青い日記帳 

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読終『西洋絵画の巨匠 レオナルド・ダ・ヴィンチ』

昨日発売になった『西洋絵画の巨匠 レオナルド・ダ・ヴィンチ』
一気に読んでしまいました。面白くて!さらりと感想など。
昨日の記事で先生のインタビューと共にご紹介。

西洋絵画の巨匠 8 レオナルド・ダ・ヴィンチ
「西洋絵画の巨匠 8 レオナルド・ダ・ヴィンチ」 池上 英洋
「万能の天才」の真実がわかる決定版画集
イタリア・ルネサンスのみならず、西洋絵画史の頂点に立つ巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチ。先入観にとらわれず、好奇心のおもむくまま想像力の翼を広げ、科学的な思考と芸術的感性を融合させて、宇宙の真理と理想の美を追求したその劇的な生涯は、まさに彼が生きた激動の大航海時代にふさわしい、壮大な冒険物語といえます。代表作の《モナ・リザ》や《最後の晩餐》をはじめ、超絶的なデッサン、膨大な手稿の数々、失われた傑作の復元まで、本書は、レオナルド・ダ・ヴィンチが生み出した、人類の至宝ともいうべき名画・傑作のすべてがわかる決定版画集です。最新の研究成果に基づき、「万能の天才」の真実が、いまここに明らかになります。



洗礼者ヨハネ

小学館の「西洋絵画の巨匠シリーズ」は何も池上先生のダ・ヴィンチだけに限らず、全ての巻が大変「読み応えのある画集」と仕上がっているのが特徴のひとつです。

一般的な「画集」のイメージとしては、見開きで片方のページに作品図版が掲載され、その作品の解説が付け加えられているといったものかと思います。(もしくは図版だけずらーーと掲載され、解説は巻末にまとめてあったりと。)

ところがこのシリーズは、単なる作品の解説に留まらない著者が分りやすく書き下した文章が作品に交じって掲載されています。「読み応えのある画集」たる所以です。

池上先生の「レオナルド・ダ・ヴィンチ」の目次はこのような構成になっています。

鑑賞図版(カラー作品に詳細な解説が付されているもの)
1・レオナルドによるイメージ
2・若き日のレオナルド
3・時代の落とし子
4・敗北と飛翔
5・さまよえる万能人

名画を読み解く」《最後の晩餐》


以上がレオナルドの作品解説が中心の部分。
以下はレオナルドにまつわる書き下しテキスト

「評伝
1・花の都へ
2・不運の人

特集
1・世界ーWorldーの探求
2・世界ーGlobeーの探求


これに巻末資料としてレオナルド関連年表、関連地図、参考文献・掲載作品所蔵先一覧、用語・画題、人名集そして索引が付随しています。

以上「巻末資料」を除いたそれぞれの章が「鑑賞図版」等の作品図版と「評伝」等のテキストがまるでゴブラン織りのタピストリーの如く絶妙なバランスで配置されています。絵と文章が見事に融合しているそんな「画集」です。

読み応えのある画集」と呼ぶのもまんざらウソではないこと分ります。


ラ・ジョコンダ」(モナ・リザ)
この作品の背景の解説は池上先生が自信を持ってこの世へ送り出す新説!
大変斬新な解釈でありながら、とても説得力あるものです。必読。


大雑把に二通りの読む楽しみがある画集でもあります。
それは、最初からページに沿って作品解説とレオナルドの解釈が綴られたテキストを通しで読んでいく読み方。(通し読み
また、作品解説は作品解説として絵だけを楽しんだり、テキストだけを巻末資料と併せ読んでいく読み方。(拾い読み

双方共に大満足を得る事間違いなしの出来。
まさに「一粒で二度美味しい」そんな一冊です。
そう考えると3200円という価格も妥当だと思います。
ユニクロのジーンズ一本とさほど変らない値段です。

また、それに加えて池上先生お得意の「関連資料」「関連作品」が必ずと言っていいほどそれぞれの作品解説に添付されています。
例えばワシントン、ナショナル・ギャラリーにあるレオナルドの数少ない現存する油彩画「「ジネヴラ・デ・ベンチの肖像」↓


ジネヴラ・デ・ベンチの肖像」(表面)

この作品についてのテキストによる解説は勿論図版に付されているのですが、それに加えて2枚の別の図版が次のページで示されています。まずは「ジネヴラ・デ・ベンチの肖像」の裏面に描かれたこちらの作品。


ジネヴラ・デ・ベンチの肖像」(裏面)

モデルの名前ジネヴラに掛けた杜松(ジネプロ)が中央に描かれているそです。
そして「ジネヴラ・デ・ベンチの肖像」が下四分の一切り取られていると云われるとされる証にもこの裏面がなっているそうです。なるほどね!
(因みに「美は徳を飾る」と銘文には記されているそうです。)

となると、切り取られた下四分の一の部分にはこの女性の腕が当然描かれていたはずです。それを池上先生はレオナルドが残した膨大なデッサンの中から見つけだされ図版として掲載されています。しかも原寸大で!
(画像は敢えてアップしません。見てのお楽しみということで。)

一枚のレオナルドの作品に対して少なくても2枚の参考図版が掲載されています。
これは大変有り難いことです。我々一般人では中々見られないデッサンや習作が
手元でしかも美麗なカラー印刷で見られるのですから!


ブノワの聖母子

エルミタージュ美術館の至宝中の至宝「ブノワの聖母子」
でもこの作品はレオナルドのものではないと美術史家ベレンソンは批判しているそうです。ところで「ベレンソン」って誰?となりますよね。痒い所に手が届くこの画集。ちゃんと注釈が付けられています。巻末の用語・画題・人名集に解説が載っています。リンクしています。

またこの作品の隣には「猫の聖母子」という猫好きのNikkiさんが泣いて喜びそうな作品のデッサンが掲載されています。
(他のページには北斎漫画のような猫だけを描いたデッサンも掲載されています。)

1478年12月に2点の聖母子像に取り掛かったとメモに残しているそうです。
(メモ魔ですからね、レオナルド…)
それが「ブノワの聖母子」と「猫の聖母子」ではないかと池上先生はお考えです。ところで「猫の聖母子」のイエスの顔が犬のように見えるのは気のせいですよね。。。


白貂を抱く貴婦人

2005年に千葉市美術館で開催された「ミラノ展」で池上先生とご一緒させていただき観た「レダの頭部のデッサン」はレオナルドだけなく弟子の筆が加わっていると結論付けられ掲載されています。

「ミラノ展」の感想はこちらこちら。(画像あり)

「ミラノ展」の際、単眼鏡でじっくりと観察された結果導き出された結論です。

「レダの頭部のデッサン」を所蔵しているミラノ、スフォルツァ城の「アッセの間」にレオナルドと工房によって描かれた装飾があるそうです。それらも別のページに写真で紹介されています。ホント見所満載の一冊です。

まだまだ見所は他にも沢山あります。
そこはサービス精神旺盛な池上先生ならでは!
例えば昨日のインタビューでも紹介しましたが
原寸大のモナ・リザ」が掲載されています。

池上先生「最初、掲載したい図版をリストにしながら、わかっているものはサイズを書き込んでいました。その時、ラ・ジョコンダ(モナリザ)の縦のサイズが、4ページ見開きにすると丁度入る大きさになることにふと気が付きました。それで<最後の晩餐>だけのつもりでいた4ページ見開きを<モナリザ>にもすることにしました。つまり、掲載された見開きのモナリザは「原寸大」なのです。

贅沢だ〜クラッキングまで一本一本見えますよ!


4ページ見開きはもう一箇所「最後の晩餐」でも『フェルメール』には無かったのに…ダ・ヴィンチは2枚もあるなんて。


最後の晩餐

他にも感動して箇所数多。そして初めて知ったこともこれまた数多。
通し読みで一気に読んでしまいました。またこれからじっくり再読。

今春「レオナルド・ダ・ヴィンチ ―天才の実像」展にて日本初来日する「受胎告知」これについても様々な角度から読み解かれていらっしゃいました。



ルーヴル美術館にある「受胎告知」は勿論、「女性の頭部」のデッサン更に「百合の習作」なども併せて図版で紹介されています。そしてどちらも付されている解説がこれまた深みへ誘うようなニクイ文章なのです。

それと実は一番この画集の中で光彩を放っていたのがルーブル所蔵の「衣襞習作」というテンペラ画です。衣服の襞(ひだ)を描いただけの作品ですが、レオナルドの天才的な技法がこれに凝集されているような一枚です。本物是非観たい一枚です。(先生、これ観られるのですか?)


聖アンナと聖母子

きりがないのでこれで最後にしますが、、、
未完成に終わった幻の壁画「アンギアーリの戦い」の全体像を4枚の習作を重ね合わせ復元されているページがあります。難儀な仕事だったと思います。そして当然ルーベンスによる模写もしっかり掲載されています。

一体どれだけの時間と労力をお使いになったのでしょう。
ホテルに缶詰になり、夜中まで締め切りに追われながらも
とにかく自分の目で観てそして確信を得ながら仕上げられたまさに力作です。

是非ともお手にとってご覧になることお勧めします。
出来ればお買い求めになって。
(セレクトショップで春物のセーター1枚買うの我慢すればgetできます!)
西洋絵画の巨匠 8 レオナルド・ダ・ヴィンチ
「西洋絵画の巨匠 8 レオナルド・ダ・ヴィンチ」 池上 英洋

おまけ

この記事の中でアップしたレオナルドの作品(計7枚+1枚)は全て池上先生のこの本の中で純粋にレオナルド・ダ・ヴィンチの手によるものとして掲載されているものです。他はお弟子さんやの手が加わっていたり工房作であったり部分的に同僚が関与していたりする作品とされています。

この点に関しては昨日掲載したインタビューでも語られていましたね。

池上先生「ほかには、苦労というよりは心労ですが、やはり真筆問題ですね。最近の調査報告書なども含めて膨大な文献を見直して、自分の目でも見直して、これだと思っていざ診断を下すのですが、そうなるとけっこうな数の研究者の説の否定にもなってしまうのです。悩みました。でも今はスッキリしています。自分自身も今後変わってくることもあるでしょうが、現時点で最も妥当な判断ができたと、今のところは自信を持っています。


レオナルド・ダ・ヴィンチは、ごくわずかな数の絵画作品と、膨大な量のデッサンを残した。(中略)実作品の制作に際しては、彼は何度も手を入れながら時間をかけてじっくりと仕上げた。
本文より。


お知らせ:
来る2月4日(日)に出版記念パーティーを開催します。
詳しくはこちら

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=892
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この記事に対するコメント

この本に対するTakさんの熱い想いがひしひしと伝わってきますねぇ。

ダ・ヴインチはそれほど大好きな画家ではないのですが(ごめんなさい)、買って読みたくなってきましたよ〜。
彼の絵の中では一番好きな「受胎告知」は修復中で見逃しているし、ぜひ観にいきたいとおもっているので、その予習?!としても買おっかなぁ。。

aki | 2007/01/17 12:42 AM
美術関係の記事ではないんですが、TBをさせていただきました。
ついでのときにでもお立ち寄り下さい。
わん太夫 | 2007/01/17 12:46 PM
ダ・ヴィンチは興味があり、私も本を何冊か持っています☆
未完成作が多く、謎めいたエピソードも多い、というところに魅了されます。
「ジネブラ」の絵画の4分の1が切り取られているということ。
面白いですね・・・・・。確かにバランスも良くないですね。
手の部分が未完成だったので、切り落とされた(最近誤解を招く?表現ですね)という説も出ていました。

池上先生の本も面白そうですね。
チェックします!
| 2007/01/17 2:57 PM
ごめんなさい。
名前の入力忘れました。
ricicoでした。
ricico | 2007/01/17 3:02 PM
@akiさん
こんばんは。

ダ・ヴィンチって知っているようで
知らないことが沢山ある画家?さんですよね。
この画集読んでまた新たなこと発見!

「受胎告知」は楽しみ楽しみ。
現地でも日本でも良い作品は良いです。

@わん太夫さん
こんばんは。

惜しかったですねーーー
こんなこともあるとは!来年こそは。

@ricicoさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

とにかく筆が遅かったようですね。
未完の作品に後にお弟子さんが
手を加えて後世に伝えられた作品も
それなりにあるはずです。
判別がそうなると難しいです。

それをズバリ書いていますので
ある意味、気分良いです。潔し。

「ジネブラ」ワシントンで是非観てみたいです。
ちょっと表情無い顔ですけどね。

名前入力ミス私もよくやります(^_^;)
Tak管理人 | 2007/01/17 6:37 PM
Takさんこんばんは。
先日のインタビューと合わせて充実した情報をありがとうございます。

まだ今日買ってきたばかりなもので、
ペラペラとめくっている段階です。
これからじっくりと楽しませていただこうと思います!
それにしても本当に充実したご解説ですよね。
これを画集と呼んで良いのかと思ってしまうくらいです。

レダの頭部を皆さんでご一緒したのが懐かしいです。
はろるど | 2007/01/17 11:18 PM
Takさんこんばんは
仰るとおり、本当に読み応えのある素晴らしい画集だと思いました。
特に真筆問題は、とても興味深かったです。
レオナルド年の幕開けに相応しい画集ですね。
TBさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
lapis | 2007/01/18 11:43 PM
熱のこもった解説、本を手にいれたくなります。
とはいえ、ダ・ヴィンチそのものには特に思い入れ
はないのですが(すみません)
でも、数年前に行ったダ・ヴィンチ展で、彼のすごさを思い知らされました。
その展覧会は絵よりは科学方面がフィーチャーされたものでした。
スケッチ等もいろいろありましたが、自筆のノートには
感動!!!
OZ | 2007/01/19 8:24 AM
とりあげていただいてありがとうございます。

今回はTBうまくいきました。パーティーのこともちょっと告知しておきました。
ike | 2007/01/19 12:51 PM
@はろるどさん
こんばんは。

ペラペラめくっているだけでも
ひしひしと伝わってくる想い感じ取れますよね。

ミラノ展であれだけじっくり
ご覧になったのですからね。

先生のサービス精神が
全面に出ている「画集」ですね!

@lapisさん
こんばんは。
TBありがとうございます。

どんな作品にも真筆問題あるようですが
ことレオナルドとなると皆それぞれ
自分の意見・解釈もあるようですね。
ずばりとまとめているのが潔いです。

@OZさん
こんばんは。

こういう時はブログ一気に書けるものです。
わき目も振らずに。
ダヴィンチへは知らず知らずのうちに
その魅力に引き込まれてしまっています。

画家だけでなくやはり万能の天才。
時代が違えばまた活躍も違っていたでしょうね。

@ikeさん
こんばんは。

著者直々にコメント頂戴し恐縮です。
パーティー成功に向け努力します!
Tak管理人 | 2007/01/20 12:02 AM
Takさん、こんにちは
TBありがとうございました。
本当に、素晴らしい画集ですね。
こんなに夢中になって読みふけったは久しぶりでした。
nao | 2007/01/27 12:57 PM
@naoさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

ご挨拶が遅れてしまい申し訳ないです。
画集出たのが一週間遅かったら
とても読んでいる時間ありませんでした。
良いタイミングで池上さん出してくれました。
Tak管理人 | 2007/01/28 12:19 AM
こんばんは。
確かに、「読み応えのある画集」ですね。
猫の絵を取り入れるサービス精神も素敵。

世界最高水準の印刷で再現された「最後の晩餐」はショックでした。
修理途中しか観たことがなかったので、修復後の絵がここまで剥落しているのを目の当たりにすると。。。
絵というよりは、既に遺跡という気もしますね。

でも、保存に尽力した方々のエピソードを読むにつけ、今もまだ観られることが奇跡なのだと納得しました。
mizdesign | 2007/02/05 11:21 PM
@mizdesignさん
こんばんは。

一回飲むこと我慢すれば
簡単に手に入る名著です。

最後の晩餐は本場へ行っても
ろくにゆっくり間近で見ることできません。
あれだけは画集でいいかもしれません。
確かに遺跡です。

第二次世界大戦であの壁だけ残ったのですから
ほんと奇蹟ですよね!
Tak管理人 | 2007/02/06 12:10 AM
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