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山口晃「ラグランジュポイント」

ミヅマアートギャラリーで開催中の
山口晃「ラグランジュポイント」展に行って来ました。



中目黒駅から徒歩五分の地点にあるMizuma Art Gallery.
見るからに古そうなビルの2階と5階にギャラリーがありました。

てくてく階段で二階まで上ると入口には「まずは五階からご覧下さい」の案内が貼られています。またてくてくと、ぐたぐたになりながら五階まで。季節が冬でまだ良かったです。エレベーターありません。

五階の展示室決して広くありませんが、縦約2mの作品が10点展示してありました。
十の内訳は「四天王立像」と「六武人圖

四天王立像
多聞天、廣目天、増長天、持国天。部屋の置くに四者揃い踏みです。
サイズや描かれている紙は同じでもそれぞれに特徴があります。

持国天は顔や手足の見える部分が真っ青です。
増長天は顔や手足の見える部分が真っ赤です。

それじゃー次の廣目天は何色かな〜と思って目をパンすると
今度は「色白」な顔で廣目天の持物である巻物と筆を持ち
すらりとしたいでたちで凛として立っていました。(画像

そして最後、多聞天は誰しも「作りかけ?」「時間が間に合わなくて色ぬらなかった?」と首を傾げたくなる作品。見た目は真っ白で輪郭線しかないように思えます。丁度DMの葉書に描かれた↑作品の如く。

山口氏は当初この作品は背景に色を加え白い多聞天を際立たせるつもりだったそうですが、これだけ背景に色を加えてしまうと他の三点とのバランスが崩れるのでやめたそうです。決して下書きではありません。特に高く挙げた右手の先にある「赤」はこの作品の数少い重要な色として燦然と輝き作品をギュッとまとめてくれています。

四天王は通常邪鬼を踏みつけた姿で表されますが、
山口氏の四天王は邪気というより野良犬でした。

これらそれぞれ趣の違うメンバーで構成された四天王に取り囲まれるような
錯覚を起こさせる展示の仕方がされています。

今回のこの作品で若いファンだけでなく仏像ファンまで
山口ワールドへ見事勧誘できたはずです。
仏像もこうして見せてもらうとまたより一層魅力を発揮します。

イイ狙いどころだと思います。

四天王―仏敵から世界を護る最強の守護神 Gakken Mook―神仏のかたち2
四天王―仏敵から世界を護る最強の守護神

六武人圖

タイトルの通り六人の武人の絵が掛け軸に描かれています。
墨絵です。チャイニーズインクと書いてありました。
調べてみると「不変色・耐水性」に優れているとか。

六者六様。それぞれ違ったいでたちと武具を手にしています。
一言、どれもみな「カッコイイ」です。
天明屋さんだけの専売特許かと思っていましたが
山口さんもこういった作品描かれるのですね。
やっぱり若いな〜(ガンダム世代)

一緒に観に行ったSさんはナンバー5の武人がお気に召したとか。
よーく見るとこの武人さんのお顔、山口晃氏に何処となく似ています。

後で山口氏にそのことを尋ねると、駆け出しの頃はモデルさんを雇う
お金も無かったので顔のデッサンの練習を鏡に映った自分の顔を見て
日夜研鑽を積んだそうです。そうしていると自然と人の顔を描く時に
耳や鼻、輪郭線といった部分が自分と似てくるらしいのです。

要は手がそのように覚えこんでしまっているのでしょう。
だから意図せずとも「自画像」のようになっているのとのこと。
なるほど〜

その理屈で考えるとナンバー1の武人の顔はキアヌ・リーブスに
そっくりだったので、キアヌの顔でも練習しました?山口さん??

さて、さて武人ですので皆、甲冑を身に着けています。
こんな戦国時代の大鎧ではありませんが所々それらしき箇所が見られます。


昔の大鎧を現代の最先端技術と素材で出来るだけ
軽量化を図ったような甲冑を皆身に纏っていました。

ボーガンやマシンガンを手にした武人も居るのですが違和感ないのが凄いです。

ここまでが五階の展示室です。
また階段で二階へ下ります。

二階の展示室は今回の個展ようにしつらえた空間に展示?されています。

一人ずつしか観る事できません。白く細い壁の奥にこれまた白く薄いカーテンのような布が掛けられています。それをめくって中を覗き込むと…



そこには無数の武人達が!鑑賞者である自分を取り囲むようにして立ち聳えています。敵か味方か?一体この武人達は何者??真っ白な空間に突如現れる大パノラマ。一体どれだけの数の武人が目の前にいるのか見当もつきません。

これがもし敵で自分を取り囲んでいるとしたら勝ち目はゼロ。プラス思考プラス思考。それなら皆味方だと思えば心強い。

山口氏は当初、「今様洛中洛外図」の立体化を考えていらしたそうですが、街の風景は3D感を出すのが大変苦労が要るとのことで、人物に変更したそうです。ご本人は「妥協してできた」と仰っていましたがそんなことないと思います。狙っていたはずです。きっと。

また、全部後ろまで一人一人お描きになっているのかと伺ったところ、見えない部分は丸描いてチョンです。と仰ってました。単眼鏡を持参し観たのですがそれでも確認できないほど小さな小さな点の集合体のようでした。やっぱり山口氏は細かいこと描かせたら右に出る者いませんね。

山口晃作品集
「山口晃作品集」 山口 晃

お花を描いた小品も二点ほどありました。(桃と椿)
余白になにやら見慣れぬ文字や花押のようなサインが書かれています。
「六武人圖」にもそういえば沢山書き込まれていました。

この文字は一体どこの国のものですか?ハングルにも漢字にも見えますが…と伺うと、山口氏は即答で「この文字は中央アジアの古代文字の一種で。。。」と解説して下さったので「ほーー。へ〜〜。」と感心していると、はにかみながら「冗談です。」と。

実はどこの国の文字でもなく、意味もないそうです。文字情報が書かれているとそれに頼って絵を観てしまったり、その文字が理解できない人には逆に伝わらなかったりするので敢えて本当の文字は書かないそうです。

「でも、余白があると落ち着かないのでつい。」書き込んでしまうそうです。
お茶目です。ホント。

散々お仕事の邪魔してしてしまいましたが、色々とお話を聞かせていただき大変有意義な時間を過ごすことができました。仕事終えてから急いで中目黒まで行った甲斐がありました。

前回していただいたサインより本人曰く「進化」したサインも頂戴しました。
有り難う御座いました。

おまけ

今月号の「東京人」にカラーで8ページも山口晃氏の特集が組まれています。
江戸東京の都市を描く、絵師・山口晃の創作の泉を探る
東京人 2007年 01月号 [雑誌]
東京人 2007年 01月号 [雑誌]

山口氏のアトリエの写真も掲載されています。
畳敷きに木製の机。正座して作品制作しているのかな?

2007年5月20日から上野の森美術館で開催される「アートで候 会田誠・山口晃展」に備えて現在新作の制作中とのことでした。

また、毎週土曜日に読売新聞に連載されていたドナルド・キーン氏の「私と20世紀のクロニクル」も今日が最終話。無事終了。挿画を山口氏が担当されていたこの連載、一月から始まって半年の予定が延びに延びて師走まで。

山口氏「やっと終わりました〜」と安堵の表情浮かべていらっしゃいました。
連載お疲れさまでした。単行本になるの楽しみです!

BRUTUS (ブルータス) 2007年 1/15号 [雑誌]
BRUTUS (ブルータス) 2007年 1/15号 [雑誌]

山口晃氏関連記事です。

『山口晃が描く東京風景 本郷東大界隈』刊行記念講演

根津神社 御遷座300年大祭

「モーニング」表紙担当・山口晃!

「山口晃展」




 山口さんの代表的なモチーフといえば合戦図、時制の混在、さらには「洛中洛外図」のように画面を埋めつくすように描き込まれた街の鳥瞰図などがありますが、このたびの作品はこの作家をよく知る観客にとってはまったく意想外の作品と申せましょう。これまで「みること」を意識し、観客を飽きさせないユーモアとシニカルさ、山口流文字などを画面上にほどこしてきましたが、今作品では図像を読み解くことからさらに作品世界を広げて、「絵を体験する」というテーマに挑戦しました。
 会場には四天王像が聳え立ち、結界を形成します。
 無機質な白く狭い通路に入れるのは一度にひとりだけ。その先には、武器を持ち戦いに備えて命令を待つ何千何万の群集が観客を迎えます。観客はただひとり、描かれた群衆と対峙することになります。あたかも命令を待っているかのような軍隊に囲まれたとき、ひとは何を感じ、どう処するのでしょうか?

※ラグランジュポイント(Lagrange point):Joseph-Louis Lagrangeが1772年に唱えた天体力学上の説で、主星とその周りを回る従星の重力関係に影響を与えないほど小さな存在がそれらの天体と安定的な位置関係を得られる地点が5つあるというもの。これは1906年に太陽と木星を頂点とする正三角形のラグランジュポイントにトロヤ小惑星群が発見されたことで実証された。この説をもとに、スペースコロニー建設のアイディアが生まれ、わが国ではテレビアニメーション「機動戦士ガンダム」の舞台として子どもたちにも知られるようになった。



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この記事に対するコメント

「お茶漬け」の話の脱力ぶりはスゴかったですね。
思い出すだけで笑えます。
No.5の武人さんは一番表情が描き込まれてる気がしました。
よく見ると眼の中の光彩までちゃんと描いているんですよ。
あのパノラマは次回はぜひオペラグラス持参で!
山口さんに嫌がられるかもしれませんが(笑)
さちえ | 2006/12/17 12:46 AM
@さちえさん
こんにちは。

そうそう、お茶漬けの話書くの忘れました(^^ゞ
思ったとおりの反応でした。

山口さんの困った時の表情が何とも愛らしい?!
ああいう姿見せられると何だか身近に感じて
しまうからおかしなものです。
ファンが増えるのも納得ですね。

あのパノラマ結局幾ら位なのでしょうね。。。
Tak管理人 | 2006/12/17 1:11 PM
山口さんの描く四天王、すごく好きです。
多聞天にはそんな事情があったのですね。
2Fの武人の展示はすごくわくわくしてよかったです。
あの、先の展開が読めない感じってすごく大事だと思います。
あおひー | 2006/12/18 12:57 AM
伍廊ブログにTBありがとうございました。
私が行ったときは、いらっしゃらなったので羨ましいです。

・ドナルド・キーン氏の「私と20世紀のクロニクル」
・「アートで候 会田誠・山口晃展」

楽しみですね!!
今月の東京人もチェックしてみます。
ごーろ | 2006/12/18 9:19 AM
 「多聞天」については山口さんから家内と2人で聞いたところ、「皮膚だけは黒にして、あとはこれから考えたい」ということでした。
 確かに多聞天は北の守り神、大相撲の黒房ですから、皮膚の黒は良いとして、衣装はそれが引き立つ白っぽい色がよいのでしょうが、背景との関係も難しいですね。
 あんなひどいビルが都内に存在していることも驚きでしたが、山口さんの多芸多才にはホントに驚きました。
とら | 2006/12/18 9:27 PM
@あおひーさん
こんばんは。

四天王の配置の仕方が絶妙でした。
あれにはちょっと感動。
2Fは片目をつぶって見て下さいと
山口氏からのアドバイスがありましたね。

@ごーろさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

キーン氏の単行本は全部
山口氏の今までの挿絵が
載らないそうですが、それでも
一気に読み返せるので楽しみです。

東京人の対談、聞き手がイマイチです。

@とらさん
こんばんは。

そんなお話が聞けたのですかー
顔を黒!それはまた違った印象ですね。
銀と金も縁に使うと更に効果ありますね。

あのビルって何年前の建物なのでしょう。
とらさんのブログにあった花束も
全然似合っていませんでしたね。あの場所に。

新作来年の展覧会で公開だそうです!楽しみ!!
Tak管理人 | 2006/12/18 11:29 PM
こんにちわ!

東京人立ち読みしました。
貴重な記事でしたね。
ありがとうございます。

それと芸術新聞社の「アートトップ」という雑誌に
山口さんが大きく取り上げられていましたのでぜひ。
1,800円はちょっとキツイですけど。

http://www.gei-shin.co.jp/arttop/at0.html
ごーろ | 2006/12/28 9:14 AM
@ごーろさん
こんにちは。
コメントありがとうございます。

「アートトップ」の50の質問
読んでみたいです!
ありがとう御座いました!!

でもきっと、のらりくらりと
はぐらかすようにコメントしていたり
しているのだろうな〜

来年の会田さんとの二人展
今からとっても楽しみです。
Tak管理人 | 2006/12/28 10:48 AM
こんばんは。
山口さんの世界には仏様とガンダムが住んでますよね。
現代和様SFファンタジックワールド!?
mizdesign | 2007/01/20 3:49 AM
@mizdesignさん
こんにちは。
TBありがとうございます。

山口さんガンダム信者です。
この世代は誰しもみな同じ。
この個展のタイトルからして
すでにガンダム入ってます。
Tak管理人 | 2007/01/20 1:46 PM
こんばんは。
パノラマには本当にびっくりしました。
まさか山口さんの展覧会でインスタレーションが見られるとは思わなかったので…。

東京人、ノーチェックでした。
今度めくってみます。
上野の森の展覧会も楽しみですね!!
はろるど | 2007/01/22 1:11 AM
@はろるどさん
こんばんは。

さちえさんが、日曜日に開催された
トークショーにも行かれました。
絶好調だったようです。
いいなーーーー

上野の森で開催しちゃうと
一気に知名度上がってしまいますね。
嬉しいやら悲しいやら。
Tak管理人 | 2007/01/23 11:54 PM
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