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美術講演会「M.C.エッシャーの絵画と錯視構造」

國學院大學で開催された
若木タワー竣功記念イベント 美術講演会「M.C.エッシャーの絵画と錯視構造」に行って来ました。



丁度、今日から同じ渋谷にあるBunkamuraザ・ミュージアムで始まった「スーパーエッシャー展 ある特異な版画家の軌跡」に合わせて開催された講演会。

講師は木島俊介氏(Bunkamuraザ・ミュージアムプロデューサー・共立女子大学教授・美術評論家)がお努めになられました。

木島氏

東京の美術館    死を見つめる美術史
「東京の美術館」 木島 俊介 「死を見つめる美術史」 小池 寿子

またコメンテータとして宮下誠氏(國學院大學文学部教授)、それに司会進行役を小池寿子氏( 國學院大学教授 、西洋美術史家)が務めるという豪華な顔ぶれ。


宮下氏 20世紀音楽 クラッシックの運命


お三人とも、示し合わせたように「マオカラー」のスーツを着ていらっしゃったのはあくまでも全くの偶然とのこと。(小池先生一番お似合いでしたよ!)

さて、さて講演会の内容ですが、ちょいと難しいお話でした。

「M.C.エッシャーの絵画と錯視構造」という演題にある「錯視構造」英語で表すと「Illusion system」.イリュージョンという言葉を専ら「幻影」と訳するが元々は「遊び」という意味合いがある。

ホイジンガの言うとところの「Homo Ludens」(人間は遊ぶことによって人間になった)に代表されるように、満たされた中で遊びは生じ、遊びは人間を幸福にする。

この「遊び」ということを念頭に置いてまずエッシャーの作品を観て欲しい。

また、エッシャーは大変「鏡」に関心を示した画家でもあったとのこと。実際に彼の作品の中には鏡に映った自分や風景などを描いた作品が多くみられる。



これはエッシャーが画家であると同時に「版画家」であったことが大きく作用しているのは明らかなこと。版画特有の凹凸による逆転現象。これこそ鏡に映るモノに対する興味関心の原点。対立と照応というまとめ方をなさっていました。

またエッシャーの所謂「だまし絵」的な作品の原点となっているのは「ペンローズの三角形」(悪魔の三角形)と呼ばれる下記のような不可能立体であるとのこと。


この「ペンローズの三角形」に表された不可能立体を作品の中に上手く採用したのがエッシャー作品の中でも大変有名なこの二つ。


水路の部分と階段の部分にそれぞれ悪魔の三角形が応用されているのが分かります。

これの極意はやはり陰影表現にあるそうです。要は影がある部分にきちんと影を描き込む場所とそうせずに線だけで表す場所があるそうで、この使い分けによって一見何でもないように見えて実は全くあり得ないような建造物をも表現できるそうです。

これを「correspond」(コレスポンド)という言葉で括られていました。エッシャーの場合は「明と暗との交錯」とでも表現できるでしょう。(明暗の交織)

それが際立っているのがこちらの作品です。

左右シンメトリーに同じ風景が俯瞰的に描かれています。昼と夜です。まさに明暗の交織。見事に表されています。

余談ですが、子供にこの絵を説明する時に
「鳥が次第に畑になっていく」
「畑が次第に鳥になっていく」
どちらがすぐに理解してくれるかというと。。。

前者の「鳥が次第に畑になっていく」だそうです。後者は中々分かってもらえないそうです。(そのように見えないから)これは人間が自然とものを上から下へと見る習性があることに起因しているのではないかとおっしゃっていました。(光は上から差すので上から物を見るようになってしまっている)

また、これらの模様(パターン)はエッシャーがアルハンブラ宮殿で見た装飾(ムーア人の装飾)に強く影響されているとのことでした。

イスラム教の抽象的紋様に具象的な形態(鳥やトカゲ)を取り入れたのがエッシャーであると分かると、深く納得がゆきます。

以前、私がアルハンブラ宮殿に行った際もやはりこういったパターン紋様に魅力されて何枚も写真を撮ってきたこと思い出しました。以下は実際に写してきたものです。
 

エッシャーは次第に具体的なものを描くことから永遠性(無限性)を描くことに興味関心を抱くようになったそうです。ただ、無限なものを表現するにも「枠」が要ります。「枠」があるということは無限の対極にある有限の世界。この限定空間を敢えて作って無限性を表現しようと試みました。

例えばこれ。


始めの頃はこのようなスクエア(四角)という限定空間に無限性を表現していましたが次第に四角が円へと変化を遂げます。
例えばこれ。


当然といえば当然の流れです。限定空間は作品制作上仕方なく設けている外枠です。本来表現したい永遠性に少しでも近づこうとするならば四角形よりも円形の方が勝っていることは自明なことです。

最後に「イタリアにはトポスがある」
エッシャーに一番大きな影響を与えたのは「イタリア」でした。もっと言うなら「イタリアという場」でした。それは平坦なオランダ育ちのエッシャーにとっては衝撃以外の何物でもなかったはずです。イタリアで受けた経験が後のエッシャーの代表作となる立体的な方向へ向かわせたそうです。

エッシャーにとってイタリアはまさにユートピアだったのでしょう。

そしてまた、単純な日常の繰り返しの中にユートピアを見出したのでしょう。

講演会終了後Bunkamuraで「スーパーエッシャー展」観て来ました。
そちらの感想はこちらに書きました。

そうそう、昨日紹介したニンテンドーDSでの作品案内
難なく借りることできました。使い勝手はいいのですが。。。
混雑を助長するような・・・






講演会 | permalink | comments(8) | trackbacks(2)

この記事に対するコメント

うわーエッシャー展いいですね。
なぜだかとても惹かれるのです。絵の中を彷徨ってみたいかも。
merino | 2006/11/12 12:31 AM
私も拝聴致しました。
残念ながら体調不良のため、その後まっすぐ帰宅してしまいましたが(T_T)エッシャー展はまた後日参ります。
るぅ。 | 2006/11/12 9:38 AM
昨日はご一緒できて本当に楽しかったです。
ありがとうございました。
TAKさんの美に対する、真摯な姿勢が展覧会でも充分に感じられて、また機会があれば是非、ご一緒させて下さいね。
シルフ | 2006/11/12 9:54 AM
こんにちわ、Takさん。
昨日の告知を見て行きたかったのですが、残念ながら微妙に自宅作業があって行く事が出来ませんでした。
今日あたり行きたいのですが、混んでそうですね〜。
あおひー | 2006/11/12 12:45 PM
Takさん、昨日は有難うございました。

木島氏の講演はちょっと難解でしたが、忘れないうちにとメモにしてホームページにアップしました。↓
http://cardiacsurgery.hp.infoseek.co.jp/Lecture.htm#0611111

その後観にいったスーパーエッシャー展の感想記はブログ→ホームページです。こちらはTBします。
とら | 2006/11/12 8:43 PM
@merinoさん
こんばんは。

絵の中さまよっているビデオ作品ありました。
エッシャー展の記事に貼り付けてあります。
ちょっとコワイですけど。。。

@るぅ。さん
こんばんは。

るぅ。さんもいらしていたのですね!
お声かけていただければ・・・ってご存知ないですよね。
お体大丈夫ですか?エッシャー展混雑していたので
お帰りになって正解だったと思います。

@シルフさん
こんばんは。

半日お付き合いいただきありがとうございました。
念願のシルフさんとの対面を果たせて感動しています。

月並みですがこれからもどうぞよろしくお願い致します。
で、次はいつお会いしましょうか!

@あおひーさん
こんばんは。

土日は場所柄混雑しますよね。。。
金曜の夜でしょうかねらい目は。
会期長いですが、やはり早めの方が
こういったメジャーな展覧会は宜しいかと。

@とらさん
こんばんは。

私も忘れないうちにと急いでアップしました。
とらさんのように理路整然とまとめられていません。
まだまだ未熟者です。

エッシャー仰る通り天才ですね。
今の世にいたら何しでかしているやら。。。
Tak管理人 | 2006/11/13 12:50 AM
エッシャーさん、すてきですよね。
みただけですごいものを感じます。
イチ | 2008/09/05 9:22 PM
@イチさん
こんばんは。

今なら佐倉市美術館で見られます。
来年はBunkamuraでも。
Tak管理人 | 2008/09/05 11:27 PM
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