青い日記帳 

TB&リンク大歓迎です!
<< August 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 小川信治「FRENCH MILK CROWN, 2001」 | main | クリスマスローズ「フェチダス」 >>

新刊ぞくぞく。

池上先生に触発されたかのように
今月は美術関連新書の新刊が目立ちます。

まずは、宮下規久朗先生の「食べる西洋美術史」
これ買ってきたばかりでまだ三分の一位しか読んでいませんが、
「美術」を「食べる」という人間の根源的な行為から
見直そうとする大変、ユニークで野心的な一冊です。

食べる西洋美術史  「最後の晩餐」から読む
食べる西洋美術史 「最後の晩餐」から読む
宮下 規久朗

孤独だったウォーホルは、
なぜ遺作に「最後の晩餐」を選んだのか――。


西洋、とくに地中海諸国は古来、食べることに貪欲であり、食にかける情熱はしばしば料理を芸術の域にまで高めた。また、食べ物や食事は西洋美術においては常に中心的なテーマであった。中世にキリスト教によって食事に神聖な意味が与えられると、食事の情景が美術の中心を占めるにいたる。この伝統が近代にも継承され、現代もなお重要な主題であり続けている。
このことは西洋特有の事象であり、西洋の美術と文化を考える上できわめて重要な手がかりとなる。
本書は、食事あるいは食物の美術表現を振り返り、その意味を考えることによって、西洋美術史を別の角度から照らし出そうとするものである


人は臨終になったら、いったい何が食べたいと思うだろうか
食事こそはコミュニケーションの最大の手段であり、宗教と芸術につながる文化であった。人と人、社会と個人、文明と自然、神と人、罪と救い、生と死、それらすべてを結合させる営みが食事であった。また真の芸術は、単なる感覚の喜びなどではない。人間の生の証であり、宗教にも通じるものである。その意味において、食事と美術、さらに宗教は一直線につながっているのである。



最後の晩餐
第1章は 《最後の晩餐》と西洋美術
レオナルド・ダ・ヴィンチの《最後の晩餐》/レオナルド以降の《最後の晩餐》/《エマオの晩餐》/日本の「最後の晩餐」

隠れキリシタンが残した「ダンジク様」と呼ばれる図像には仰天させられます。


第5章の近代美術と飲食も見慣れた作品に新たな解釈を
加えてくれる大変示唆に富んだ内容となっています。


ゴッホ「馬鈴薯を食べる人々

宮下先生へは池上先生やNikkiさんもそれぞれのブログで賛辞を送っています。
宮下規久朗 『イタリア・バロック――美術と建築』(池上先生)
読書-[イタリア・バロック―美術と建築] Megurigami Nikki)
イタリア・バロック―美術と建築
「イタリア・バロック―美術と建築」 宮下 規久朗

また、宮下先生は池上先生と同様に小学館から
「西洋絵画の巨匠 カラヴァッジョ」を昨年上梓されています。
西洋絵画の巨匠 カラヴァッジョ
「西洋絵画の巨匠 カラヴァッジョ」 宮下 規久朗

ジロリアンでもある宮下先生。過度の飲食とストレスで膵臓を壊してしまい
この「食べる西洋美術史」を脱稿したころ入院されてしまったそうです。

そんな?宮下先生だからこそ書き得たこの本。
新書ながらカラー図版も多く読み応え十分です。

blog宮下規久朗 美術史研究室




二冊目は岡田氏による一冊。
はっきり言ってこの本、新書で出すような本ではないです。
単行本で5000円位の値段付けても十分通用し売れる本です。

過度の新書ブームには少々眉をひそめていたところありましたが、
こんな素晴らしい本がたったの880円で買えるのですから有難いことです。

処女懐胎―描かれた「奇跡」と「聖家族」
処女懐胎―描かれた「奇跡」と「聖家族」
岡田 温司

処女にしてキリストを宿したとされるマリア。処女懐胎はキリスト教の中心に横たわる奇跡であり、夥しい図像を生み出してきた。「無原罪」の「罪がない」という否定の図像化一つとってみても、西洋絵画に与えたインスピレーションは巨大である。また、「養父」ヨセフや、「マリアの母」アンナはどのように描かれてきたのか。キリスト教が培ってきた柔軟な発想と表象を、キリストの「家族」運命の変転を辿りつつ描き出す。

章立てはいたってシンプル。
1・マリアの処女懐胎
2・無原罪の御宿り
3・「養父」ヨセフの数奇な運命
4・マリアの母アンナ

第一章には今年何度耳にするか分からない「受胎告知」などについて
私の全く知らない画家さんの作品図版などもふんだんに用いて
懇切丁寧に時代を追ってマリアがどのように描かれてきたか書かれています。


コズメ・トゥーラ「受胎告知」1469年

そして、この本もまたカラー図版が盛り込まれています。
しかも、印刷が綺麗!大熊整美堂いい仕事しています。

第二章では、ムリーリョだけが無原罪の御宿りの画家じゃないのよ!
と言わんばかりにこれまた、洪水が押し寄せるが如く
岡田氏が持てんばかりの知識を存分に認めていらっしゃいます。


フェデリコ・バロッチ「無原罪の御宿り」1575年

まだ読んでいませんが、実は第三章が一番楽しみです。
「養父」ヨセフの数奇な運命
今までほとんどスルーしてきたヨセフについての章。
これだけでもこの本を購入する価値あるかと思います。

岡田氏は以前、こちらの本を書かれた方ですので
内容は私がプッシュなどせずとも十分折り紙つきです!
マグダラのマリア―エロスとアガペーの聖女
マグダラのマリア―エロスとアガペーの聖女
岡田 温司




最後にまたNHK教育テレビで面白い番組放送してくれます。来月から。
ズバリ「江戸のなんでも見てやろう〜絢爛!博物誌の世界


「知るを楽しむ」歴史に好奇心
江戸のなんでも見てやろう 〜絢爛!博物誌の世界

江戸のは博物学事始 /大場秀章
図解“天狗のミイラ”はこう作る? (編集部)
幻の名著『張州雑誌』の真相 /岸野俊彦
“慶賀の画”は生きている /中坊徹次


第1回 博物将軍・吉宗 /大石学
2月8日放送/2月15日再放送

第2回 君は人魚のミイラを見たか? /香川雅信
2月15日放送/2月22日再放送


第3回 尾張発 “ノアの箱舟” /金澤智
2月22日放送/3月1日再放送


尾張大百科事典『張州雑志』に描かれた「ニホンアザラシ
描いたのは内藤東甫なる人物だそうです。

泳ぐ姿をまるで見てきたように描いていますね。

第4回 シーボルトのカメラマン /山口隆男
3月1日放送/3月8日再放送


川原慶賀「トウガン」の図

冬瓜をリアルに描いているだけではありません。
よーーく観て下さい。冬瓜を取り囲むツルの形!
堅苦しくなりがちな博物学をこんなに軽妙洒脱に表すなんて。

放送日・時間 教育テレビ=木 午後10:25〜午後10:50
教育テレビ=木 午前5:05〜午前5:30 (再放送)翌週

江戸の博物学者たち
「江戸の博物学者たち」 杉本 つとむ


駆け足で紹介してしまいましたが、三冊ともそれぞれ読み応えあります。
暖冬で雪が少なくスノボに出かける回数減った分、本でも如何でしょう。

それにしても宮下先生がジロリアンだったとは。
何だかとっても身近に感じられます。同じジロリアンとして!

因みに「ジロリアン」とはラーメン二郎を偏愛する人の総称。
こんな格言あります。「二郎はラーメンにあらず、二郎という食べ物也」

AllAbout「ジロリアンとは、何者?


それでは最後に本日もやります。「今日の一枚

「食べる西洋美術史 『最後の晩餐』から読む」 宮下 規久朗 からの一枚。

さて、誰が描いた絵でしょう??
タイトルは「皮を剥がれた牛


ヒント
1・16世紀の画家さんです。
2・オランダで活躍した画家さんです。
3・ルーブル美術館にある絵です。
4・光と影の画家さんです。
5・まさか…あの有名な………答えはCMの後で。続きを読む >> で。

おまけ

この本は美術とは関係のない本ですが
大変興味深く読むことできました。
章毎の扉絵に酒井抱一はじめ琳派の作品が用いられています。
美しい日本の身体
美しい日本の身体
矢田部 英正

日本古来の身体技法が見直されている。その要は「腰肚」や「臍下丹田」に収斂されたのち、形を練り、整え崩し、「たたずまい」としてあらわれる。都市にあっても自然に適い、からだがおのずから発する美しさとは何か。キモノ、坐法、仏像、能などの伝統文化を渉猟しながら、連綿と受け継がれてきた日本の身体技法を究め、私たちの身に沁み込んだ立居振舞いの美学を再発現する意欲的な試み。

一昨年読んだこの本と印象随分似ていたけど違う著者でした。。。
「肩の文化、腰の文化―比較文学・比較文化論」 剣持 武彦

当時書いた感想?はこちら



この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=901
皮を剥がれた牛

レンブラントの作品でした。

スーチンに大きな影響を与えた作品だそうです。
なるほど〜この絵のせいで、スーチンこんな絵ばかり描いていたのですね。
納得。
読書 | permalink | comments(10) | trackbacks(2)

この記事に対するコメント

Takさま、こんばんは〜

今日、知る楽のテキストを買ってきたばかりなのです。
超、楽しみな、内容ですね!

若冲のカレンダーいいな、いいなぁ〜〜と思いつつ拝見してました。
あべまつ | 2007/01/25 10:09 PM
こんばんは。
ご紹介の抱一は今日早速買ってきました。
今パラパラと…。佳いですね!ありがとうございます。

ところで宮下先生の「食べる西洋美術史」はハマりました。
ユニークな切り口でありながらも、
結果的に真っ当な美術史が完成しているのが素晴らしいと思います。
食べることと西洋美術があれほど密接だとは知りませんでした。
読んでしまえば自明のことと感じてしまうほどの論証もまた見事です。私も大推薦します。
はろるど | 2007/01/25 10:22 PM
@あべまつさん
こんばんは。

テキストの表紙のカニさんに
惹かれて手に取りました。
はさまれないように。

番組楽しみです!!

@はろるどさん
こんばんは。

宮下先生がとても身近に感じられました。
僭越ながら。
仰る通り、誰でも気が付きそうで
未だ誰も体系立てて書いていかかった
「組み合わせ」ですね。
こういう新たな切り口から
絵を見直すと違った側面が見えてきますね。

抱一、いい感じで使われていますよね。
そちらは一気に読破できます。
(書かれていることが意外と単純なので)
Tak管理人 | 2007/01/25 11:04 PM
こんにちは
「知るを楽しむ」歴史に好奇心 江戸のなんでも見てやろう
あー見たいです。TVとあんまり縁がないので教わって助かります。大好きです、こういうの。見世物系ですが、わたしの場合は。

ヨセフを描いた小説『わが子キリスト』とか好きでした。
武田泰淳の発想が面白かったのです。

ちょっと来月の楽しみができました♪
遊行七恵 | 2007/01/26 10:02 AM
金曜の帰りは本屋の日です。
普段、帰る頃は、駅前の雑誌中心の小さな本屋しか開いていないので、大きな本屋にはなかなか寄れません。
今日のお買い物
・食べる西洋美術史
・処女懐胎
ここまでは同じ
・装束の日本史/近藤好和 著 平凡社新書
 着た人も居ましたね(笑)。
・戦争の日本史2 壬申の乱/倉本一宏 著 吉川弘文館
 壬申の乱 かなり好きなテーマです。
 この大学教授は、切り口がちょっと違います。

最近読んだのが(過去のお買い物)
これも「壬申の乱」関連です。
・闇の左大臣 石上朝臣麻呂/黒岩重吾

最近、ちょっとはまっているテーマが平安
トホホな天皇とあくどい藤原氏を書いた
・天皇たちの孤独/繁田信一 著
面白いです。
この著者は、殴り合う貴族たち(平安朝 裏 源氏物語のコピー付き)も書いています。これも面白かったです。
・院政/美川 圭 著(中公新書)

今日、買った本は、ツン読にならないようにしないと。
新たに買わなくても、読んでいない本はいっぱいあるんだけどね。
鼎 | 2007/01/26 10:38 PM
@遊行七恵さん
こんばんは。

教育テレビ渋いですよね。
これ扱うか!!って感じです。
ミイラまでやるそうです。

私もテレビを見ないので
これも録画して空いた時間にでも。

どうもリアルタイムで観られません。。。

@鼎さん
こんばんは。

鼎さんは幅が広いですからね。読書の。
歴史モノもお好きですよね。
色々と教えて頂いたことありますし。

壬申の乱関連そんな面白いのですか。
日本史ではるか昔に覚えた程度なので
ある意味まっさらな状態で
読むことできるかもしれません。

早速メモして手ごろなものから
書店で見つけて立ち読みしてみます。

でも、本て手にしてしまうと
所有欲が沸いてきてしまうんですよね。。。

>新たに買わなくても、読んでいない本はいっぱいあるんだけどね。
同じく。
でも買わないと無くなりそうなので。。。

Tak管理人 | 2007/01/28 12:11 AM
岡田温司さんの著作は、どれもお得感があって良いですね!
本作も勉強になりました。
Nikki | 2007/02/10 1:58 AM
@Nikkiさん
こんばんは。
TBありがとうございます。

処女懐胎の驚くべき表現の変遷や
捉え方の違いなど想像をはるかに
超えるもの数多ありました。
Tak管理人 | 2007/02/11 6:02 PM
こちらの記事を読ませていただいて、『処女懐胎』と『マグダラのマリア』を読みました。
2冊ともとても読み応えがありました。
特に『処女懐胎』のヨセフとアンナのところが面白かったです。
この方の『カラヴァッジョ』は確か大著だったような。未読なので挑戦してみようかな〜と。

私も『秘密の知識』が読みたくて、図書館に予約してますが、今やっと12人待ちになったところ。
やっぱり、ちょっとお値段が高いので読んでから購入を考えようかと‥‥。

Takさんの紹介される本は良い本ばかり、時々忘れずにチェックさせてもらってます。
kyou | 2007/03/06 10:08 PM
@kyouさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。

お読みになられましたか。
とても内容の濃い二冊でしたね。

秘密の知識は立ち読み軽くしてきました。
立ち見かな。
ブログ一週間お休みする覚悟ないと
これ一冊読めませんよね。
図書館という手がありました。
チャレンジしてみます。

因みに今日買ってきた本は
「ダ・ヴィンチ7つの法則」という文庫本です。
面白そうですよ、軽そうだし。
Tak管理人 | 2007/03/07 12:15 AM
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。
この記事に対するトラックバック
venerd&igrave;, il 9 febbraio 2007 sono le ventitre e settantanove  「レオナルド・ダ・ヴィンチ ――天才の実像」展とイタリア旅行に向けて少しでもお勉強を、と読んでみた本ですが、非常に内容のある著作で良かったです。  本書はキリスト教におい
『食べる西洋美術史 「最後の晩餐」から読む』 ??? 宮下 規久朗:著   光文社/2007.1.20/880円    西洋、とくに地中海諸国は古来、食べることに貪欲であり、 食にかける情熱はしばしば料理を芸術の域にまで高めた。 また、食べ物や食事は西洋
食べる西洋美術史 「最後の晩餐」から読む | 月灯りの舞 | 2007/02/23 3:33 PM