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「伊東豊雄 建築|新しいリアル展」

東京オペラシティ アートギャラリーで開催中の
「伊東豊雄 建築|新しいリアル」展に行って来ました。



とても愉しい展覧会です。
建築は美術以上に門外漢ですが、それでも伊東氏のまるで生き物のような
展覧会会場はそこにいるだけで、自然とワクワクしてくる何かがあります。

昨年5月にこの同じ会場で観た建築展「谷口吉生のミュージアム」では
味わうことのできなかった別の愉しさが会場内に溢れています。

「東京で一つだけお勧めの展覧会を紹介して」と今聞かれたら
「伊東豊雄 建築|新しいリアル展」と即答するでしょう。

先月参加したシンポジウム「ポストバブルの建築シーン」でも建築史家・建築家の藤森照信氏が「とにかく伊東君の考えは面白いんだ!」と熱弁ふるっていらっしゃいました。

藤森氏のお話の中でも出てきた「せんだいメディアテーク」この建築現場に立ち会った伊東氏が圧倒された「鉄の力」。そこからあらためて「物質(もの)のカ」へ関心が移ったそうです。



以下は会場にあった伊東氏のこの展覧会へ寄せる想いです。
 せんだいメディアテーク〉の現場を訪れた時、私は凄まじい鉄の力に圧倒されました。クレーンで宙に舞う巨大な鉄片、あちこちで火花を散らしながら溶接されていく鉄の匂い、それは通常の建築現場とはおよそかけ離れた、生ま生ましく、つくる意志に溢れた生産の風景でした。久しく忘れていた「物質(もの)のカ」への想いいが突如私の内に蘇りました。そして自らに問いかけました。現代建築に欠落していたのは、まさしくこの「物質のカ」ではなかったのか、と。
 20世紀初めに巨匠ミース・ファン・デル・ローが「モダニズムの夢」を託して描いた鉄とガラスのスカイスクレーパーは、今や世界の都市を覆い尽くしています。それは都市の栄華を実現するための情報交換および経済活動の器として貢献しましたが、他方で均質な人工環境に人びとを閉じ込め、人びとの活き活きとした生命力を奪っているように感じられます。
 もっと「物質」と向かい合える豊かな建築はないのか。《せんだい》以降、私はこのテーマヘの解答を模索してきました。
 近年におけるコンピュータ・テクノロジーの進化は、前世紀には考えられなかった建築を実現しつつあります。アドバンスト・ジオメトリーを用いたデザインや構造解析、施工技術の革新などによって、3次元曲面の連続する躍動的な形態や、スパイラルを描いたり複雑なネットワークを形成したりする構造体を持つ建築、すなわち生命体の構成原理に根ざした建築を構想することが可能になったのです。
 この展覧会では、最近10年間の活動に限定し、「物質としての建築」を紹介したいと考えました。ここでのテーマは、決して過去に回帰したノズタルジーとしての「物質」との関わりではなく最前線のテクノロジーを媒介にして、モダニズムの先にある「物質」との関わりを問うことです。「新しいリアル」、それは「未知の世界に向けた、しかし人びとのプリミティブな身体に訴えかける建築」へのキーワードなのです。


ポストモダン、脱近代化が叫ばれて久しいですが、中々その突破口は現状では見つかっていないように思えます。それぞれの分野に於いて。建築もまたそれを模索している最中なのでしょう。

伊東氏曰く「人びとのプリミティブな身体に訴えかける建築」が一つの答え。

先のシンポジウムで藤森氏が伊東氏の建築を引き合いに出し結論として
「突きつめて考えてみると、それは縄文時代の竪穴式住居であったり、アフリカの原住民の住居であったり、人類の初期の形態に祖先返りしているように思える。」
こう締め括られていました。今に考えると「なるほどな〜」と納得できます。

さてさて、それでは展覧会会場の様子ですが、これは会場へ行かずともwebで結構詳しく紹介されています。「新しいリアル」と検索すれば2,3すぐに見つかります。
その中でもオペラシティー公式サイト
JDNリポート/「伊東豊雄 建築|新しいリアル」、 
『新建築』特別記事などは大変詳しいです。

幾つかある展示作品の中でも最初の展示室にありひと際目を惹いていたのが
現在台湾に建設中の「台中メトロポリタン・オペラハウス」の模型です。


正直何処から観てもコンサート・ホールには見えません。
第一印象を言うならトムとジェリーに出てくるチーズ。

この「チーズ」の中に大小合わせて3つのコンサート・ホールが
内包されているというのですから驚きです。

このサイト見ると少しは構造が分かるかもしれません。。。
台中メトロポリタン・オペラハウス

けんちく世界をめぐる10の冒険
「けんちく世界をめぐる10の冒険」 伊東豊雄建築塾

因みに台中メトロポリタン・オペラハウスのコンペで惜しくも
伊東氏に敗れて次点だったのはあのZaha Hadid(ザハ・ハディド)
舞い降りた桜 ザハ・ハディドとめぐるドイツ銀行コレクション展
そう、品川にあの巨大な桜を降らせた世界注目の女性建築家です。

ザハのコンペ案も伊東氏とは違った意味で「生き物的」であります。

     

伊東氏とザハの設計した建築物が世界の街中に点在するようになると
もしかして「流れ」が変るかもしれませんね。

「MIKIMOTO Ginza 2ビル」「杉並芸術会館」「多摩美術大学新図書館」「サーベンタイン・ギャラリー・パビリオン2002」などの1/10〜1/20の模型がうねうねと波うつ床の上に展示されています。

この床は伊東氏の提唱する「エマージング・グリッド[生成するグリッド]」という概念に沿って作られているそうです。靴を脱いでここを「散歩」するかの如く鑑賞。ただし作品ばかりに気をとられていると私のようにコケます。。。

因みにこのスペースにはBGMが流れています。展覧会でBGMも珍しいですが、
もっと珍しいのはジャズや洒落た音楽でなく石川セリの歌が流れていたことです!
このCDの曲です。伊東氏が選曲したそうです。
翼 武満徹ポップ・ソングス
翼 武満徹ポップ・ソングス
武満徹,井澤満,谷川俊太郎,荒木一郎,服部隆之,越美晴,石川セリ

「瞑想の森 各務原市営斎場」「TOD'S表参道ビル」は原寸大の実物の一部が展示されていました。各務原市営斎場のうねうねした屋根の上を歩くことも出来ます。

「TOD'S表参道ビル」は12月5日から始まった夜間ライトアップイベント「表参道akarium(アカリウム)」に照らされまたいつもと違った雰囲気を醸し出しているはず。観に行かなくちゃ!!

こちらは先月小雨降る中撮影してきた夜の「ミキモト銀座2」

都会のビル群の中、嫌でも目が行く建物です。

素人ながら建築展へも足を運ぶようになり、
街中歩いていて楽しみがこうして増えました。
絵画とは違った魅力否魔力のようなものあります。

固くて難い建築のイメージが伊東氏の手にかかると
グニャっとしたフレキシビリィテー豊かなものへ変貌を遂げます。


東京展は今月24日までです。
その後、仙台メディアテーク(2007/4/13〜)と
神奈川県立近代美術館 葉山(2007/6/9〜)へ巡回するそうです。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=852

にほんの建築家 伊東豊雄・観察記
にほんの建築家 伊東豊雄・観察記
瀧口 範子
あたかも動き出すかのように見える活き活きとしたかたち。内と外がゆるやかに一体化した空間。新たな建築概念とテクノロジーの進化が手を結んだ結果、これまで不可能とされてきた建築が近年次々と実現されるようになりました。伊東豊雄は、こうした現代建築を牽引する一人として、世界各地でプロジェクトを進行させています。

情報化が進んだ現代、人間や都市の活動は以前と比較にならないほどの速度と多様性を持つようになりました。均質なグリッド[格子]の美学を追求し、合理性と抽象性のもとに多様性をそぎ落としてきたモダニズム建築を、伊東はより複雑で豊かな秩序を内包する「エマージング・グリッド[生成するグリッド]」という概念をもって超えようとしています。規則的で無機質な空間から複雑で有機的な空間へ、この21世紀のグリッドは建築を自然のシステムに近づけ、建築と人間との関係に無限の可能性を与えるものです。

本展では、新世紀の幕開けとともにオープンした《せんだいメディアテーク》から最新のプロジェクトである《台中メトロポリタン・オペラハウス・プロジェクト》を含む9作品を中心として、伊東の提唱する新しい建築理念を紹介します。伊東自身が構成に深く関わった会場には「エマージング・グリッド」を体感させる曲面の床が現れ、鉄や木など実際の建築と同様の素材を使った大型の模型によって「物質(もの)のもつ力」が示されます。また壁面に天井の高さまで広がる原寸大の図面や、CG画像、施工中の建築現場で撮影された映像などが各プロジェクトをさまざまな角度から照らし出します。身体と知覚に直接はたらきかける展示空間は、伊東の目指す「新しいリアル」を立体的に体験する場となることでしょう。
展覧会 | permalink | comments(15) | trackbacks(6)

この記事に対するコメント

Takさん
こんばんは

葉山にも巡回するのですね。ノーマークでした。
あの床がどう再現されるのか...楽しみです(^^)

# あと、ライトアップ嫌いの私ですが『TOD'S表参道ビル』を
# 観るためにアカリウムに行ってこようと思います...
lysander | 2006/12/07 12:20 AM
こんにちは。
建築は楽しいぞー!と枠組を押し広げてくれる展示ですよね。
日曜美術館にも登場したそうで、大人気ですね。
mizdesign | 2006/12/07 7:36 AM
こんばんは。

>トムとジェリーに出てくるチーズ

上手いですね!確かにそんな感じがします。
スポンジ綿のようでもあり…。

台中のオペラハウスは本当に羨ましいです。
初台のオペラハウスは…。
はろるど | 2006/12/07 8:46 PM
@ysanderさん
こんばんは。

葉山ってまだ行ったことのない美術館なんです。
この展覧会が巡回したら行ってみたいと思います。

表参道は今夜行く予定だったのですが
別用が入ってしまって断念。次回に!

@mizdesignさん
こんばんは。

建築の素人の私にも間口を広げて
楽しませてくれる。そんな展覧会でした。
伊東さんエライ!!
そしてmizさんも。

@はろるどさん
こんばんは。

台中のオペラハウスは台湾のサイトなどを
検索かけてあれこれ調べると面白いですよ〜

他のコンペ案も見られたりします。

博多湾の公園も早くオープンして欲しいですね。
あれも人気でるだろうな〜
Tak管理人 | 2006/12/08 12:20 AM
こんにちは

ホントにこの展覧会は良かったですよね
会場で石川セリが流れていたのを忘れていました!
こういう展覧会には珍しいなあと思っていたのですが
ご本人の選曲だったんですね(このCD良く聴いてます)


Kunsthaus Wienに行った時も思いましたが 
曲線で出来ている建物は
初めはちょっとうねうねしますが
しばらくすると直線で出来た普通の空間よりも
落ち着くんですよね
muha | 2006/12/08 10:11 AM
はじめまして。
TBありがとうございました。
こちらのブログはよく拝見しています。

私もこの展覧会に行ってきました。
歩いて体験できるというのは楽しいですよね。
行ったのは2ヶ月近く前なのに、歩いたときの足の感覚が妙に記憶に残っています。
teshi-hi | 2006/12/08 11:28 AM
@muhaさん
こんばんは。

私のような素人でも楽しめ
そして建築の面白さを
教えてもらえる良い展覧会でした。
武満徹は多くの人に影響与えていますね。
しかし伊東さんが武満好きとは!
これもまた嬉しくなってしまいます。

あのうねうねに馴染めるのは
素直な心持っていないとダメな気がします。
頭で考えちゃうともうダメ。
身体を委ねられる場所です。

@teshi-hiさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

恐縮です。。。

身体で感じた感覚って中々忘れないものですよね。
目、耳、口。単体で得られる感覚よりも
身体全身で得た感覚は染込むような気がします。

今後とも宜しくお願い致します。
Tak管理人 | 2006/12/08 11:05 PM
数年前、せんだいメディアテークを訪れその斬新な建築に驚きましたが、台中メトロポロタン・オペラハウスはさらにその先の領域を体験させてくれそうです。
石川セリの歌が流れていたのは、私も好きなCDなのでうれしかったですね。
テツ | 2006/12/09 3:46 PM
メトロポロタン→メトロポリタンですね。
すいません。
テツ | 2006/12/09 3:50 PM
@テツさん
こんにちは
TBありがとうございました。

ブログにアップされている
せんだいの写真良いですね!
建築写真にはないリアルさがあります。

こうなると行ってみたくなるから
困ったものです。仙台か〜
(で次は台湾?!)
Tak管理人 | 2006/12/10 10:54 AM
恥かしながら「せんだいメディアテーク」にも最近行って参りました。日頃、お世話になっているTakさんへの「お裾分け」です。是非、どうぞ!
※HNにリンクしてあります。
ポロネーズ | 2006/12/10 10:53 PM
日本の建築家は、いま注目されていますね。伊東さんはその最右翼でしょう。金沢21世紀美術館を設計した妹島さんも、伊東さんにところにいた人ですよね。
展示をみて、その設計の素敵さを改めて知りました。
自由なランナー | 2006/12/31 9:53 PM
@ポロネーズさん
こんばんは。
お返事できていなくてすみません。

「せんだいメディアテーク」は
行ってみたい場所のひとつです。
伊東氏の建築物ツアーとか
してみたいですね。

来年もどうぞ宜しくお願い致します。
よいお年を!

@自由なランナー
こんばんは。
TBありがとうございます。

妹島さんも、冨弘美術館を作った
ヨコミゾさんも伊東さんのお弟子さんです。
共通する点が多いと素人目にも分ります。

一見ランダムなような模様もきちんと
計算されているのには驚きました。

来年もまた宜しくお願いいたします。
よいお年をお迎え下さい。
Tak管理人 | 2006/12/31 10:22 PM
神奈川県立近代美術館 葉山に、行って来ました。
美術館自体も初めてでしたが、展示の模型も面白かったです。
でも、壁一面の説明は、字が小さくて大変。

家からは、電車の乗り継ぎが多いけど、思いのほか近い事が分かったので、また行きたい。
ついでに、できたての横須賀美術館にも行って来ました。

海辺の二つの美術館は、ともにガラスの箱みたいでした。
横須賀美術館の方が目立ちたがり屋な建物です。
鼎 | 2007/06/10 7:56 PM
@鼎さん
こんばんは。

神奈川県立近代美術館未だ
訪れたことのない私です。

横須賀美術館も出来たことだし
セットでお天気の良い日にでも。

素人建築好きとしては行っておかなくちゃ
いけないスポットではありますよね。
Tak管理人 | 2007/06/12 12:00 AM
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