青い日記帳 

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『西洋絵画の巨匠 フェルメール』

小学館より待望のフェルメールの画集が発売となりました。

西洋絵画の巨匠 (5)
西洋絵画の巨匠 (5)

待ちに待った一冊です。
同じ小学館の「世界美術大全集」が発売されたのが
かれこれ今から約10年前。

それ以降、まともな画集が一冊も出ていません。
景気を反映するかのように。

だからこの画集「西洋絵画の巨匠」シリーズが発売になると
聞いた時は、これで景気も少しは。。。なんて余計なことも
思いつつ単純に久々の『画集』発売に期待したものです。



ルネサンスから現代まで、600年にわたる西洋絵画の歴史を築き上げてきた12人の巨匠を厳選。西洋絵画の大きな流れと神髄を理解する上で新しいスタンダードとなるシリーズです。

選ばれた巨匠は次の12人。

1 モネ
2 ゴッホ
3 ダリ
4 ルノワール
5 フェルメール
6 モリゾ
7 ピカソ
8 レオナルド・ダ・ヴィンチ
9 ウォーホル
10 ゴヤ
11 カラヴァッジョ
12 ファン・エイク

ベルト・モリゾがどうして12人の巨匠に加わっているのか
謎の部分も多いのですが、兎にも角にもこの中に
フェルメールが入っていることが嬉しかったです。

これ10年まえだったらオランダ・フランドル絵画からは
フェルメールではなくレンブラントが選出されていたことでしょう。
時代性を12人の名前からも感じること出来ます。
(前述のモリゾも女性画家を一人入れたかったらしいです)

また今回、執筆者が比較的若手の先生が多いことも特徴の一つです。
フェルメールと言えば近年では小林頼子先生が有名ですが、
敢えて小林先生ではなく、尾崎先生を持ってきたのも注目すべき点です。

『西洋絵画の巨匠 フェルメール』
執筆者は東北大学教授の尾崎彰宏先生。
【プロフィール】
1955年生。東北大学大学院文学研究科博士課程退学。弘前大学人文学部教授を経て現職。専門はネーデルラント美術史、芸術家。目下、自画像論ならびに17世紀オランダにおける絵画市場やイデオロギーの「表象」としての絵画についての諸問題について研究している。
レンブラントのコレクション―自己成型への挑戦
「レンブラントのコレクション―自己成型への挑戦」 尾崎 彰宏

さてさて、肝心の本の内容です。

フェルメールは画集を出すときに「便利な画家」だと痛感しました。
だって現存する作品数が多く数えても40枚には至りません。
30数点です。全部で。

今回この画集ではフェルメールの真作を37点に絞っています。
西洋絵画の巨匠 (5)
西洋絵画の巨匠 (5)

因みに127ページありますので37枚の作品を紹介するには
多すぎるように思えてしまいます。でもご安心を。
例えば…

 
手紙を書く女と召使

 
天文学者

このようにそれぞれの作品の拡大図版もしっかり掲載されています。

レースを編む女」の指先部分のアップは萌えます。

この要領で37枚の真作を5つに大きく分類しそれぞれ解説されてあります。
「鑑賞図版」
1.デルフトの眺望―ミクロの世界とマクロの世界
2.絵画を巡る愛と称賛
3.手紙の悦び
4.フェルメールと東洋
5.歴史画から風俗画へ


以前紹介したこの本の迫力そのままの画集です。
原寸美術館 画家の手もとに迫る
原寸美術館 画家の手もとに迫る
結城 昌子

またこの他に
「名画を読み解く」と題し「絵画芸術の称賛」を10ページに渡り
フェルメール以外の画家の作品も多く載せながら書いています。

更に特集も以下の二つが組まれています。
1・描かれた「手紙」
2・東洋への憧れ


こちらでも紹介してあるテル・ボルフ作品や

手紙を書く女

メツーの「手紙を読む女性と召使」など

フェルメールと同時代のオランダ・フランドル絵画の画家たちの
作品が多く引用され大変参考になります。(勿論カラー図版です)

海外で開催されたフェルメールの展覧会のカタログには
よくこうした周辺画家の図版が多く載っていることあります。
例えばこの展覧会。2001年にNYメトロポリタン美術館で開催された
「Vermeer and the Delft School」
(フェルメールとデルフト派」展)

↓カタログ
Vermeer and the Delft School (Metropolitan Museum of Art S.)
Vermeer and the Delft School (Metropolitan Museum of Art S.)
Walter A. Liedtke, Michiel Plomp, Axel Ruger

また2003年にプラド美術館で開催された
「Vermeer y el interior holandes」
「Vermeer and the Dutch Interior」
(フェルメールとオランダ室内装飾」展)

↓カタログ
Vermeer and the Dutch Interior
Vermeer and the Dutch Interior
a Vergara

最近では2005年ドイツ・シュテーデル美術館で開催された
Senses and Sins
Dutch Painters of Daily Life in the Seventeenth Century
「17世紀の日常生活の中のオランダ画家たち」展

↓カタログ
Senses And Sins: Dutch Painters Of Daily Life In The Seventeenth Century
Senses And Sins: Dutch Painters Of Daily Life In The Seventeenth Century

こういった海外の美術館が開催するフェルメールの特別展のカタログは
大変参考になり私も本館のフェルメールのページを書くにあたって
いつも参考にしてます。

ただこれらのカタログは当然ながら英語(スペイン語)で書かれているので
細かな所まで読むことが出来ないのが難点です。
(もっと英語が出来たらな〜)

そのモヤモヤをこの画集は払拭してくれます!
西洋絵画の巨匠 (5)
西洋絵画の巨匠 (5)

フェルメールの作品についてばかりのようですが
フェルメールがどんな一生を送ったのかも
評伝「光の理想郷を求めて」の部分でたっぷりと書かれています。

彼の生い立ちから43歳で亡くなるまで、これまた同時代の
デルフトで活躍した画家の作品図版なども盛り込みながら。
(カメラ・オブスクラについても…しっかりと。。。)

だらだらと書いてしまいましたが、
バランスよく仕上がった内容の一冊です。
フェルメールの本一冊これから買うのであればこれでしょう。

小学館が自慢するだけあってカラー図版は今での画集が
霞んでしまうくらい超綺麗です。キラキラしてます。

3200円なら一回、飲み会断れば買えてしまいます。
この手ごろな値段も嬉しい点の一つです。

読んでいるうちに、また悪い病気が発症しそうです。
フェルメール観たい病

イケナイ。イケナイ。


以下、「西洋絵画の巨匠」ラインナップです。
「レオナルド・ダ・ヴィンチ」に注目してください。
そう、執筆者、池上先生です!!
発売は来年の1月予定です。


1 モネ
   島田紀夫(実践女子大学・山梨県立美術館)
西洋絵画の巨匠 (1)   モネ
西洋絵画の巨匠 (1) モネ
島田 紀夫

2 ゴッホ
   圀府寺司(大阪大学)
西洋絵画の巨匠 (2)   ゴッホ
西洋絵画の巨匠 (2) ゴッホ
圀府寺 司

3 ダリ
   岡村多佳夫(東京造形大学)
西洋絵画の巨匠 (3)   ダリ
西洋絵画の巨匠 (3) ダリ
岡村 多佳夫

4 ルノワール
   賀川恭子(山梨県立美術館)
西洋絵画の巨匠 (4)
西洋絵画の巨匠 (4)
賀川 恭子

5 フェルメール
   尾崎彰宏(東北大学)
西洋絵画の巨匠 (5)
西洋絵画の巨匠 (5)

6 モリゾ
   坂上桂子(早稲田大学)
7 ピカソ
   関直子(東京都現代美術館)
8 レオナルド・ダ・ヴィンチ
   池上英洋(恵泉女学園大学)
9 ウォーホル
   林卓行(玉川大学)
10 ゴヤ
   大高保二郎(早稲田大学)
11 カラヴァッジョ
   宮下規久朗(神戸大学)
12 ファン・エイク
   元木幸一(山形大学)

フェルメールとレンブラント
フェルメールとレンブラント
森田 義之
新・スタンダード。深・視点。真・臨場感。
今世紀はじめての西洋画集シリーズ登場。

●ルネサンスから現代まで、600年にわたる西洋絵画の歴史を築き上げてきた12人の巨匠を厳選。西洋絵画の大きな流れと神髄を理解する上で新しいスタンダードとなるシリーズです。

●巨匠の画家像・作品観を視覚的に理解できる作品の選択と構成に加え、あまり紹介されなかった傑作や個人蔵の作品、紛失したと思われていた作品も紹介。画家に対する新しいイメージが生まれ、親近感と造詣が深まります。

●最新の研究成果を踏まえ、日本を代表する研究者が日本人読者のために書き下ろしたテキストにより、名作も新鮮に、初見の作品もわかりやすく解説。また、画家と日本との関係にも着目。巨匠たちがぐっと身近に感じられます。

●名作・代表作を網羅した約100ぺ一ジの「鑑賞図版」に加え、人物がわかる「評伝」、作品制作の背景がわかる「名画を読み解く」、時代がわかる「特集」、充実の「巻末資料」で構成。画家の生涯や作品に多角的に迫ります。

●世界最高水準の印刷技術による名作の美麗な再現、臨場感あふれる拡大部分図など、小学館が『世界美術大全集』『印象派美術館』などで培ったノウハウを結集。西洋絵画の魅カを、お手元でお楽しみいただけます。
読書 | permalink | comments(9) | trackbacks(1)

この記事に対するコメント

坂上先生!
大高先生!
生徒としてこんなに嬉しい事は無いです。
大高先生がゴヤを語る時の顔と言ったらそれはもう……。
すばらしいですね。
発刊が待ち遠しいです。
kala-pattar | 2006/06/22 2:06 AM
こんばんは^^。
むふふ、さすがTakさん。
しっかりチェックしてますね〜。
私は今思案中。

>「フェルメール観たい病」
心は潤いますが時差ぼけと金欠の後遺症が残りそう(笑)。

CSで放送の「ダ・ヴィンチ」ドラマですが、
ドキュメンタリー調の淡々としたものでした。

さて森ビルでは来月から「ピクサー展」だそうですが、
東京都現代美術館では「ディズニー・アート展」が
開催されます。
出展数観るとこっちのほうがお得(笑)。
shamon | 2006/06/22 8:08 PM
こりゃ買いですな。小川先生にも・・・いやもうきっと持ってる。
レントゲン池内 | 2006/06/22 8:46 PM
@kala-pattarさん
こんばんは。

>大高先生がゴヤを語る時の顔と言ったらそれはもう……。
大学で習われたのですね〜
いいですね。
羨ましいです。
自分ももう少し当時から絵が好きなら
美術史の授業もっと楽しく聴講できたのに。。。

@shamonさん
こんばんは。

待ち望んでいました。
今はヨーロッパ仕事忙しくて
行けないのでこれで我慢我慢。

私、時差ぼけって大丈夫なんです。
体のつくりが雑なんでしょうね。

「ディズニー・アート展」は行きます。
価値は断然こちらにあります。
量質ともに違う展覧会です。

@レントゲン池内さん
こんばんは。

わざわざコメントお寄せいただき感謝です。
池内さんとこうして会話できるなんて。。。
夢にも思っていませんでした。

小川氏の記事もそのうち書きますね。
Tak管理人 | 2006/06/22 10:17 PM
TAkさん、こんばんは。
とうとうフェルメールまできましたか。
早速手に取ってみたいと思います。
ご紹介ありがとうございます。

それにしてもこのシリーズ、
図版もキレイですし、とても良く出来ていますよね。
(値段も安い!)

そして池上先生の回が刻々と迫って参りました。
もちろんこちらも楽しみです!!
はろるど | 2006/06/22 10:51 PM
こんばんは^^。

>量質ともに違う展覧会です。
千葉大のコレクションは以前日経で紹介されたので
覚えてます。
コンセプト・アートなどは美術品としても
大変な価値があるでしょうね。
今から楽しみです。

shamon | 2006/06/23 10:13 PM
@はろろどさん
こんにちは。

フェルメールって現存している作品数が
「てごろ」な数なので画集向きですよね。
この一冊に全て凝縮されています。

キレイです、はい。
今までの画集がかすんでしまいます。一気に。
小学館えらいです。

池上先生のダ・ヴィンチ発売されたら。。。
パーティーでも開催します??

@shamonさん
こんにちは。

日経で紹介されていましたか〜
本格的ですね。
森ビルの展覧会は食指が動きませんが
現代美術館のこれは。。。
やっぱり見てみたいです!
楽しみですね。
Tak管理人 | 2006/06/24 10:49 AM
TAkさん、はじめまして
フェルメールで検索して辿り着きました。素晴らしいブログですね!
つまらない記事ですが、TBさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
「TB・リンク大歓迎です!」とありましたので、お言葉に甘えて早速リンクも張らせていただきました。
「西洋絵画の巨匠」シリーズは、フェルメールの他ですとレオナルド・ダ・ヴィンチ、カラヴァッジョ、ファン・エイクあたりが楽しみです。
nao | 2006/08/18 10:51 AM
@naoさん
こんにちは。初めまして。
コメント&TBありがとうございます。
またリンクまでしていただき感謝感謝です。

ダ・ヴィンチを執筆された池上先生は
まだお若くとても精力的に活動されている方です。
フェルメールも勿論ですが、この一冊も是非。
池上先生のブログ→にリンクしてあります。

今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
Tak管理人 | 2006/08/19 1:53 PM
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西洋絵画の巨匠 (5) フェルメール 作者: 尾崎 彰宏 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2006/06 メディア: 大型本 小学館から刊行されている「西洋絵画の巨匠」シリーズは、“世界最高水準の印刷で再現”という謳い文句を掲げている。実際、手に取ってみると、満更