青い日記帳 

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「アルベルト・ジャコメッティ 矢内原伊作とともに展」

川村記念美術館で3日まで開催されていた
「アルベルト・ジャコメッティ 矢内原伊作とともに展」に
行って来ました。



葉山、神戸と巡回しやってきました佐倉まで。
ジャコメッティの作品をまとめて観るチャンス今まで無かったので「絶対行くぞ!」と決めていながら結局訪れたのは最終日。ギリギリセーフ。

いつもと動線が逆の川村。まずは2階に上がっての鑑賞。
展覧会の構成はこんな感じでした。

第一章 『初期/キュビスム、シュルレアリスムを経て』
第二章 『モデルたち―ディエゴ、アネットを中心に』
第三章 『ヤナイハラとともに』
第四章 『空間の構成と変奏―人物、静物、風景、アトリエ』

階段上がってまず目に飛び込んできたのが、丸みを帯びた曲線が美しい作品。
1929年作の「
アルベルト・ジャコメッティ(1901−1966) 二十代の作品です。

お父様が画家だったそうで、その影響もあり絵や彫刻に興味を持ったとか。
セザンヌや「キュビズム」そして浮世絵の影響を受けた絵画や彫刻が
一部屋にまとめて展示してあり、「針金ジャコメッティ」のイメージとは
遠くかけ離れたそれらにちょっと圧されつつ鑑賞しました。

それから約20年、彼に何があったのか分かりませんが「彫刻としての量塊(マッス)を喪失し、人間の本質だけを示したような細長い線的な彫刻に到達
よく知るところの「ジャコメッティ」の誕生です。
(古代彫刻との関連性などその辺を知りたかったのですが、今回は無し。)
  

ただ、今回の展覧会はこのようなこれ以上そぎ落とすものはない!ほど究極なまでに細く長い人体の彫刻がずらりと展示されているわけではありませんでした。(これを期待して行った友人には不評でした)

全く無いわけではありません。寧ろそれなりにあった方だと思います。あれ運んでくるの大変そうですしね。。。


ジャコメティ自身も無駄な贅肉とかなさそうですね。

弟のディエゴや妻のアネットをモデルに執拗なまでにデッサンを繰り返し、そして彫刻作品を作り上げていったそうです。モデルも大変そうです。。。(しかも出来上がりが「針金」ですからね、、、)


黄色いシャツを着たアネットの肖像

ジャコメッティの描く人物や静物はたくさんの「線」の集合体のような作品です。
ジャスパー・ジョーンズが同じような作品を描いていますが、あれとはまたちょっと毛色の違う、精神性が前面に湧き出てくるような作品です。

人物を描く際に「線」が多いといえば「しげの秀一」
この漫画の作者です。
頭文字D 34 (34)
「頭文字D 34」 しげの 秀一
↑表紙では分かりませんが中を一頁でも見ればその線の多さに圧倒されます。
ジェコメッティとは違い単に絵が下手なだけなように思えるのは私だけでしょうか?
(ってまだこの漫画連載しているのか〜終り時逃したな…)

話を戻して。。。

今回展示されていた作品で「枠」の中に入っている彫刻が数点ありました。


正式には「枠」ではなく「檻」なのだそうです。
実際に「」というタイトルの作品もありました。

彫刻って絵画と違いフレームに囚われませんよね。
だからジャコメッティの細長い作品など展示室の天井を突き破ってしまいそうな勢いすら感じられるのですが、こうして「枠」いや「檻」に入れられるとそうは見えなくなるから不思議です。

さて、最後にサブタイトルに「矢内原伊作とともに」とある通り
哲学者であった矢内原伊作氏とジャコメッティの交流を紹介。

スランプに陥り悩んでいたジャコメッティを救ったのがヤナイハラだったそうです。カフェでアトリエで語り、そしてデッサンを重ね作品へ。




「ヤナイハラ機1960
哲学者・矢内原伊作は1956年にジャコメッティと知り合い、作家の強い希望により1961年まで頻繁にパリを訪れては辛抱強くモデルを努めた。制作途中の本作を矢内原が撮影した写真には、この彫像に特徴的な額の十字はまだ見えない。最終的に額に刻まれた十字についてヘルマン・ヘッセの『デミアン』に登場するカインの印ではないかという説もある。

見る人―ジャコメッティと矢内原
「見る人―ジャコメッティと矢内原」 宇佐見 英治

ジャコメッティと矢内原がどんな話をし、それがどのようにジャコメッティに影響を与え作品に向かわせるエネルギーになったのかは定かではありませんが、一つだけ言えることは「スランプの時こそ他人と語る」ことの重要性です。

マイナスな気分の時って自分ひとりで考えていても良い結論なんて出てきませんからね。とにかく自分のことをオープンにし話せる相手の存在は大きいです。

人は話してなんぼの動物。

言葉というコミュニケーションツールを生まれながらに備えている以上、使わないでいるとスランプにだってなるの自明のことです。

ヤナイハラの額に十字を刻みたくなるのも分かります。

皆さんも「ヤナイハラ」のような人物お近くにいらっしゃいます?
ジャコは幸せ者ですよね。

ジャコメッティ
ジャコメッティ
矢内原 伊作

おまけ

松岡正剛の千夜千冊『エクリ』アルベルト・ジャコメッティ
↑で紹介されている本。
読むのしんどそうだな〜


ジャコメッティ/エクリ
アルベルト ジャコメッティ
 アルベルト・ジャコメッティ(1901-1966)はスイスに生まれ、おもにパリを舞台に活躍した20世紀の偉大な彫刻家です。後期印象派の画家である父のもと、幼少時から絵画や彫刻制作の訓練を積んだジャコメッティは、20代の終わりに抽象彫刻を手がけ、シュルレアリストたちから絶賛されます。しかし、数年後には彼らと袂を分かち、人体彫刻の制作を通して「目に見えるものを見えるとおりに表す」という、単純にして困難な命題に挑戦します。同時代の優れた思想家であるベケットやジュネ、サルトルらと交友しながら自らの哲学的思考を深め、モデルとそれを取り巻く空間をありのままに現出させようと追求した結果、肉体が極限まで削ぎ落とされ、人間の本質だけが残されたような細長い彫刻に到達しました。ジャコメッティは作品制作のためにモデルを長時間、ときには連日拘束することを要したため、おもに家族や親しい友人がモデルを務めたことも知られています。

 ジャコメッティとの深い友情から1956〜61年にかけて毎年のようにパリを訪れ、のべ230日間にわたって忍耐強くモデルを続けた日本人哲学者、矢内原伊作(1918-1989)との交流を示すセクションにご注目ください。初公開となる矢内原の石膏像をはじめ、写真や手紙などの貴重な資料が展示されるほか、矢内原が生前にジャコメッティから贈られた作品も一同に集められました。
展覧会 | permalink | comments(7) | trackbacks(4)

この記事に対するコメント

こんばんは。
私も佐倉まで行って見てきました。
「黄色いシャツ..」が気に入ってポストカード買いました。
あの彫刻達、本当に素敵な空間を作っていましたよね。
ogawama | 2006/12/10 1:31 AM
こんにちは!
イニシャルD受けました(笑)。
最後は友情論でしんみり締めて。
いつも以上にTak節全開なエントリーですね。
mizdesign | 2006/12/10 7:44 AM
ジャコメッティ見逃さずにすんで良かったですね
私は葉山でも観たかったと思いました


えみ丸 | 2006/12/10 10:06 AM
@ogawamaさん
こんにちは。

細長いジャコの作品には天井が
いまいち低すぎかなーと思ったのですが
考えたら天井ある事自体邪魔なんですよね。
楽しめました。

@mizdesignさん
こんにちは。

たくみ君。そろそろ終りにしてやらないと。。。
何でも終りが大切ですよね。
アニメも酷いようだし。。。
実写もあるって。。。大丈夫なのかな〜

@えみ丸さん
こんにちは。

葉山で見たかったですねーー
佐倉と葉山、それに神戸
全てでそれぞれ感じ方違うはずです。
Tak管理人 | 2006/12/10 11:07 AM
Takさんより1日早く駆け込みました!

ガイドスタッフさんの解説も大変熱心で、
感じ入りました。

今は展覧会図録と、芸術新潮7月号を眺めている処です。

PS:川村記念美術館周辺の環境の素晴しさに驚きでした。
ポロネーズ | 2006/12/10 10:05 PM
Takさん、どうしてあんな細い姿になるのか面白いですね。葉山で観た感想をTBします。
とら | 2006/12/11 8:14 PM
@ボロネーズさん
こんばんは。

ここの環境の良さは都会では
決して味わうことできませんね。

それと仰る通りスタッフの対応が
とっても良く好感が持てます。

展覧会プラスαの何かが
毎回得られる美術館です。

@とらさん
こんばんは。

削って削って本質だけを。。。
なんてものの本には書いてありますが
あそこまで細くはなりませんよね〜
Tak管理人 | 2006/12/11 10:51 PM
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