青い日記帳 

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「近世の花鳥画展」

泉屋博古館(京都)で開催中の
「泉屋博古館平成18年度春季企画展 近世の花鳥画」展に行って来ました。



お昼をゆっくり食べ終え「午後の見学」へ。
運転手さんに午後はどう致します?と尋ねられ
「午後は若冲を観て周りたいと思います」と告げると
「それはよろしいですね〜」との返事。
運転手さんもどうやらお好きなようです。

泉屋博古館(住友コレクション)は南禅寺と銀閣寺の中間にある美術館。
地図はこちら
泉屋博古館エントランス

今年4月に「近代陶磁器にみる東と西展」を観に行ったのが
この泉屋博古館の東京分館(こちらは六本木にあります)

東京分館はまだ出来て間もない新しい建物でしたが
京都本館は1970年に設立された建物。
でも、全然古さを感じさせない建物です。
実際に帰って来てからこの事を知って驚いたほどです。

隣接する2号館は1986年に建てられたものだそうですが
1号館と違和感なく平面で繋がれています。

今年の秋に改修工事のため全館休館しリフレッシュするそうです。

カラー版 日本美術史年表
「カラー版 日本美術史年表」 辻 惟雄

さてさて、
展覧会の構成及び作品リストは以下の通りです。

春から夏へ
「桃鳩図」狩野探幽
「梅図屏風」彭城百川  
「海棠目白図」伊藤若沖
「玉堂富貴・遊蝶・藻魚図」椿椿山
「牡丹孔雀図」円山応瑞
「野薙臨水図」椿椿山
「孔雀図」森狙仙
「花鳥図押絵貼屏風」薮長水
「椿図」尾形乾山
「椿棗書状」酒井抱一

秋から冬へ
「木瓜鶉・菊鶲図」土佐光起
「菊花図」土佐光起
「白鷹捕鴨図」狩野常信
「檀鴨・竹狸図」森徹山
「鳴鶴図」狩野養信(晴川院)

四季の花園
「四季草花図屏風」 「伊年」印
「花卉図巻」田能村直入
「四季花鳥図巻」長山孔寅
「蔬果蟲魚帖」浦上春琴
「玉堂富貴図」薮長水
「蔬菜図」巻呉春

以上21作品。

お目当ては、やはり伊藤若冲「海棠目白図」(「海棠に目白図」)


海棠(カイドウ)は桜の花に似たバラ科の植物。
江戸時代初期に中国から日本へ伝わったそうです。
若冲の頃はまだ珍しい花だったのかもしれません。

そのどことなく異国情緒漂う花海棠に目白が10羽遊んでいます。
(一番上に描かれているもう一羽は別の小鳥)
いつもの如く画面半分から上にまとめて描かれています。

拡大すると…

たらーっ 「目白押し」状態

「めじろおし」
《メジロが樹上に押し合うように並んでとまるところから》
多人数が込み合って並ぶこと。


愛くるしくとてもかわいい目白さんたち。
列の中に加わりたくなる衝動に駆られます。

ところが、よく数を数えると。。。
あれ?!10羽しかいない…あと1羽はいずこへ??

もう少し引いて見ると…

いました、いました。
一羽だけ仲間から離れて枝にとまっています。
ポツリと寂しく。

一羽だけ離れた場所に描いたり違う色で描いたりするのは、
若冲さんの得意技ですね。一羽だけ白い雀とか。。。

仲間から離れてひとり寂しげにとまっている目白。
でも寂しいとは思っていないかもしれません。
孤高な目白なのかもしれません。

他の連中が仲間同士連れ立っているのに嫌気が差し
自分は一人離れて静かに考えに耽る。
そういえばこの孤独な目白なにやら考え事をしているように見えます。

俗世間から離れ交わりを避け孤高を持する。

若冲自身を表すなどあまり短絡的に捉えずとも
この一羽の目白を見ているだけで色々と考えを巡らすことが可能です。

一人でぼ〜とこの作品の前で佇んでいると
タクシーの運転手さんがいつの間にか
隣へいらしていて「いい若冲ですね。私も初めて観ました。」とポツリ。


動植綵絵「梅花小禽図」とこの作品。
同じメジロが描かれていますが印象は随分と違います。
海棠目白図」一見華やかなように見えてしっかり哲学している作品です。

奇想の系譜
「奇想の系譜」 辻惟雄


若冲のこの作品以外にもそれなりに収穫ありました。
彭城百川「梅図屏風」 
梅の木が炎に包まれ燃え上がっているのかと一瞬錯覚してしまうような
荒々しく斬新なとてもインパクトある作品でした。
1749年に描かれた作品とはとても信じられません。

またこの展覧会の他に常設展示の
「中国青銅器と鏡鑑」を観て来ました。
(特別展「唐鏡」展は現在東京分館で開催中です。)

会場の様子こちらのページにありました。

以下、泉屋博古館でもらったパンフレットより。

泉屋博古館がある東山の麓一帯は、穏やかな山容が間近にのぞめる景勝の地として古くから知られ、明治以降は数寄者が好んで別荘をかまえる地となりました。春翠と号した第15代住友吉左衛門(1864-1926)もこの地に別荘をかまえたひとりです。泉屋博古館はこの別荘の敷地の一角に、住友家が蒐集した美術品を展示する美術館として建てられました。住友家の美術品といえば、春翠が蒐集した中国古代の青銅器、鏡鑑がもっとも有名です。住友家の青銅器は中国国外のコレクションとしては質量ともに最も充実したものとして、世界的にも高く評価されてきました。泉屋博古館はこの貴重な青銅器の保存公開を目的に、昭和35年(1960)に財団法人として設立されたものです。ちなみに「泉屋博古館」の名称は、江戸時代の住友家の屋号「泉屋」と、約千年前に中国宋代の徽宗帝の命により編纂された青銅器図録「博古図録」からとっています。
現在、泉屋博古館ではこれら青銅器にくわえ、中国・日本の絵画書跡、茶道具・文房具を中心とする工芸品など約3,000点を収蔵しています。春翠は茶の湯をはじめ、数々の文化的趣味をもつ数寄者でもありました。中国文化に造詣が深かった春翠は書画・工芸の分野においても、文人の清雅な美意識にかなったものをとりわけ好んだようです。その一方で、日本的な優雅な趣の作品や、住友家の客問を飾ったであろう華やかな花鳥画なども蒐集しています。またその子息寛一が蒐集した中国絵画は明末清初の文人画の傑作として知られています。当館では常設展示の青銅器・鏡鑑とあわせ、これらの書画・工芸を企画展として順次公開しています。
平成14年(2002)には、住友コレクションの鑑賞の便を一層高めるため、東京六本木に泉屋博古館分館が開設されました。分館では主として茶道具・能関係品・近代の陶磁器などの工芸品、日本やヨーロッパの近代絵画などを中心とした展観を行っております。
咲き乱れる花々、高らかにさえずる鳥たち――四季のうつろいの中に植物や鳥、虫、小動物を描く花鳥画は古くから東洋絵画の一角を占めてきました。そして日本において、花鳥画がきわめて多様な展開をみせたのが「近世」という時代です。

中国の厳格な院体画に学んだ狩野派、優れたデザイン感覚で装飾性の高い作品を生んだ琳派。また18世紀にはいると、形にとらわれない自由な筆づかいで花鳥の本質にせまる文人画家や、逆に、徹底した実物の観察からそれぞれの写実的表現に到達した個性的な画家たちが輩出します。

その豊かな表現の背後には、博物学的関心、詩歌にもうたわれた花鳥風月の情緒、あるいは長寿や子孫繁栄などの願い―中国伝来の吉祥―などがかいま見られます。しかし根底に共通するのは、造化の美への感動、そして絶えることない自然の営みへの礼賛の念ではないでしょうか。

本展覧会は住友家から寄贈されたコレクションのなかから、江戸時代に京都や江戸を中心に活躍した画家の作品を紹介します。生命の讃歌、みずみずしい花鳥画の世界をひとときお楽しみください。


展覧会 | permalink | comments(8) | trackbacks(3)

この記事に対するコメント

こんばんは!TBありがとうございました◎
《海棠目白図》、とにかく重々しいほど見事な存在感でしたが、華麗+愉快の中にも「ん…?」と考えさせる箇所が仕込んである、、そのテクニックに私など大いに引き込まれました。
彭城百川の《梅図屏風》についても同感ですね。梅から老成した雰囲気を読み取るだけでいるのはもったいないのかなと思わされます。

TBさせていただきました。
Sonnenfleck | 2006/06/09 12:33 AM
まぁ!かわいい!!めじろさんたち
泉屋博古館いま花鳥絵の企画展していたのですね。
鳴り物入りで宣伝をしているわけでないのでまったくノーマークでした。これは行かなくっちゃ!(^^ゞ

それにしても精力的に回われてますね!私だったらセイゼイ二つが限度(>_<) なに見たか思い出せなくなるかも!

でもここで色々教えてくださるので予習してジックリ見ることができそうです。感謝!

十六夜 | 2006/06/09 8:01 AM
>俗世間から離れ交わりを避け孤高を持する。
>若冲自身を表すなどあまり短絡的に捉えずとも…

いえいえ案外、Takさんの推察するとおりだと私も思いますよ。
おっしゃるとおり、他の作品でもそういう箇所ありますからね。
なかなか渋いところへ見に行かれたんですね♪
シルフ | 2006/06/09 8:36 AM
こんばんは!
嬉しいです、行かれたのですね。
この鹿ケ谷が昔、俊寛たちが平家打倒の会合を開いた場所なのだそうです。(平家物語ヲタ)
以前申してましたお向かいの住友有芳園の写真が出てきましたので、TBいたします。
植治の作庭です。下手なスナップですが雰囲気だけでも・・・
遊行七恵 | 2006/06/09 10:41 PM
ども.
ご無沙汰してます.

ぼくが京都に行ったのは4月の終わりだったので,泉屋博古館で若冲は見られませんでした.若冲や八大山人はいつかみたい作品です.

”メジロ押し”イイ感じですね.

今年の若冲はすごいですね.尚蔵館の展示あり,プライスコレクション展あり.
おけはざま | 2006/06/10 9:52 PM
@Sonnenfleckさん
こんばんは。

展示数こそ少ないですが
満足のいく展覧会でした。
京都まで行ったかいがありました。
ラッキーでした。観られて。

運転手さんと一緒に観たのですが
やっぱり若冲の絵の前で一番
時間を費やしました。

TBありがとうございます!

@十六夜さん
こんばんは。

メジロさん可愛すぎですよね!

>鳴り物入りで宣伝をしているわけでないので
そうなんですよね。私も出かける直前に
この情報知りました。小躍りしました。

欲張りなもので。。。
普段は2つが限界です。

@シルフさん
こんばんは。

>なかなか渋いところへ見に行かれたんですね♪
折角京都行くのだから京都で若冲の作品を
観たいな〜と思って探したらここ見つけました。
ほんとラッキーでした。

この後お墓参りもしてきました。

@遊行七恵さん
こんばんは。

俊寛にゆかりのある土地なんですか!
知りませんでした。(歌舞伎好きとしては不覚)

TBありがとうございます。
とっても嬉しいです、こういう記事!!

@おけはざまさん
こんばんは。

ブームとかにほいほい乗っかってしまう
軽率な人間なので今年は「若冲」ひとすじで!

かなりはまりつつあります。
後戻りできないほどに。

そのうち若冲のページ本館に…
Tak管理人 | 2006/06/11 12:52 AM
こんばんは。TB&コメントありがとうございます。

リストを見比べてみると、東京分館に来て、16点が増えていました。中国画などが増えた分、タイトルが変わったのですね。
東京に来なかった酒井抱一《椿棗書状》がちょっと気になります。それと京都本館の建物も・・・。
キリル | 2007/08/14 1:41 AM
@キリルさん
こんにちは。

東京展行ってきました!
いやはやあそこの美術館で初めて
「見応え」感じたかもしれません。
やっぱり目白押しはカワイイ〜

京都本館はちょっと不便な場所にあるので
訪れる人も少ないようです。
Tak管理人 | 2007/08/15 8:42 AM
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