05/07 10:59 AM
こんにちは TBさせて頂きました
Takさんも同じ頃に行かれたのですね
館林美術館はお天気が良いとほんとに気持ちの良い場所ですよね

muha | 2006/05/07 11:46 PM
@route347さん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

足利のご出身ですか〜
私も友人が足利出身なんです。
ソースカツ丼お好きですか?
足利学校とか行きましたよ、以前。
あそこの街は歴史があって岡田氏が
言うように空気が違う気がします。
住み心地も良さそうですね。

この展覧会、千葉へも巡回しますがやっぱり足利で。。。
「THE LIBRARY」展も面白かったです。

@えみ丸さん
こんばんは。

GWは何処へも出かけないつもりだったのですが
展覧会へのお誘いとあらば黙っていられません。
渋滞にはまりましたが楽しんでまいりました。
北関東ツアー第二弾。

「にょさん」伺ってきました。
ご自分でもお描きになるのですね。

@唐沢さん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

何にも知識なくお誘いうけて
行ってきたわりには大変楽しめました。
ラファエロ前派好きには結構たまらないかもしれません。


@朱権さん
こんばんは。

「ロセッテイ&バーン=ジョーンズ」はこの展覧会と
出来たら一緒に開催して欲しかったです。
後ほど記事にしますね。
共立女子所蔵の本が沢山展示してありました。

@遊行七恵さん
こんばんは。

巡回する地域がかなり限定されている展覧会です。
関西の方も巡回すればいいのにーと思ってしまいます。
いつ手にしている本とはまた違った「本」が展示してあり
それを腕を組みながらほーーとか言いつつ観るのも楽しいものです。

@muhaさん
こんばんは。
TBありがとうございました。

足利ー館林美術館めぐり中々楽しかったです。
しかしこの時期くしくも同じような展覧会が
こんな近くで開催されているなんて奇遇ですね。
Tak管理人 | 2006/05/08 6:34 PM
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